アンケ
 

試されているのだろうか・・・?
試しているのだろうか・・・・?
腕の中で眠る無防備な存在は規則的に呼吸をし、
その細く抱きしめれば折れてしまいそうな身体を
俺の火照った身体に摺り寄せて眠りについている。
時折首筋にかかる生暖かい吐息に・・・俺の忍耐力は限界を訴える。


・・・・しかし手を出すことが出来ない・・・・
やっとここまで関係を修復・・・もとい成立することが出来たのだから・・

わかっている
焦りは禁物だ・・・・
だが・・・・
はぁ・・・・切ない。








〜Tested endurance〜







クォヴレーの拉致事件も無事解決し、
イングラムとのわだかまりも解け晴れて二人は恋人同士になった。


「タヒチってはじめて来た」
「・・・お前は海外も初めてだろう?」

別荘に着いた二人は荷物を整理していた。
ここは軍が所有している別荘の一つである。
各国に別荘や保養所を所有しており、
使いたい者はあらかじめ申請しておけば自由に使えるという仕組みで
ここで余談話をするとあの時エクセレンが渡した封筒の中には
ここの使い方や鍵などさまざまなものが入っていたのである。


『お前は海外も初めてだろう』という言葉にクォヴレーはプルプル首をふる。

「パパと・・ママと海外行ったことある」
「・・・それは初耳だな」
「聞かれなかっただろ?」
「まぁ、そうだが・・・で、どこの国に行ったんだ」
「・・アイルランドと・・フランスと・・・それから」
「!結構行っているな・・」

指を折りながら行った国を数えるクォヴレーに少し驚きを見せながら

「どこの国が一番気に入ったんだ?」

イングラムの質問に少しだけ顔を綻ばせながら

「・・・一番はフィンランド!」
「フィンランド・・・何故だ?」
「白夜が綺麗だった・・・それに」
「それに?」
「イチゴも美味しい」
「成る程・・・」
「でも来週からは違う国になる」
「?どうしてだ」
「来週からは一番はタヒチになる・・・なぜなら」
「・・・なぜなら?」

クォヴレーは顔を少しだけ赤らめ真っ直ぐに見つめると

「イングラムとの初めての旅行で来た国・・・だから」
「クォヴレー・・・」

嬉しい言葉に目を細めて微笑むと『おいで』と腕を伸ばす。
片付けていた荷物をその場に放り投げクォヴレーは腕の中に飛び込んだ。

「イングラム・・・イングラム・・!大好きだ」
「クォヴレー・・」

前髪をかきあげ額に優しく唇押し当てる。
すると今度はクォヴレーが彼の頬にキスを返した。

抱き合いながらしばらく見詰め合っていた2人だが
突如イングラムがふわふわの銀の髪をグシャグシャと撫で回した。

「・・わっぷ!!イングラム!!」
「はははっ!」
「もぉ〜!何するんだ!?グシャグシャになったじゃないか!
 ただでさえいつも爆発してしまうのに・・・!!」

口を尖らせ乱れた髪の毛を直す。
微笑しながらイングラムは再び頭の上に手を置いた。

「ホントに猫毛だなお前は・・・俺も結構な癖毛だがお前はそれ以上だものな」
「・・・お前は髪の毛を伸ばしているから余計大変なんじゃないか?切ればいいのに」
「・・・それはダメだ」
「どうしてだ??」
「・・・今度教えてやる」
「????」

首をかしげながら見つめてくるクォヴレーに曖昧な微笑を向けると

「さて、あらかた片付いたし・・・ちょっと出てみるか?」
「・・・そうだな・・・タヒチは何が有名なんだ?」
「・・・チョコ・・だったか?」
「チョコ!?」
「それから・・ココナッツにパンの実・・アボガド・・」
「・・・アボ・・ガド・・?」
「お前、アボガド嫌いだったな?」
「あのなんともいえない味が苦手だ」
「それは食べ方がいけなかったんだろう・・」
「そうかな・・・?」















「・・・すごい人だ」
「・・夏休みだからじゃないか・・日本人が多いな」
「日本以外も夏休みなのか?・・・それにしてもみんな暇なんだな」
「・・・・プッ」

『みんな暇なんだな』・・・
予想していなかったクォヴレーの言葉に思わず噴出してしまった。

「クォヴレー・・・皆が皆暇なわけではないだろう・・・
 忙しい時間をやりくりしてバカンスに来ている人間がほとんどだ・・」
「・・・そうか?・・・うん、そうかもな・・イングラムもそうだものな」
「ああ、休暇をとるために俺はここ最近働きづめだった・・忙しかったな」

物思いにふけっている?イングラムの腕に自分の腕を絡ませ腕組みすると
意地悪い顔を彼に向けた。

「?どうした?クォヴレー・・疲れたか?」
「・・・忙しかったのに・・オレを監禁する時間はあったんだな・・?」
「ブッ!!」

眉間にしわを寄せ睨んでくるクォヴレー。
いやな汗をかきながら慌てるイングラム。
そのあわてぶりがおかしくて今度はクォヴレーが噴出してしまった。

「フフフフ・・冗談だ・・もう怒っていない」
「・・クォヴレー・・(心臓に悪い)」
「・・イングラム」
「・・なんだ?」
「オレ、ココナッツが飲みたい!!・・・買ってくれるよな?」

ニッコリと無邪気に笑いかけられれば断れるわけもなく・・・

「・・・ココナッツだけでいいのか?」

顔を引きつらせながら尋ねると

「じゃあ、チョコも!有名なんだろ??」
「・・了解だ」
















外から帰ってくるとはしゃぎすぎて疲れたのか、
クォヴレーは早々にシャワーを浴びて横になろうとした。

「クォヴレー、もう寝るのか?」
「・・・ああ、疲れた・・もう寝る・・イングラムは?」
「俺はまだ起きている・・・明日はボートに乗るだろう?」
「ボート?乗れるのか?」
「ああ」
「乗りたい!!」
「わかった、俺は準備をしてから寝る」
「・・・準備って時間かかるのか?」
「?いや、何故だ?」
「オレも手伝おうかと・・・」

上目づかいで尋ねてきたクォヴレーの色っぽい顔に一瞬ドキンとしたが
かるく深呼吸をするとすぐに平静さを取り戻し、

「1人で大丈夫だ・・・お前はもう寝なさい、疲れたんだろ?」
「うん・・いいのか?」
「ああ」
「・・・わかった・・・お休みイングラム」
「お休み」
















明日の準備を終え、ベッドの上でウイスキーを飲みながらイングラムは本を読んでいた。
明日は早いのですぐにでも寝たい按排(あんばい)だがなかなか寝付けなかったのである。

「(俺もまだまだ子供ということか・・?歳甲斐もなくワクワクして眠れないとはな)」




すると、その時扉がゆっくりと開いた。

緊張が走る。
この家には自分とクォヴレーしか居ない。
クォヴレーは早々に自室で寝入ってしまったので他に誰が入ってくるというのだろうか?

「(物取りか・・?)」

枕の下に隠しておいた拳銃に手を伸ばす・・・だが一向に人が入ってくる気配はない。

「??」

やがて小さく開かれたドアからその人物は現れた。
大きな枕を抱きしめまっすぐに自分のベッドに向ってくる。

「・・クォ・・ヴレー・・?」

意外な人物の登場に少しだけたじろいでしまったが
物取りではなかったようなので枕の下から手を引いた。


『痛いことはもう(しばらく)しない』と約束した手前、
イングラムはここ3日間ほど身体を繋げていない。
無理やり犯してしまったためか、
クォヴレーはひどくその行為を嫌がる傾向がみられたからだ。
心が通じ合った今、焦る必要はないと頭では思っているが、
身体はそうもいかない。
抱きしめて寝れば反応してしまうので3日間は別々の寝室で寝ていたのだが・・

今、クォヴレーは枕を抱きしめ自分の目の前にいる。

・・・旅行に来てそういう気分になったのだろうか?
多少の期待を込めてイングラムはだまって見つめていた。
しかしクォヴレーは一言も発することなくベッドの中にもぐりこむと
そのままスヤスヤ寝てしまった。
しかも腕はしっかりとイングラムの身体にわまし抱きついてきている。
さしものイングラムもどうしたらよいかわからなかった。






「・・・んっ」

僅かにもれる吐息と絡み付いてくる細く白い腕。




細い腰に腕をまわしイングラムはクォヴレーを抱きしめる。

「(・・・身体は正直なものだ)」

イングラムの下半身は熱を持ち始めていた。
今、無防備に自分の腕の中にいる存在をメチャクチャに犯したかった。
だがそんな事は出来るはずもなく・・・

「(久しぶりだなこの状況も・・・眠れん・・)」

首筋に吐息がかかる度、脈打っていく分身。




「(試されているのだろうか・・・?試しているのだろうか・・・・?)」

腕の中で眠る無防備な存在は規則的に呼吸をし、
その細く抱きしめれば折れてしまいそうな身体を
イングラムの火照った身体に摺り寄せて眠りについている。
時折首筋にかかる生暖かい吐息に・・・イングラムの忍耐力は限界を訴える。


「(・・・・しかし手を出すことが出来ない・・・・
 やっとここまで関係を修復・・・もとい成立することが出来たのだから・・)」

知らず知らずため息をついてしまう。


「(わかっている焦りは禁物だ・・・・だが・・・・はぁ・・・・切ない)」

相変わらず無防備に眠りにつくクォヴレー・・・

「(・・・貫いてしまいたい・・・だが・・・はぁ・・・)」

理性と必死に戦うイングラム。
だが身体はますます熱くなっていくばかりであった。



続きます。 次はエロが入る予定。 戻る