#03
暗い道
あれは何年前だったか、前後の駅には急行が止まるのに、普通列車しか止まらない、うら寂れた私鉄の駅近くでの出来事だ。今は、すっかり小ぎれいになったが、当事、駅の両側を結ぶ地下道は暗く湿って、街灯も切れたままだった。
なぜかそんな駅の近くに、スイミングスクールがあった。低学年は早い時間に練習が終わって、親が迎えに来るのが普通で、駅まで歩き、電車に乗って帰るのは小学校高学年が中心。中学生は部活動で水泳をやる子の方が多い。
男は時々、そのスイミングスクールの練習時間の終わりに合わせ、近辺を歩いていた。するとその内、どの子が何曜日に、どこを通るかだいたいわかってくる。無論好みの子のことしか、男の記憶には残らなかったが。
そして男は、自分の存在はけどられないようにしつつ、少年を尾行する。その日も……
太陽が足早に沈む、晩秋。以前から狙っていた子が、いつもより少し遅く、男の前を横切った。今は暗がりでよくわからないが、短めの濡れた髪がなまめかしく、幼い丸顔と、二重のまぶた、愛嬌のある瞳、肌寒い今日も半袖半ズボンで、そこから伸びるしなやかで細い手足……。まだ今の時間帯が明るい頃にも、何度か男は彼を尾行していた。
切れかけの街灯と、ひび割れたアスファルトの道を、右に左に、何かを空想しながら、少年は歩いていた。
彼は突然、いつもと違う道にそれた。男は曲がり角まで走り、彼の行くてを盗み見る。彼は金網を越えて、横手の小さな空き地入った。いずれ駐車場にでもなるであろう「私有地」だ。彼は、その小さな区画の奥のブロック塀に向かい、立ち小便を始めた。
男は金網を乗り越え、少年が気付いてこちらを向いた時にはもう、彼に指先が触れるほどの距離にいた。
「あっ、ご、ごめんなさい」
少年は謝った。たぶん、私有地に入り込んで小便をしているのを、見咎められたと思ったのだ。男は無言で、彼の口を片手で塞ぎ、壁に叩きつけるように、体を押さえつけた。激しい動揺と恐怖が、彼の幼い顔に浮かび、塞がれた口から叫び声を上げようとし、男の手にしがみつき抵抗する。男は、空いた手で少年の鳩尾を手加減無く二、三度拳で殴り、苦しんでしゃがみ込むのも許さず、両頬に往復ビンタを何度も食らわせ、口を塞いだまま、首を締め上げた。
「もっと痛い目に遭いたいか?」
涙目の少年は恐怖に満たされ、必死に首を振る。
「向こう向け」
もはや彼には抵抗する気力はない。なすがままに任せなければ、苦痛と恐怖が深まるだけだと、彼の本能は叫んでいた。
「声出したら、首の骨折って黙らせてやるからな。……わかったらうなずけ!」
彼は後ろを向いたまま、小鳥のように首を何度も振る。男は背後から、頬を撫でる。震えている。そして、頬は濡れている。泣いているのだ。
少年の半ズボンを、パンツと一緒に一気に膝まで引き下ろす。白くすべすべとした子どもの尻が、露わになる。
男は右手の親指を、無理矢理その尻の穴にねじ込み、少年の苦痛のうめき声をを楽しみ、左手で、少年の小さなペニスを弄んだ。手で剥ける状態の、包茎の小さなペニス。プール上がりだからか、皮膚は柔らかく、ふやけていた。この分だと、バックもスムーズかも知れない。男は以前部屋に連れ込んだ小五の少年の尻に、何とかモノを押し込もうと苦戦しているうちに、萎えてしまって失敗したことを思い出した。
男は少年の姿勢を低くさせ、両手は壁につけ、、ケツを突き出させた。親指を乱暴にねじって抜くと、すでに爪の間に、多少の汚物と、暗くて見づらいが、粘っこい血らしきものがついていた。この分だと痛かろう……
男は自身のズボンとパンツを下ろし、怒張したペニスを、少年の肛門にあてがう。ビクンと尻を揺らす、彼の恐怖のサインを感じ取ってから、一気に侵入する。少年は今度は、はっきりとわかる悲鳴を上げた。「いッ……た、ぁ、ぁ」。俺は、拳を固めて少年の横腹を殴り、苦しむ彼に構わず、激しく腰を振った。徐々に徐々に、少年のアナルは、男のペニスを深々と飲み込む。柔らかい。これはいい! またどこかのガキと家でできるなら、ゆっくり風呂に入れてからやるのがいいか、と男は思った。
クライマックスは意外と早く、三分とかかっていまい。だが、少年には何時間にも感じられただろう。大量の精を少年の体内に残す。この後の帰り道、少年が、尻からしみ出す粘液でパンツを濡らすのを想像し、男はズボンを上げながら再び興奮を覚えた。二ラウンド目がやりたくなるほどに。
少年はその場に崩れ落ち、尻をさらけ出したまま泣いていた。その尻を軽く蹴りながら男は言う。
「何もかも忘れれば、明日からいつも通りの日が来る。俺の顔も、出来事も全部忘れてしまえ。それが一番だ。そのまま決してこちらを向かず、ゆっくり百を数えて、ズボンを穿いてうちに帰れ。二度と会うまい。君が俺にまた犯られたいなら、話は別だがな、ふふ」
え、何? 結局お前は「男」なのか「少年」なのかどっちなんだって? それって、結局同じようなことじゃないのかい? やっぱり、違うのか?
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