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M氏 :うむ。近隣の村の人間を買収することで道が開けた。彼らの証言から少年が存在する事実が確信となり、居場所にも見当がついた。それで我々は強硬手段に出ることにした。武装して村を急襲したんだ。彼らはピストル一つ持っていないから、軽火器装備で十分に制圧できた。そしてついに、二人の少年を「救出」したんだ。彼らは族長とおぼしき男の家に捕らえられていた。一目彼らの姿を見ると、彼らがたどらされた六年間の阿鼻叫喚が目に見えるようだった。
兄は、牛小屋に鎖で繋がれ、労働力として奴隷にされていた。弟は、犬小屋のような小さな掘っ建て小屋に、まさに犬のように首輪で繋がれていた。彼らの目からして、弟の方が器量がよかったのかどうなのか、彼は性奴として、この六年を過ごしてきたんだ。当時四歳、連れ去られたその日に、黒い小さな男どもに囲まれ、服を引き裂かれ、流血するまで口と肛門を使われた。得られた血は、土と混ぜて呪術的儀式に使われたらしい。その日から彼は、薄暗い小屋の中から一歩も出されることなく、代わる代わる訪れる男どもの快楽の道具になった。肛門は歳不相応に広がり、正常な排泄ができなくなっていた。救出されてから外科手術でいくばくか回復したらしいがね。性器の方は、十歳だから、精通があったのかどうか、すでに亀頭の皮は切り取られ、金属の環、まあ、ピアスが、いくつも通されていた。そういえば、乳首にも、唇にも。口の方は、歯が一本もなかった。結局分からずじまいだが、口の奉仕には歯はいらんだろう? だから抜いてしまったんじゃないかと。
マスター:それは・・・
M氏 :さすがの君も、眉をひそめる残酷さかね? だが、兄の方もひどかった。体中、傷のないところはない。捕らえられた当時7歳で、さほどの労働力になったとは思えない。水運びや、牛の世話などの重労働を科せられてきたらしいが、むしろ、苦しめることの方に主な目的があったのではないか。そのことがうかがわれるのが、彼の左手だった。彼の左手は、赤黒く、まるでそう・・・カエデのようで、指の一本一本が広がって、くっついていた。いくつの時かわからないが、彼が逃亡しようとした罰として、手を潰されたんだ。床に手を固定され、石臼のような大きな石を打ち下ろされ、彼の手は潰された。その時の恐怖と苦痛を想像すると、言葉を失ってしまう。
いたいけな少年に、なぜこれほどの残虐行為を行うことができたのか。それを解くキーワードが白人への呪いだ。実際白人が行ってきた彼らへの行為の罪は重い。呪いも憎しみも当然だ。そして、閉鎖された村は、排外的な空気で支配される。自分たちの生活を守り、向上させていくためには、彼らの神を喜ばせるためには何でもできる。そこに、人間の原罪が加わる。残虐行為へのエクスタシー、これは多くの人間が、ひょっとしたら全ての人間が背負っている業だ。二人の幼い兄弟は、まことに不幸にもその犠牲になり、苦痛を味わうためだけに生まれてきたかのような運命をたどることになった。
救出された二人のその後、両親達のその後には、興味はあるかね? もう、いいだろう?
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