最終話→君が好き。
また、ぬるい朝が来た。隣りに、濱口も居ない。相方とセックスをするようになるまで、一人
の朝が、こんなにだるいなんて思っていなかった。ベットの横の携帯、濱口に電話をする。
「・・・あ、濱口?」
おはようコール。自分でやってて、正直キモい。でも、今はそんな事はどうでもいい。
『・・・・・・ん〜?有野ぉ〜?・・・どしたん、まだ八時やん・・・』
同じようにベットの上で、頭をぽりぽり掻いている相方の様子が頭に浮かぶ。
「・・・ええやろぉ、電話ぐらいしても。今・・・何してるん?」
少し気付いておきながら、確認する。間違ってても、特にどうともないけど。
『・・・オナニー』
「・・・え?」
まじで!?
『・・・・・・嘘やって。・・・あ〜、今想像したやろ。スケベやなぁ。寝起きや、寝起き』
・・・自分で自分を蔑んだ。ついでに、相方に文句を言った。未だに、頭の中に、ベットの上で電
話をしながら、一人エッチをしている濱口の様子が浮かんでくる。・・・俺も相当病気やなぁ。
『・・・有野?・・・も〜なんなん、お前から電話したんに・・・』
拗ねている相方が、急にいとおしくなった。
「・・・別に、何もないんよ。ただ・・・お前と話したくて」
濱口が、笑い飛ばす。何やねん、そこまで馬鹿にする事無いやろ?
『・・・・・・有野?・・・なぁ、冗談やって、・・・・・・なぁ、なぁ・・・ごめんって・・・』
相方が馬鹿みたいに可愛い。思わず焦らしてしまう。・・・ああ、可愛い・・・こんなんが聞ける
んやったら、ずっと拗ねたろかな。慌てて機嫌を直そうとする濱口、多分こいつには見えて
ないんやろうな、電話の向こうでほくそ笑んでる俺の顔は。まぁ、そこもまた可愛いけど。
『・・・有野ぉぉ・・・・・・お願い、機嫌、直して・・・』
ほんっま可愛いわぁ。
『・・・・・・有野ぉ・・・なぁ、俺、何でもするから、・・・だから・・・』
何でも・・・ねぇ。そういう事言われると、苛めたくなんねんけど、俺?
「・・・・・・そうやなぁ・・・じゃあ、ほんまにオナニーして?」
濱口が、急に黙り出す。
『・・・・・・分かった』
戸惑いを感じながらも、素直に従う相方に喜びを感じてしまう。やっぱサドやなぁ、俺。
『・・・んっ、あっ、・・・はぁ、・・・んんっ・・・!』
甘い声が、電話越しに聞こえてくる。指を肌に滑らせてしまったのか、肌が揺れる音が聞こ
えてきた。相方の声も、力が入ってしまう。厭らしいねぇ、相方を嬲る。・・・可愛いなぁ。
『・・・嫌っ、ぁっ、はぁあぁ・・・!』
でも・・・もう少し・・・
「・・・なぁ、濱口・・・もっと、気持ちよくなりたいやろ?」
相方の声が止まる。
「・・・もう我慢できへんやろ?」
まだ相方の反応はない。
「・・・携帯、穴に入れてみ?・・・ほら、お前の細長かったやん、・・・・・・逝きたいんやろ?」
早くせんと、可笑しくなってまうんやろ?
『・・・・・・はぁ、ああ、・・・んぁああぁっ、・・・ぁぁ、・・・有野ぉっ・・・!』
携帯を、自ら挿入していく音が、耳を通っていく。
「・・・ええやろ?・・・ええ子やね、抜き差し・・・できる?そうやないと、逝かれへんやろ?」
もう全部、入ってしまっただろうから。
『・・・・・・できへん・・・』
温度でさえ、快感に変わってしまうのか、相方の声は震えている。
「・・・どうするかなぁ・・・そやなぁ、電話、変えよか?・・・バイブ、使えるやろ?」
相方は、大人しく穴から携帯を出し、通話を切った。俺も切り、電話の子機から掛け直し、
喘ぎ声が、急に激しくなる。声に、羞恥からか、泣き声が混じり始めてきた。
『・・・嫌あぁぁ、こんなん、無理ぃっ・・・・・・ああ、有野ぉ、・・・嫌やあぁあぁっ・・・!』
バイブの感触がよほどたまらないのか、・・・でも、泣き声もたまらんのやけどなぁ。
「・・・もう、あかんの?でもまだ逝かれへんのやろ?ほら、足開き。すぐ、よくなるで・・・」
『・・・はぁ、・・・・・・ああぁぁぁっ!!・・・ああぁ、はぁあっ、・・・ああ・・・!』
「・・・ん、出してええよ、濱口・・・」
『あぁっ、・・・んっ、・・・はああぁぁぁ―――――っ・・・!!』
身体を震わせながらベットに倒れこんでいる、濱口の様子が浮かぶ。少し、やりすぎたか?
また、悪い癖が出てきたか。相方が、あまりにも可愛いから。きっとこれぐらいのお世辞やっ
たら、相方は気を許してはくれないだろう。・・・相方の荒い息が止まる、もうすぐかな。
『・・・このド変態』
ド変態かぁぁ〜、まさか「ド」がつくとはなぁ・・・。
「・・・ごめん。我慢できへんかった」
他に、どう謝ったらいいのか分からないから。相方は、まだ許してくれないけど、変にぺこぺ
こ謝っても、変に分析しても、相方の機嫌は変わらないだろうから。今は、とにかく耐える。
『・・・・・・もうええわ。・・・なぁ有野、今からそっち行ってええ?』
予想以外の事態に、身体が素直に喜ぶ。
『・・・なんか、一緒に仕事行きたいねん。・・・なぁ、ええ?』
そんな風に言われたら、返す言葉は一つしか見つからない。
「・・・・・・もちろん」
まだまだ、矢部と岡ちゃんみたいな関係にはなれそうにないけど、俺等は俺等なりにこの微
妙な関係に慣れていきたい。また、我慢が出来なくなる事は沢山あるだろう。でも、そういう
事も、一つずつ抑えられるようになっていきたい。・・・とりあえず、今はまだ、こんな感じで。
END