森のリー 〜願い事〜 by赤水さん

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私は最近ボ〜っとしていることが多い気がする。自分でも時々分かるんだ。あ、今ボ〜っとしてるって。
昔はこんなこと無かったのに、、、。
「ねえ、リー?」
原因は分かってる。一緒に暮らしてるあいつのせいだ。気がつくとあいつのことばっかり考えてる。
「ちょっと、リー?聞いてる?」
女みたいに細くて白いけど、優しいし物知りだし時々だけど頼りになることもあるし、、、
「ねえってば!」
あ、でもやらしいんだよな、、、。このまえだって、、、、、、っつ!?唇になんか感触が!?
「サ、サンデイ!?い、今何を、、、」
「あ、やっと気がついてくれたよ〜。もう、さっきから呼んでるのに。」
ま、まままさか、、、い、いい今のは!?
な、なんでいきなりこんなこと?あ、だめだ。顔が熱くなってきた、、、。
「まだキスくらいでそんなに赤くなるの?そろそろ慣れてもいいんじゃない?」
「う、うるさい!と、突然だったからちょっと驚いただけだ!」
まだドキドキいってる、、、。
「だって何回呼んでも返事してくれないから。なにボ〜っとしてたの?」
「ちょ、ちょっと考え事をしてただけだよ!」
「あ、もしかして僕のこと考えてくれてた?」
「な、何を馬鹿なことを、、、!そ、そんなわけないだろ!それで、なんか用かよ!」
「あ、そうそうあのさ、、、」
こいつが今の私の同居人、サンデイ。、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、いじわるな奴だ。

森のリー 〜願い事〜 by赤水


「花?」
出てきた質問は私の予想を越えたものだった。
「なんでまた?サンデイ、花には詳しいじゃないか。下手すりゃ、私よりも。」
「う〜ん、まあ、そこそこは詳しいつもりだけど、、、。でも知らない花があってさ、すごいきれいだから、
どんな花か知りたくて。」
そういってサンデイは戸棚の上にある花を指差した。ああ、これのことか。
「それは仙惣華っていってさ、まあ、ここら辺にしか生えない花だし、別に特に使い道もないから有名でもないんだ。
サンデイが知らないのも無理ないか。」
「へえ、仙惣華っていうんだ。きれいだなあ。」
「だろ!?私もこの花気に入っててさ、飾ってあるんだ。それにこの花にはちょっとした言い伝えがあってさ、」
「言い伝え?どんな?」
ふふ、身を乗り出して聞いてきた。よっぽどこの花気にいったんだな。目がきらきら輝いてる。
、、、でも、さっきの仕返しもしなきゃな。ふふふっ。
「でも、さっきサンデイ私のことからかったから、教えてやんない。」
「え〜!?そんなあ!教えてよ〜!」
「じゃあ、そこに土下座して、『からかってごめんなさい。もう2度とリーのことからかいません』って
言ったら教えてやる。」
ふふふ、今回こそ私の勝ちだな。
「ふ〜ん。そんな事いっていいのかな。これ、村のみんなに見せちゃうよ。」
そういってサンデイは懐から『サンデイマル秘ノート』と書かれた本を取り出した。なんだこれ?
「がっ!!?!」
な、なんだこれ!?何でこんなことが書いて、、、!?だって、この本には、、、い、言えるか!こんなこと!!
「リーに村の人と仲良くなったほしいから、リーのこと色々書いてみたんだ。でもさすがにそう簡単に
人には言えないようなことも書いてあるからどうしようかなーって思ってたけど、、、」
サンデイの目がキラーンと光ったような気がした。
「サンデイが花のこと教えてくれないならこれ、村のみんなに見せちゃおうかなー」
「わ、分かったよ!言えばいいんだろ!言えば!」
「ありがとう!やっぱりリーは優しいなー」
く、くそう。また言い負けた、、、。いつか、いつかぎゃふんと言わせてやる!
「いいか、仙惣華には願いをかなえる力があるっていわれてるんだ。」
「願いを、、、?」
「そう。この花、今は咲いてるけど、もともとすごい花の咲きにくい花でさ。しかも咲くときは人知れず
こっそり咲くんだよ。だから、この花が咲く瞬間に願い事を心の中で強く念じれば、その願いはかなうんだって」
「へ〜、なんだか、流れ星みたいな花だね。」
「あ、私と同じこと言ってら。私も、ばあちゃんからこの話聞いたとき同じこといってさ、
だからこの花、私は『星降り花』って呼んでるんだ。」
「星降り花か、、、。うん、僕もそっちのほうがいいな。」
そう言って満面の笑みを浮かべるサンデイ。う、この顔は反則だ、、、。
「なんかまた顔が赤いよ?もしかして、風邪でもひいた?」
心配顔のサンデイ。まったく、鋭敏なんだか鈍感なんだか、、、。
「なんでもないってば!!」
「それならいいけど、、、。あ、そうだ。この花、今は咲いてるよね。ってことは、リー、願い事はかなったの?」
「ああ、実はさ、これ、いつの間にかに咲いてたって感じなんだよな。だから、私は咲く瞬間を見てないんだ。」
それに、あの時はそれどころじゃなかったしな、、、。うん、本当にそれどころじゃなかった、、、。









「ねえ、ばあちゃん。これ、なんていう草なの?」
「ああ、これかい?これは仙惣華といってね、とてもきれいな花が咲くのさ。」
「へ〜、この草、花が咲くのか〜。」
「それにね、この花が咲く瞬間に願い事をすれば、それはかなうんだよ。」
「ほんとに!?なんか流れ星みたいだ、、。」
「お、うまい事言うね。ならさしずめ名前は星降り花ってとこかい?」
「あ、そっちの名前のほうがずっといい!でさ、でさ、これ、家に持ってかえって育てようよ!」
「ああ。そうしようか。じゃあ、二人で花が咲くとこを見ようねえ。」
「うん!約束だよ!」



私はばあちゃんが大好きだった。いつも優しいばあちゃん。すごい物知りなばあちゃん。毎日が幸せだった。
でも、、、あの日は突然来た。そう、まるで椿の花がポトリと落ちるように突然、何の前触れも無く、、、。


「ばあちゃん!?大丈夫!?ばあちゃん!?」
「その声は、、、リー、かい?」
ばあちゃんの声はいつもからは考えられないくらい弱々しかった。
「びっくりしたよ!いきなり倒れて!どうしたの!?どっか苦しいの!?」
「リー、ごめんよ、、、。」
「っ!?どうして謝んのさ!?やめてよ!」
「いつかは来るかと思ってたけど、、、こんなに早いとはね。」
「なに言ってるの!?昨日まで、昨日まで元気だったじゃ、、、!」
「リー、お別れだよ。」
一瞬、なにを言われたか分からなかった。リーオワカレダヨ リーおわかれだよ リー、お別れだよ、、、?
「お、お別れって、、、?や、やめてよ!!ばあちゃん!なんで、なんでそんな、、!」
「リー、お前は強い子だよ。」
「お別れなんて言わないでよ!やだよ!そんなの!星降り花が咲くのを一緒に見るって約束したじゃないか!」
「リー、お前は強い子なんだ。」
「強くなんかないよ!だから、、!」
「だから、一人でもちゃんと生きていくんだよ。」
「やだよ!強くなんか無い!強くなんかなりたくない!だから、一人にしないでよぉ!」
「一人でも、、、立派、に、、生きて、、いかなく、ちゃ、、いけない、んだ。」
「あ、、!?うぁぁ、、?ああぅぁ、、、!?」
一人は嫌、一人は嫌、一人は嫌、一人は嫌、一人はいや一人はいや一人はいや一人はいや
ひとりはいやひとりはいやひとりはいやひとりはいやヒトリハイヤヒトリハイヤヒトリハイヤヒトリハイヤ、、!
「いいか、、い?リー、、お、前は、、、強い、、子、、、、、、、、、、。」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」











「リー?リー?」
「ん?」
サンデイが心配そうにこっちを見てる。そっか、またあのこと思い出しちゃったんだ、、、。
もう、、、大丈夫だと思ってたのに、、。
「リー、大丈夫?またボ〜っとして、、。」
「ああ、大丈夫、、だよ。へへっ、また考え事しちゃって、、。」
「今度は、僕のこと考えてくれてたわけじゃないみたいだね、、、。」
、、、うすうす気づいてるのかな?サンデイも。
「はは、大丈夫だって。なにいってんだよサンデイ。」
「本当に、大丈夫?」
「だから何回もいってるだろ。心配性だなあ、サンデイは。」
「そっか、、、。ならいいんだけど、、。」
「、、、」
「、、、」
「、、、あのさ、サンデイは、さ、、」
「え?」
「サンデイは、私のこと、一人にしないよ、、な?」
「!?」
「ご、ごめん!変なこと言っちゃって、、。へへっ、なに言ってんだろ、わた、、っ!?」
「僕はリーを一人になんかしないよ。」
あ、、、サンデイの腕の中、あったかい、、、。
「絶対に君を一人になんかするもんか!」
「、、、、うん。ありがと。」
ばあちゃん、今、私は一人で生きていくのは無理だよ、、。でも、いいよね。サンデイなら一緒にいても、いいよね?



この少女は知らない、、、。
「さ、じゃあリー、ご飯の準備しようか?」



この少女は知らない。星降り花は、この少女が泣き叫んだ日に咲いたことを、、、。
「ああ、そうしよっか。」



この少女は知らない。星降り花が、この少女が一人は嫌と思い続けていた時に咲いたことを、、、。
「今日のメニューはどうする?」



「何でもいいよ!サンデイと一緒なら!」



、、、願いは、かなったのかもしれない。



次第に台所へと遠ざかる二人の足音。
その二人、一人だった少女とその少女を一人じゃなくした青年のことを、星降り花は静かに見守っていた、、、、。


FIN
 
サイト管理者(消火栓コメント)
すばらしい!ほんわりして泣ける話、感動です。
サンデイの意地悪度UP、リーのいじめたくなり度UP!
儚く愛らしい物語、ありがとうございます。
仙惣華(せんそうか)は赤水さんの創作だそうです。

リーのおばあちゃんの描写も凄いです。
本編ではおばあちゃんを書いていませんが、
そこは今の所書く予定は当面は無いのです...。
僕のイメージは頑固で偏屈でリーだけは愛し、
色々物を教えたという感じだったのですが、
赤水さんの書かれるおばあちゃんは、
ご本人の登場人物への愛情が感じられて好きです...。

僕はハッピーエンドが大好きなんで最高です!