IF・・・設定
イングラムが生きていて・・・という設定です。
週末まであと3日・・・・。
イングラムは「週末は駄目になった」と告げてから
クォヴレーと会話はおろかか顔すらあわせていなかった。
・・・・なぜなら微妙にクォヴレーが避けていたからだ。
〜あの子が拗ねる理由 中編〜
ふぅ・・・と小さくため息をつきながら、ウインナーにフォークを刺した。
フォークが入っている野菜スープはまだ具が沢山残っている。
ウィンナー、キャベツ、ニンジン、ジャガイモ、もやし・・・
どれもこれもが形を留めたまま器に残っている。
更に乗っているバターロールも一口齧った程度にかけているだけで減っていない。
トレイには他にもおかずがのっているが殆どが手付かず。
そう、クォヴレーは最近細い食が更に細くなっている。
何を食べても美味しく感じないので、大半は残していたのだ。
理由は分かっていた。
だがどうにもならないのだ。
いつもなら我侭を言って困らせたりはしない。
だが今回は『特別』な日だったのだ。
仕事ならば仕方がない・・・だが、覚えていて欲しかったのだ。
しかしイングラムは少しもそのことを覚えてはいなかった。
クォヴレーはそれが哀しくて、悔しくて・・・そして空しいのだ。
それ故にイングラムを避け、食欲も落ちてしまっていた。
フォークに刺したウインナーを見つめながらボーとしていた。
口に運んで食べなければ・・・そう思って口に運ぼうとしたその時・・・、
「・・・・昼が重なるとは珍しいな」
「・・・・(この声)」
頭上から聞こえてきた『声』は身震いしてしまうほど低く冷たいものだった。
自分の席の隣に静かに食事のトレイが置かれる。
『声』の主はゆっくりと椅子を引き、
クォヴレーの横に当然とばかりに腰を下ろした。
「久しぶりだな・・・」
「・・・・・・・・」
話しかけられても目を合わせなかった。
合わせれば彼の目線に射抜かれ、きっと逃げられなくなってしまう。
「(・・・部屋に戻ろう)」
目を合わせぬまま、席を立とうとした。
だが、強い力で腕を掴まれ立つ事を阻まれる。
「・・・・!」
恐怖を浮かべた瞳で彼を見れば、口端を歪め注意してきた。
「・・・ぜんぜん食べていないじゃないか・・駄目だろ?」
口角を歪め食事をしないことを責めるイングラム。
だが目は決して笑ってはいない。
「軍人は体力が基本だ。食事を残すことは許されない・・・食べろ」
「イ・・ング・・・・ぁっ」
ビクン!とクォヴレーの身体が動いた。
なぜならイングラムの手がズボンの間から忍び込み、
しりの間に潜んでいる孔の辺りを撫でてきたからである。
「・・・・っ・・・ぅ・・・」
公共の面前で駄目と分かりつつも、
それだけで熱くなっていくクォヴレーの身体。
やめて欲しくて目で訴えるが、イングラムの指は段々孔へ近づくばかり。
「食べるんだ、全部。残さず!・・・食事の後は俺と話をしよう」
「・・・・・っ」
クォヴレーは目を閉じ、頭を左右に振る。
だがイングラムの指が孔の入り口を撫ぜた瞬間
クォヴレーは大きく縦に頷くのだった。
「・・・かった」
「・・・・・・」
「分かったから・・やめろ」
孔を少し撫でられただけで火を灯す慣らされた身体。
これ以上触られてはとんでもない声を出してしまいそうで、
クォヴレーはイヤイヤながら食事を再開し、頷くしかなかったのであった。
「それでいい・・・お前は俺に従っていればいいんだ」
「!!」
高慢な台詞にキッと睨むが、
イングラムはそんな視線を感じないのか、
コーヒーを口に運び、昼食を食べ始めた。
クォヴレーがゆっくりと食事を取る。
するとそのペースに合わせているのか、
イングラムの食事のペースもゆっくりだった。
クォヴレーが食事のペースを速めてみる。
するとイングラムの食事のペースも速くなる。
「・・・・・・っ」
まるで子供のような行動が可笑しいのか、
クッとくぐもった声で笑われた。
チラリとクォヴレーを横目で一瞥し、
唇を噛みしめている『逃げる』方法を考えているらしいクォヴレーを罵った。
「・・・バカなことをしていないで早く食事を終えろ。
昼休みは短いんだ。・・・・話す時間が減るだろ?」
「っ・・・・」
言い返すために身体をイングラムの方へ向ける。
だが、彼は口元をナプキンで拭っていたので、
どうやら食事を終えたようだ。
そしてゆっくりクォヴレーの方へ向きなおすと、
軽やかな口調で促した。
「まだ残っているぞ、早く食べ終えろ」
「・・・・わかっている」
クォヴレーは残り僅かとなっていた昼食を流し込むように食べ終えると、
急いで席を立ちトレイを片付けにいく。
一方イングラムは席を立ち優雅にトレイを片付けに行き、
足早に食堂を出て行くクォヴレーを追うのだった。
「待て」
「・・・・・・・」
食堂を出たところで呼び止められる。
だがふり返ることはせず、急いで持ち場へ帰ろうとするクォヴレー。
流石のイングラムも『持ち場』までは追ってこないことを知っているからであろう。
だが、逃げようとするウサギは狩られるのが運命。
イングラムは今日こそクォヴレーを逃がす気はなかった。
「待つんだ、クォヴレー!」
「(待てといわれて待つやつはただのバカだ!)」
「クォヴレー!!」
早足で歩いていたのに、クォヴレーは腕を掴まれ壁に押し付けられた。
「うっ!!」
「・・・・待て、というのが聞こえないのか?」
肩を抑え、身体を密着させることでクォヴレーの退路を断つ。
唇が密着するほど顔を近づけ、低い声で威圧した。
「聞こえなかったのか?と聞いているんだ。答えろ」
「・・・聞こえていた」
「では何故足を止めなかった?」
「・・・お前と話すことなどオレにはないからだ」
頑なな態度のクォヴレーに小さくため息が出る。
頑固なところは一体誰に似たのか?
密着させた身体を更に密着させ詰問する。
「・・・・クォヴレー、まだ拗ねているのか?」
「・・・・・・・」
「お前も同じ軍人なら分かってくれるものと思っていた。
・・・・それは俺の自惚れか?お前はそこまで子供なのか?」
「オレは・・・子供ではない!!」
クォヴレーは子ども扱いされることを極端に嫌っている。
なまじイングラムのクローンという立場だけで気まずいのに、
さらに見た目が幼いことに反感を抱くネタとなっているからだろう。
「子供でないなら、大人なのであれば我侭を言うな。
拗ねて俺を避けて・・・どういうつもりだ?」
「・・・・・・イングラムは覚えてないんだな」
「・・・・・?」
「今度の週末は・・・・」
「クォヴレー?」
クォヴレーは唇を噛みしめた。
その先の言葉が見つからず押し黙ってしまう。
噛みしめた唇には血が滲み始め、それに気づいたイングラムが
きつく食いしばった唇に指を触れさせ、そっと撫で血液を拭った。
そして指についた血液を自らの口元へ運び舐め取っていく。
「・・・唇が切れてしまったな」
「・・・・・・・」
「・・・ここからだとお前の部屋が近いか」
「・・・・・?」
「お前の部屋へ行こう。切れた唇は俺が舐めて治療しよう。
・・・・話の続きも人気のない場所のほうがいいだろ?」
「オレの・・・部屋・・・?」
イングラムがクォヴレーの部屋へくる。
それは珍しいことではない。
だがクォヴレーはなぜか青ざめ、それを拒んだ。
「だ、駄目だ!!オレの部屋・・・駄目だ!!」
クォヴレーの『否定』に険しくなっていくイングラムの表情。
細い手首を掴み、無理やり通路を引っ張って
どこかへ連れて行こうと行動を起した。
「放せ!!」
「・・・何故駄目なんだ?」
「・・・・放せってば!!」
「放さない!・・・・お前の部屋が駄目な理由をこの目で確かめに行く」
「・・・駄目だ!!やめろ!!」
「・・・・・・・」
これ以上は無駄、と、イングラムは何も話さなくなった。
無言でクォヴレーを引きずるように歩きながら、
クォヴレーの自室へと向かい歩いていく。
クォヴレーは掴まれた腕を引っ張り何とか拘束を振りほどいた。
そして数メートル先にある自分の部屋へ急ぎ足で行くと、
扉の前に立ちふさがり(正確にはキーロックの場所)
イングラムの入室を阻むのだった。
「・・・退け」
「イヤだ!!」
「・・・どうしても?」
目を眇め、クォヴレーを見下ろす。
クォヴレーは必死に頭を左右に振りイングラムを拒む。
「どうしてもだ!!」
「・・・そうか・・・ならば」
顎を乱暴に掴み、強引に上へ向かせる。
「あ・・・っ!」
乱暴に唇を塞ぎ、絡め取ったクォヴレーの舌先に容赦なく歯を立てた。
「んぅ!!」
痛みに思わずクォヴレーの身体のバランスが崩れる。
その一瞬の隙をつき、すばやく暗証番号を入力し、
クォヴレーを脇に抱えて開いた扉の向こうへ身を滑らせた。
だが入った部屋はいつもと変わりなく、ガランとしているので
眉を顰めるイングラム。
一体何を必死に隠しているのか・・・・?
そんなことを考え油断していたのか、
わき腹に蹴りを入れられバランスを崩した。
「放せ!!」
「!!・・くっ」
イングラムの拘束から逃れたクォヴレーは一目散にベッドへ向かい走り出す。
そしてガバッとシーツを包み込むように抱きしめたのだった。
・・・・見ればシーツはこんもりと少しだけ膨らんでおり、
『何か』がある感じだ。
必死に隠すクォヴレーにゆっくりと近づいていく。
そして隠している『何か』を奪おうとするが・・・
「駄目だ!!」
身を丸め腹の下に『何か』を隠す。
「ソレを渡せ・・・、見せるんだ」
「イヤだ!!」
「・・・クォヴレー!」
「だめっ・・・・あ!」
ベッドがギシッ・・・と軋んだ。
背中に体温を感じクォヴレーは蒼白になる。
四つんばいになって『何か』を隠す姿は
性行為の時の体位に酷似しているのだ。
「俺に隠し事とはいい度胸だ・・・だがいつまで隠しとおせるか」
耳元に冷たい笑いの声が響く。
大きな手が太ももをネットリとなで上げ、
カチャカチャとベルトを外す音が静かな部屋に響いた。
「いつまでその態度が持つか・・・楽しみだな」
「・・・・・っ」
開かれたズボンの入り口から乾いた手が進入し、
身体の中心にあるモノを容赦なく掴んだ。
・・・・その瞬間、クォヴレーは目を閉じて耐えるしかなかったのだった。
有り難うございました。
さらに続きます。
・・・何故に裏なのか?
・・・・ブツを握られてますからねぇ・・・クォヴレー君は。
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