旋毛の秘密!?
 


〜クォヴレー君の挑戦?〜









リビングの窓の近くで携帯電話を片手になにやら話している恋人。
そんな彼を涼やかな目を煌かせて覗き見をするクォヴレー。
ゴクンと唾を飲み、そっと彼に近寄り後から抱きしめてみた。


「・・・!・・・ああ、そうだ。そうしてくれ」

電話で何かを指示しつつ、
イングラムは愛しそうにクォヴレーを見下ろしてくる。
指示を終えると急いで通話を終了し、
苦しいくらいに抱きしめてくるのだった。

「お前から抱きついてくるとは珍しいな」
「・・・そういう気分だったんだ」
「フフ・・・」

可愛いことをいう小ぶりな唇を性急に塞ぎ、
そのまま近くにあるソファーに押し倒すイングラム。

「・・!あ、ま、待て!!イングラム」

すると何故か慌てて身を捩りだすクォヴレーを、
少しだけ訝しげに思うが、
この状況で待ってやるほどイングラムは優しくない。
抗議する唇を再び塞ぎ、
そのまま美味しく美味しく数時間わたって頂くのだった。



















翌日、愛されすぎて重い身体を、
引きずるように起こしたクォヴレーは、
小さくため息をつく。

「はぁ・・・、昨日も失敗してしまった」

クォヴレーはここの所あることをしようとしては、
イングラムに近づき色々試しているのだが、
何も知らない彼はここぞとばかりに美味しくクォヴレーを食べにかかってくるのだ。
クォヴレーは眠気が取れない頭をプルプルふり、
何かを決心したように力強い眼差しに変えた。

「オレは諦めないぞ!・・・何か別の作戦で・・・・」

ウンウンと唸りながらクォヴレーはコレまでの作戦を振り返ってみる。
どの作戦も最終的にイングラムに食べられてしまうからダメだったのだ。

「・・・!そうか!なら最初から食べられてしまえばいいんだ!」

不意打ちを喰らうからわけが分からなくなってしまうのだ。
なら初めからそういうことをしていれば、
少しは理性が保てるはず!と、思いつく。

「よし!」

ベッドから抜け出し、床に落ちているイングラムの大きなシャツを羽織ると、
クォヴレーはイングラムがいるであろう居間へ向かうのだった。
















居間ではテレビをつけながら新聞を読んでいるイングラムが案の定いた。

「(今日は休みというのは本当らしいな)」

昨夜、閨の中でしきりに
『明日は俺も休みだからいつも以上に可愛がってやる』
と、何度も何度も挑まれたのは夢ではなかったのだ、と確信する。
クォヴレーがドアを開けると、
その音に気がついたイングラムが新聞から目線をあげる。

「ああ、起きたのか?おはよう」
「・・・・おはよう」

クォヴレーはゆっくりとイングラムに近づいていく。
心臓は信じられないくらいバクバクしていた。

「(お、おちつけ! オレ!!)」

手に汗を握りながら近づく。
そしてイングラムの前に立つと、
初めてセックスをしたときのように心臓がバクバクし始めるのだった。

「・・・(大丈夫だ。言うだけでいいんだ・・・よし)」

ギュッとこぶしを握る。
そして何故かキッと睨みながらクォヴレーは口を小さく開いた。

一方のイングラムは何か緊張したような感じのクォヴレーを不思議そうに見上げている。

「?クォヴレー??」
「イングラム!」

互いの名前を呼んだのは同時であった。
けれどその先の言葉を先に続けたのはクォヴレーである。

「エッチがしたい!!」
「・・・・・!!?」

思いもよらぬ言葉にイングラムがポカンとしてしまったのはいうまでもない。
しかも『エッチがしたい』というわりに、クォヴレーの表情は硬いのだ。
これは何かあるな?と疑ってしまうのはイングラムでなくともそうだろう。
だがそこは黒いイングラム。
瞬時にフーン・・・と考え、行動に移る。

「・・・セックスを、な。
 昨夜あんなにしたのに・・・、
 性欲が薄いお前にしては珍しいこともあるものだ。」
「そ、それは・・・・」

クォヴレーは焦った。
確かに普段は誘わない自分が誘ったら怪しすぎることこの上ない。
けれどここまできたらもう引き返すことも適わない。

「まぁ、いい。
 折角のお誘いだ、乗るとしよう。
 俺もお前も休みだしな・・・・、いつもと違うプレイを愉しむのも悪くない」
「・・・・え?・・・プレイ??」

セックスでプレイといえばコスプレとか縛りとか目隠しとか・・だよな?
と性の知識の乏しいクォヴレーにも分かっていた。
そういうイングラムの表情は黒く楽しげなものであるしきっとそうに違いない。。
タラリ・・・とクォヴレーの背中を流れていく嫌な汗。
この瞬間、作戦を誤ってしまったことに気がつくのだが、
もう後の祭りである。



















「っ・・・!あっ・・あっ・・・!!」

手を後に縛められ、目隠しをされクォヴレーは白い身体をクネクネ撓らせている。
両足の間にはイングラムの頭があり、
根を縛められている性器をただひたすらずっと苛められていた。

「・・・んぅ・・・ひぅ・・・!」

イングラムは口から今にも破裂しそうな性器を出すと、
ピンッと性器を指で弾いた。
すると先から滲み出している液体が四方に散らばった。

「・・・クォヴレー、いい加減に話す気になったか?」

クォヴレーが何かを隠している、とイングラムには手に取るように分かっている。
そのために普段は言わない言葉『エッチがしたい』を言ってきたのだということも。

「何の悪さをしようとしている・・・?クォヴレー?」
「・・・ぁ・・・何も・・何、も・・・ひぁぁぁ!!」

クォヴレーは頭を左右に振りながら必死にそれを隠そうとする。
その様子を面白そうに口端を歪め、
イングラムは熱い息を耳に吹きかけた。

「あぁぁぁっ!!・・・、ひっ・・み、耳・・は・・ダメだ!!」

耳たぶを舐められ、噛まれる。
その度に身をクネクネ捩じらせ、
イングラムの腹筋に当っているクォヴレーの性器から先走りが滲み出し、
腹筋を擦っては更に更に硬くなっていく。

「強情だな・・・、あと一回中を苛めれば素直になるか?」
「・・・!!やっ・・・あぁぁぁっ」

抵抗する間もなく、熱い棒が一気に奥まで突き上げてきた。
何度か受け入れ、イングラムの精液で濡れている体内は、
たいした抵抗もなく剛直を飲み込んだ。
そして、クォヴレーは一度としてイかせてもらっていない。
中を擦れらる快感は苦痛との戦いでもあった。

「あっあっ・・・!!」

イングラムの雄が心得ている中のしこりを執拗に嬲り始める。

「・・ひ・・・ぃ・・・う・・・っ!!」
「クォヴレー・・・」

イけない苦しさ、擦られる気持ちよさに思考回路がショートしていく。
生理的に浮かぶ涙の向こう側のイングラムはぼやけているが、
感じる快楽に眉を寄せているのは分かった。

「・・・クォヴレー・・・、言わないとまた俺だけイくぞ・・?」

足を抱え腰を律動させるイングラムの声は切れ切れになっており、
限界が近いことを教えてくれている。
イングラムが先に絶頂をむかえ、
自分がイけない喪失感はたまらなく嫌なものだ。
クォヴレーはその喪失感を味わいたくはない、
ない、が・・・今回は目的のために、
その目的を果たすまでは決して屈するわけにはいかない。

「か・・勝手、に・・イ・・イけばいい、・・だろっ!!
 このっ!・・あっ・・あぁ・・・人でなし〜!!あ、悪、魔!」

罵った瞬間、コレまで以上にイングラムが奥に挿入してきた。

「・・・ひぃ!・・ふ、深・・・あっ・・おかしく・・な・・」

ベッドの上、イングラムの下、
魚のようにビクビク身体を悶えさせているクォヴレーを、
イングラムは背に腕を回し強く抱きしめる。

「・・おかしく・・なればいい・・。
 一、番・・・奥に・・・種付けしてやる・・・っ・・!!」

耳元で囁くイングラム。
そして今までクォヴレーの開放をせき止めていた戒めを解くと、
何度か小刻みに突いた。
開放を阻むものがなくなり、クォヴレーは目の前がチカチカし始める。
奥を突かれ、絶頂は直ぐソコだった。
イングラムの手が性器に伸びてきて、指で先端を刺激される。


「あっ・・・ぅ、・・ぅ・・く・・・あぁぁぁぁっ」
「・・・・く・・、ぅ・・・」


クォヴレーが絶頂をむかえると耳元で低く呻く声が聞こえた。
どうやら限界に近い性器を中でギュウギュウ絞られ、
珍しく喘ぎ声が出てしまったらしい。
イングラムは咽を撓らせ天井を仰ぎ見た。
そして身体の奥に熱いモノが叩きつけられる。







二人はそのまま倒れこむように眠りについた。



















眠っていたのはどのくらいの時間なのだろうか?
窓を見ればまだ明るいので夕方より少し前くらいらしい。

「(・・・また失敗か・・・)」

どうやったらあの作戦を決行できるのか?
フゥ・・・とため息をつこうとしたとき、
クォヴレーは自分の腕の中の存在に気がついた。
行為の後は大抵イングラムがクォヴレーを抱きしめて眠る時が多いが、
ごく稀に、今回のようにクォヴレーが抱きしめて眠っている時がある。

「(め、珍しい・・・。残業続きで、昨夜もやって、
 今朝も朝からだから流石に疲れたのか・・・?・・ん?)」


その時、クォヴレーはあることに気がついた。

「(この体勢なら・・・)」

そろぉ・・と起こさないように慎重に腕を動かす。
そしてイングラムの後頭を撫でると、
目的の場所を人差し指でグリグリと押すのだった。

「・・・(やった!)」

クォヴレーは満面の笑みを浮かべると、
そのままギュ〜・・・とイングラムの頭を抱きしめる。
すると腕の中で微かなうめき声が・・・。

「・・・・レー・・・」
「ん?」
「・・・苦・・・、息・・・・」
「あ!」

嬉しさのあまり窒息するくらい抱きしめてしまったので、
どうやら起こしてしまったらしい。
慌てて頭を離すと、苦笑を浮かべてイングラムに謝った。

「すまない・・・嬉しくて・・・」
「・・・・っ・・・ごほっ・・・嬉しい?」

咳き込みながら状態を少し上に持っていき、
いつものようにクォヴレーを腕の中に収納すると、
不思議な生き物でも見るようにクォヴレーの顔を覗き込んだ。

「・・・人の旋毛をグリグリすることの何が嬉しいんだ??」
「・・・!!起きてたのか??」
「そんなことをされれば、余程の図太い神経でない限り目は覚める」
「!!そうか・・・そうだよな・・・」


恥ずかしい・・・と頬をピンクに染めるクォヴレー。
けれどイングラムの目はまだ疑惑に満ちている。

「で?」
「ん?何が『で?』なんだ??」
「・・・なんで俺の旋毛をグリグリしていた?」

するとクォヴレーの頬は更にピンクに染まっていく。

「そんなに恥ずかしい理由なのか?」

理由が分からないイングラムは益々疑問の眼差しを向けてくる。

「・・・恥ずかしい・・・出来れば知られたくないが・・・、
 知らないとイングラムも可哀想だから教える」
「・・・可哀想??俺が???」

小さくコクンと頷き、クォヴレーはイングラムの頬に手を添えた。
そして大真面目に説明するのだった。

「旋毛をグリグリすると、背が伸びなくなるのだそうだ」
「・・・・は?」

何の話だ?とクォヴレーの瞳を覗き込む。
だがクォヴレーの瞳は相変らず真剣そのものだった。

「お前の身長は可哀想だがもう伸びないということだ。
 旋毛をグリグリしてしまったからな。
 後はオレがお前に追いついて追い越せばいいだけだ」
「・・・・・・・」

クォヴレーの説明にイングラムは押し黙るしかなかった。
と、いうか噴出さなかったのが不思議でならない。
誰から聞いたのか知らないが、
『旋毛をグリグリすると身長は伸びなくなる』
という戯言をクォヴレーは信じているらしい。
そして常々気にしている身長の差を埋めるために、
イングラムの旋毛をグリグリしたのだろう。

「(ここ最近の積極性はそのためか・・成る程)」

イングラムはクォヴレーの頭に手を添え顔を近づけると、
触れるだけのキスを数回繰り返した。
そして唇を啄ばみながら、合間合間に言葉を発する。

「・・・残念だが、俺の歳になるともう身長は伸びていないぞ?」
「・・・・!!え?・・・んぅ・・・」

ついには深く口付け舌を絡ませるキスまでおっぱじめた。

「んぅ・・・ふ・・・・」
「・・・身長が伸びるのは大抵20歳までだろうな。
 ・・・そうか・・・だが良いことを聞いたな・・・」
「ん・・?・・・イイ・・・こと・・・?・・・ふぁ・・・」

キスが終わるとクォヴレーはいつもトロンとしてしまう。
体中から力が抜け、抵抗を奪われるのだ。
イングラムはそんな様子に黒い微笑を浮かべ、
いつものように頭を撫でてやった。
そしてその手は段々後頭部へ移動していき・・・・。

「俺としてはお前の身長はこのくらいが好きだ」
「・・・・?」
「・・・・旋毛・・・どこだ・・・?」
「!!?」

イングラムの手の動きが何かを探るようなものに変わっていく。
トロンとしていた瞳は、瞬時に熱が冷め、
慌てたように腕の中から逃れようともがき始めた。

「あ!!・・やめ・・・やめろ!!イングラム!!」
「俺に隠れてコソコソしていた罰だ。
 ・・・ああ、見つけたぞ・・・・フフフ・・・」
「ヤダ!!押すな!!触るな〜!!!」















その後、嫌がるクォヴレーの旋毛を何度もグリグリしたのは言うまでもない。
因みにその日以来、クォヴレーは本当に身長が伸びなくなり、
しばらくはドンヨリと落ち込んでいたそうだ。

「イングラムのバカ〜!!!お前のせいだ!!」
「(あれはただのハッタリだろ?
 伸びなくなったのはお前のDNAがそういう構造なんだ)」


だが涙のクォヴレーには口が裂けてもそんなことは言えない。
イングラムの腕の中でポカポカ殴りながら罵倒を繰り返しているクォヴレー。

イングラムは、「すまない」と謝りながら何度も優しいキスを繰り返すのだった。



こうしてクォヴレー君の挑戦は幕を閉じた・・・。


有り難うございました。 すこしだけラブラブのバカップルに仕上げてみました! いかがでしたでしょうか??