〜序章〜
「クォヴレー、サッカーして帰ろーぜ!」
「・・・サッカー?」
「あ!何か用事あんの?」
「・・いや、5時までなら大丈夫だ」
「5時まで?あ、夕食の支度か?」
「・・ああ・・それでもいいか?」
「もちろん!みんなも今日は5時まででいいよな?」
「5時まで4時間もあるから平気だろ!んじゃ、行こうぜー!!」
ここは、とある学校の教室。
放課後男の子というものは運動場で何かしらスポーツをやってから帰る、
というのはいつの時代も変わらないのだろう。
1つ違うのはこの学校、
政府が運営している軍人を育成する学校
(もちろん中学・高校の勉強もする)であること。
「ふぁ〜・・もう4時半かぁ・・・そろそろ切り上げるか?皆!」
「そうだな・・・ほどよく汗もかいたし・・・」
「ジュースでのど潤してから解散といこーぜ!」
「さんせ〜!!」
「オレ、まとめて買ってくるよ!」
「俺コーラ!」
「俺も〜」
「僕、ウーロン茶ね」
「・・・はいはい・・と、こんなに1人じゃもてないな・・
クォヴレー手伝ってくれる?」
「・・了解だ」
「・・・これで全部かな?・・・あ、お前の分がまだか・・」
「・・・オレは・・いい」
「へ?咽かわいてないの?」
「・・・今月ピンチなんだ」
「・・・ピンチ?あ!金欠??」
「・・・ああ、あと500円しかない」
「・・・お前ってそんなに金遣い荒いの??」
「・・・アラドほどではない」
「・・・どうせオレは荒いよ!・・・んじゃ、何で??」
全員分のジュースをかかえながら、クォヴレーの親友アラドは
不思議そうに質問してきた。
クォヴレーは両親がいない。
それはアラドも一緒だが、
アラドは施設からお小遣いを毎月1万円貰っている。
普通なら小遣いなどもらえないが、
アラドは軍の学校に通っているので軍から小遣いが支給されるのだ。
一方クォヴレーは施設ではなく、とある親戚のお兄さんに引き取られたので
軍から小遣いはもらえない。
親戚のお兄さんに学費からなにからなにまで面倒を見てもらっているのだ。
「・・・何でといわれても・・」
「お前、月いくらもらってんの?小遣い」
「・・・3000円」
「3000円〜!?」
「・・・・」
「(オレより少ないなぁ・・あの人けちなのかな??)」
「あ、でも・・勉強に必要なものや昼代は別に貰っているから・・」
「・・・それにしても3000円は少ねーだろ??
あぁ!ひょっとしてだからお前よく領収書貰ってんのか!?」
「・・領収書貰わないと・・・清算してもらえない」
「・・ははは・・・15歳の癖に・・シビアだな〜・・」
気の毒そうにクォヴレーを見やると、アラドはニッコリ笑って
「ん!よし!!今日はオレが奢るよ!」
「え?」
「1人だけ飲まないのはやっぱ皆気まずいじゃん?」
「だが・・・」
「いいって!そのかわり今度レポート手伝ってくれな?」
「!・・・わかった・・ありがとう」
クォヴレーはアラドの行為を快く受け取った。
なにより、運動をした後なので本当は自分も何かで咽を潤したかったのだ。
「ふぇ〜!!クォヴレーって月3000円なんだ!」
「ああ」
「よく足りるな〜・・・」
「足りないときも、ある・・そういう時はお願いする・・」
「・・・くれんの?」
「理由がはっきりしていれば・・・」
「・・・俺、あの人苦手・・」
「なぜだ?」
「うーん・・なんか怖いイメージが・・偏見かなぁ??」
「偏見だ・・イングラムは優しいぞ?」
「・・お前にだけな気がする・・・」
少年達はそんな他愛もない話で盛り上がっていた。
草地に寝そべったりしながら勉強の事、好きな人のこと
など等・・・楽しい時間というのはあっという間に過ぎていく・・
「あ!・・噂をすれば影・・イングラムさんだ」
「え?」
ある1人の言葉に全員が校庭の入り口に視線を送る。
そこには、長身の美形の男がフェンスに背を預けこちらを見ている。
「クォヴレーのおむかえかぁ??」
ニヤニヤしながら1人がそう言うと・・
「そこまで過保護じゃねーだろ?なぁ?」
「ああ・・・なにか用事があるのかもしれない・・行って来る」
クォヴレーは腰をあげ、皆の輪から席を外し、校庭の入り口へと向かった。
「イングラム!」
「・・・・・」
「?」
「・・・・・」
不機嫌な?オーラを漂わせ、イングラムは少年を凝視する。
「そのジュース・・・どうした?」
「・・・え?」
「・・買ったわけではないだろう?お前今日財布忘れていったのだから」
そういうと、ポケットからクォヴレーの財布を取り出した。
「!!?・・・あっ」
「財布を持っていないのに・・どうやって買った?」
「・・・奢ってもらったんだ」
「奢って?」
「・・アラドに」
「・・あの子か・・・」
バツが悪いのか・・クォヴレーは彼と目を合わせることなく
俯いたまま黙り込んでしまった。
イングラムは、そんなクォヴレーの頭に手を置くと数回撫でた。
「?イングラム??」
「別に責めているわけではない・・・
ただどうしたのか気になって聞いただけだ」
「・・・・・・」
「俺は今日、もう仕事が終わったんだ・・一緒に帰ろうクォヴレー」
「!今日は早いんだな?」
「ここの所残業続きだったからな・・・たまには早く切り上げてきた」
「・・・ふーん」
「お前ともすれ違いの生活だったからな・・・寂しかったろ?」
「・・・平気だ!イングラムは仕事だからしょうがない」
「お前はいい子だな・・・久しぶりに外食するか?」
「うん!・・・あ、待って!皆に挨拶してくる」
「ああ、早くしておいで」
クォヴレーは嬉しそうに皆に帰ると伝えに行くと、
イングラムの元へ走って戻ってきた。
ご飯を食べ自宅に戻ってくると、クォヴレーは食後のお茶の用意を始める。
「何飲む?」
「緑茶がいいな・・・中華で胃がもたれそうだ・・」
「了解だ!・・・渋目がいいのか?」
「そうだな・・」
きゅうすにお茶ッ葉をいつもより多めにいれ、お湯を注ぐ。
それを数分おき、湯飲みについだ。
「はい、イングラム」
「ああ、ありがとう」
クォヴレーからお茶を受け取り2、3口飲むと、
優しく微笑みながらクォヴレーに向かい腕を伸ばした。
「クォヴレー・・おいで」
その言葉に嬉しそうに笑うと、イングラムの胸に飛び込んだ。
ここ最近すれ違いの生活が多く、彼と話すことじたい久しぶりだったので
この抱擁はたまらなく嬉しい。
ただでさえ、クォヴレーはイングラムにこうして抱きしめてもらうのが大好きなのだ。
「久しぶりの・・イングラムだ」
「そうだな・・俺も久しぶりのクォヴレーだ・・」
クォヴレーの顎に指を添え、上を向かせると、
そっとキスを落とした。
唇が触れるだけの子供だましのキスだが
クォヴレーにとっては毎回毎回大事件のキス。
「ふっ・・・んん」
唇を離すと真っ赤な顔で自分を見つめてくるウブなクォヴレー。
「オ、オレ・・お風呂沸かしてくる!!」
「ああ、頼む」
彼の腕の中から逃げるようにあわてて
脱出すると、いそいそと風呂場へ走っていった。
そんな様子を面白おかしく見守るイングラム。
彼の腕にはまだクォヴレーの温もりが残っている。
その腕を見つめながらイングラムは無意識にため息をついた。
「・・・ふぅ」
本当ならあんな軽いキスではなく、
舌を絡ませその舌をきつく吸い上げ
体から衣服を全て剥ぎ取り、
白い裸体に自分の印をいたるところにつけ、
熱い楔で貫いてしまいたいのに・・・。
「(だが・・まだ早い・・まだ)」
激しく犯し、何度も何度も貫き
小さな唇からは甘い喘ぎ・・・
イングラムはまた無意識にため息をつく・・・。
熱に潤んだ目からは涙が溢れ・・・
俺以外のことは何も考えられなくなる・・・
『許して』と懇願してきても
きっと自分はとまらないだろう・・・
犯したい・・・犯したい・・犯したい・・・
イングラムはクォヴレーを抱擁するたびに
その想いが強くなっていくのを感じていた。
序章ですので裏要素無しです。
ゴメンなさい!!!
気長にお付き合いくださいませ!!
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