優柔不断、長い物には巻かれるタイプ、勉強運動そこそこ。
大器晩成と言われて早十数年、ようやくの異性への目覚めが悩みの種か。



ゆるゆるとした時間軸の中で、早紀は晴彦との距離を推し量っていた。
そんな彼女の前に現れた最大の脅威。
生徒会長の優子は、直球過ぎる愛情表現で晴彦にアプローチする。
そんな優子にモヤモヤとした感情が浮かび上がる早紀。
その感情の源は嫉妬。
このままではいけない。
だが、幼馴染みとして過ごしてきた期間が長すぎた。
それ以上の関係になるためには何かが足りない。
それ以上踏み出せない。

――修学旅行。

晴彦と同じ班になった早紀は、旅行先なら転機が訪れるかもしれない。
そうあって欲しいと願った。
早紀が待ち望んだ未来は訪れるのか……



学園生活最大のイベントである修学旅行を間近に控え、杏里は迷っていた。
その行き先である京都の食べ物は、果たしていかほどのものだろうかと。
それからもう一つ。
いくら食べても成長しない自身の体型を省みてため息をつく杏里。
こんな自分を好きになってくれる男の子はいるのだろうか。
気になる人はいる。好きかどうかは分からない。
だけど、一緒に居て楽しいと思う気持ちは本物だった。
友達じゃない特別な人。自分だけを見てくれる、異性として意識してくれる男の子。
杏里は食だけでは空き足らず、愛情にも飢えていた。
杏里の愛情を満たす人物とはいったい……




生徒会長の神崎優子はご機嫌ナナメだった。
ようやく見つけた意中の男子は、優子のアタックをことごとくスルーするのだ。
どれだけ愛を力説しても、冗談としか思っていない。
だがその鈍さも愛しかった。
そんな意中の男子、晴彦には幼馴染みの早紀がいた。
自分の知らない晴彦の過去を知る女の存在は脅威だった。
しかも早紀は晴彦に好意を抱いている。
幸いなことに晴彦はまだ気付いていない。 だが気付くのは時間の問題。
現状を打破するにはなにかきっかけがあればいい。 きっかけなら、そう、

――修学旅行。

人とは旅先で大胆になれる。
これ以上大胆になったら大変なことになりそうだが、 優子の決意は変わらない。
晴彦に未来はあるのか……



愛すべき(只の)馬鹿その二。
晴彦の優柔不断さに『ビキビキ』きてるがいいやつなのか???
恋愛原理主義者として名を馳せる。
将来の夢は蕎麦屋か大統領。

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