「なんか‥夕方みたいっスね」
「‥‥。んなわけねえだろ‥‥。‥今、何時?」
朝焼けの光の差し込むカイジのアパートの部屋は薄くオレンジ色に染まっている。
それに加えて体中に残る疲れが、朝らしい爽快感を全く感じさせない。
「‥七時っス。カイジさん」
「‥そろそろ起きなきゃ‥‥。風呂も入ってねえし」
「だるいっス」
「俺だってダリーんだよ‥‥。でも仕方ないだろ‥‥」
「仕事行く前ってイラつきません‥?」
「お前‥そういう‥」
カイジはのっそりと体を起こした。
「そういう事‥イチイチ吐くなよな‥‥。‥俺だって同じなんだから‥キツいのはよ‥‥」
度々軽々しく愚痴を吐く佐原がカイジにはうっとおしい。
「ダルイっス‥‥。風呂入るのも歯磨くのも仕事行くのも全部ダルイっス」
「抱き付いてくんなっ‥‥!うっとおしい‥」
「カイジさん、ちょっと臭い‥」
「しょうがねえだろっ‥!お前だってくせーよ‥」
「オトコの匂いって言って‥。‥カイジさんも、オトコ臭い」
そう言ってとうとう押し倒してしまう。
「‥あのな‥‥お前‥‥」
「出来るかも‥‥。‥あと一回‥」
「出来ねえよ‥!遅刻したらどうすんだよ‥‥!」
「大丈夫大丈夫‥。まだ‥」
畳の床に押し付けたまま、Tシャツにトランクスだけのカイジの身体を弄繰り回す。
トランクスの中に手を入れてぐにゃぐにゃに柔らかいカイジのペニスを掴むと、その手の冷たさにカイジが悲鳴を上げる。
そのままトランクスを引きずり下ろしてペニスをぱっくり咥えるとしゃぶり始める。
「‥ふ、‥バカ‥‥」
ペニスに加わる不快感が次第に快感に変わり、カイジの呼吸が乱れる。
硬度が増して半立ちになったかならないかぐらいで佐原はフェラを止め、自分のスウェットとパンツを脱ぐ。
「‥ああ、イライラする‥‥カイジさん」
「じゃあ止めろよ‥‥」
「イライラすると俺したくなるんスよね‥。ガキの頃から。そういうの、分かりません‥?」
「‥‥」
「同じなんですよね‥。イラつくのと性欲が。で、そういう俺がスゲエ嫌だったり」
佐原のペニスは十分に硬くなっていた。せわしなく体制を整えてカイジの尻にあてがう。
「カイジさんはどっちかって言うと、へこんだ時にしたくなるよね」
「‥‥分かんねえよ‥‥。‥ん‥!」
昨夜のなごりで十分に濡れているカイジの中に佐原がペニスをねじ込む。
「‥はぁっ‥‥」
「‥カイジさん‥‥」
ゆっくりと、カイジを畳に押し付けるように佐原が動く。
純粋な快楽が身体に広がり、二人の息が荒くなる。
「はぁ‥はぁ‥‥、‥‥あ‥」
「‥あぁ‥スゲエ気持ちいい‥‥。カイジさんの中‥‥」
自分の快楽を追う為だけに動いていた佐原が、不意に動きを変えてカイジの前立腺を狙って突き始める。
「あ、あ」
カイジの手が畳を強く引っかき、ふと触れた空のビールの缶を掴んで握り締める。
「‥掴み甲斐が無いでしょ‥‥、‥それ‥‥」
笑って、佐原がカイジの手から缶を払って変わりに手を握る。
行き場を見つけたカイジの手が佐原の手を強く握り返す。
そのまま覆い被さって空いた手でカイジのペニスを握り、抜きながら突く速度を速める。
「ん‥‥俺もうイクかも‥‥カイジさん」
「あ、あ‥‥。‥佐原‥」
裏返ったカイジの声が聞こえて、カイジのペニスがどくどくと脈打つのを確認すると
佐原はいっそう激しく動いてカイジから自身を抜き腹に精液をぶちまけた。
服が汚れるのもかまわずカイジの上にもたれて息荒く余韻に浸る。
「‥‥スッキリしたか‥?‥少しは‥‥」
行為の後の艶の残る声でカイジが言う。
「うん‥。‥カイジさんもでしょ‥?」
「俺は余計疲れたっつーの‥‥」
「なんか‥すんません‥。俺って頼ってますねカイジさんに。‥俺だけ」
「いや‥。んな事ねえけど‥‥。‥いいから‥本当遅刻するぜ」
「そうっスね‥。一緒に風呂入ったほうがいいかも」
「‥あぁ‥。‥そっちのほうがいいかもな‥」
のそのそと起き上がり、二人とも服を脱ぎ始める。
「頑張ろうぜ‥ほら」
先に立ち上がったカイジが佐原の頭を軽く叩く。佐原も膝を掴んで立ち上がった。