マインドアサシンはジャンプ系で活躍している「かず はじめ」の処女作です。主人公の「かずい」は人の頭部に手を触れるだけで精神と記憶を破壊できる超能力を持っており、力の使い方いかんで人を殺すことからちょっとした記憶を消すことまでできる。という設定です。
かずいは日独クォーターの長身の美青年で、医師をやっており、虎弥太という十八歳のこれまた美少年と二人暮らしです。これだけでもかなり妖しげな設定ですが、この虎弥太という少年は、十歳のころにかずいによって記憶を破壊されており、そこから赤ん坊としてスタートしたため、ちょうど七、八歳のような発達段階にあり、十八歳の外見でありながら子供のような言動をとります。一見、知恵遅れのように見えるわけです。何やら、妖しげな設定ではありませんか。
物語自体も、ヒューマンなオチにはなるものの、異常な登場人物やモチーフが続出します。
#2「病める者」では少女がアザだらけになるまで虐待する幼稚園の保父が登場します。少年ならもっと萌だったのに(笑)。
#3「乱暴者」では女教師を強姦する中学生。
#4からは精神的サディストの若い医師が登場します。「彼女の場合、ああやって不安にさせ、最後に自殺に追い込むのが彼女の幸せなんですよ」なんて言ってます。
#18からの連載完結編では、少年時代に家族を目の前で惨殺され、殺し屋になってしまう男。有能な殺しや欲しさにターゲットの少年の家族を惨殺する極め付きの悪党、レンツが登場します。
#28「夏のひと」では虎弥太もまた、母親による激しい虐待の被害者であり、母親が父親を殺すところを目の前で見せつけられるという強烈な過去を持っていることが明かされます(その記憶をかずいが消したわけです)。
そして#30「少年の幸せ」。幼少時から家庭教師に性的慰み物にされてきた中学生の少年が登場します。この家庭教師もなかなかのサディストで、少年の母親とも関係を持ってたりします。かわいそうな少年です(;_;)。
#33「闇の追跡者」かずいのストーカー青年が登場します。虎弥太を誘拐して注射器で何度も血を抜いたりします。コワい。
この作品に登場するモチーフの多くは非常に猟奇的で耽美的で、私の心の琴線に触れるものです。かずいと虎弥太の設定などにいくらかでも作者自身が投影されているとすれば、作者もひょっとしたら少年愛者もしくは同性愛者かも知れませんね。もっとも、こうしたフィクションをつくる人に限って現実世界では至って俗人であることも多いようですが。
いずれにしても、この作品には少年漫画とは思えないきわどいものが多く含まれています。描写は至って上品ですから、小学生が読んでもさほどの衝撃はありますまいが、微妙なお年頃の中学生が読めば、何らかの内なる本能が目覚めるかもしれません。
まあ、そういった、少年愛とか、猟奇、サディズムといった視点でなくても、十分に楽しめる傑作です。単行本で五巻しかないので、簡単にそろえられます。未読の方は、ぜひご一読下さい。
|