出会い
 



イングラムの腿を枕に、
毛布で丸くなりながら寝息をたてている少年を見ながら、
イングラムは右手をぶらぶらさせた。
手の甲には噛み傷やら引っかき傷やら・・・、
とにかく苦戦の跡が残っている。
だがパイロットスーツが乱れているイングラムの心も、
眠る少年の寝顔のように穏やかなものだった。










〜出会い〜











交戦中、突如気配を感じイングラムはあたりを見渡した。
その感じは今までのものとは違う感じなので、
どうやら「新入り」らしい。
だがこうも自分に向かって「敵意」を表してくるバルシェムも珍しかった。
あたりを慎重にグルリと見渡す。
「敵意」にみちたバルシェムは案の定直ぐに見つけることが出来、
イングラムは気配を殺してヴァルクへと近づいた。


『!!?』


突然現れたイングラムに驚いたのか、
ヴァルクのパイロットが一瞬息を呑むのが伝わってきた。
自分のクローンとはいえいつも殺すことには躊躇っているのだ。
イングラムはどうせ駄目だろうが、と半ば諦めつつ話しかけてみた。

『お前、あまり実践慣れしていないのか??』
『!?』

だがその言葉がシャクにさわったのか、
ヴァルクが突然けしかけて来るのだった。
しかし頭に血が上っているらしく、
なんとも読みやすい攻撃であったので、
ヒラリとその攻撃を交わすと、
とりあえずイングラムもコクピットを外して反撃を試みた、
・・・・が。


「(しまった・・・!手加減を忘れた)」

案の定直撃を受けたヴァルクは煙を吐き出しながら近くの惑星へと落下していく。
小さく舌打ちをし、チラッと戦場の様子を見、戦況を把握した。

「(・・・俺がいなくとももう大丈夫そうだな・・・、
 ならあの機体を追わせて貰う)」

なんという自己勝手な性格なのか。
しかし戦闘に夢中な仲間は誰か一人抜けた程度では気がつかないのも事実。
ともかくもイングラムは落としてしまったヴァルクの後を追うのだった。


















ヴァルクが堕ちたのは暗い森の中であった。
煙は収まっているようなので、どうやら爆発を引き起こす心配はないらしい。
直撃したように見えたが、パイロットが咄嗟に直撃を免れるよう動いたらしい。

「・・・慣れてなさそうだったが、腕はなかなからしいな」

黒い笑みを浮かべながらヴァルクの近くに機体を置くと、
銃を片手に慎重にコクピットへ近づいた。
中にはまだ気配を感じることから、
パイロットは落下の衝撃か、
イングラムの攻撃の衝撃のどちらかで気を失ってしまったのだろうか。

「(向こうも俺を感じているはず。
 ココを空けた瞬間打たれるのだけは勘弁願いたいが・・・)」

だが感じる気配は弱弱しいものだ。
それすなわちパイロットは気をうしなっているか、
瀕死の状態のどちらかに違いない。
イングラムは一瞬悩んだ後、
覚悟を決めてコクピットのハッチを空けるのだった。


「・・・・!」


ハッチが開いた瞬間、イングラムの時間が一瞬止まってしまう。
バルシェムが被っている仮面が中から転がり落ちてきたが、それどころではない。
ハッチが空いた時、中にいるパイロットが一瞬身じろぎをしたので、
どうやら気を失っているだけらしいが、
イングラムはパイロットの若さに驚いてしまっていて、それどころではないのだ。

「・・・少女・・・いや少年・・?・・・しかし、なぜ?」

腰をかがめ、パイロットの頬を軽く叩く。
すると眉を苦しげによせながらすこしづつ目蓋が上がっていくのだった。

「どうやら無事のようだな・・・」

イングラムが更に頬を撫でようとした時、
パイロットは目の前の人物が誰か気付いたのであろう。
瞬時に頬にある手を払いのけ、イングラムに殴りかかってこようとした。
だが相手は怪我をしている上、まだ子供だ。
イングラムは軽くその攻撃を交わすと、
手首を軽くひねって狭いコクピットの中に自分の身体を押し込んで押さえつけた。

「放せ!オリジネイター!!!」

パイロットの口からイングラムの通称が叫ばれた。
少女か少年か分からなかったが、
声の低さから「少年」ということが分かる。

「・・・成る程、少年か・・・」
「!!」

小ばかにしたようなイングラムの言葉に少年は頬を真っ赤に染め、
掴まれた手首をなりふりかまわず振り回し、抵抗する。
それはイングラムの微苦笑を誘うだけとも気づかずに。

「オレのどこが女に見えるんだ!!?」
「・・・どこ?・・・」

少年は「女」に見間違われたことが相当ご立腹らしい。
身を捩り、適わぬであろう相手になおも抵抗を試みようとしている姿勢は、
更にイングラムの興味を誘った。
だからこそイングラムの口からは知らず意地悪な言葉が紡ぎだされていく。

「そうだな・・、全部だ」
「なっ!」
「特に頬を真っ赤に染めて怒るところなどは女そのものだ」

少年は落下時のヴァルクのように頭から怒りの煙を出した。
足を蹴り上げなんとか押し返そうとする、が、
イングラムに簡単にホールドされ、咽で笑われてしまう。


「どけ!!」
「・・・諦めろ。お前のウエイトでは俺には勝てない」
「うるさい!どけ・・・痛っ・・・!!」

勝てないと忠告しても諦めない少年。

「(その根性は認めるが・・・・)」

流石に少々嫌気がさしてきたので、
掴んでいた手首をさらに力を入れて拘束を強くした。
このまま苦痛に満ちた顔を眺めるのもいいが、
イングラムは少年と話がしたいのだ。
強くなった拘束に少女めいた美貌が苦痛に歪み、
その表情にイングラムの雄がざわついた。

「(身体は正直だな)・・・さて、バルシェム、お前のコードネームは?」
「・・・う・・・く・・誰、が・・・」

言う気はない!と苦痛に歪んだ目でイングラムを睨みつけてくる。
イングラムはその頑固さを黒い微笑で見下ろしつつ、手首を掴む力をもっと強めた。

「・・・コードネームを言わなければへし折ってしまうぞ?」
「・・・・うっ・・!?」
「いいのか?・・・俺はかまわんぞ・・・・?」
「あぁぁっ」


もちろん折る気はないがイングラムはゆっくり・・・、
けれど確実に力を強めていく・・・・。
少年の表情はみるみるうちに青くなり、ついに根負けをした。

「ア、アイン!」
「ん?・・・」
「アイン!アインだ!オレはアイン・バルシェム!」
「アイン、・・・アインか」

名乗ったことに、満足げな笑みを浮かべイングラムは手を放した。
アインの目には涙が溜まっており、
口は悔しそうにブルブル震えていた。

「それでアイン、今回はお前の初任務か?」
「・・・・・・・」

しかしこれ以上は何も答えないと決め込んだのか、
アインはプイッとソッポをむく。
その態度に薄く笑ったイングラムが再び手首を掴めば、
慌てて首を横に振った。

「ちがう!!任務は何回もこなしている!」
「何回も?・・・そのわりには動きが鈍かったような気がするが?」
「うっ・・・!そ、それは・・・整備を少し・・・・」
「・・・・・・・(手抜きでもしたのか?いや、それはないか)」

アインの顔が青ざめているのでイングラムはそれ以上は聞かなかった。
バルシェムである以上、整備に手抜きなどしないはずだ。
となれば整備途中で突然任務を命じられたのだろう。

「オリ・・・アウレフ、お前はここでオレと遊んでいていいのか?」
「・・・・イングラムだ」
「・・・え?・・・ぐぅ」

それまで余裕の表情であったイングラムが突然怒気に満ちていく。
『アウレフ』という呼び名を好いていないイングラムは、
思わずアインの顎を加減なしに掴んで冷たく言い放つ。
常に冷静沈着なイングラムも『アウレフ』という呼び名には過剰に反応してしまうのだ。

「二度と俺をアウレフと呼ぶな・・・アイン!」
「・・・ぐ・・・う、く・・・」

これまでにない怒りの空気に身を震わせながら、
目に涙をため、口をパクパクさせてアインはコクコク頷いた。
苦しさから逃れるためか、
アインは顎を掴んでいるイングラムの手の甲をガリガリ掻き毟っている。
イングラムも痛いのか、多少眉を歪ませながら小さくため息ついて手を放した。

「二度目はないぞ」
「・・・わか・・・た」

拘束から解放されたアインは、ゼェゼェと呼吸を整えながら、
コクピッドを改めて見渡す。
咄嗟に避けはしたがどうやら再起不能らしい。
シュンと肩を落としてとりあえず中から出ようとした。
これ以上イングラムの傍にいては壊されてしまうかもしれない。
アインはまだ任務を終えていないのでそれだけは嫌であった。
どうせ壊れるなら任務を終え、
使いすぎて使い物にならなくなったという烙印を押されてからがいい。
だがすでにアインを気に入ってしまっているイングラムがそれを許すはずはなかった。

「どこへ行く?」
「・・・外。このヴァルクはもう駄目だから放棄する」

爆破するにしても連絡をとるにしても外に出ないことには何も出来ない。
アインはイングラムを押しのけて出ようとしたが、
当然ながらイングラムに止められてしまう。

「アウ・・・イングラム・・・退け」
「・・・・・ふぅ」
「!!?」

哀れみにみちた瞳でアインを見下ろした。
アインは負けじと睨み返す。
バルシェムであるがまだ少年であるアインにはことの自体が飲み込めないらしい。
アインはもうイングラムの手中で、捕虜であるという事実に。
それにアインはもうイングラムのお気に入りで、手に入れたい対象なのだ。
強気なアインにもう一度大きくため息をつくと、
腰を抱きかかえてイングラムはコクピッドから地上へ降りるのだった。

「なっ!放せ!!」

アインを抱えたまま自分の機体のコクピッドへいくと、
なぜあるのかは知らないが、ロープでアインの腕を後手に拘束をする。
そして毛布を取り出し地上へ降りると、
機体の足元に毛布を広げアインをその上に転がした。

「うわっ!!」

アインが起き上がる前に大きな身体で華奢な身体を押さえつけ、
持っていたナイフで一気にスーツを引き裂いた。

「うわぁぁ!!」
「喚くな!・・・代わりくらい持ってきているだろう?」
「そ、それは・・・、だがいきなり引き裂かれたら誰だって・・・」
「・・・・仕方ないだろう?俺も余裕がないから破くのが一番早い」
「・・・余裕・・・・?・・・、ひっ」

アインの悲鳴は小さな叫びとなってのどの奥に消えていった。
驚きのあまり声も出ないというのが適切なのであろうが、
それ以上に身体が震えだし、声を飲み込んでしまったのだ。
覆いかぶさるイングラムが自分の下肢を寛げ見せたモノは、
すでに熱く猛っており、ドクドクいっている。

「お前が悪い。
 お前の見かけや、そのつよい目が俺をこんなにした」
「・・・っ、・・・や・・・め・・・んぐ・・・」

イングラムの手がアインの口に押し込まれた。
どうやら舌を噛まれることを阻止する狙いらしい。

「ふ・・・ふぐ・・・・」
「・・・痛いのは最初だけだ・・・すぐによくなる・・・アイン」
「ふ・・・う、・・・うぅ・・・」

イングラムの手に熱いものが落ちてきた。
それはアインが流している涙である。
アインは目に涙をため、口中のイングラムの手の甲に歯を立てて抵抗していた。
本当は足をバタつかせ身を捩って逃げたいが、
身体は竦みあがりそれが出来ない。
そうこうしているうちに熱いモノが解されていない秘孔に宛がわれた。

「ふ・・・う・・・うーーー!」

アインは頭をふり最後の抵抗をするが、
ついに灼熱の杭で奥の奥まで侵入を許してしまう。

「ん、んーーーーーー!!!!」
「アイン・・・」

己を全て入れ終えるとアインの口内に入れていた手を抜き、
激痛に呻き乾いてしまっている唇にそっと唇を押し当てた。
最初は軽く、次第に深く。
乾いていた唇を舐め、アインが薄く口を開いたのを確認すると、
自分の舌を一気にねじ込んで口内を犯していく。

「ん・・・ふぁ・・・あ、・・・ふ、ぅ・・ん」

アインが口付けに応えてくる。
腰をユルユルと動かし、アインの反応を見守っていたが、
次第にアイン自身が腰を揺らし始めたので、
イングラムは腕の拘束と解き、自分の首にまわさせた。

「あ、あぁ・・あ・・・あ!!」

腰の動きを大胆に変えていった時、
性器の先端が中にあるシコリをかすった。
その瞬間、アインは目を見開き中のイングラムをギュゥと締め付けたので、
どうやらココがアインの性感帯らしい。
イングラムは口端を歪めてアインをきつく抱きしめると、
見つけたその場所を中心に腰を使い始めた。

「アイン・・・ココだな?・・ココが好きなんだな?」
「ひぅ・・・う・・・あっ・・・あぁ・・・」
「・・・もう・・・痛くないな?・・・アイン?」
「あっあっ・・・イイ・・・!いたく・・・な・・・あっ・・・んぅ」

アインは眉を快楽に歪ませ、
イングラムの顔を自分へ引き寄せ自分から唇を求めた。
望まれるままキスに応え、イングラムはコレが最後、と、
腰を大きく引き抜き一気に奥まで突き上げる。

「・・・・・ぅ」
「あ、・・あぁぁぁぁっ」
















イングラムの腿を枕に、
毛布で丸くなりながら寝息をたてている少年を見ながら、
イングラムは右手をぶらぶらさせた。
手の甲には噛み傷やら引っかき傷やら・・・、
とにかく苦戦の跡が残っている。
だがパイロットスーツが乱れているイングラムの心も、
眠るアインの寝顔のように何故か穏やかなものだった。
二人分の精液を染み込ませた毛布はごわついているが、
アインは芋虫のようにそれを巻きつけて眠っている。
あの時、アインを見た瞬間にイングラムはなぜか欲情したのだ。
そしてそのまま何の愛撫もしないままアインを己で貫いた。
最初は苦痛に歪んでいたアインの表情も、
突き上げるたびに甘い声を出すようになり、
最後には同じ気持ちで果てたのだ。

「(このまま連れ帰って・・・それから)」

眠るアインの髪の毛をかきあげる。
すると目蓋がピクピク動きアインは目を覚ました。

「・・・・っ」

ごわついた毛布を身体に巻きつけ、立ち上がって青い顔でイングラムを見る。
身体は細かく震え、唇を悔しそうに噛み締めている。
震えるアインへ優しい笑みを浮かべながらイングラムは手を伸ばした。
しかしアインはイングラムの予想とは違う行動に出る。

「アイン・・・」
「触るな!!」

バチンとなぎ払われた、イングラムの手。
アインは毛布を身体に巻きつけたままその場で地団駄を踏むように暴れた。

「次は・・・次は負けないからな!!次こそしとめてやる!!
 こんなの!犬に噛まれたのと同じだーー!!」
「・・・は?・・・おい!アイン!!?わっぷ」

地面の草を毟り、イングラムに投げつける。
ひるんだイングラムの横をすり抜け森の奥へ消えていくアイン。
当然追いかけようとしたが運悪く通信が入り、イングラムは舌打ちをした。

「(まぁ、いいか・・・。『次』もあるみたいだしな。
 それに身体の相性はいいみたいだし、アインも忘れられないだろう)」

あの様子ではアインは今後しきりにイングラムを追いかけてくることだろう。
なら捕まえるチャンスはいくらでもあるというものだ。
捕まえて仲間に引き込んでしまえばあとはすべて上手くいく。

フフ・・・と、人知れず悪魔の笑みを浮かべながら、
イングラムはなり続けていた呼び出しに出るのだった。



有り難うございました。 インアイ、の出会い編、かな??? イングラムが強姦魔・・・(笑)