97. 鍵

 小さな鍵を見つけました。
 手のひらにそっと包めてしまう。
 どこを開ける鍵か、ちっともわからないけど。
 今、世界の未知をこの手に握り締めています。


 小さな鍵を見つけました。
 余計な事は何も語りません。
 蔦に覆われた、低い扉を開ける鍵かもしれないけど。
 扉の向こうを誰も知りません。


 小さな鍵を失くしました。
 探したけど見つかりません。
 世界の未知は未知のまま終わりそうだけど。
 それでもいいと、満足しています。