バチンッ
乾いた音は車庫いっぱいに響いた。
突然の出来事に頭の回らないイングラムは自分を殴ってきた相手を見下ろした。
彼の目は怒りに満ちていて、それでいてひどく悲しげだった。
「イングラムのバカ!!」
殴られた頬を押さえながら目をパチパチさせる。
一体何を怒っているのだろうか?
とりあえず落ち着かせようと、腕を伸ばした。
だが抱きしめようとした瞬間ヒラリとかわされ、
再び右手が上がった。
「・・・っと」
「!!放せ!殴らせろ!!」
右手を易々と戒められ、クォヴレーは更に怒りをあらわにする。
そんな様子に呆れた顔と声で、
「・・・『殴らせろ!』と言われて殴られる奴はただのマゾだ」
冗談交じりに言われ、クォヴレーはますます怒りだした。
「いいから殴らせろ!1発殴ったくらいではオレの怒りはおさまらない!」
「だからといって殴られるわけにはいかない」
「煩い!殴られろ!!」
「・・・それに、だ」
「なんだ!?」
「殴られる理由も思い当たらないのに何故大人しく殴られなければならない?」
「自分の胸に聞いてみろ!」
「・・・ふむ?」
イングラムは自分の胸に手をあて考えた。
しかし一向にクォヴレーの怒りの理由が思い当たらない・・・
「・・・思い当たらないな・・俺は何かしたか?」
シレッと答えたイングラムに真っ赤な顔で、
「お前は!!良心の欠片もないのか!?」
「・・・良心の???」
「今日、キャリコに会った!」
「・・・・!」
「この前の弁当の感想を聞いたんだ・・・」
「・・・!」
ギロッと睨まれイングラムは苦い顔をした。
どうやら『怒りの理由』が思い当たったらしい・・・。
「そしたら、なんだか変な顔をするし・・・言いにくそうだし、だから問い詰めたんだ!」
「・・・・・」
「イングラム!お前は!!」
「・・・(キャリコめ・・!)クォヴレー」
「絶対に許さないんだからな!なんであんなことしたんだ!?」
「・・・・」
「何故何も言わない!?イングラム!!!」
「・・・・・」
何も答えないイングラムにクォヴレーはブチぎれた・・・
「イングラム!何か言え!」
「・・・別に言うことなどなにもない」
反省の微塵も感じさせない彼にクォヴレーはその言葉を言ってしまった。
「!!・・・嫌いだ!」
「!なんだと・・・?」
「オレを騙すイングラムも!自分が悪いのに謝罪の言葉を言わないイングラムも!
大嫌いだ!!もういい!!!!」
「・・・・・」
「・・はぁ・・・はぁ・・・あ!」
怒りに身を任せクォヴレーは思ってもいないこと『大嫌い』を叫んでしまった。
口に手をあて自分の失言を後悔する。
「もう・・いい、か・・」
その声は上から冷たく聞こえてきた。
視線を上に上げ声の主に目をむける。
「・・・あ!」
クォヴレーの目に映ったイングラムは冷たく笑いながら後ろ髪を掴んできた。
「痛っ・・・!」
「・・・この前で懲りたと思ったがな・・」
「え?・・・あっ・・やめっ!!」
車の後部座席のドアを開けると力の加減をすることなくクォヴレーを放り込む。
「・・・つぅ・・!・・・あ!」
後部座席に押し込めると華奢な体の上に馬乗りになる。
「車でのSEXはこの前で懲りたと思ったが・・・?」
「ぁ・・ぁぁ・・イ・・イン・・イングラ・・ム・・」
「・・・で?なんだって?」
「・・・・?」
「俺を『大嫌い』だって?・・・俺が嫌いならばキャリコが好きということか?」
クォヴレーは左右に首を振る。
イングラムの怒りの態度が怖くてもう声が出なかった。
「キャリコが好きだからこの前も弁当作ってやったんだろ?」
今度は首を縦に振った。
「(キャリコは好きだ・・大好きな親戚のお兄さんだ・・ヴィレッタやスペクトラと一緒だ)」
心の中でクォヴレーは懸命に叫んだ。
しかしその言葉はイングラムまで届かない。
『キャリコが好きか?』という問いに縦に頷くクォヴレー。
イングラムは腸が煮えくり返った。
「そんな事は、許さない・・」
「イングラ・・ム?」
「二度とそんな事を言わないように・・体に俺をわからせてやろう」
「!!やだぁ!!・・・・あっ!」
イングラムは強引にズボンを脱がそうとする。
しかしクォヴレーも脱がされたくないので必死に抵抗をする。
「・・往生際が悪いな・・」
「くぅっ・・・!!あぁ!!」
クォヴレーは必死に抵抗したが最後には下肢に纏っていた衣服を
全て取り払われてしまった。
次に上に着ているものを取り払うと
「う・・うぅ・・・」
「・・・・・」
大きな体を後部座席に詰め込むと、クォヴレーの膝を乱暴に割る。
「!!ひっ・・!!」
乾いた指先が容赦なく後孔を嬲り始める。
「痛っ・・・くっ・・・ぁ・・やめっ・・」
まだ十分に解されていない孔に2本目を進入させる。
すると幼い体は痛みで跳ね上がった。
「やめてっ・・・やめっ・・ぅ・・ぅぅ」
「・・・・俺には触れられたくもないということか?」
「・・・・え?」
「・・・俺には触って欲しくないから『やめて』ほしいんだろ?」
「・・・・・・」
「キャリコに触って欲しいわけだ・・・お前は」
「なに・・何を言って・・?」
「お前、今さっき言っていただろ?キャリコが好きだと・・」
「・・・言ったけど・・あれ・・は・・!はぁ・・あっあっ」
『好き』だけど『好きじゃない』
そう言おうとした瞬間、下肢に甘い痺れが走った。
萎えていた分身をイングラムの口に含まれ愛撫され始めた。
「あっあっあっ・・・!」
恐怖で縮こまっていたはずなのに、
生暖かい口の中に含まれた分身は瞬く間に成長を遂げていく。
「・・・ふぅ・・・嫌いでも・・・ココは・・んっ・・感じるわけか・・」
「あっ・・あぁ・・!じゃな・・い」
「・・・・ふ・・ぅ・・?な、に?」
「嫌いなんかじゃ・・・くぅ・・・な・・あぁぁ!!」
性器から口を離すと今度は唾液とクォヴレーの先走った欲望で濡れた指を
後孔へ乱暴に突き入れた。
「んぁぁぁぁ!!」
「嘘をつくな!『大嫌い』なんだろ!?」
「んんぅ・・・ふっ・・・ぁ・・」
孔の襞をたどり、快楽の一番のポイントを重点的にせめられはじめる。
「あっ・・・んっ・・・ふっ・・!!」
その時、急に孔の圧迫感がなくなり甘美な刺激が消えていく・・・物足りない感じになるクォヴレー。
忌まわしげにイングラムを睨むと彼はそんな態度に嘲笑した。
「なんだ?物足りないのか?」
「・・・・ぅっ」
「・・・物足りないのであればキャリコに慰めてもらったらどうだ?」
「!!!」
「俺は嫌いだがキャリコは好きなんだろ?・・・車で連れて行ってやろうか?」
クォヴレーは頭を必死に横に振る。
目には涙が溢れイングラムを真っ直ぐに見つめる。
「俺の慈悲を待つつもりか?嫌いな俺の?」
「・・・じゃない」
「・・・・・・」
「嫌いじゃ・・・ない」
「『大嫌い』・・・なんだろ?」
「あれは!・・・イングラムが反省しないから・・腹がたって・・つい心にもないことを」
「何故俺が反省しなければならない・・・
自分の恋人が自分以外の男に作った弁当を何故俺が渡さなければならない?」
「・・・・・え?」
「お前にとっては俺もキャリコも同格なのかもしれないが・・・俺は違う!」
「・・・イングラム?」
「俺はお前を・・お前だけを愛している!他の男に弁当など作って欲しくはない!」
「・・・・・だから・・すり替えたのか?」
「ああ・・・結果的にお前を騙したことには変わりはないが・・だが俺は反省などしない」
「・・・ぷっ」
真面目な話をしているのに、急に笑われイングラムはピクッ眉をを動かした。
「何が可笑しい?」
「・・・くくくく・・イングラム・・お前・・子供か?」
「・・・・・」
「確かにキャリコは『好き』だ」
「・・・・・言うな・・聞きたくない」
「オレはヴィレッタもスペクトラもキャリコと同じくらい『好き』だ」
「・・・・・」
「でも、イングラムの事は・・その・・あ・・あ・・あ・・『愛・・している』んだ」
「!!・・クォヴレー?」
「オレは皆を『好き』だから弁当を食べてもらいたい。
イングラムを『愛している』から弁当を作ってやりたい・・それはいけないことなのか?」
「・・・・・」
「・・・イングラム?・・・んんっ」
熱い舌で口内を犯されクォヴレーの頭はボーっとなっていく。
「・・・ふ・・・んんぅ・・・」
「・・・いけないことじゃない・・」
「・・・ふぇ?」
「・・・だから、いけないことではない・・と言ったんだ」
「・・・?」
「すまなかった・・・痛かったか?」
「・・・イングラム」
彼の両頬に手を添えクォヴレーは優しく微笑んだ。
「・・・反省したのか?」
「ああ・・・お前に痛い思いをさせたことは、な」
「・・・・それだけか?」
「・・・キャリコの弁当をすり替えたのも・・・多少悪かった・・と思う」
「多少?・・もう一度言うが、オレが恋人として好きなのはイングラムだけだ。
だからもう二度とあんなことはしないと約束してくれ」
「クォヴレー・・・わかった。約束しよう」
クォヴレーは『約束』にニッコリと微笑むと、体をモジモジさせ頬を赤らめながら、
「イングラム・・・愛してくれないのか?」
「ん?俺はお前を愛しているぞ?」
「・・・そうじゃなくて・・・中途半端は・・辛いんだ」
「!・・・あぁ・・・わかった」
額に軽くキスをするとクォヴレーの脚を持ち上げていく。
スラックスのジッパーを下ろし・・・そして・・・
狭い後部座席でイングラムは眠るクォヴレーを膝の上に乗せ頭を撫でていた。
抱きしめているクォヴレーの脚の間には白濁した液がこびり付いていた。
「(自分がこんなに嫉妬深いとは思わなかったな・・・)」
「・・・・んっ・・」
「(こんな感情は初めてだ・・・
クォヴレー、恥ずかしいが俺はお前のことに対しては子供以上に子供になってしまう)」
「・・・・」
ハンカチでクォヴレーの体についた体液を拭きながら、
「(ずっと・・一緒にいてくれ・・・)」
眠るクォヴレーの唇にそっと唇を落すと、
イングラムもまた眠気に襲われ眠りについた。
〜数日後〜
「今度から何人かに弁当を作るときは変化をつけるな?」
「・・・変化?」
「イングラムがオレのことを疑わないように・・イングラムの弁当には『愛』をこめる」
「・・・・愛?」
「他の弁当には『好き』をこめる!・・・これならいいだろ?」
「ああ、最高だ・・・だがどうやって見分けるんだ?」
「梅干を2つつける!」
「・・・梅干を?」
「梅干でハートマークを作る・・・どうだ??」
「・・・ハートマークか・・・愛の印だな・・それでお願いする」
「了解した」
有り難うございました。
今回はイングが子供で
ヴレが大人でしたね。
たまにはこういうのもいいんじゃないですか???
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