出会い
 


〜呑まれていく心〜


『次は・・・次は負けないからな!!次こそしとめてやる!!
 こんなの!犬に噛まれたのと同じだーー!!』




と、大見得をきったというのにアインはまたもエネルギー切れを起こし、
どこぞの海辺に落ちてしまった。
撃とうと思えば撃てた筈なのに、オリジナルはそうはせず、
自分の機体が不時着しているのと同じ海辺に機体を落ち着け、
悠然とした笑みを浮かべながら波際にたたずんでいるアインに近づいてきた。

「興奮すると目測を誤ってしまうのは悪い癖だな、アイン」


にやにや笑いながらの余裕の台詞にアインはムッと口を尖らせる。

「五月蝿い!!それはお前にだけだアウレ・・・、っ」

こんなことで負けてなるものか。
アインはキャンキャン吠えながら反撃するが、
突き刺さってくるイングラムの視線に息を呑む。

「(そうだ!アウレフ、はご法度だった)・・・その・・五月蝿いぞ、イング・・ラム」
「・・・・フッ」

『イングラム』と呼んだ事に、によく出来ました、
と彼の大きな手はアインの小さな頭をやさしく撫でた。

「!!」

思ってもいなかった行動にアインはボッと顔を染め、
口をパクパクさせながらイングラムを見上げた。
こんなこと、研究所の職員にも他のバルシェムにもされたことがない。


・・・だが決して嫌な感じはしなかった。

「(大嫌いなオリジナルの筈なのにオレはどうしたんだ?)」

アインは何故かドキドキする胸を落ち着ける為に数回深呼吸をし、
落ち着きを取り戻すと、ギロッと再び睨みながら、
カニ歩きでイングラムとの距離をとる。
そんな様子に余裕の笑みを浮かべながら遠ざかろうとするアインへと近づいていく。

「アイン」
「・・・なんだ?」
「なぜ逃げる?」
「・・・!なぜ、だと」

一度は引いていたというのに、アインは再び全身を真っ赤に染めて怒りを露にする。

「決まっている!お前に近づくのは危険だからだ!
 油断していると頭から足の先までガブリと喰われてしまう!」

アインはこの前、目の前の男にされたことを今でも忘れてはいない。
思い出すだけで悔しさがこみ上げ、自分の無力さが腹立たしいのだ。

「感じていたくせによくも言う・・・」
「!!!!」

そんなことはない、と言い返そうとしたが、
何を思ったのかイングラムは急にクルリと背を向け自分の機体へと戻り始めた。

「・・・イングラム?」
「定期連絡の時間だ・・待っていろ」
「・・・あ、定期連絡の・・・?うん、わかった・・・ん?」
「素直ないい子だな、アイン?」

もともと根は素直に出来ているのだろう。
アインは小さく頷くが直ぐに矛盾に気がつき悔しそうに唇を噛みしめた。

「なんでオレが待たなきゃいけないんだ!!」

そしてそう叫んで自分もまた動かない機体へと戻っていくのだった。



















どうせだから自分も連絡を入れておこうと思いたち、
副隊長であるスペクトラに連絡を入れたら、
何故か大の苦手な男である隊長のキャリコが出てしまった。

『愚か者が!』


ど、低い声で一括されその場で竦み上がるアイン。
・・・アインはキャリコが怖くて仕方なかった。
以前も苦手な相手ではあったが、イングラムとの一件があってから益々苦手になった。
イングラムに食べられてしまったその日、一連の出来事をキャリコへ報告すると、
彼は鬼のような剣幕でそのまま机の上に押し倒してきたのだ。
そしてイングラムに座れて真っ赤になった旨の飾りや、
首筋についた痕に同じように吸い付いてきたのだ。
あの時の悪魔のようなあの怖い顔は思い出すだけで寒気が走る。
突き入れられ、突き上げられたあの衝撃は忘れられない傷だ。
だから今回はただのガス欠、とだけ報告し向かえに来るように頼むだけに留めたのだった。

『・・・・今は手の空いている者がいない。
 そうだな、3日はかかる』


アインは「了解」と短く返答し、通信を終えた。
そして長いため息をつきながらズリズリと機体に背を預け砂浜に腰を下ろす。
コクピッドから下ろした袋の中から食事ともいえるゼリーを取り出し、
暗い面持ちのまま口に付けた時だった。
ジャリ・・・と砂の音がしたかと思うと、
呆れ顔のイングラムが気難しい顔で睨んできている。

「まさかそれが夕食か?」

イングラムのさすソレとはアインの持つゼリーのことであろう。
無視しようとも思ったがこの前のようなことになっては嫌なので、
無言のまま頷くだけは頷いて見せた。
するとイングラムは何故か重たいため息をつき、
ソレを取り上げてしまう。

「何をする!」
「・・・細い、とは思ったがまさかいつもコレが主食か?」
「・・・・そうだが?」

素直に返事をすると再びため息のイングラム。
もちろんアインも人間の食事がどんなものかは知識として知ってはいる。
が、アインにとって生まれた時からコレが当たり前なので、
そこまであからさまにため息を行つかれると落ち込みを隠せない。

「成長期の子供の食べるものではないな」
「うるさいな!」

アインは立ち上がると奪われたゼリーを取り返そうと背伸びをするが、
頭一個分違うので彼が頭上高にに腕を上げてしまうと全く届かない。

「アイン」
「なんだ!!何でもいいが返せ!!」

ジャンプしてみてもやはり届かない。
そのうちお腹がグぅ〜と鳴り出し、アインは益々必死になる。
食べ物には執着はないが流石に空腹がきついのは身をもて知っている。
以前、任務に失敗した時に1週間食べ物も飲み物も与えてもらえず、
アインは死ぬ思いをしたのだ。

「アイン・・・俺の所にはもっとまともなものがあるぞ」
「・・・・?」

突然そんなことを言い出したイングラムにジャンプをやめアインは首を傾げる。

「イイモノ・・・?」

聞き返してきたアインに心の中でニッと笑いながら、
腰を少し屈めて視線を合わせながら誘惑の言葉を口にしていく。

「今ある非常食はカレーだ。海水を沸騰させてパウチを温めればフリーズライスもあるし、
 あっという間にカレーライスの出来上がりだ」
「かれぇらいす??」
「デザートには板チョコもあるぞ?」
「でざぁと?いたちょこ??」

聞いたこともない固有名詞にキラキラ輝き始めていく瞳。

「食べてみるか?」
「・・・いいのか?」

敵と馴れ合うなんて持っての他だ。
だが姿が子供のアインは好奇心も子供並に持ち合わせている。
遠慮がちに聞くアインにニッコリと微笑んで、

「もちろん」

と、答えるイングラム。
アインの細い腰に腕を回し引き寄せると、
唇と唇が触れ合う寸前の距離で囁いた。

「お礼は前払い・・・、お前の唇でいい」
「・・・な・・ん?・・・ん・・・んっ」

嫌という間もなく重なってきた厚い唇。
強引に唇を割ってきた舌はアインの口内を好き勝手に貪っていく。

「ん・・・・んっ」

上顎を執拗に舐められアインは腰砕けになっていく。
これ以上は感じたくなくて、口の中で懸命に舌を逃げさせるが、
すぐにイングラムの舌に捕まり、
お仕置きのように何度も絡まれ、強く吸われてしまうのだった。

「・・・グレープフルーツ味か・・味は悪くないな」
「ふぁ?・・・・んっ・・・んぅ」

一度唇が離れたとき、イングラムが何かの感想を言った。
それが直前まで飲んでいたあのゼリーの味だと気づくことがアインには出来ない。
なぜならアインは『グレープフルーツ』を見たことがなければ聞いたこともないからだ。

キスは次第に激しくなっていく。
抱き合う布越しの熱い高ぶり。
イングラムはもう一度唇を離すと、
やや困ったようにトロンとしているアインを見下ろした。

「・・・キスだけで済まそうと思ったが・・・」
「・・・・え?」

クルンとアインの身体を回転させ、期待に手をついて立つように耳元で命ずる。
イングラムに背後を取られたアインは、
そうやって押さえ込まれてしまえば身動きが取れない。
ジー・・・という音が遠くから聞こえ、
それが自分のスーツを脱がせる音だと気づくまでに時間を要した。

「ひっ・・・あ、・・やめろっ」

足元にバサッと音を立ててスーツが落ちた。
一瞬で全裸にされたアインは羞恥で真っ赤になるが、

「手をついてしっかり立っていろ」

と後から一括され、あまりの迫力に身体を竦ませて渋々言うとおりにした。

「こんな状況だ・・・何もない。だが何もしないよりはましだろう」
「・・・・え?・・うわぁぁぁl!!」

急に背後で跪く気配を感じたかと思うと、
後のあらぬ場所にヌルッとした感触が全身を通して伝わってきた。
顔だけで後を見れば、跪いたイングラムが目を細めて自分の後を舐めているではないか。

「やめろ!やめっ・・・、あっ・・あぁぁっ」

大きな手が前に回ってきて、キスで反応を始めていた性器を緩やかに扱き始めた。
そして反対側の手の指は舌にあわせて後の蕾を徐々に解し始めていく。

「ひ、・・・やっ・・・やめろ・・・」
「腰が揺れているのにか・・・?」

イングラムが立ち上がり耳元で揶揄してくる。
ポイントをかき回され、アインは涎を垂らしながら無意識に腰を振っていた。

「そろそろよさそうだな・・・アイン?」
「ひ・・・あ・・・やめ・・・・ん、・・んぁぁぁぁぁ!!」

背後から抱きしめられたと同時に熱く硬い熱が一気に最奥まで犯してきた。
手をついている機体には白濁した液が飛び散り、
アインの白い太股もにも白い線が何本も出来ている。

「イッたのか・・・?入れただけで?」
「はぁ・・・あぁぁっ・・・あっ・・」

眉をよせて身体を大きく震わせる。
全てを吐き出し終えるまでイングラムは動かないでいた。
やがてアインの身体の震えが治まると、
イングラムはゆっくりと腰を使い始める。
すると射精で萎えていた性器は見る間に熱さを取りもどし、
アインは愕然としながらイングラムの腰の動きに喘ぎを漏らすのだった。

「・・・ああ・・いいぞ、アイン。
 そうだ・・もっと腰を振って・・・」
「んっ・・んっ」

動きにあわせ腰を振る。
イングラムに中を擦られ、前を擦られ、アインはひっきりなしに鳴いていた。

「ああ・・・出る・・・また・・また・・白いの・・出るっ」
「・・・っ・・・白いの・・・?」
「・・・せい・・えき・・・白いの・・・あ、ああ・・出る、出る」

アインの痴態にイングラムはゾクリ、となる。
そして本能のまま腰を使い、アインの中を激しく出したり入れたりして犯していく。

「あ・・あぁぁぁ・・・・」
「一緒に・・・白いの・・・出すぞ・・・アイン」

イングラムの手がアインの性器を強く扱いた。
その刺激にアインは蕾の中のイングラムを締めながら身体を震わせて吐精する。
そして数秒を置いて腰を振るわせたイングラムはアインの背中に白い液体を吐き出していた。



明るかった辺りはすっかり真っ暗に染まっているのだった。



ありがとうございます。 続きますよ〜。 こっそりですから、また気がついたときの更新されてます!