世紀末マンガ考〜カムイ伝 その1

 私は以前はかなりのマンガ読みでした(仕事を始めてからはめっきり機会が減りましたが・・・)。ここでは、マンガの世界の少年愛、SM的ネタを探ってみたいと思います。
 とは言っても、いわゆる同人誌的なショタマンガとか、そういうののパロディネタにされやすいものは、ここでは対象にしないことにします。

 第一回は、白土三平「カムイ伝」です。
 私は白土三平の描く少年がけっこう好きです。サスケとか、少年カムイ自体も、けっこう可愛いと思います。まあ、基本的に二次元キャラにそう入れ込む方ではないのですが・・・。カムイ伝にも、ちょっと幼めですが、可愛い少年が描かれていると思います。
 また、少年が対象ではないですが、残酷描写には事欠きません。もともと貸本マンガの忍者ものから頭角を現した白土三平です。元来貸本マンガは、まあ、青少年の健全育成にご熱心な方からはあまり評判のよいものではなく、扇情的、下品、過激な表現が特色の一つでした。白土マンガにも、腕がすっ飛んだり、血しぶきが吹き飛んだり、リアルな死体の描写があったり、「教育熱心」な方が眉をひそめる要素は十分にあります。今や白土三平は大家ですから、文句を言う人も少ないとは思いますが。
 私が持っているのは豪華愛蔵版四分冊です。
 最初の方に、まず処刑のシーンがあります。磔にして左右から槍を幾度も刺して一揆の首謀者を処刑するシーンです。「磔刑は、罪人の脇腹から肩先に一尺余りを突きだし、一つひねって抜く。その後、左右よりかわるがわる二、三十回くらいまで突く。当然皮は破れ骨は露出し、おびただしい血と臓腑から出る食物が飛び散り・・・」と描写されています(一巻96p)。 同じく磔刑のシーン。逃散百姓の親子三人が処刑されます。母親より先に子供を殺してしまう残酷さです(一巻518p)。そのあと死体を馬で引き回すシーンも登場します。
 一巻576p。コゲラという少年が、村の悪ガキたちにし向けられてウジやミミズを食べさせられたり、小便を飲まされたり(食べ物と引き替えです)下うえ、お供えの鏡餅に手を出し、大人にばれてお仕置きとして木に縛り付けられ、放置されます。裸で体を温めてもらいますが、手遅れで凍死してしまいます。怒りに燃えたカムイは、お仕置きをした百姓に復讐します。捕らえられたカムイが豚吊りで連行されるシーンもあります。
 非人タブテは密猟で捕まり、拷問されます(一巻p681)。鞭打ち、吊り、水責め、耳鼻を削ぎ、目をえぐられた上の逆さ吊りの晒し・・・と続きます。それでもなお、この少年は生き残り、後に重要なキャラクターとなるのですが・・・。
 少年正助の鞭打ちシーン(一巻p907)。割竹で打ち据えるのでとても痛そうです。この後、正助は百姓のリーダーとして、めきめきと頭角を現していきます。
 玉手の苔丸の拷問シーン(一巻p1107)。石抱きが出てきます。彼は顔を隠すために顔を切り刻んでおり、後にスダレと呼ばれることになります。
 二巻に入るとカムイも正助もおがってしまいますが・・・。非人の子供ツムジとコダマのシーンが私としてはおいしいです(二巻p389〜)。二人でケンカをしていたのがいつの間にか川の中で二人とも全裸になっています。ドジョウを丸飲みしたり二人の子供らしい会話が続いたりしてほほえましいシーンです。ついでに最後に二人で野グソをしたりします。


 二巻p579。正助の父ダンズリの石抱き。焼き鏝を当てるシーンもあります。このあと、正助は非人ナナと愛し合っていることをどうどうと(傷だらけの全裸で)宣言します。非人ナナが謀略で強姦された直後です。で、非人と百姓との交際というタブーを破った咎で、また、制裁を受けることになります。

 とりあえず、ここまで。次回に続く。