何時も愛していると貴方は云うの。



酷く、不安になる時がある。

最近、物凄くそれが頻繁になってきた。

いつの間にか、君との時間が多くなって。最近ではもっと多くなって。

『僕』の時間が少なくて、『君と僕』の時間が極端に多い。君と居ないと、不安になる。

 「石田?・・・どーしてん、元気ないよ?」
二人で風呂に入っている。井上の声で、現実に引き戻される。
 「何でもないよ」
すっと笑顔を作って、抱きしめた。

君を自分のものにできたら。完全に、自分のものに。

『・・・身体ごと食べて、吸収すればいい』。

残酷な欲望が、頭に浮かぶ。

 「・・・やっぱ、元気ない」
寂しそうに、井上は俺の顔を覗き込む。抱きしめる。井上は俺から離れようとする。
 「・・・どうしたんよ。・・・なぁ」

独り占めしたい。誰にも笑いかけないで欲しい、話しかけないで欲しい。

 「・・・何でもない」

君の反応が恐ろしくて、僕は之しか言えない。

 「・・・別れたいん?俺と」

違う。そんな訳ない。

 「俺の事、嫌いになったん?他に好きな奴、できたん?」
ぽろぽろ涙を零しながら、井上はそう口にした。
 「違う」
 「じゃあ、俺の事、ちゃんと見て。・・・俺は、石田が好き。別れたくない」

君の目を、じっと見つめる。怯えた様な目。すっと、吸い込まれるような錯覚に襲われる。

何て気持ちのいい錯覚だろう、僕は思う。

 「・・・何でやろうな、セックスより何より、今は石田に見つめられたい」
何時も一緒にいると、自然と井上が俺の身体を欲しがるようになっていた。
セックスをするのは気持ちよかったし、全然嫌やなかった。
 「・・・置いて行かんといてな」
井上は、まだ目に涙を浮かべながら、そう言う。
 「・・・石田、最近、ずっと空を見てるから。俺と、違う所を見てるから」

あんな風に、なれたらええなぁ。

昨日、FUJIWARAの藤本さんが、ナイナイの矢部さんとbaseに来ていた。
一週間後にナイナイライブがあって、丁度今大阪にいるんだそうで、藤本さんも仕事で大阪
にいて、矢部さんが一度もbaseに行った事がないというので(新しくなったうめだ花月にも
行った事がない、と言っていた)、藤本さんの案内で来ていた。

岡村さんの話になると、満面の笑顔になっていた。相方が好きなんだと思った。

矢部さんも、岡村さんとできている。田村と、羨ましそうに彼を見ていた。

まるで落ち着きが違う。許されない関係だというのに、落ち着いて話している。

あんな風に、なれたら。そう田村と、言った。

アホな事言うな、お前等はまだ先が長いんやから相方とはできるだけ早く別れるんやで、と
彼は言ったが。僕等だって、貴方みたいに相方を思ってるんですよ。

 「置いてく訳ないやん。・・・ほんっま、何時も強がってる割に、こんなんなるもんなぁ」
そんな所も、惚れてしまった部分ではあるけど。
 「・・・だって、だって」

置いていかれるんじゃないか、というのは僕の方。何時も君は元気だから。

君は俺の知らない処へ、今にも行ってしまいそうだから。

『君』の時間は、僕より多いですか。お願い、僕を見捨てないで。

 「・・・んっ」
キスをする。井上が、笑う。俺も嬉しくなる。



END