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-プロローグ
彼女は普段、甲冑を着込んで完全に身体を隠していた。
男か女か分からないくらい。
今、肌を露出させているのは、単に日光浴。
いくら焼いても肌は、小麦色にはならなかった。
「なんだってんだ...真っ黒が目立たなくていいのに...」
彼女には縄張りがあった。
森の奥深くに一人で住んで、
その当たり山一つ分くらいは彼女の物だった。
その一帯にしかない、特殊な薬草が群生していて、
麻薬の一種を抽出できる。
麻薬と、甲冑の噂を聞いて、武装した屈強な男達が森に入ってくる。
「私と取引したいなら勝ってからにするんだね!」
力は、その華奢な手足からは想像できないぐらい強い。
屈強な男でも、まったくかなわない。
泣きを入れるまで締め上げ、関節を外して、
侵入者が二度と来ないように、
こっぴどく痛めつけて追い返した。
「ふん!じゃまばっかりしやがって!」
「弱いくせに、泣き入れるんなら、言われてすぐ帰ればいいものを」
「関節外してやりゃ、もう来ないだろ...」
「たぶん、まぁ、あれで死にはしないだろ...」
殺すまでは決してしない、切ったり刺したりもしない。
行動は乱暴だが、根のやさしい所がある。
「あーやな事思い出した、水浴びしよう...」
彼女の名前はリー。
誰にも頼らず、誰にも屈せず、一人でこの森を護ってきた。
普段は、ひっそりと暮らしていて、
誰も彼女の素顔を知る者はいない。
近いうち現れる、自分よりはるかに力が劣る男に、
無抵抗で、なすがままにされる事を、
リーはまだ知らない...。
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