あと、すこし。
何があったら、ボクのことを愛してくれますか?
抱きとめても、何も囁いてくれないアナタの温度は、驚くほど低くて。
いつもボクは凍えそうでした。
真っ暗な部屋の中を、躓きそうに歩きながら。
アナタを探した夜が今でも肌を刺します。
あと、すこし。
何を持っていたら、ボクを愛してくれますか?
冷たい雨の中、何年ぶりかに出会ったボクに背を向けて。
もう二度と会わないと言うなら、どうしてボクの肩に傘を傾けたりしたんですか?
目もあわせてくれないアナタの視線を焦がれて。
何度も呼びかけた声だけが、記憶に埋まっていきます。
あと、すこし。
ボクが大人だったら、アナタに気持ちを伝えられたのに。
大人だと思いながら、子供のままだったボクは、どのくらいアナタを困らせたのだろう。
電話をくれないと泣いた日も、ボクの側で知らない話をすると怒った日も。
覚えているのは、苦い後悔とアナタの困った顔だけ。
あと、すこし。
あと一歩だけアナタに近づけたなら。
意地悪な空だけが、ボクの気持ちを語っています。