予定
 


IF・・・シリーズ?

イングラムが生きていて・・・という話です。
ヴレは彼の部下。










〜見えぬ予定〜










通路の幅が狭まった。
狭くなった通路を更に歩くと緑色の扉が見えてくる。
扉の色が緑なのはそこが緑地帯だからだ。
もちろん戦艦の所々に緑はあるが、それは限られている。
そのためその扉の向こう側のような緑一色の世界が作られているのだ。
疲れたときや一人になりたいときに寛げるように、と。


イングラムは緑の扉をゆっくり手前に押した。
重たい音とともに開かれる扉。
その向こうには青々とした木々と沢山の星空が見えた。
どうやらそこにいる人物が天井をシースルーの壁に変えたようだ。
目を凝らしいつも『彼』がいる場所に視線を送る。
するとお気に入りの木の幹にもたれかかる様に星空を見上げていた。



「・・・お前は本当にここが好きだな」
「・・・・・・・・」


問いかけにも『彼』は応えず、ただ星空を見つめ続けている。
見れば彼は上着も着ておらず薄着だ。
緑を保つためこの部屋の気温は低めに設定されている。
風邪をひいてはいけない、と
イングラムは自分の上着を脱いでそっと肩にかけてやった。

「肩も頬も手も冷たくなっている・・・。
 自然が好きなのはいい事だが限度も考えろ」
「別に・・・・」
「・・・・?」
「別に自然が好きなわけではない・・・。
 ただ・・・ここは独りになれて落ち着くから来るだけだ」
「クォヴレー・・・?」

発した声はどこか涙ぐんでいるように思えた。
しかもよく見れば目が赤いようだ。

「・・・・・・・」

クォヴレーは芯が強い。
自らの出生ののことも受け止めているし気にもしていないようだ。
しかしいくら強くても心は生まれたばかりの赤ん坊のように無垢だ。
それ故に心無い人間の一言に傷つくこともあり、
人気の少ないこの場所でよくうずくまっては
小さく肩を震わせているのをイングラムは知っていた。
そんな時イングラムは何も言わず、聞かずに、
ただ黙って傍にいることにしている。
だが今回は珍しくクォヴレーが口を開いたのだった。

「イングラム」
「ん?」
「人は・・・・」
「うん?」

かけて貰った白い上着をギュッと握り締め、
極力目を合わせないように下を向いて話を始める。


「人間は死んだらどうなるか知っているか?」
「・・・・・?死んだら・・・?」
「・・・そうだ。・・・知っているか?」
「そうだな・・・死んだら・・・肉体は灰か骨になるだろう。
 だが魂は天に昇り・・・・」

そこまで言ってイングラムはニヤッと口端をゆがめた。
そして顎に手をかけて自分へと向かせると、

「なんだ、お前・・・突然そんなことを聞いて」

と、意地悪く聞いた。
落ち込んでいる時にからかうのはご法度だが、
クォヴレーの場合、真面目に応えてやると、
考えすぎてよくない方向へいってしまう事もよくあるので
今回は不真面目に回答をしてみたのである。

「まるで死ぬ予定でもあるかのようだな・・・?」
「・・・・・!」

顎を引っ張り顔と顔を近づける。
熱い吐息を生々しく感じクォヴレーは思わず顔を赤らめてしまう。
だが、からかうようなイングラムの次の一言に今度は怒りだすのであった。

「あるのか?・・・死の予定が・・・・ふふふ」
「あるわけ、ないだろ!!」

バシッと顎の手をなぎ払い尻ずさって少しだけイングラムとの距離をとる。

「そうか、ないのか・・・それはよかった。
 お前に死なれたら俺も死ななければならないからな」
「・・・・え?」

イングラムが何を言っているのか分からずキョトンと首をかしげた。
目を細め微笑むイングラムは開いた距離を縮めながら
チュッと軽く唇を啄ばんでみた。

「当然だろ?お前あってこその俺だからな」
「・・・・・・・」

口付けで少しだけ濡れた唇に人差し指をあてそっとこじ開ける。
指で隠れている舌を悪戯し、より一層目を細めていく。

「んっ・・・ふ・・・・」

濡れた音とともに人差し指には飲みきれない唾液が伝い、
肩にかけてある白い上着の裾に落ちていく。
クォヴレーはイングラムの右手に両手を添え
必死に貪るように一心に指を舐め続ける。
まるで赤ん坊が母親の乳房を強請るかのようなその行動に
イングラムは少しだけ痛ましそうな表情をする。

「何があった・・・・?」

滅多にに甘えないクォヴレー。
滅多に泣かないクォヴレー。
そんなクォヴレーがこんな風な甘え方をしてくる時は
何か大きな不安を抱えた時だけだ。



こんな風な甘え方とは、

『抱いて欲しい』

と、いう甘え方の時だ。



気の済むように指を舐めさせながら小さな呟きで問いかける。

「何があったんだ・・・?」
「んっ・・・笑わ・・ないか・・・?」
「あぁ」

口から指を出し、頬にもっていく。
自分が濡らした唾液で汚れるが気にならないのか、
ほお擦りを続けた。

「大きな手だ・・・暖かい」
「・・・・・・・」
「血の通っている人間の証だ」
「・・・・・・・」
「人は死んだら魂となって三途の川を渡り死の世界へ旅立つのだろう?」
「・・・そういわれているな・・・で?何が言いたい、クォヴレー?」

心なしか、低くなっていくイングラムの声。
そして心の中で大きな溜息をつく。
やはりクォヴレーが落ち込む原因はソレなのだ。

「(今度はどこのどいつだ?俺のクォヴレーにいらぬことを吹き込んだのは)」
「人は死んだら魂となり死の世界へ・・・では彼らはどうなったと思う?」
「彼ら?」
「他の兄弟達だ」
「兄弟?」

クォヴレーの頬から手を離し肩へおいた。
小さい子に言い聞かせるような体勢で『兄弟』とは誰のことか、
と真剣な眼差しで聞くのだった。

「・・・何人か・・・死んだ・・・オレの兄弟・・・バルシェム」
「・・・・・・・」
「純粋な人ではいオレ達の魂は死後の世界へいけるのか。
 もしいけなかったらどうしよう、と。
 これから先、何年生きられるか分からないが、
 いつか死んだときに死後の世界の門を潜れなかったらどうしよう、
 と考えたら怖くなった・・・怖くなって・・・キリがなくなってしまった」
「何故怖い?」
「・・・・その世界にいけなかったら・・・
 オレは永遠にイングラムとサヨナラしなくてはならないからだ」
「・・・・・・・(馬鹿が)」
「そんなのは、嫌だ。・・・・悲・・・しい・・・寂しい」
「(・・・馬鹿というより・・・大馬鹿だ)」
「・・・イングラム?」

ギリッと奥歯を噛み締め、肩に置いた手に無意識に力がこもっていく。

クォヴレーは何も言わず黙りこくっているイングラムに不安が強まり、
悲しそうに顔をゆがめる。
だが彼の手が不意に自分の手を握り締め、
手のひらを開かせると自分の彼の胸へと近づけさせたのだった。
いつの間にか肌蹴られていたイングラムの裸の胸にクォヴレーは手を添えさせられる。

「・・・感じるか?」
「・・・感じる?」
「心音だ・・・俺の心臓の音、感じるか?」

そう聞かれ、クォヴレーは右手に意識を集中させた。
すると確かに手のひらから彼の心音をじかに感じることが出来る。
イングラムはクォヴレーの衣服の前をゆっくり肌蹴、
自分の胸を触らせている手とは反対の手で自分の胸を触るよう指示する。

「・・・どうだ?」
「・・・ドクドク言っている」
「お前の心音と、俺の心音に何か違いはあるか?」
「・・・・・ない。同じだ・・・同じように脈打っている」
「そうだろう?何故だか分かるか?」

クォヴレーはプルプル頭を左右に振る。

「・・・それは俺とお前が同じこの世に生を受けた人間だからだ。
 同じだから心音も同じ・・・生きている証。
 ・・・バルシェムも・・・他の兄弟も人間だ」
「・・・にん・・・げん・・・・」
「もう何度言ったかわからないぞ?
 お前もバルシェ・・ではなくほかの兄弟・・・
 キャリコやスペクトラも人間、だ。だから魂は同じ場所に行き着く」
「キャリコもスペクトラも・・・・・?」
「そうだ・・・。救ってやればいい。
 お前が断ち切れたんだ・・出来ないわけがない」
「断ち切る・・・糧を・・・オレたちは・・・人間・・・」

『人間』にフワリと微笑むクォヴレー。
いつもならフワリと微笑み返してくれるイングラムであるが、
今回はいつもとは違う態度が帰ってきた。


「・・・クォヴレー」
「?」
「分かっているとは思うが俺は何度も同じことを言うのは好きではない」
「・・・・」
「悩むことも大切だ、人間だからな。
 だが・・・今度もし『出生』のことでウジウジするようなら本気で怒るぞ」
「!?」

ハッとしたように顔を上げイングラムを見上げる。
その顔は本当に怒りを宿していてクォヴレーは内心慌ててしまう。

「ちがう!!ウジウジではなく・・オレは・・ただ・・・その・・・」
「あぁ、理解している。お前は死んだ後も俺といたくて悩んでいたんだろう?
 だが本当に『人間』と理解しているなら
 そんなくだらないことで悩んだりはしない筈だ」
「!!?」
「・・・そうだろう?違うか?」

見上げる目じりに涙があふれ、視界がぼやけていく。
イングラムのシャツにしがみつき必死に謝った。

「・・・すまない!!オレは・・オレは!!」


必死に謝るクォヴレー。
自分以外には誰にも見せない涙。
自分以外には決して見せることのない弱い部分。

知らず知らず緩んでいくイングラムの頬。

「今回は『死んだ後も一緒にいたい』という可愛い理由だったから多めにみよう。」
「・・・・え・・・・んむーーー!!!」
「ははははっ」
「ヒ・・ヒニュグ・・・ふひゃひへほ!!」

両の頬を抓られ引っ張られる。
少しは手加減しているらしいが、
痛みを与えることを忘れていない抓り方に
恨めしげに睨みあげた。

「ウルウルな目で睨まれても可愛いだけだ・・・」
「にゃ、にゃんだと!!・・・わっ」

ドサッ、と草の上に押し倒される。
抓られていた頬は赤く腫れ、ソレを愛しそうに撫でられた。

「生ある人間だということを嫌というほど分からせてやろう・・・身体に」
「んっ・・・・」

低い声が耳元で響く。
すでに声には色香が混じっておりイングラムが求めていることを感じた。





















「・・・・う・・・ぁっ・・・あ・・・」

すでに足には少しも力が入らなくなっていた。
イングラムの腕の力と、
もう一つの『支え』がなければきっと立っていられないだろう。
片足を持ち上げられ片方の足だけが地面についている。
内腿にはいくつモノいやらしい筋が出来ており、
ブルブル震えていた。

「イング・・・イング・・・」

ギシッ・・・と木の枝が音をたて揺れた。

「も・・・赦して・・・くれ・・・こんなの・・・やだ・・・」
「・・・やだ?・・・そんなわけないだろ?・・・いつもより感じているくせに」
「あぁ・・!!あぁぁ」

木の枝がギシギシ揺れる。
イングラムの律動に合わせ揺れているのだ。

「あぁ・・・よく絞まる」

耳元で感心するように息をつめるイングラムに、
クォヴレーはブルッと身体を震えさせた。

「よく絞まって・・・気持ち良いぞ・・・生きている、と実感する」
「ひぅ・・・う、んっ・・・・」
「お前も・・・突き上げられて、気持ち・・・よさそうだ」
「あっ・・・あ、んーー」

激しく頭をふる。
しかしイングラムに突き上げられればただあえぐことしか出来なくなってしまう。

「う、・・・うぅ・・・イング・・・腕・・・痛い・・・」
「じゃあ、もっと俺に溺れてしまえばいい・・・腕の痛みを感じないほどに」
「そん、なっ・・・あぁ!!・・・んっ・・んぅ」


今回クォヴレーは『お仕置き』と称されて、
どこに隠し持っていたのかロープで手を拘束され木に吊るされてしまった。
そして身動きがとれないクォヴレーの下半身を徹底的にいたぶったのである。
初めは手で、次に唇と舌で。
そして下半身がトロトロになった頃、木の葉で胸をいたぶられ唇で何度も吸われた。











『お前は胸で気持ちよくなれるだろ・・・?極めてしまえ』
『あ・・・あぁ・・・あぁぁぁ!!』
『あぁ・・・沢山出たな・・・気持ちよかったか?生を感じたか?』
『・・・あ・・?・・・あぁ・・・・、・・・うっ・・・』

射精して震えている体の胸にイングラムは再び木の葉で嬲り始めた。
するとイったばかりで敏感な身体は・・・、
正確には性器はムクムクと力を取り戻していった。

『フフ・・・極めたばかりなのにもう硬くして・・・何を期待しているんだ?』
『イ・・・イン、グ・・・お願・・・だ・・・』
『何を、お願いしたいんだ?』
『オレ、の・・・・に、・・・お前・・・の・・・で・・・お願い・・だ』

涙を浮かべた目で、イングラムに情けをくれるよう誘いかける。
フフ、という笑い声とともにイングラムは自身の前を寛げながら言った。

『片足を上げて待っていろ。孔が俺によく見えるように、だ』
『・・・・・っ』

クォヴレーは躊躇った。
体中を愛撫され、あまつさえ一度極めている身体では力があまり入らない。
それに足を上げ、孔を見せながら待ているなどと・・とてもでもないが出来ない。
だがイングラムは寛げた前まら出した自身を扱き着々と準備をしていた。
出す前からすでに十分勃起しているように見えたがまだまだ硬くさせる気でいるらしい。

『どうした?・・・早くしろ』
『う・・・うぅ・・・・』
『コレ、が欲しいのだろ?』
『欲し、い・・・・うぅ・・・』

真っ赤な顔でクォヴレーは片足を上げた。
足はプルプル振るえ、吊るされていなければ絶対に立っていられない。

『いい子だ』

クォヴレーに近づき、上がっている片足を腕の力で支え、
準備万端のオスを孔にあてがった。
ゴクン、と咽を鳴らすクォヴレーに微笑を浮かべながら、
イングラムは言葉で苛めることも忘れない。

『ヒクヒクしている・・・待ち遠しかったんだな?』
『い、う、な・・・あっ・・・んんっ』
『・・・・・っ』


そしてそのまま突き上げられ今に至っているのである。
吊るされた状態で何度も突き上げられ、最奥に飛沫を叩きつけられる。
クォヴレー自身も何度も欲望を放っていた。
そしてついには意識を手放したのだった。

「クォヴレー?」

意識を失っても手足はピクピク痙攣しており、快楽の深さを語っている。
イングラムはクォヴレーから自身を引き抜くと腕の拘束をとき、
吊るされていた状態のクォヴレーを木にもたれかけさせた。
頬を叩いてクォヴレーを覚醒させる。

「・・・ん・・・・ん、ぅ・・・も・・・ムリ・・・だ」
「わかっている・・・だからこれが最後だ」
「さい、ご・・・?」

掠れた声で虚ろにイングラムを見上げる。
薄目で捉えた先にはまだ勃起したままの彼自身が飛び込んできた。

「顔を上げて・・・手をここに・・・少し刺激するだけでいい」
「ん・・・・うん・・・・」

言われたとおり、顔を上げ、握らされた生気を軽く刺激する。
それだけでイングラムは性器を細かく痙攣させ
クォヴレーの顔めがけ欲望を放った。

「あ!」

生暖かい欲望に無意識に口は開き舌を出して垂れてくる精液を舐めていく。
もっと舐めたくて、握ったままの性器に唇を寄せたが・・・・、

「・・・また今度な」

と、止められてしまった。
ムッと口を尖らせるが確かにクタクタの身体では満足させることは出来ない、
としぶしぶ諦めるのだった。

「イングラム・・・オレ、立てそうもない」

クォヴレーはクテッとした身体と掠れた声で両手を伸ばす。
精液で汚れた顔をハンカチで拭ってもらい
再び白い上着をかけられて横抱きに抱えあげられる。
そしてフフ、と笑うイングラムに問いかけられた。


「生を実感できたか?」
「・・・・?」
「セックスは一番生きていることを実感できるだろ?」
「!」
「羞恥プレイなら尚更、な。どうだった?」

クォヴレーは顔を真っ赤にさせコクンと頷くしかなかった。
実際その通りだったからだ。

「感じすぎで・・・逆に死ぬかと思った」
「クククッ!それは俺も頑張ったかいがあるというものだな」
「笑いごとじゃないぞ!セックスに感じすぎて死ぬなんて冗談じゃない!
 死ぬ予定は無いのに、イングラムのせいで予定を通り越してそうなるところだった!」
「ククククク・・・」
「笑い事じゃない!」

掠れた声で怒鳴り続けるクォヴレー。
よしよし、と頭を撫でればさらに逆上をした、が、
イングラムはなんともない様子で
クォヴレーの部屋へと足を進めていくのだった。


有り難うございました。