〜動き出す時間〜
「クォヴレー」
「・・・ぁ・・な、に?」
激しい交わりを物語るかのように、
クォヴレーの体にはあちこちに白く濁ったモノがついている。
特に多い位置は太股の辺りでシーツはもうドロドロである。
イングラムは自身を後孔から引き抜くとクォヴレーに語りかけた。
時刻は朝の8時。
昨日公園まで散歩に出かけ、二人そのまま寝入ってしまったので
朝早く目が覚めたのである。
眠るクォヴレーをしばらく抱きしめていたがやがて目を覚ましたので行為に及んだ。
クォヴレーの目には生理現象から出る涙が溜まっている。
息を全力疾走した後のように乱しながらクォヴレーは返事をした。
一方イングラムは多少息を乱してはいるものの、
ちょっと動いたかなかな?程度の乱れ方である。
床に落ちている服を拾いその身に纏いながら
「今日、ヴィレッタが来る」
「・・・ヴィレッタ?」
「あぁ、お前が夏休みになっても約束していた本を取りに来ないので
どうしたのか?と聞かれた・・・」
「・・・・・」
「風邪を引いて寝込んでいると答えたら見舞いに来る、と言い出してな・・」
「・・・それで来るのか?」
親戚に久しぶりに会えるという喜びを表情に出したら、
無表情なイングラムの顔が近づいてきて、
「・・・分っているとは思うが・・・余計なことは一切言うなよ?
・・・もし言ったら・・・・」
まだ先ほどの交わりの熱で火照っているクォヴレーの頬を数回優しく撫でながら
「・・・一生部屋の中での生活、だ」
「・・・・・てる」
「ん?」
「わかってる・・・言わ、ない・・・」
クォヴレーの回答に目を細めて満足げに頷くと、
「おいで・・シャワーを浴びよう・・・気持ち悪いだろ?」
「・・・・うん」
「思ったよりも元気そうで安心したわ。はい、これ約束の本」
「・・・ありがとうヴィレッタ」
時刻は10時。
親戚のヴィレッタ・バディムが尋ねてきた。
3人はリビングで紅茶を飲みながらゆっくりと時は過ぎていく・・・。
「クォヴレーは少し頑張りすぎだものね。
これを機に少し休むべきだわ、ねぇ?イングラム」
「・・・そうだな」
「イングラム、あなた昨日から2週間休みを取ったのよね?」
「・・・あぁ」
「!?そうなのか!?」
ヴィレッタの言葉に寝耳に水だったクォヴレーは驚いて隣に座る男を見る。
その視線に気づきイングラムはチラッと目線が合せたがすぐに反らされてしまった。
「もう、決めたの?」
「あぁ・・決めた・・・」
「(決めた??なにをだ???)」
「いつ??」
「明後日には・・・」
「そう・・・どこ?」
「・・・海外・・・南の島だ」
「南の島ね・・いいんじゃない?」
一体2人は何の会話をしているのだろうか?
まったく話が見えてこないクォヴレーは
少しだけ頬を膨らませて目の前の紅茶に手を伸ばす。
そんな様子にヴィレッタは微笑みながら、
「クォヴレーも楽しみでしょ?」
「え!?」
「本当、よかったわね」
「・・・??」
「ヴィレッタ!?」
「なに??」
バツが悪そうに自分を制止してくるので、
ははぁーんという顔で、
「まだ言ってないわけね・・・」
「・・・そうだ」
「(言ってない??)」
「でももう言わないと遅いんじゃない?準備もあるし・・」
「わかっている・・・」
「(準備・・・??あ!ひょっとして・・・)」
クォヴレーは再び隣に座っている男をみた。
「(イングラム・・・あの人との結婚・・・決まったのか?)」
ツキンッ・・・と心臓が痛む。
動揺している自分に気づく・・・。
「(何故??どうしてだ??いいことだ・・おめでたいことだ・・・
でもなんでこんな・・・痛いのだろう??あんなにひどいコトされたのに・・
どうしてこんなに痛むのだろう???)」
「クォヴレー?」
「え?あ・・・なんだ?ヴィレッタ」
「大丈夫?顔色悪いみたいだけど?」
「・・・あ・・・平気・・だ。・・・その、まだ完治・・してなくて」
「そう・・?」
「うん・・・」
心配そうに自分を見ている目の前の女性に本当のことは言えなかった。
「(・・・オレは・・・イングラムを・・・?
確かにイングラムは・・家族として好きだけど・・・
ひどいコトされても・・・オレにはイングラムしかいないし・・・
小さい頃から・・・ずっと・・・・好きだけど・・・好き???)」
クォヴレーは三度(みたび)隣に座っている男をみた。
西端な横顔は相変わらず無表情であった・・・。
「(イングラムは・・・オレが嫌いなのだろうか?
嫌いだから・・・あんなことを・・・?)」
「クォヴレー・・・本当に顔色悪いわよ?
風邪引いてあんまり外に出ていないんでしょ?」
「・・・え?・・・あ・・・うん・・・」
「ダメよ。少しは日の光も浴びないと・・そうだわ!ねぇ?イングラム」
「・・・なんだ?」
「ちょっとクォヴレー、貸してくれない?」
「・・・クォヴレーを?」
「風邪とか・・病気に良いといわれている神社があるのよ、
そこに連れて行こうと思って・・・もちろん学業の神様もいるわよ?」
「・・・・外・・か?」
少し不機嫌な顔で次に言う言葉を考えるイングラム。
下手に断ればかえって怪しまれるかもしれない・・・
「わかった・・・そのかわり寄り道はしない」
「・・・あなたもついて来る気?」
「問題でも?」
「別に・・・じゃ、早速行きましょうか?クォヴレーもいい?」
外に今日も出られる!と
今考えていたことを一旦フリーズさせクォヴレーは満面の笑みを浮かべる。
「うん!行く」
隣に座っている男に目線を移すと、険しい表情でこちらを見てきた。
その瞳は
『余計なことは喋るなよ?』
と再度語っているかのようであった・・・・。
「あれ?クォヴレーじゃん!久しぶりだな〜」
神社に着くと境内を掃除している子供たちののうちの1人が話しかけてきた。
「アラド!!」
アラドは嬉しそうに近づいてくると、
「もう風邪いいのか?」
「え?・・・あぁ・・・うん・・・大分」
「そっか!心配してたんだぜ〜?10日も連絡取れないしさ」
「すまない・・・」
「あやまんなよ!病気じゃしかたないもんな!」
ほうきを片手に鼻を擦りながらへへへ・・とアラドは笑いかけてくる。
クォヴレーはひどくホッとした気持ちになった。
「クォヴレー、お友だち?」
「ヴィレッタ・・・そうだ・・・友達の・・・アラドだ」
「アラド?あなたが・・・そう、よくクォヴレーから話を聞いているわ。
私はヴィレッタよ。宜しく」
「宜しくっス!!・・・ところで話って??クォヴレーから何を???」
「あなたのおっちょこちょいぶりとかかしら?」
「げー!!」
どんなことを話したんだよ!と
厳しい目線を送ってくるアラドに微笑しながら、
「ところで・・・アラド・・・こんなところで何しているんだ?」
「ん?ボランティア?先生とここの神主さん知り合いなんだよ。
で、昼飯ご馳走になるついでに掃除を・・・」
「えらいわね・・・」
アラドとヴィレッタが話している間、
さっきから一言も話さないイングラムに目をやった。
クォヴレーの視線に気づきイングラムは頭を撫でる。
目を細めながらその行為を素直に受け入れた。
「(気持ち良い・・イングラムに触れてもらえるのはやはり好きだ)」
「なぁ、クォヴレー?」
「え?なんだアラド?」
「久しぶりだしさ、ちょっと話しねェ?いいっスか?イングラムさん!!」
「・・・ん?あぁ・・・30分くらいなら・・・」
「ありがとうっス!クォヴレーあっちの日陰行こうぜ」
「え?・・・だが・・・」
クォヴレーは焦った。
そしてイングラムに視線を送る。
「どうした?行って来い・・・」
「・・・いい・・のか?」
「あぁ・・・30分、だぞ?・・・それから・・・」
「・・・わかっている・・・ありがとう」
アラドに手を引かれながらクォヴレーは日陰へ移動していく。
口には出さなかったが・・・今日3度目の誓いだった・・・
『余計なことは喋らない』・・・と。
「それじゃイングラム、私たちは神主さんと話でもしてきましょうか?」
「・・・そうだな」
イングラムは日陰で楽しげに話している少年2人を数秒見た後、
ヴィレッタに続き神社の裏へとまわった。
「ふーん・・・やっぱりあの人結婚すんのかぁ・・・」
「ああ・・・」
「元気出せよ?結婚しても大好きなお兄さんにかわりはねーんだろ?」
「・・・うん・・・アラド・・・」
「ん〜?」
ジュースを飲みながらクォヴレーに返事を返すアラド・・・
しかし次の瞬間には噴出してしまった。
「アラドは・・・その・・・せ、性器が・・・硬くなったりするか??」
「ぶっ・・・」
「アラド???」
「あ、いや・・ごめん!!(いきなり何を言い出すんだよ!!)」
「まぁ・・・オレも男だし?・・朝なんかは・・・その・・・」
「・・・毎回・・・ぬ、抜かないと・・・その・・収まらないか?」
「ぶっ!!」
「アラド???」
「(本当にどうしたんだよ???)・・・そういう時もあるけど・・
朝のは生理現象ってやつだろ??ほっとけばそのうち・・・その・・」
「(生理現象・・・?でもイングラムは朝だけでなく・・・)」
「クォヴレー???」
「アレ、は・・・その・・・普通の時・・・例えば・・・ただ一緒にいるときでも
・・・その・・・か、硬くなったりするものなのか???」
「ぶぶー!!・・・げほっ(おいおいおいおい・・・どうしたんだぁ??)」
「アラド??」
「朝でも・・エロ本見たんでもなく・・・硬くなるのは・・・その人を好きだからじゃないの???」
「好き???」
「好きだから・・・その・・・エ、エッチ・・したくて・・・硬くなるんだろ??」
「・・・えっち???って???」
「へ?・・・それは・・・」
真っ直ぐに見つめられながら聞いてくるクォヴレーにアラドは心底困ってしまう。
だが、こんなことが話せるようになるなんてまた一歩親友というものになれたのかも知れない、
と喜ばしくもあるアラドであった。
「硬くなった・・・アレを・・・好きな人に中に挿れて・・・1つになる行為??」
「・・・ひとつ・・・挿れる・・・?」
「オレは経験ねーからよくわかんねーけど・・・エッチって頭が真っ白になるくらい
気持ちいいらしーぜ?」
「真っ白??」
「・・・クォヴレー・・・好きな子でもできたの??」
「!なぜだ??」
「だって・・・お前いままで『性』に無頓着だったじゃん?なのに・・急に、さ」
「・・・・・・・」
「想像したり・・・ちょっと触れただけで硬くなっちゃう相手いるんだろ??」
「・・・触れただけで・・・?
(・・・そういえばイングラムに触られるといつもすぐ硬く・・・
・・・ということは・・・・オレは???)」
ウリウリ・・・と肩を突かれながらクォヴレーは思案していた。
・・・・と、その時
「失礼、お嬢さん?」
「????」
「お嬢さん???」
「銀髪のお嬢さん」
「???銀髪???クォヴレー???」
「・・・オレ?(あ、この人・・・)」
その人物は目の前に現れた。
昨日自分達をおそらくつけていた人物である。
「(やっぱり見たことある・・・どこだっけ???)」
確かに以前みた事のある人物であった。
しかしクォヴレーは思い出せない・・・
思い出せずにその男をジーと見つめた。
「お嬢さんの・・・名前は・・・ゴードン?」
「(お嬢さん??)・・・ええ・・・そうですが?」
「あぁ・・・やはりゴードン中佐の・・・ふふふ」
「・・・パパ!?」
「お母様にそっくりな容姿だ・・・一目でわかった・・・
今日は素晴らしい日だ・・・お嬢さんに会えて、ね」
「・・・ママ!?・・・あなた一体!?え!!?」
額に何か冷たい金属が当たる・・・・
「ひぇぇぇ!!じゅ、銃????」
アラドはパニックになりながら叫ぶ。
その態度が気に入らないのか、男はアラドの腹に蹴りをおみまいした。
「ぐぅ!!」
「煩い子供は嫌いだ・・・俺は。さぁ・・・お嬢さん・・・一緒に来てもらう」
「クォヴレー!!」
「・・・紫の小僧・・・プリスケン中尉に伝えろ。ゴードン中佐のお子様は預かった、とね」
「・・・???プリスケン・・・中尉???」
「あぁ・・・今は少佐だったかな??とにかく伝えるんだ!いいな?」
アラドの溝に更に蹴りを入れるとアラドは力なくその場に崩れ落ち気絶した。
「アラド!!?くっ・・・放せ!!」
「静かに・・・俺は煩い子供は嫌いだ・・・」
「・・・放・・・!!ぐぅ」
腹を殴られクォヴレーは崩れ落ちる・・・。
男にしっかりと抱きかかえられる・・・。
男は満足げに笑うとさっさとその場を後にした。
この回で終わらせようと思ったけど
無理でした・・・・。
次で終わります。
プラス番外編1本で完全終了・・・の予定・・・。
しかしえっちなシーンがないねぇ・・・
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