奇女列伝 鹿女シーカ その4

ひっぱるなーーー!

 ねころんでうんこして
     何が悪いんだよ!

 お前がこれだけ奈良の公園を
     自由に出来ている理由を考えたことはあるか!?

 え……?

 はるか昔、神は美しい白鹿に
     またがっていたと伝えられている。

 その同属、もしくは
     子孫にあたるのがお前達だ!!

 おまえたちはただの動物ではない。
     特別な鹿だ。神が乗ってきたのだぞ!?

 俺達に神が乗って!?

 そうだ神だぞ!? 意味が分かるか?

 鹿は人に飼われるものではない!
     神の乗り物だ!つまりは神の使いだ!

 人間は神の使いとして鹿を決して
     野生動物として扱わないように保護したのだ。
     それがここ、奈良だ。

 過去鹿を殺したものは厳しく罰せられ、
     処刑された者もいるという……

 しょ、処刑ってまさか!

 人間ははるか昔の伝記のような出来事を信じ、
     今も鹿を保護し続けているのだ。

 鹿と人間の関係は浅いものではない。
     悠久の時を超え、今もこれからも……


 それをおまえは鹿せんべい食って
     排泄して寝てるだけだと!?

 で、でもそれは生きてるんだから……

 生としての営みは当然だ!
     それはいい、そんなことは咎めていない!

 それが鹿だという
     言いぐさはなんだと言っているんだ!

 草食って、人間にせんべいもらって
     糞して、寝る。それが鹿の全てか?

 それでもお前は神の使いの子孫と
     堂々と言えるのか!?

 あう……

 神は居直って媚を売ったり
     せんべい欲しさに人の尻を噛んだり
     そんな動物にまたがっていたのか!?

 そ、それはでも
     知らなかったし……

 ……お前は神の使いの子孫だ。
     気高くあるべきだとは思わないか?

 俺が神の使い……

 いいか、今日から私がお前を
     テストしてやる

 テスト?

 お前が神の使いとして、尊厳について
     どう考えているかを見させてもらう

 尊厳?? な、なんだよ……

 心配するな、お前は一切ダメージを
    受けない。ダメージを受けるのは私だ

 え? お嬢ちゃんが?

 今なんて言った!?

お嬢ちゃん……だけど

 ドガッーー!!

 ぐえーーーーっ!!

 死にたいかー

 ううっ……十分死ねる……

 私の名前はシーカだ。
     シーカと呼べ。呼び捨てでいい

 わ、わかったよ
     シーカ……

 ふふふ……

続く……

 

 

 

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