愛妻弁当
 
*結構長いです*



〜イングラムのやきもち〜



公園の噴水の所で、
クォヴレーはプクッと頬を膨らませて座っていた。
頭には帽子をかぶり、
服装はというと、短パンにTシャツ、ジーンズの上着を着ている。
噴水の前を通る人、通る人、がクォヴレーをチラチラ見ていた。
とても華奢な体つきのうえ、帽子を深く被っているので、
ひょっとしたら女の子に見えるのかもしれない。
その証拠に・・

「ねぇ〜?かーのじょ?暇ならお茶でもど??」

と、ナンパの声が・・・
もう、ここ1時間ひっきりなしに誘われてきていた。
最初は丁寧に断っていたが、だんだん腹がたってきて
きつ〜く断り始めた。
どんな風に断ったのかは皆様のご想像にお任せしよう。
あえて言えば、相手はボコボコの姿で退散していったそうだ。

とまぁ、そんな風に断っていたのだがいい加減「彼」を待つのに疲れてきたので、

「・・おごりか?」
「え?・・そりゃもちろん!俺がおごるよぉ、君みたいな綺麗で可愛くて儚げな子
 滅多にお目にかかれないからねぇ。おごっちゃうよ!もぉーいくらでも!」

ナンパ男は肩を抱くと、いやらしい目つきで耳打ちしてきた。

「もちろん・・ホテル代も割り勘なんて事、しないよ?」
「・・・ほてる??」
「そ、ホ・テ・ル!・・・あれ、まさか君経験ないとか?」
「・・経験??」
「あれぇ・・マジないのかな?ラッキー!君みたいな子の初物いただけるなんて」
「・・はつもの・・??」
「大丈夫、俺上手いよぉ〜。んじゃ、早速行こうか?」
「どこにだ?」
「ん〜?ホ・テ・ル」
「・・オレは、お茶に付き合う、と言っただけだが?」
「へ?・・お茶??あ、うん、そうそう!お茶飲みにいきましょ〜!
 ・・・ん?・・・オレ・・・??君、男の子??」
「・・女の子だと言ったか?」
「・・言ってないね・・・へぇ男・・ふぅ〜ん」

男はジロジロと、上から下まで舐めるようにクォヴレーを見定めた。
その態度に眉を顰めるクォヴレー。

「おっけー、おっけー!男でもおっけー!
 君みたいな子ならいけるかも・・・ねぇ?」
「・・・いける??どこにだ??」
「そりゃー、もちろん、て・ん・ご・く」
「は?」
「ほら、行くよ」

細い手首をムンズと掴まれ、強引に連れて行かれそうになった。

「!!放せ!」
「・・今更抵抗?君、おごりなら付き合うって言ったじゃない?」
「オレは、お前と心中する気は、ない!」
「はぁ?心中??ぷっ!君面白いね!「天国」に行くって言ったから
 心中かぁ・・・あははははっ」
「・・違うのか?」
「当たり前でしょ?俺は死ぬ気なんてないよ。天国に行くって言うのは
 気持ちいいことしましょってこと。」
「きもちいいこと?」
「そ、下半身を使って、ね」

そこまで言われてクォヴレーはようやく理解した。
この男は自分を性的対象として見ているのだ。

「いやだ!放せ!!」
「だーめ。俺君のこと気に入っちゃたもん!ほら、もう大人しくしな!!」
「やだ!イングラム!!!」



「その汚い手を、その子から放せ」



「え?」
「あ!」


不意に聞こえてきた声にナンパ男は声がした方向へ振り返った。
そこには髪が肩まである長身の美形の男が腕を組んで立っていた。

「・・・あんた、誰?」
「・・・もう一度言う、その子からその汚い手を放せ」
「はぁ?冗談でしょ?あ!まさか、俺が無理やりとか思ってお兄さん助け舟?
 だったら必要ないよ、この子が俺に付き合うって言ったんだから」

男の言葉に長身の男の形のいい眉がピクッと動いた。

「・・・その子が?」
「そ!無理やりじゃないから安心しなよ。」
「違う!オレはお茶に付き合うって言ったんだ!助けて!!」
「・・・お茶に?」
「そうそう、だからお邪魔虫はあんたなんだよ?じゃ、行こうか君」
「やだ!イングラム!!助けて!」
「助けてなんて人聞きがわ・・・へっ?いたたたたたたっ」
「最後のチャンスだ、怪我をしたくなくば、俺のクォヴレーからその手を放せ!」
「へ?『俺の』?・・ん?その階級章は連邦の??しょ、少佐〜??
 し、失礼しました!!手を放してください!俺は退散します!」
「・・・ふん」
「さ、さよ〜なら〜!!」

ナンパ男は一目散にその場を離れていった。

「(ほっ)助かった・・・」

クォヴレーが安心して息をつくと、頭上から不機嫌な声がした。

「クォヴレー・・」
「・・・なんだ?」

あからさまに不機嫌な声で自分を呼んでくるので、
プクッと頬を膨らませ、男を見上げる。
不機嫌になりたいのはこっちなのに!と。

「お前、自分のしたことをわかっているのか?」
「(むっ)もちろんだ!バカにするな!」
「では、あの男についていってどういう目に合うかもわかっていたんだな?」
「・・・・それは・・・最初はお茶だけって言ってたから・・・」
「ふぅ・・お茶だけ、ですむ筈がないだろう?バカか?」
「(むっ)馬鹿じゃない!」
「いいや、バカだ!俺が来なかったらどうするつもりだったんだ?」
「・・どうにかなった!」
「ほぉ?・・どうにか?」
「なった!」
「・・・・・」
「だいたいお前が悪いんだ!」
「・・俺が?」
「約束の時間に1時間も遅れて!」
「・・仕事だ・・仕方ないだろ?」
「・・・それは、そうだけど・・」

納得がいかないというように、クォヴレーはキャンキャン吼えている。
反省の微塵も感じさせないその態度に、凄みを利かせた態度で、
恋人を見下ろし、冷たい笑みを浮かべた。

その態度にビクンッと身体を強張らせ、クォヴレーは後ずさる。

「そうかお前・・・あの男が欲しかったのか?」
「・・え?」
「だから俺に邪魔されて怒っているんだな?」
「・・え?」
「あの男についていく気だったんだろ?」
「違う!!」
「・・・どうかな?きっと俺があと1時間遅れていたら
 今頃お前はあの男とベッドインしていたんだろ?」
「イングラム!!」
「・・・とにかくここでは話が出来ない・・車で来たから乗りなさい」
「・・やだ!」
「・・クォヴレー!!」


華奢な腕を力強く掴み、ずるずると引きずるように車までひっぱって行く。
車は人通りの少ない、森の近くの道に止めてあった。
ドアを開くと、乱暴にクォヴレーを後ろの席へ押し込んだ。

「くっ」

車から出ようと身を起こした瞬間、イングラムも後の席に入ってきて、
身体を押さえつけられる。
そしてドアが閉まり、扉がロックされた音が聞こえた。

「あっ」

冷たい目でクォヴレーを見下ろすと、下肢を強引に毟っていく。

「や、やだっ!」

半ズボンを全て脱がされ、強引に足を左右に割られる。

「イングラム!?」

イングラムは何処に用意してあったのか、小さなビニールの袋を取り出すと、
それを口であけ始めた。

「な、に?それ?」
「・・ゴムだ・・」
「ごむ??」
「生憎、ローションは用意していないんでな・・・
 ココでは後を舐めるのも体制的にきついし・・
 ゴムのゼリーで解してやる・・・」
「!!?」

その言葉で全てを理解した。
車の中で犯す気なのだ!

「やだ!やだ!!どうして!?」
「・・男が我慢できないようだから・・ここで俺を与えてやる」
「!!?」
「ナンパ男について行くほど、飢えていたとは・・気づかなくて悪かったな?」

そう言ったイングラムの表情は少しも笑っていなく、怒気に満ちていた。

「まぁ、ここ最近すれ違いの生活が多くて相手をしてやれなかったからな・・」

そう、だから久しぶりに空いてる時間がそろったからデートしようということになったのに、
何故こんなことになるのだろう?とクォヴレーは目から涙が溢れ止まらない。

「・・何故泣く?ああ、嬉し涙か?そんなに男が欲しかったのか?」
「ひっく・・・イン・・・あっ!!あぁっ」

イングラムの指が後孔に乱暴に入ってきた。
コンドームを指にはめそのゼリーで濡れているとはいえ
久しぶりの情事なのでキツイことこの上ない。
しかしイングラムはたいして慣らさないうちにゴムをはめていない指も
後孔に入れ始めてきた。

「やぁ・・!!痛い」
「・・・・」
「イングラム!」
「・・・人通りが滅多にないとはいえ、あまり大声を出すと
 人に気づかれるぞ?俺はかまわないがな・・・」
「!!」
「ああ、でもどうせ抽挿の時の揺れで中で何をやっているかは外からバレバレ、か」
「!!やっ」

黒ガラスで中にいる人物が外から見えないとはいえ、
自分の恥ずかしいくらい大きな喘ぎや
イングラムの激しい動きで起こる揺れはごまかしようがない。

「でも仕方ない・・お前が我慢できないというんだから・・」
「そんな・・っ」

自分がいつそんな事を言ったというのか?
悲しい思いでイングラムを見上げる。
しかし彼は相変わらず冷たい視線で見下ろしてくる。
その間も休むことなく後孔は指でかきまわさてていた。

「んっ・・んんっ」
「・・そろそろいいか・・?」

指が抜かれ、変わりに熱く猛った雄が入り口にあてがわれた。
その大きさにブルリと体が震える。

「期待に満ちて震えているのか・・?」
「・・ちがっ」
「ではご期待に応えて激しく犯してやろう・・車が揺れまくるくらいに、な」
「!!!・・・・っっ!!」

貫かれた瞬間声にならない悲鳴をあげた。
車の狭い壁ではすぐに声が外に漏れてしまう。
それだけはいやだった。
なのにイングラムは容赦なく抽挿を繰り返す。
激しく突かれ、声を我慢するのが辛い。

「・・・んっイ・・イング・・」

何とか出そうになる喘ぎを抑えようと、クォヴレーは舌を差し出した。
しかしイングラムはその意図を察し

「声を抑えるためにキスしたいんだろ?ならしてやらない・・
 遠慮なく大声で喘げ・・俺の名を呼びまくれ」
「ふっ・・・ひっ・・く」

抽挿を繰り返しながら、イングラムは半ば勃ち上がったクォヴレーの性器を
ゆるやかに扱き始めた。

「!!ゃっ・・・ぁっ」

口に手をあて、必死に声を抑える。
だが容赦なく前も後も攻め立てられ、次第に理性は飛んでいった。
性器の割れ目を何度も親指の腹で刺激され
後孔の前立腺の部分を何度も何度も擦られ
頭の中は沸騰寸前であった。






そして、車の中だという意識は吹っ飛んだ。

「あーー!!ああ!!イングラム!」
「・・・・・」
「もっと・・・もっと・・もっと!!」
「・・・・・」
「好きだ!イングラムっ!お願いもっと奥に!」
「クォヴレー・・」

イングラムの背にしがみつき足を腰に絡ませ
自らイングラムの性器を奥へと導いていく・・。

「・・・くっ」
「ぁっ・・イン・・うっ」

涙の浮かんだ目で、妖艶にイングラムの顔を覗き込みながら
小さな口で「もっと」と呟く。


「たまらないな・・・その・・か、お・・くっ」
「イングラム・・好き・・好きだ」
「クォ・・ヴ、レー」
「イング・・・はむぅ・・・んっんっ」

彼の頬を両手でおさえ、口付けを交わす。
上顎を舐められ、ゾクンと脊髄から脳へと痺れが伝わっていく。
激しい口付けの間イングラムは一旦抽挿を止めた。

するとこれ幸いと、油断しているイングラムの胸板を押し
ドアに寄りかかる体制にした。

「!?」

ドアを背もたれにし、座っているイングラムの上に座るクォヴレー。
いささかきついのか眉を寄せた。

「・・クォヴレー」
「・・んっ・・奥・・気持ち・・いい」

彼の首に腕を回し、自ら腰を振り始めた。
淫らな喘ぎ声がイングラムの鼓膜に直接聞こえてくる。
その声は彼を興奮させるのに十分だった。

「あっ・・おっき・・くな・・た」
「ああ・・お前が色っ・・ぽいから」
「ふっ・・んっんっ・・」
「全く、何処、でこんなこと・・覚・・えた?」
「こんな・・こと・・って?」
「自分から・・上に・・乗って・・腰、振って・・淫乱だ」
「あっ・・オレを・・こんなに・・・し・・た・・は、お前」
「俺・・?」
「お前・・だから、淫乱・・なる・・うっ・・ん」
「・・・・」
「あんな・・男・・じゃ・・こう、ならない・・絶、対・・」
「だが、・・ついて・・いく気、だったんだろ・・?」
「違う!あっ、あぁ!お前が・・あんまり遅い・・から」
「・・・」
「お茶に・・誘われ・・・くぅっ・・だからお茶だけ・・お茶・・あぁぁ!!」
「・・・」
「あの、男・・じゃ・・やだ・・イングラム、がいい・・お前だけ・・」
「フフ・・俺の・・身勝手な、早とちり、だった訳か・・すまない・・
 酷い暴言を・・吐いた、な・・」
「イングラム・・・ちがう・・オレ、がバカだったんだ・・・
 いくら・・お前が遅い、から・・って・・ついてい・・こうとした・・オレ」
「・・じゃあ、喧嘩・・両成敗・・だな・・ぅっ」
「イングラム・・オレ・・オレ・・」
「もう、水に・・流そう。互いに・・そんなこと、より、集中して・・くれないか?」
「・・・え?」
「俺を・・もっと、気持ちよく・・してくれ」
「・・・っ・・わか・・た・・んっ」
「・・っ!!」

クォヴレーは首に回していた腕を解き、頬に手を添え、
額に、頬に、唇に、鼻に、目に
何度もキスをした。
彼の耳たぶを舐め、必死に腰を動かす。
イングラムもその動きに合わせ、クォヴレーを何度も何度も突いた。
いいところに当たると、たまらず喘ぎが漏れ、
その声はイングラムの鼓膜を直撃する。
乱れた吐息と、甘い喘ぎ・・
たまらず細い身体を力強く抱きしめる。

「そん・・なに、挑・・発、するな・・どんどん・・
 お前、がきつく・・なる・・」
「いい・・オッキイの・・・好き・・だから、もっと大きくなって・・?」
「クォヴ・・レー・・本当に・・淫、乱だ・・」
「お前の・・前で、だけ・・だ!んぁっ!」
「・・そんな淫らなお前を・・見るのも・・いいが・・
 だが・・もう・・そろそろ・・・」

両脇を掴み、再びクォヴレーを押し倒す体制に戻すと、
これで最後だ、とばかりに突き上げ始めた。

「はぁ・・!あぁ!!・・っんぁぁぁぁ!!」
「・・・・ふっ・・ぅ」
「あぁ!!・・・あぁぁぁ!!」
「くっ・・!!!」




乱れた吐息で、汗ばんだおでこにかかる前髪をかきあげると、
クォヴレーは幸せそうに微笑んだ。

「身体、痛くないか?」
「・・少し、痛い」

掠れた声で答えるクォヴレーに、本当にすまなそうに言葉を続ける

「車の座席では負担が大きかったな・・・すまない」
「大丈夫だ・・気持ちよかったし・・」
「・・・クォヴレー・・」
「何だ?」
「今回は俺の醜い嫉妬で・・その、すまなかった」
「・・・嫉妬?」
「公園に着いたとき、お前が見知らぬ男に着いていきそうなのを見て
 ・・・頭に血が上った・・・」
「・・?一体どの辺りから見ていたんだ??」
「・・初めから」
「え!?」
「脹れているお前に声をかけようとした時、あの男に先を越された」
「・・・・・」
「で、しばらく様子を見守っていたらお前があの男に腕を引かれてどこかに行こうとした」
「・・・・(むりやり引っ張られていたんだが)」
「そしたら、嫌がるそぶりを見せたので、助けに入った、というわけだ」
「・・・もっと早く声かけてくれればよかったのに・・・
 そうすればお互いいやな思いしなくて済んだ」
「そうだな・・・」

ぷぅとまた頬を膨らませ、彼を睨む。
苦笑しながらその頬に手を添えると、
クォヴレーは気持ちよさげに目を細めた。

「咽、渇かないか?」
「渇いた!」
「・・・これ飲むか?お茶で悪いが・・」

イングラムはペットボトルのお茶をクォヴレーに差し出す。

「飲む!・・・イングラム」
「ん?」
「口移しで・・飲ませて?」
「・・・フフ・・甘えん坊だな」
「イングラムにだけだ」
「・・そうか・・」







「あー!!」
「なんだ?どうした??お化けでも出たか??」

運転席でバックミラーを見ながら、後の席で横たわっている
クォヴレーに目をやった。

「・・・イングラム」
「何だ?」
「オレ、喘ぎまくってた」
「・・・は?」
「車の中で喘ぎまくってた!声、絶対外に聞こえてた!」
「・・・別に心配ないだろう」
「心配ある!ど、どうしよう??」
「・・・この車は防音だ」
「・・・え?」
「だから声は外に漏れていない」
「・・・えぇ?」
「まぁ、車は揺れてはいただろうが・・とりあえず声が漏れていた心配はない」
「・・・・・」
「だいたい・・」
「・・・?」
「俺がお前の可愛い声を第三者に聞かせるはずないだろ?」
「!!!!」

「うそつきー!!」
「・・・怒るな・・アイス買ってやるから」
「ケーキも買ってくれなきゃ許さない!」
「はいはい・・・ケーキも、な」


こうして無事?ふたりはわだかまりを解いたのでした。



ありがとう御座いました。 ちょっと?鬼畜なやきもちイングさん。 本当に怒ったら、車プレイでは済まされないんだろうな・・ それはまた、おいおい・・・(←??) インヴレ部屋へもどる