BABY!

〜BABY版!押しかけ女房2〜 「ひぃぃぃぃぃぃぃ!!」 キャリコが仕事を終え、屋敷に戻ってくると 愛しい幼子の悲痛な叫び声が聞こえてきた。 愛しの『アイン』に会える、と上機嫌で帰ってきた彼だが、 その悲鳴に真っ青な顔へとみるみる変わっていき、 悲鳴が聞こえてきたその部屋へと急いだ。 「アイーーン!?どうした!?」 「ギブッ・・!ギブなの〜!!アルマナちゃぁぁん!」 「まだまだよ!そーれ!」 「いやぁぁぁん!痛いの〜!!」 扉を開け、目にしたものに驚きをかくせなかった。 愛しの『アイン』が見たこともない女の幼児に押し倒され、 『技』を仕掛けられているではないか!? アインは床を小さな手で叩き、『ギブアップ』を訴えている。 その大きな目には涙が溢れており、 頬も桜色に染まっていた。 「・・(か、可愛い〜!!流石は俺のアイン!どんな姿でもラビューン、だ!)」 心の中では『アインラブ』を叫んでいるキャリコだが、 見た目は至って冷静でその様子を見守っている。 屋敷の主の1人が帰ってきたことを確認すると、 執事は主に歩み寄り、 「お帰りなさいませ、キャリコ様」 「あぁ・・・ところで、お客様かな?」 「はい、クォヴレー様のお友達のアルマナ様でございます。  あちらの女性はアルマナ様のお付き人でルリア様・・・」 執事が紹介していると、ルリアはキャリコの視線に気がつき一礼をした。 キャリコも一礼すると、クォヴレーへと視線を戻す。 相変わらずプロレス技をかけられていて、ギブアップを訴えている。 「(嗚呼・・アイン!可愛いぞ!  ・・・それにしてもあのくらいの歳だとまだまだ女の子が強いんだな・・)」  目を細めながら2人を(正確にはクォヴレーだけを)見つめるキャリコ。 そして、クォヴレーは「大好きなお兄さん」が帰ってきたのを見つけると、 「あ!キャリ〜!!たすけてなの〜!!ヴレ、しんじゃうの〜!!」 「なぁによ!おおげさね!ええーい!」 「ぎゃッ!・・・・うっく・・・びぇぇぇぇん!!」 「あら?あらららら??」 よほど痛かったのかクォヴレーは大泣きを始める。 突然大声でで泣き始めたのでアルマナはビックリし、オロオロしてしまう。 「クォ・・クォヴレーちゃん??」 「いたいのーー!アルマナちゃん、きらいーーー!!きらいきらい!!」 「がーーん!そんな・・・クォヴレーちゃん・・・う・・・うぅ・・」 大好きなクォヴレーに3連発で「嫌い」と言われ、アルマナは目に涙が浮かんできた。 クォヴレーの上から下りると、床に正座しながら泣き始めた。 「きらいになっちゃいや!クォヴレーちゃん!・・うっうっ・・」 滅多に泣いたことのないアルマナが大泣きを始めたので、 クォヴレーはビックリし涙が止まってしまう。 オロオロしながらキャリコを見つめると、彼は傍によってきてくれた。 クォヴレーと目線を合わせるように屈みこむと、頭を撫でながら、 「アイン・・・『嫌い』は言ってはいけない言葉だ」 「・・・わかってるの・・・ヴレ・・いけないこといっちゃたの・・」 シュン・・としながらアルマナを見るとルリアがアルマナの頭を撫でていた。 「姫様、プロレスごっこをすること自体は悪いことではありませんが、  相手が痛いといったら止めなければなりません・・・わかりますね?」 「ルリア〜!!わかっています!・・・でも・・っ」 クォヴレーは胸が痛んだ・・・・ 自分が泣いてしまったせいでアルマナが怒られている。 そっとルリアに近づきそのの袖をクイクイすると・・・ 「アルマナちゃん、わるくないのよ・・・ヴレがなきむしだったの・・」 「・・・クォヴレーちゃん」 「アルマナちゃん、『きらい』いってごめんね?ヴレ、わるいこなの」 「クォヴレーちゃん!」 ウルウルしながらクォヴレーに抱きついた。 頬擦りをしながら必死に誤る。 「ごめんね?ごめんね?いたかったでしょ??   わたしこそわるいこだったわ!ごめんねー?」 「アルマナちゃん・・・くすぐったいの」 「・・・クォヴレーちゃん、アルマナのこと・・きらいにならないでね?」 「だいじょうぶよ〜」 「クォヴレーちゃん!・・・んっ」 「!!?」 キャリコはその時、目を真ん丸くした。 なぜなら・・・ 「おやおや・・・お子様方は仲直りがお早くてよろしゅうございますなぁ〜」 「あ、あぁ・・そうだな」 執事ののほほんとした態度に、冷静に答えてはいるが キャリコは内心女児をはり付けにしてやりたい気持ちでいっぱいであった。 なぜなら『アイン』と・・・・ 愛しの『アイン』と仲直りのキスをしていたからだ! 「・・・んん〜??ぷはぁ・・アルマナちゃん、いまのなぁに??」 「なかなおりのしるしよ!」 「そうなの???」 「そうよ!」 「じゃあ、ヴレからもするね?」 「!ホント??キャーー!!うれしい」 クォヴレーはアルマナの唇にチュッとキスをした。 キャリコは、ガガーーンと内心しながらも表面は冷静そうに取り繕っている。 「(あの女児・・・許さん!)」 こうしてアルマナはキャリコに嫌われ、 その後二度とマクレディ家の門を潜ることは許されなかったそうだ。 ちなみにイングラムは、 クォヴレーがファースト・キスを奪われたことをしばらく知らなかったらしい。
有り難うございました。 まだまだ続くます! だってイングと再開してませんから(笑)