〜お仕置きの果てにある想い〜
「ヤダったらイヤだ!」
広い寝室、でかいベッド・・・・。
クォヴレーは大きなフカフカの枕をガッシリと抱きしめて
ベッドに片足を乗り上げてきている恋人を威嚇した。
イングラムに会うのは数週間ぶりであった。
それは彼が少佐であり、
また小難しい事件を抱えさせられてしまったため、
この数週間、イングラムは与えられている執務室で
寝泊りを余儀なくされていたからだ。
一度戦闘が始まれば
イングラムは部下を率いて指揮を執らねばならない。
いつ戦闘が起きるかも分からないので、
部下が宿舎で窮屈な生活を強いられているのに、
自分ばかりが帰宅するわけにもいかないのだ。
そんな時、イングラムは必ずメールをしてくる。
内容はどれも親が子供に送るようなものばかりだが、
彼と会えないクォヴレーにとっては、
メールがもらえるということだけで
心が満たされているのである。
そして今夜、状勢が落ち着き
イングラムは数週間ぶりに帰ってきたのである。
玄関で靴を脱ぐやいなや・・・・
真っ先にクォヴレーがいる部屋へいき、熱いキスを交し合った。
・・・・そう、そこまでは離れ離れになっていた恋人たちの
美しい再開のシーンであったのだ。
だが相手は夜になると豹変するあのイングラム。
キスでクォヴレーがトロン・・・となっているのを確認すると、
スルリ・・・と服の下に手を忍ばせてきたのであった。
服の下を蠢く怪しい気配にハッと覚醒したクォヴレー。
力の限りでイングラムを蹴りつけ、
傍にあった枕を抱きしめ己の身をガードしたのだった。
「・・・クォヴレー」
イングラムはフェロモンを撒き散らしながら、
自分の身体を完全にベッドの上へと乗せた。
フッと微笑を浮かべて徐々にクォヴレーへ手を伸ばしていく。
頭を大きく左右に振りながらクォヴレーは更に威嚇する。
・・・・時折、彼の流し目に負けそうになるが
それでも懸命に威嚇し「行為」を跳ね除け続ける。
「イヤだったらイヤだ!!ヤらない!!」
「・・・・・クォヴレー、抱きたい」
「駄目だ!!お前、疲れているだろ??」
「・・・まぁな」
「なら早く寝るべきだ!!そうしろ!」
「そうだな、早くお前と寝たい。
疲れているからお前を抱いて疲れを癒したい」
「!!???癒されるわけないだろ!!疲れを取るには睡眠だ!」
「俺の場合は睡眠よりお前とのセックスだ」
「!!!!!!」
ボボボボボボッとクォヴレーの顔は一瞬で火が付いた。
イングラムは相変わらず恥ずかしいセリフを
大真面目な顔でサラリと言ってのけるようだ。
「お前との語りあいが何よりの癒しとなる・・・だから抱かせろ」
フェロモンを垂れ流しつつ『ボディートーク』のお誘いをする。
真っ赤な顔のクォヴレーは小さく呻きながら
近づきつつある彼との距離を放そうと懸命にシーツを蹴っていた。。
「お前と語り合いたい・・・俺の疲れを癒して欲しい」
「・・・・・っ」
イングラムの細長い指がクォヴレーの頬を撫でる。
クサイ、と思いながらもイングラムの言葉は
いつもクォヴレーの心を嬉しくしてくれるものばかりだ。
だから頭を縦にふってしまいたくなる。
・・・イングラムに流されてしまいそうになる。
あと少しだ、と心の中でほくそえみながら
頬を撫で続けるイングラムであったが、
今回のクォヴレーは一筋縄ではいかなかった。
唇に唇を近づけ、互いの熱い吐息を唇で感じ始めたそのとき、
ハッと正気を取り戻したのだ。
そしてもう一度イングラムの溝に蹴りをくらわした。
「うっ・・・!!」
「駄目だったら駄目だ!!語り合いたいなら口でだ!!」
蹴られた腹を擦りつつ、クォヴレーを睨むイングラム。
そして大真面目な顔で、
「・・・ボディートークもしつつ語り合いたいんだ。
そうでなければ癒されない・・・俺は男だからな」
といったのであった。
イングラムの言葉にグッと唇を噛み締める。
船乗りが航海から帰ってきた後、女を求めるように、
戦場に行った男が女を求めるのは自然の摂理だ。
クォヴレーは女ではないが、イングラムの恋人だ。
求められれば嬉しいし、応えるようにしている。
だが、戦場から戻ってきたばかりの「求め」は別だ。
なぜなら・・・・、
「イヤだ!イヤだ!!帰ってきたばかりのお前は激しすぎる!!」
「イヤ」である理由を必死に叫ぶクォヴレーであるが、
着実にイングラムとの距離は縮まっていく。
「い、いつも激しいがそれ以上になる!!
身体でも言葉でもオレを激しく揺さぶる!!絶対にイヤだ!」
「だがお前は激しく抱かれるのが好きだろ?なら問題はないはずだ」
「オレはソフトが好きだ!」
「・・・・嘘はよくない。
ソフトで終わらせるといつも物足りなそうな顔をするくせに」
「そんなことない!」
イングラムがクォヴレーの腕を掴んだ。
枕を抱きしめていた腕を捉まれ、青くなっていく。
このまま突入されれば朝まで激しく貫かれるに違いない。
いや、ひょっとしたら朝までではなく
昼間まで放してもらえないかもしれない。
そんなことは絶対にいやなクォヴレーは
ブンブンと捉まれた腕を振り回した。
「は、放せ!!イヤだ!!」
「・・・ソフトで終わらせると自分から腰を揺らしてねだってくるくせに、
『イヤ』と言われても説得力がないな・・・、
『イヤ』といいながらもお前はセックスが好きなんだ。
そんなお前が数週間誰とも繋がっていないのなら、俺に抱かれたい筈だ。
・・・浮気していれば別だがな」
拒み続けるクォヴレーに腹が立ったのか、イングラムは冷く言い放った。
・・・クォヴレーが浮気することなどないと分かっていながら・・。
「そんなことしていない!!浮気などするわけがない!!
オレはイングラム一筋だ!!」
酷い言葉に頭に血が上る。
だがイングラムは顔色ひとつ変えずに言葉を続けた。
「なら身体がうずくだろ?お前も男だからな。
男なら恋人が傍にいるだけで疼くものだ」
「それは・・・!」
クォヴレーは慌てて自分の下半身を持っていた枕で隠した。
確かにクォヴレーは、彼が部屋に帰ってきたときに交わしたキスで
下半身に熱を持ち始めていた。
キスのテクニックに痺れて・・・というのもあるが、
なによりイングラムが抱きしめてくれたから反応しだしたのだ。
クォヴレーのあからさまな態度に、無表情だったイングラムの表情が綻ぶ。
プクッと頬を膨らませ、睨んでくるクォヴレーが可愛くて仕方ないようだ。
「酷いことを言ってすまなかった・・・」
優しく指をよせ、膨らんだ頬をしぼめさせようとなでる。
するとクォヴレーの表情もだんだん綻んでいった。
・・・互いに、仲直りしよう、と目で語り合ったのだ。
そして頬を撫でるイングラムの手首を掴み、呟いた。
「イングラム・・・一回だ」
「一回?」
「一回だけなら、いい。
一回だけだ、それなら・・・その・・」
「セックスしても良いと?」
「・・・・!・・・あからさまに言うな!!」
「ちがうのか?」
「あ・・・いや・・・その・・・いいんだが・・・そうではなくて・・」
「フフ、『セックス』という単語は恥ずかしいか?」
性に執着があまりなかったクォヴレーにとって『セックス』という単語は
酷く隠避で、なるべくなら口に出したくない言葉なのだ。
なのでコクン、と頷くクォヴレー。
「可愛い、な・・・本当に可愛い・・・俺のクォヴレー」
「イン・・・・・っ、・・・・」
唇を一瞬啄ばまれ、イングラムの唇は直ぐに首へと移動していた。
パジャマのボタンがあれよあれよという間に外され、
首筋を据われながら、胸の飾りが彼の指によって快楽を目覚めさせられていく。
「イン・・・!一回だぞ!!オレは・・・っ、・・・一回・・・」
「・・・あぁ・・・一回、な・・・分かっている」
「ふ・・・んんんん・・・・ぅ・・・」
クォヴレーはいつものようにイングラムの衣服に手を伸ばした。
するとそれが合図のようにイングラムはそれまでの愛撫をピタリと止め、
唇へのキスを開始し始めるのだ。
・・・・クォヴレーが自分の衣服を脱がせやすいように。
「んっ・・・ん・・・ふぁ・・・っ」
「・・・・クォ・・ヴ・・・レー?・・・まだ第二ボタンが・・外れてないぞ?」
「・・・んぅ・・・わ・・・か・・・ってる・・・んぅ」
震える手で、まだ外れていない第二ボタンを外しにかかる。
だがイングラムの舌技は巧みで、クォヴレーはキスに夢中になり、
指が動かせなくなっていく・・・・。
やっとのおもいでボタンを外し終えると、
肩から彼の服を脱がせていく。
肘まで衣服がおりてくるのを感じると、
イングラムは豪快に自分で衣服を脱ぎ捨て、
自身のベルトを緩め、クォヴレーの下半身に手を伸ばす。
「ふぁ・・あっ・・・あっ・・・く・・・」
クォヴレーの性器を数回しごき、指に先走ったモノをつける。
そして後ろにある蕾にゆっくりと挿入したのだった。
「んー・・・・、っ・・は・・・」
「・・・息を吐いて・・・そう。・・・ここだろ?」
「んっ!!・・・んーーーー!!」
グッ、と中の指があるポイントをついた。
背を撓らせベッドの上を飛び跳ねるクォヴレー。
立ち上がっている性器の先からは快楽の証が溢れんばかりに流れ出てきていた。
「んぅっ!んぅっ!!・・・もっと!・・・指・・・増やし・・・」
「・・・欲張りだな・・・ふふふ・・・久しぶりだからもう少し解さないと」
「やだ・・・やだっ!!・・・早く・・・」
腰をくねらせ2本目を強請る。
目を熱く潤ませイングラムを見つめながら。
あれほど『いやだ』とつっぱねていたのに、
なんと快楽に正直なのだろう、と苦笑するイングラム。
「相変わらずの豹変振りだな・・・?
まぁ、そこが可愛いんだが・・・。
だが『イヤだ』とつっぱねられていた俺としては少々不愉快だ・・・、
ここは少しお仕置きさせてもらおうか・・・・?」
「んっ・・・ん」
だがその言葉はクォヴレーには届かない。
強い刺激を求めてひたすら腰をくねらせていたからだ。
そしてやっと望んでいた2本目が入れられたのだった。
「あっ・・・!」
「・・・気持ちいいか?」
「やっ・・・いや・・・・あっ・・・」
「イヤ・・・?フフ・・・・、最高に『イイ』んだな・・・ん?」
「うん・・・ん・・・やだっ・・・あっ・・・」
身体の内側から湧き上がってくる快楽に耐え切れず『イヤ』と言うクォヴレー。
だがイングラムは知っている。
それは『イイ』の裏返しなのだと。
腰をくねらせ、クォヴレーはだんだん足を広げていく。
指による刺激で理性は吹っ飛び、
記憶の奥底に刻まれている更に強い快楽を求めていくのだった。
「あっ・・・あっ・・・イング!・・・インっ!・・も・・そろ・・そ、ろ」
「・・・欲しいのか?」
口端を歪めクォヴレーを見下ろす。
口が寂しいのか、自身の指を銜えながらクォヴレーは必死に頭を縦に振った。
緩めていたベルトを引き抜き、イングラムはジッパーを下に引く。
それを見ていたクォヴレーは頬を染め、ゴクンとのどを鳴らしたのだった。
イングラムが下着もろとも全ての衣服を脱ぎさった。
下半身に付いている性器は熱く膨れ上がり
クォヴレーを求めて先が怪しく光っていた。
「欲しいか?クォヴレー」
熱く腫れた性器を蕾に押し付ける。
だが挿入せずに先で蕾をグリグリと悪戯するだけだった。
「あっ?・・・早く・・!」
「・・・まだ答えていないぞ?・・・欲しいのか?」
「・・・んっ・・・欲し・・・」
「何が欲しい?」
「イングラム!イングラムが欲しい!焦らさないでくれ!」
「・・・フフフ・・・本当に豹変するな、お前は。・・・いいだろう」
クォヴレーの尻を抱えあげ、ズッ・・・と自身を埋め込んだ。
待ち望んでいたモノに歓喜の声をあげるクォヴレーと、
性器を内壁に包まれ待ち望んでいた痺れに眉を寄せるイングラム。
そしてそのまま一気にクォヴレーを突き上げた。
腰をイングラムに突き出しながら腰を振り続けるクォヴレー。
眉は切なげに中央に寄せられ、
飲み込みきれていない唾液が口端を流れてはシーツに落ちていく。
「あぁっ!・・・あぁっ・・・あっ・・」
「・・・・っ・・・ふ・・・・く・・・」
突き上げられ全身が甘く痺れる。
身体に力が入らなくなり、クォヴレーはシーツに顔を埋めた。
快楽で震えている指先でシーツを掴み激しい揺さぶりに身をゆだねる。
イングラムが中を動くたびにイイ場所を擦られ、ビクッと背が撓る。
そしてたまらない射精感が押し寄せ、解放を甘く強請り続ける。
「あっ・・・イく・・・も・・・イ・・・あぁ・・」
顔をシーツに預けたまま、後ろから犯してくる彼を振り返る。
イングラムも切なげな表情で限界が近いことを表していた。
際奥をグンッと突かれ、悲鳴をあげると同時にイングラムが圧し掛かってくる。
耳元で切なげな呻きをもらしながら緩々とクォヴレーの性器を扱き出した。
カリカリと先端を弄ると背をのけぞらせるが、
イングラムが覆いかぶさっているのでその動きは孔を締め付けるものに変わる。
「・・・うっ」
小さく呻きながら腰を細かく動かし続けた。
「あっ・・・あっ・・・」
クォヴレーは目を閉じ、腰をくねらせる。
「・・・・ふ・・・クォ・・ヴレー・・・俺は・・一回・・・イクぞ・・?」
「ふぁ・・・あっ、ぁっ・・・!!」
クォヴレーは腰を振った。
やっと激しい快楽から解放される。
今回は一回と約束しているのだから、この後はゆっくり休める筈だ。
そう思ってクォヴレーは最初から頑張って激しく応えていたのだ。
だが、クォヴレーは気付いていなかった。
イングラムが『俺は』と言っていたことに。
そしてしばらくの後、クォヴレーは孔の奥に熱い飛沫を感じた。
その刺激にクォヴレーも絶頂を迎えようとするが、
無常にもそれはイングラムに阻まれてしまったのである。
「ひっ・・・・」
根本を握られ絶頂を遮られる。
これほど苦しいことがあるだろか・・・・?
悲痛な叫びを挙げ、
解放を阻んでいるイングラムの手を叩いたり抓ったりと試みる。
だが「おいた」をすればするほど
根本を握る力は強まっていくのであった。
「は・・放し・・・放し・・・ひっ」
「・・・放したらお前はイってしまうだろう?」
「・・・苦し・・・っ・・放し・・」
「お前がイってしまったら一回が終わってしまう」
「・・・なに、・・・言って・・・?」
「お前は今回『一回』でいいんだろ?」
「・・・・・!?」
クォヴレーはいやな予感がして、覆いかぶさっているイングラムに振り返る。
するとイングラムは意地悪な笑みを浮かべていた。
「俺は一回では足りないから悪いがお前の射精は止めさせてもらった。
お前に射精されたら一回が終わってしまうからな」
「・・・うっ・・・うーー!!」
無常な一言にクォヴレーは身をよじる。
イングラムから逃れようと身をよじる・・・。
だがそうすればするほど中に入ったままのイングラムは大きくなり、
第二ラウンドへと準備を進めていくのだった。
「・・・そんなに腰を振って・・・誘っているんだな?」
「・・・違!!・・・放してくれ!!・・イ・・イかせて!!」
クォヴレーは腰を捩じらせなんとか逃れようとする。
だがそんな抵抗は痛くも痒くもないのか、
イングラムは余裕の表情で耳元で囁いた。
「・・・もう少し休みたかったが、仕方ない。
可愛いお前が誘ってくれているのだから応えないとな」
「誘ってなど・・・ひぁ!!」
「・・・お前が腰を振って誘うから俺も準備万端だ。
今度はどういう風に突いて欲しい?」
「ひ、人の話を聞け!!・・・あっ・・・動くな!!」
「・・・クォヴレー?・・・さぁ?どこをどう突いて欲しいんだ?」
「突、かなくて・・いい!!・・・イかせ・・・っ!!」
しかしクォヴレーがどんなに訴えても
イングラムは聞こえないふりをし続ける。
根本を戒めながら激しく突き上げたのだった。
「あーーっ・・・やっ・・・ひっ・・」
苦しくて、切なくて、目からは涙が溢れ続ける。
時折イングラムが涙を舐めては拭いてくれるが、
決して解放させてはくれなかった。
それでもクォヴレーは叫び続けた。
「イかせて!!・・・イ・・・イきた・・・い!!」
「・・・・・・」
「イ・・きたい!!・・・イっ・・!!うっ・・うーー」
必死の懇願もむなしく、戒めは解かれない。
それでもクォヴレーは叫び続けた。
・・・そしてせき止められる苦しさに声すら出せなくなっていく・・・。
肩を震わせ、口をパクつかせイングラムを見つめる。
「・・・っ・・・・っ・・・!」
「・・・クォヴレー?」
「・・・・っ・・!!っ!!」
「限界、か?」
クォヴレーは必死に頷いた。
早くこの苦しみから解放されたいのだ。
「イきたいか?」
「っ・・・!!」
クォヴレーは夢中で頷く。
だがイングラムは目を細めるばかりで根本を緩めてはくれない。
必死に頭を回転させ、クォヴレーは考えた。
いつも自分はこういうときどうしていただろうか?と考えた。
そしてある答えにいきつく。
イングラムがセックスでここまで苛めてくるのは、
自分が『拒んだ』時だけだ。
何時も何処でも自信満々のイングラムも、
クォヴレーには弱気になるらしい。
だから拒むとイングラムは信じられないくらい酷い仕打ちをしてくる。
解放させてもらうためにはどうすればいいのか?
回らなくなっている頭で考えに考え、
虚ろにイングラムを見つめクォヴレーは口を動かした。
唇の動きから『言葉』を読み取るイングラムだが、
微笑するだけで根本を揺るめてはくれない。
クォヴレーはもう一度唇を動かす。
『ス』
『キ』
しかしイングラムは微笑するだけだった。
苦しげに眉を潜め、身をよじる。
クォヴレーはまた考えた。
そして恥ずかしくてなかなか言えない言葉を
今度は言ってみる事にした。
『好き』で笑ってくれるなら、
この言葉ならば・・・と思ったのだろう。
『ア』
『イ』
『シ』
『テ』
『ル』
言い終えると同時にングラムの頬が薔薇色に染まり
嬉しそうに微笑んで優しく問いかけてきた。
「俺を、愛しているのか?」
「・・・・・・っ」
口をパクつかせ、クォヴレーは頷く。
「もう一度、言ってくれないか?」
「・・・・・・・・っ」
クォヴレーは必死に口を動かす、
だが全てを言い終えぬうちに、
イングラムの顔が視界から消えたのだった。
「っ、ふ・・・!!」
クォヴレーの爪先が何度もシーツを蹴る。
沢山の皺がより部屋中に苦しげで淫らな吐息が広がっていった。
イングラムの頭を抱きしめ、何度も腰を宙に浮かせては激しく捩る。
「んーっ、んー!!」
やがて、声にならない悲鳴をあげてクォヴレーはやっと欲望を解放させたのだった。
「んんぅ・・・・はぁ・・・」
喉をならし、やっと全てを飲み終えた。
イングラムの口に射精した後、直ぐにキスを施されたが、
彼の口からドロリとした苦い液体が移されてきたのだ。
自分が出した欲望を飲まされ、
クォヴレーは改めて自分がどれほど我慢させられたか悟ったのであった。
ぼけー・・・としていると何度も唇を啄ばまれる。
しばらくは応えないでいたが、
全ての余韻から覚醒し始め、舌を差し出してキスに応えだした。
「んっ・・・んっ・・・インッ・・・ん」
「クォヴレー・・・」
「んっ・・・イング・・・もぉ・・・んぅ」
「・・・もぉ・・・、なんだ?」
「・・・寝か・・・せて・・・?・・・・疲れ・・・た」
「もう?」
「・・・たくさん・・・我慢・・・した・・・疲れた」
「フフフ・・・そうだったな・・・だがもう少し・・」
「あっ・・・んぅ・・・」
イングラムのキスの嵐が止まらない。
酷い仕打ちをされた後はいつもこうなのである。
おそらく彼なりの謝罪なのだろう。
そして最後にもう一度唇を啄ばまれ、イングラムの唇が耳元へ寄せられた。
クォヴレーをスッポリと抱きしめ、優しく囁く。
「愛している」
「・・・・ん・・・オレ、も・・・」
「・・・愛している」
「うん・・・・オレ・・・」
「クォヴレー・・・」
「うん・・・・」
「クォヴレー・・・」
「・・・・・・」
返事が聞こえなくなると同時に穏やかな寝息が聞こえ始めた。
イングラムは優しく微笑を浮かべながら、
夢の世界の住人に向かってもう一度愛の言葉を囁くと、
華奢な身体を抱きしめながら眠りについた。
・・・数週間ぶりの自分の寝床と抱き枕(クォヴレー)に安堵し、
イングラムも穏やかな眠りを立て始めたのだった。
イングラムのお仕置きの果てにある想い・・・
それはクォヴレーに対する不安と、
伝えきれないほどの熱い想いがこめられているのである。
有り難うございました。
数週間会えなかった、という設定は必要なかったような・・・?
しかし、相変わらずクサイですね!イングラムさん。
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