今日も、カミーユはお休みの様だった。
 大好きな人がいないと、どうも生活に張り合いがない。
 ジュドーは遊びに誘ってくれる友達達にも生返事を返して、ぼーっとしながら窓の外を眺めていた。
 門の所にはアムロと、それからやっぱり居座っているシャアと、それを興味津々の様子で見詰めているクリスの姿がある。

 朝の会まではまだもう少し時間がある。
 けれど、毎日ほぼ朝一番で登園していたカミーユがいない、ということは、今日だってお休みに違いないのだ。
 もう、3日も姿を見ていなかった。

 今日もシャアはアムロに余計なことをして殴られている。
 殴って、殴られて、それでも仲が良さそうに見えるのはちょっと不思議だった。
 けれど確かに、カミーユがするみたいに無視されたり逃げていったりするよりは、ずっといいんだろうな、と思う。
 どんな風でも、相手にして貰えるだけで嬉しい。
 そう、それに…………。

 やっぱり!

 絶対シャアとアムロは門越しにキスをするのだ。

 ジュドーがカミーユ恋しさに毎朝窓の外を眺めるようになって3日、毎回、シャアがキスをして、アムロが殴って、シャアが宥めて、そして二人でキスをする。
 3日連続、ということは、ジュドーが見てない時だって毎朝やっているんだろう。

 同じクラスの少し大人びた女の子達が言っていた。
「キスは好きな子同士がする」のだと。
 ジュドーにはその時にはよく分からなかったが、シャアとアムロをみていて何となく分かった気分になる。

 キスをした後のシャアもアムロも、とても幸せそうな顔をしていた。
 シャアは勿論、アムロだって、少し頬を赤くして、恥ずかしそうだけど、凄く幸せそうに微笑んで。
 だったら。

 そんな風になるものなのなら、カミーユにしてあげたい。
 ジュドーは、どうしてもカミーユの眉間の皺をなくしたくて仕方がなかった。
 笑ったら本当に綺麗なのだから。
 それに、怖い顔をしているより、ずっと楽しいはずだから。

「あーあ……はやくこないかなー……」

 けれども、この日もジュドーの願いは虚しく、カミーユの顔を見ることは出来なかった。


作  蒼下 綸

戻る