(不覚、だ……)
 今日何度目かの渋面で、ドモンはずるずると鼻を啜った。
 今更の風邪の一つや二つで人事不祥に陥る程度の鍛え方はしていない。しかし、やたらと今年の風邪は悪質のようだった。そりゃあもう……コレ並には。



「はい、ドモン。やっぱり風邪にはこれだな」
 布団の脇に、卵たっぷりの雑炊が置かれる。
 そこには既に、チーズリゾットだの、鍋焼きうどんだの、お粥だの、果ては卵酒や生姜湯や甘酒……風邪というと思い浮かぶありとあらゆるものが並べられ、ほかほかと温かい湯気を立ち上らせていた。
「…………兄さん……もういらない…………」
 一つ一つは美味しそうな匂いだが、こうも並べ立てられると辛いものがある。解けたチーズと酒粕の匂いがぐるぐるしている。うっと込み上げる吐き気を何とか飲み込みはしたものの、口の中に酸っぱい味が広がった。
「何だ。しっかり食べないと良くならないぞ」

 
 甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるのはありがたい。しかし、過保護にも程がある。
 確か自分は携帯でレインを呼んだ筈だった。それなのに、何故キョウジがここにいるのか……。ただでさえ考え事は苦手なのに、熱のせいで余計に思考が拡散する。


「何で……兄さんがここにいるんだ……?」
 無意識に零れた呟きを聞き逃さず、キョウジは酷く悲しげな顔をしてドモンの額と自分の額をくっつけた。
「冷たいなぁ。ドモンが助けてくれ、っていうから来てやったんだぞ。……まだ熱高いな」
「……言ってない」
「言った。着歴残ってるぞ。あと、あんまり色っぽい声だったんで録音もしてある。聞くか?」
「知らない、いらないっ!」
 額をひっつけたまま器用に携帯を取り出そうとするキョウジを力ずくで押しのけて、ドモンは布団を頭まで被った。

 どうやら朦朧としてかけ間違ったらしい。レインとキョウジの電話帳登録は隣り合わせだ。と言うより、他はこの間無理矢理自分で登録していったサイ・サイ・シーやチボデーくらいしか登録者がいない。

「熱っぽくて掠れた声って言うのもなかなかいいもんだな。アノ時の声みたいで……」
「バカ言うなよ……って、兄さん! 病人の布団に入ってくんなよ!!」
「いいじゃないか。風邪は移せば治るって、よく言うだろう?」
 多分力は互角だろうが、今の身体の調子ではそれもままならない。キョウジを押し返しきれず、結局縋るように脱力するしかなかった。
 その上、無駄に力んだのが悪かったらしく、ひどく咳き込む。

「こらこら。無理しちゃダメじゃないか。ええと、咳には……ホットレモン。これだな、それともカリンの蜂蜜漬けがいいか? のど飴もあるぞ?」
 IQだけは異様に高いが、弟の事となると殆ど働いていないようだ。咳の所為で苦しげに息を吐くドモンの前に、おたおたしながらいろいろ並べる。
「……どれでも……いい……っ……」
「じゃあ……」
 と、適当なものを……。

 
「っ!……ん……んんっ……」

 口の中に甘酸っぱい味が広がる。多分、ホットレモンだろう。それより、一緒に流し込まれる唾液がひどく甘い。口から溢れ出そうになって、慌てて喉を鳴らして呑み込む。

 唇を離すと、熱の所為かいつも以上に熱い吐息が洩れる。
「少しは落ち着いたか?」
「……兄さんの馬鹿っ」
 きりきりと吊り上がる目元にも覇気が足りない。
「擦れた声も可愛いけど、やっぱり痛々しいな……じゃあ、口開けて」
「んぁ……」
 ドモンが従おうとする前に太い指が唇を這い、親指が入り込む。歯列と歯茎を辿られ、悪寒に似た震えが背を駈けた。渋々口を開ける。
「お前は本当にいい子だな」
「ん、ぅ……ぁん……」

 口の中にとろりとした物が流し込まれる。熱に痺れた口内では微かにしか分からないが、濃厚な甘味が広がった。
「喉にいいからな。ちゃんと飲み込むんだぞ」
「……ん……何、これ……?」
「蜂蜜。お前、好きだったろう? 瓶に指突っ込んでぺろぺろ舐めちゃあ、お袋に怒られてたもんなぁ」
 前触れもなかったもので飲み込み損ねた分が、唾液と混じって口の端から滴り、頤を伝って喉元へと流れる。

 細くした舌先で舐め辿られ、身体が震える。熱で脱力した身体は、同じ熱の御陰か、酷く過敏になっていた。
「っあ……や……兄さっ……」
「こらこら、そんな声を出して誘うなんて……さっきいい子だと言ったの、撤回しなくちゃなぁ」
「ふ……ぁ、あぁ、やっ! 何やってっ……」
「熱にいいことだよ。汗を掻いて発散させるのが一番だからな」
 するりとパジャマの袷から手が入り込み、胸を這う。指先で揶揄う様に突起を弄られる。

 邪魔だと言わんばかりに布団を剥がし、弄りながらも器用にパジャマを脱がせていく。
「……寒っ……」
 外気に触れた肌が一気に粟立つ。
「大変だ! 直ぐに温かくしてやるからな」
「……それよりパジャマと布団、剥ぐなよ……」
「んー、何か潤滑剤はないかな〜」
 全く、見事なまでに会話が噛み合わない。ドモンはさすがにこの体調でナニをする気にもなれず逃げを打つが、今の状態で敵うはずもない。シーツを掴んで少々身体をずらす程度だ。一方、キョウジは上手くドモンの自由を奪いながら周りを見回した。
「あ、これがいいか」

 一瞬だけドモンから手を離し、何かを手に取る。きゅぽん、と蓋を開ける音がし、とろとろとドモンの胸の上に何かが垂れる。
「……何?」
「さっき舐めたろ?」
 金色の液体が少し上気した小麦色の肌の上で絵を描く。感触がそう冷たくないことが救いだった。室内が暖かい所為か、案外滑らかである。
「ん……やっ……ぁ……」
 ねっとりとしたそれを掬って、太い指が更に乳首を弄ぶ。いつもとは違った感触に、何故か気分が高揚するのを感じてドモンは赤面した。が、熱の所為ではなから顔が赤かった為、見た目では分からない。

「熱いな…」
「当たり前だろ。まだ39度あるんだぞ!」
「でも元気じゃないか」
「やっ……ぁ……」
 伸びた手が股間を捕らえる。
「……そうでもないか。大変だ!」
「ひっ……ぃやっ!! 兄さんっ、いい加減にっ……っんん……」
 抗議の声は唇に飲み込まれる。

 更にたっぷりと蜂蜜を掬った指が茎に絡む。半勃ちにも足りなかったそこに蜜の滑りを与え、扱く。
「ぅ……んぁ……ぁ……」
 こちらも再び蜂蜜を、口内へと流し込まれる。ぴちゃぴちゃと濡れた音を立てて舌を絡める。諦めたようにドモンからも舌を絡め、喉を鳴らして蜂蜜と兄の唾液を飲み込む。口の中はいつもの何倍も熱く麻痺して殆ど味は感じなかったが、感覚だけは伝わる。
「ん……お前の肌はいつだって甘くて美味しいけど、今日は格別だな」
 たっぷりと蜂蜜で潤った胸に舌を這わせる。蜜の溜まった鎖骨の窪みに吸い付く。

「美味しい」
「馬……鹿っ……」
「飴玉みたいだな、ここ……こんなに固くして……」
 指先で遊んでいた乳首を軽く噛まれる。固く尖ったそこを舌で転がされると、背筋にびりびりとした感覚が走る。
「あ、ぁっ、や……そこっ……いやだっ……」
「本当に厭か? ここは、そうは言ってないみたいだけどな?」

 いつもより身体全体が熱い所為か、昂ぶるのも早い。先程までは気分が乗らなかった所為で元気がなかったが、直接の刺激に加わった愛撫で既に立ち上がっている。
 手を動かす度、ちゅくちゅくと湿った音がする。いつの間にか、指に絡む液体の量が増えていた。ドモン自身から溢れる蜜が蜂蜜と混じって、てらてらと淫らに肉茎を彩っていた。

「兄さ……ぁ……ん……っ」
「ん……? やっと元気になってきたみたいだな。すごく濡れてる……飲んでやろうな」
「っぇ、あ、ふぁあ、やっぁ……ぁ……」
 つ、と胸を弄っていた舌が滑り、臍を撫で、茂みを擽ってぺろりと茎を舐め上げる。





「本当に……お前は食べたくなる程可愛いな……」
「……っあ、あぅ……『程』って……いつも……食べ……て……ぁっ……くせにっ」
「美味しいものは毎日だって食べたくなるだろう?」
「ひゃぁ……んっ……」
 じゅるじゅると品のない音を立てて雁首が食まれる。喉を鳴らして美味しそうに啜られ、音と感触とに意識が遠ざかる。

「お前の味が混じると、本当に極上だな……」
 うっとりと呟かれても、ドモンには既に言葉を返すことは出来なくなっていた。その口からひっきりなしに洩れるのは、掠れた喘ぎ声と啜り泣きだけだ。
「あまり声を上げるなよ。全然声が出なくなるぞ」
「あっ……やぁ、っん……」
 含まれたまま話されると、その振動でそのまま放ってしまいたい衝動に駆られる。しかし、びくびくと太股を引き攣らせた途端に根本を強く握り込まれ、はぐらかされる。
「兄さ……やっ……もぉ……」

「こらこら。堪え性がないなぁ……」
 快感をはぐらかしたまま更に蜂蜜を掬って、奥にある蕾に塗り込める。

 そこは既にずいぶん熱く緩んで、蜜のぬめりと共にすんなり指を受け入れる。
「まだ触ってもなかったのに、そんなに欲しかったのか?」
 浅いところでちゅぷちゅぷと抜き差しを繰り返す。
 熱のおかげで力みがないのがよいのか、そこはすっかり解れ、蜂蜜と前から滴った淫液とで濡れそぼっている。
「やっ……いやっ……ぁ……」
「嫌か?……そうは見えないけどな……嫌ならやめるか?」
「あ、」
 指の動きを止め、そろりと抜き出す。咄嗟にドモンはその手を掴んで引き止めた。

「兄さんの……いじわる……っ」
 熱の所為だけではない。更に赤く染まり潤んだ瞳から、ぽろぽろと涙が零れる。
 ぎりぎりの所で抜けきっていない指を、十分に熟れた襞が銜え込むように収縮する。
「どうして欲しいんだ?」
 にやり、と人の悪い笑みを浮かべる。しかし、ドモンにはそれを認識する余裕もなかった。
「もっ……と、奥まで……欲しっ……」
「それから?」
「ふぁっ……」
 ず、っと指が深く差し込まれる。しかし、それ以上のことはしない。
「焦らさ……ないで……っ」
 しゃくり上げる度、身体の震えが指から伝わる。
 身体は大人になっても、相も変わらぬ様子に、キョウジの股間は直撃を受けた。

 金色に彩られた身体。薄桃色に色付いた胸の飾り。少し吊り上がり気味の瞳から引っきりなしに溢れる涙。そして淫らに濡れながら屹立した十分に大人な……それでいて、まだどんな穴も知らない為か綺麗な薄紅の茎。そして、前とは違い使い込まれている筈なのに、一向に荒まず未だ初々しい様を失わない蕾は物欲しげにひくついて指を銜え込んでいる。

「イケナイ子だな……ちゃんと言わないと、分からないだろう?」
 ドモンは嫌々をするように首を振り、熱い息を整えるように荒い呼吸を繰り返すばかりで、それ以上のことは言えなかった。
「ドモン?」
 あやすように髪を梳く。そんな些細なことにも身体を震わせる様はひどく幼げだった。
 差し入れる指を一本増やす。

「どうして欲しいのか、ちゃんとそのお口で言えないのか?」
 空いた手の指で唇を辿る。
 快感と熱に朦朧としたまま、ドモンは虚ろな目をキョウジに向ける。そして、つ、と舌を伸ばす。何も考えられないまま、淫靡な紅い舌を指に絡めた。
「ん……っん……」
「くっ……」
 余りにも淫らな弟の痴態に、血液が一気に凝縮する。

 熱発で意識が朦朧としている所為か、少し幼児返りを起こしているようだ。幼い頃からのドモンを知るキョウジは、その事にひどくそそられた。
「うご……ぃて…………」
 撓やかな腕が伸ばされ、キョウジに縋る。泣きながらしゃくり上げる度、指が軽く締め付けられる。
「……自分で動いてごらん」
「んっ……やっぁ……あ……」
 ゆるりと中を掻き混ぜる。それだけで粘膜が絡み付き、酷く具合がいい。
「もう充分準備は出来てるみたいだな……」
 それはドモンだけではなく、キョウジもである。全く触れてもいないが、自慢の逸物はファスナーを押し上げて窮屈そうだ。

 ボタンを外し、ファスナーを下げ、隆々と勃起したモノを取り出す。
「ん……ぁぅ……」
「よしよし……いい子だ……」
「っあ、ん……」
 ドモンの中から指を引き抜き、体勢を変える。ドモンの口元に逸物を突き付け、髪や頬を撫でてやる。
 ドモンは、何を考えることもなく口を開いて赤い舌を覗かせた。
「甘いの、好きだろう? しっかり飲めよ……」
 残り少ない蜂蜜の瓶を傾け、ナニに絡める。ドモンはぺろぺろとその蜂蜜と淫液の混じったものを舐め、雁首を口に含む。
「美味いか?」
「ん……ぅん……美味し……」

 次々に滴る粘液を美味しそうに啜る。口の周りに絡むものも、舌を伸ばして丹念に舐め取る。
「……何処に欲しい?」
 そろそろキョウジも限界である。
「ちゃんと言ってごらん。ん?」
「の……ませて……」
 体調は悪化しているのか、既に殆ど息も同然の声音だ。咳でも絡んだ痰は切れないらしく、辛そうな呼吸が繰り返されている。その様が一層艶めかしく見え、キョウジの怒張はより嵩を増した。
「よく言えました。ご褒美をあげなくちゃな」
「ぅん……ちょうだい……」
 病気に係ると幼児返りでもするのか、表情も言葉も、ひどく子供染みている。顔立ち自体も幼い頃の面影をほぼ止めているからか、強い既視感に捉われた。

 蕾も熱かったが、口腔も同じくらい熱い。舐め、吸い上げるドモンの舌技も重なって、キョウジは直ぐに極まった。

「くっ……ドモンっ!」
「っ!! ん、んふ、ぁあ……」

 一際膨張したかと思うやいなや、夥しい量の白い粘液がほとばしる。
 口と顔面でそれを受け止め、ドモンは恍惚とした表情を浮かべた。
「ん……ぁ……おいし……」
 暫くうっとりと身を任せた後、舌を伸ばし、手で拭い、子猫がミルクを飲むようにキョウジの精液を味わう。
 その無垢ながら持ちうる艶めかしさに、キョウジの逸物は即座に復活を遂げた。
「……ドモン……こっちにもあげような……」
 病身のドモンより荒い、獣染みた息を耳に吹き掛ける。ドモンはうっとりとしたまま、触れる息に身を震わせた。
 そしてドモンの口元から離れ、張りのよい大腿を割り開く。

 再び、ドモンの花蕾を指で弄る。ひくり、とドモンの身体が震え、すでにどろどろになっているシーツを掴んだ。
「あ……んぅ……っ……」
「お前は本当に可愛いよ……」
 耳朶を甘噛みするだけで、すっかり弛んだ蕾がひくついて指に絡む。
「ね……ちょぅだい……」
 片腕を伸ばし、キョウジの身体を抱き寄せる。
 身体が密着し、ぬるりと再び勢い良く反り返ったモノが会陰に這った。
「一緒にイこうな……」
「っあ……あぁ、ん……」
 やっとドモンの自身の根元を戒めていた手を退け、ドモンに見せつけるように、手を濡らした淫液を舐める。
「……おいし……ぃ……?」
「美味しいよ。お前だぞ。美味しいに決まってる。……もっと飲みたいけど……さすがに今日はやめておこうな」
 一応、ドモンの体調を忘れたわけではなかったらしい。きれいに舐め取った手で、くしゃりとドモンの髪を撫でる。その手を額に当てて、微かに眉を顰めた。
「また熱が上がっちゃったな」
「だい……じょ……ぶ……ね、ちょうだい……」
 するりと足を絡め、腰を擦り寄せる。

「早く……っ……」

 泣きながら懇願する弟の姿にどうしようもなく欲情する。
「よしよし、今入れてやるからな」
 縋るドモンの背をあやして軽く叩きながら、キョウジは身体を進めた。
「っぁ、は……あっ、兄さ……っ」
 確かな質量が花蕾を押し開いてゆく。
「……ぁ、堅くて……ふとぃよ……ぉ……」
「いい子だ。ちゃんと飲み込んで……」
 かなり規格外なキョウジの逸物を埋め込まれ、いっぱいにまで引き延ばされた襞が色を失くしている。しかし、見た目の可憐さとは裏腹に、貪欲に奥へと引き込もうと、無意識の蠕動を始めていた。

 堪えきれず、キョウジは即座に抽送を開始した。
「あっ、ぁあ、兄さ……もっと……ぉ……っ」
「ああ……凄く熱いな…………」
 いつもより数倍熱い肉の洞に包まれて、今すぐにでも放ってしまいたい衝動に駆られる。
「は、ぁ……っ、ぁや……っん、んんぅ……」
 既にドモンの喘ぎ声は音にもなっていない。ニュアンスの違う息としか受け取りようがない程、喉を痛めている。それが酷く痛々しくて、キョウジはドモンの口を唇で塞いだ。鼻にかかる声も出ないほど、深く、強く口腔を犯す。
 抜き差しの度、キョウジの先端から滴った粘液と先の蜂蜜とが入り交じり、ひどく濡れた淫らな音を立てる。
 無意識に腰が揺れる。今までにも何度も繰り返してきたキョウジとの行為のお陰で、自分のいいところも知り尽くしている。そこへキョウジの滾る肉棒を押しつけるように尻を動かす。
 もはや、自分が何をしているのかなど、考える頭もなかった。

「……くっ……」
 ドモンの痴態に、キョウジの最後の箍が外れる。
 押さえる理性の欠片も粉砕されて、腰の動きを早める。
「ん……ぅ……!!」
 ドモンの爪が強く背を引っ掻く。それもそそられる要因としかならず、キョウジはひたすらに腰を打ち付ける。
「んっ……ぅ……ぅぁ……!!」

 限界を超え、ドモンの背がぴんと撓った。
 白濁した液体が二人の身体の間で吹き上げられる。それと同時により強く、キョウジの欲望が締め上げられた。
「……く……ぅっ……」
 続いて、キョウジもドモンの中に熱い精液を放った。












「…………言い訳は、後で聞きましょうか、キョウジさん……」
「……はい」
 氷点下の冷たさのレインの声が身に痛い。世界広しと言えども、キョウジをここまで圧することが出来るのはレインただ一人であろう。

 あの後どうしたかといえば、結局キョウジ自身何回イタしたかは覚えていなかったりする。
 気が付けば、体力を最後まで搾り取られたドモンは、更なる高熱に殆ど意識不明で目の前に横たわっていた。
 さすがに慌ててレインを呼んだところ……思い切り叱られたキョウジであった。
 熱く荒い息が唇から繰り返し吐き出されている。引き寄せられてちろりと舐めると、精液と蜂蜜と、それからドモン自身の持つ甘味とが情事の余韻を残している。
「キョ・ウ・ジさんっっ!! いいから、早く布団一式を買い直してきてください!」
 ぐいっと耳を引っ張られ、玄関から叩き出される。
 外は、レインのご機嫌をそのまま表すかのような吹雪だった。

めでたし めでたし★
(めでたくなぁーーーーいっ!! byドモンたん談)

作 蒼下 綸