「No,No Fuck! Never you can't do! He is new boy,and too young.」
何としてもそれは制したい。でなければ自分がついてきた意味がない。あんな小さなからだで、何の経験もない彼のアナルに、男が興奮して無理なことをすれば、どうなるかわからない。
払いのいい客の要求に思い切って乗って、自身ストレートで経験のなかったアナルセックスを受け入れた同い年くらいの少年が、おかしな歩き方で帰ってきてひそかにねぐらで泣いていたのを知っている。あれで12歳くらいだったし、チビ玉より身長で20cmは高かった。
絶対無理だ。ジョージは必死だった。
やがて男は、んー、と呻ったり少し目を閉じて考え出した。
そして、彼がジョージに提案したのは、「君の指でチビ玉のアナルをファックするところを見せてくれればいい」というものだった。
(……妥協するしかないよな)
そのくらいなら耐えられるとは思う。肉体的にはの話だが……。そして問題は、ジョージ自身の手でそれをしなければならないということだ。チビ玉がかなり嫌がるのは目に見えている。それを押し切るのは客の大男ではなく味方であるはずの自分でなくてはならない。
「チビ玉、ちょっと気持ち悪いかもしれんけど、力抜いて大人しいにしてるんやで」
うつぶせ寝のチビ玉の横にからだを並べ、背中を抱いて囁いた。
「何すんの?」
「お前古い本で知ってんにゃろ。男同士でエッチなことする時は、おしりに、その……」
――いろいろなものや、性器を入れたりする。チビ玉はうなずいた。
「おっさんにやらしたら痛いことしよるかも知れんから、いろいろ言うてたら、俺が指入れるの見せたらええて言うとるんや。辛抱してくれや」
チビ玉はほとんど迷わずうなずいた。怯えや不安すら先ほどよりかなり軽くなっているように見受けられ、視線はしっかりしている。
ジョージは、チビ玉の頭を軽く撫で、ごく自然な気持ちで頭を抱えそこにそっと口づけする。からだをずらし、男からローションの小瓶を受け取ると、チビ玉の腰の位置にあぐらをかき、からだに覆い被さって、尻の谷間を手で撫で、そっと足を開かせ、ローションを尾てい骨のあたりに流した。
「っ……冷、た……」
その怯えと不快感を含んだ反応がジョージの胸を突き刺す。少し震える指で、ローションを谷間に伸ばし、穴を通り過ぎさせ、指の腹を返して、また上に伸ばす。
チビ玉は枕に顔を埋めていた。左肩にすごく力が入って、細かく揺れている。ジョージはそれをちらっと見て、生まれたためらいを頭を振って追い払う。
指二本にローションを垂らし、親指でなじませると、中指の腹を上にして、皺になった小さな穴に押し込む。爪の先ほどが入ったところで、チビ玉の尻が大きく動いた。
「い……」
枕で押さえられた口から漏れ聞こえた言葉は、「いや」だったのか「痛い」だったのか、ジョージにはわからない。
「力抜いてな、すぐすむからな……」
チビ玉の腹部に手を入れ、腰を上げさせ、膝を立てさせる。マットについた膝と膝は、少し開いて、シーツに皺をつくっている。この方が入りやすいはずだった。
行為に夢中になっていたジョージはいつか、男の存在を忘れていた。
男は彼らの視界外で、少し撮影をした後、またベッドに上がり、枕を一つ(ベッドはダブルで枕は二つある。一つはチビ玉が必死に抱えている)つかむと、ジョージの方に押しやって、チビ玉の腹の下に入れるようジェスチャーで指示する。その方が、チビ玉は力まずに、「入れやすい」姿勢になれる。ジョージはうなずいてその通りにした。
そして再度、中指を入れてみたが、今度はすんなり、第一関節まで入った。呼吸する植物の気孔か何かのように、チビ玉のアナルは収縮していた。性的なものかは、彼自身にわかるはずもなかったが、ジョージは得体の知れない興奮にとらわれる。
男は、すぐに指をさらに押し込むのではなく、回して、肛門やアナルの内壁をなじませるように、実際に自分の指を淫らに回転させたり曲げたりして、ジョージに指示し続け、ジョージは、言われたとおり指を動かした。額から頬に汗が流れる。チビ玉の背中は荒い呼吸にゆっくりと波打っていた。
ジョージが自分の手業を、だいたい理解したのを見届けると、男は狭い、チビ玉とベッドの背の間に膝を押し込み、チビ玉の顔を、やや強引に自分の方に向かせた。もう一方の足も邪魔だったが、少し考え、チビ玉の小さな背中をまたがせて、股間を彼に近づけていった。
この間の動きに、ジョージは気づいていなかった。
「……ジョージ……帰りたい……」
べそをかくようなチビ玉の声で、やっとそれに気づいたのである。男はチビ玉に自分のものを舐めさせようとしている。
ジョージの頭はいつもなら忙しく回転するはずが、だめだった。
「……舐めるねん。それせな、帰られへんわ……」
「……ジョージ……」
(ごめん……)
それは今は、チビ玉にきかせるわけにいかないセリフだった。やるしかないと思わせないと、だめだからだ。本当は何とかして、「逃げ」の手を考えてやりたかったけど、今はダメみたいだ。ごめん、チビ玉。
押しつけられたものに、チビ玉は抵抗せず舌を出した。彼は勘がよかった。拒否反応で頑強に口を閉じてしまうのも、自然な反応だろうが、そうしない方が結局いいと、チビ玉は思考でなく勘で判断する。怯えきっているのでもない。
ちろちろと舌を使い、しょっぱ苦い液体を吸い取り、男がモノを押し込めば口を開く。ジョージのモノとは勝手が違うが、あごが外れそうなほど口を開き、口いっぱいのモノに舌を絡ませた。
ジョージはそれを見るのをやめ、アナルに差し入れた中指をスライドさせはじめた。ゆっくりだ。男の手が伸び、そのジョージの肩を触り、チビ玉の仕事を見たくないがために男からもそらされていた彼の顔を自分の方に向かせ、毛深い手の中指を、指の腹を下に向けきゅっと曲げてみせる。曲げた先が小さな円を描く。ジョージはその指示に従う。指を回転させ指の腹を下に。指を曲げ腸壁をくすぐる。ただ指の曲げ方は男がして見せたより控え目に、だが。
男が、動きの小さいピストン運動のあとチビ玉の口から一度ペニスを抜くと、たくさんの唾液がぼとぼとチビ玉の口からこぼれシーツを汚した。チビ玉の顔は涙と唾液まみれになっている。ただし、今は男の膝が邪魔で、ジョージからはのぞき見ようとしない限りそれは見えない。
「くぅ、ん……あ、ァ!」
排泄の欲求とは異なる、しかしよく似た、いても立ってもいられない感覚に、チビ玉は高い子犬の鳴き声のような声を漏らした。男の亀頭が、またその口を塞いだ。
「ぶ、え……」
男はチビ玉の口に指をも押し込み、唾液を自分の肉棒に塗り伸ばし、自ら激しくしごく。チビ玉には亀頭に舌を使うように言外に命じていた。
ちろちろと動く舌と、自らの手の刺激で、男は絶頂を迎え、青臭い液体をたっぷりとチビ玉の口内に注ぐ。
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