森は目覚めつつあった。  新たな一日の始まりを告げる朝の光が、葉を透かして土に細かな編み目を作る。そこをリスが一匹駆け抜けていった。茂みの向こうからのっそりと顔を出したのは、大柄なカモシカ。サルの群れが木の枝から枝へ、軽やかに乗り移っていく。また別の枝では、親鳥がぴいぴい喚く雛たちに餌をやっている。ゆったりと飛んでいくのは、  この島に学園が作り上げられた折にも、なるたけ手つかずのまま残された森にはいまだ野生動物が多い。その動物を掠って怪しげな研究に勤しんでいるマッドサイエンストがいる、との噂も生徒たちの間でまことしやかに流れているが、それはまた別の話。  ともかく朝の森で、時間はゆったりと流れていた。同じ島の違うところで、朝食もそこそこに男子生徒が寮を飛び出したり、女子生徒がまとまらない髪に見切りをつけて制服を着込んだりしているのが嘘のように。  だが、その穏やかな静寂を打ち破るものがあった。  鶏だ。  鶏が、けたたましくぎゃあぎゃあ  もちろん夜明けを告げる一声ではない。そんな時間はとうに過ぎた。それに様子がおかしい。ひどく苛立っている。  森のやや東に位置する鶏小屋からは、なおもつんざくようなけたたましい鳴き声が聞こえてくる。  鶏小屋には、人間がいた。金髪をおかっぱに切り揃えた長身の男だ。  鶏は突如現われた、しかし見慣れた闖入者を追いかけ回す。鶏に尻を突かれながら、もうもうと土埃と羽毛が舞う中を一目散に 網フェンス 砂場の砂を会分けてると場違いな蓋のようなもの 鶏を  アカデミア最終兵器のもとへ。