BABY!

〜ヴレとクワガタ虫??〜 書斎で本を読んでいたら幼子がバタンとドアを開けて部屋に入ってきた。 本から視線を上げ微笑みながら、 「こら、クォヴレー!ドアは静かに開かなければダメだろう?」 「・・・ごめんなさい〜」 シュンとうな垂れる幼子に更に優しく微笑みを向けると、 「それで?何か用があったんだろう?・・どうした?」 クォヴレーはニッコリと微笑むとある箱をイングラムの元へと持っていく。 「えへへ・・ヴレねぇ・・・クワガタさんつかまえたの!」 「ほぉ・・・?すごいなクォヴレー」 「でね!でね!!イングにいちばんにみせたくてはしってきっちゃったの!ごめんなさい」 「そうか・・・」 『一番にみせたい』という言葉を満足げにかみ締めながらクォヴレーの頭をいい子いい子する。 「きゃー!!」 「・・・では、みせてくれるか?」 「あい!・・・つの、ないからおんなのこよ、このクワガタさん!」 「メスか・・・どれ?・・・・!!???」 イングラムは一瞬フリーズしてしまった。 虫かごに入っているソレ・・・ ソレはどこからどう見ても・・・・ 「(ゴキブリ・・だ・・・)」 「???イング〜??どうしたの???」 「・・・え?・・・あ・・・いや・・・」 イングラムは困ってしまった。 真実を伝えるべきなのだろうか?? 「あのねぇ・・ヴレ、このこにおなまえもつけたの!」 「!!名前・・を?」 「あい!・・・んとね・・・『べるぐばう』つけたの!」 「・・ベルグバウ・・(ゴキブリの癖に大層な名前を・・)」 「ねぇ!イング?」 「・・・ん?」 「このこ、かっていいでしょ??」 「飼う???」 「・・めっ・・・なの??」 クォヴレーは悲しげにイングラムを見上げる。 手足は泥で汚れているのできっと苦労して 捕まえたのだろう・・・ゴキブリを・・・。 「アラドくんもゼオラちゃんも、いきものかってるの!  ヴレもかいたいの!おねがい、イング!!」 「その2人は何を飼っているんだ?」 「・・・んとねぇ・・・とりさん!」 「鳥?」 「しゃべるのよ!アラドくんのが『びるがぁ』でゼオラちゃんのは『ふぁるけん』いうの」 「クォヴレー・・・」 「なぁに?」 イングラムは虫かごをクォヴレーの手からとり、机の上におくとクォヴレーを膝の上に乗せた。 「クォヴレーにも鳥を買ってあげるからこのゴキ・・ではなく『クワガタ』は放してあげなさい」 「どうして??」 「虫の命は短いからだ・・虫かごの中に閉じ込めては可哀相だろう?」 「・・・そっか・・あい!わかったの!」 「よし、いい子だ・・何の鳥がいい?」 「しゃべるの!」 「了解だ・・・その虫・・キャリコの家の近くに放してきなさい」 「なんでキャリのいえのちかくなの??」 「・・・嫌がらせ・・・ではなく森が近いからだ」 「わかったの〜!いんぐ、だいすき!」 イングラムの頬にキスをすると、虫かごを手に取り 「ひつじさんにつれていってもらうの!『べるぐばう』はなしてくる!」 「あぁ・・いってらっしゃい・・・ああ、そうだ。明日買ってくるから鳥の名前も決めておけよ」 「わかったの!もうきめたの」 「(もう??)なににするんだ?」 「『えめと』か『あきしおん』!!」 クォヴレーはニッコリと微笑むと執事の下へと走っていきました。 後日談・・・ マクレディ家ではその夏何故かゴキブリが異常発生したそうな・・・
有り難うございました。 プリスケン家編です。 マクレディ家編もちゃんと続けますので・・・ ベルグバウファンの方々・・ここで土下座いたします。