殴られすぎたのか細い身体からはから少し血が流れ、
それが小さな雫となって冷たいコンクリートにポタリと落ちた。
鎖に繋がれた気を失っている少年の顎を取り、
冷たい唇にそっと唇を押し付けた・・・・。
〜愛執〜
『死んではダメだ!!』
泣いてはいないが鳴きそうな声でそう叫ばれたところまでは記憶に残っていた。
けれど次に目を覚ました時には『死んではダメだ』と、
そう叫んでいた少年がベッドに横たわる自分の手を握り静かな寝息をたてていた。
熱でまだ熱い自分の体温より握られた手は厚い。
子供だから体温が高いのだろうか、と思ったがキャリコは小さく頭を横に振る。
手の平に感じる少年の皮膚は汗ばんでいる。
握られた手が熱いのはずっと握っていてくれたからに他ならないのだろう。
「困ったやつだな・・・」
掠れた声でやや困ったような微笑を浮かべながら、
眠る少年の肩を揺すった。
「・・・アイン」
アインは小さく呻くと目をパチパチさせて起き上がっているキャリコを見つめる。
一晩魘されていたはずのキャリコがまだ多少顔色が悪いものの、
微笑んで自分の頭を撫でてきていた。
アインはベッドに乗り上げるとキャリコの頬に両手を添え、
額と額をくっつけて熱を計る。
「・・・・大分下がった・・・」
頬を擦りつけ身体を小刻みに震えさせてキャリコに抱きついた。
キャリコもまたそんなアインを抱きしめ返し、
心配かけたな、と耳元で小さく謝った。
「一体何があったんだ?」
切れ長の瞳を覗き込みながら不思議でたまらなかった疑問を投げかける。
アインもキャリコもバルシェムだ。
滅多なウィルスには感染などしないはずなので、
熱など大怪我などでもしないかぎり出さないはずなのだ。
けれどキャリコは熱を出した。
怪我などしていないのに熱を出したのだ。
アインはその事実が心配でならない。
ひょっとしてどこかに欠陥でもでてしまったのだろうか?
バルシェムにとって欠陥が出ることは処分を意味する。
「・・・考えごとをしていた。
俺は・・・こんなことを思ってはいけないのだが、
それが嫌なんだ。
どうしたら回避できるのか・・・、
考えて考えていたら・・・熱を出してしまった。」
キャリコの告白にアインの目はキョトンとなっていた。
「・・・それって知恵熱が出たということか?」
「そうともいうな」
薄く笑いながら頷くキャリコにアインはますますキョトンとしてしまう。
「・・・場所を選ばないで迫ってくるほどの図太い神経を持ち合わせているのに・・、
実は繊細な部分もあったということか・・・?」
「・・・アイン?」
確かに欲しいと思えば倉庫だろうがコクピッドだろうが、
アインを美味しく頂いているキャリコ。
そんな様子はあいんにとって図太いヤツという概念があるらしい。
「間違いではないが・・俺だって悩むことはある。
特に今回は・・・・・」
そこまでいうと何故か急にキャリコは言葉を止める。
どこか哀しそうな目でアインを見つめ、
小さくため息をつくと、
後頭に手を添えゆっくりと小さな唇に自分の唇を押し当てた。
「・・・・っ」
歯列をわり、忍び込んできた熱い舌にヒクリと反り返るアインの身体。
「・・・ん・・・・ん・・・く・・・」
濡れた音とともに、口端から二人分の唾液が落ちていった。
唇が離れるとアインは蕩けて潤んだ目でキャリコを真っ直ぐに見つめる。
キャリコもまたそんなアインを熱のこもった目で見つめ返していた。
その時、アインは蕩けた目をしながらもポツリと呟くのだった。
「・・・怯えているのか?」
・・・と。
「アイン?」
自信満々で高慢なはずの男が熱を出すほど何かに悩んでいた、
という事実がアインにその言葉を言わせたらしい。
「何に怯えているんだ?オレには・・オレには助けられないことか?」
「・・・・・」
「お前の怯えを・・・少しでも分かち合いたい。
お前を癒したい・・・お前が好きだから」
「アイン・・・」
アインは目を伏せるとそっとキャリコの首筋に唇を寄せた。
熱で唸っていたせいか少しだけ汗臭かったが、
アインは気にせず唇を寄せ続けた。
寝巻きのボタンを一つ一つ外し胸を開くと、
胸にある小さな飾りにむしゃぶりつく。
「・・・・・ぅ」
頭上で小さく呻くキャリコの声に感じていることを確認すると、
アインの唇は更に下へと下降していく。
ズボンの上から男の象徴に触れるる。
兆し始めているそれを優しく揉みしごけば、
キャリコが息を呑むのが気配で伝わってきた。
大きな手がアインの頭をやさしく撫でてきたので、
アインはチラリと目線をキャリコに向け、
小さな赤い舌をべぇ・・と出してみせ、挑発する。
「包み込んでやる・・・、お前の悩み事全部だ」
「・・・アイ・・・・ぅ・・」
ズボンと下着を下ろされ兆し始めていた性器がアインの口中へと導かれた。
「んっ・・・ん・・・」
唇全体で愛撫すればドクドクと脈打ち、ソレは硬く大きくなっていく。
やがて口で全体を咥えてbいることが困難になり、
後の宝玉を揉みながら棹を手で愛撫して官能を呼び覚ましていく。
「んっ・・んー・・・」
キャリコの呼吸が忙しくなるのを感じると、
性器の先の部分を何度も何度も吸い上げた。
先走ったものを吸い上げ飲み込み、
手で扱きながら性器全体を愛していく。
やがて髪の毛を強く掴まれると、キャリコで低く呻くのが聞こえた。
口の中の性器がビクビク震え最後のときを迎える。
数回にわたっての射精で液体が口の中はいっぱいになった。
髪の毛を掴んでいた手の力が緩むと、顎に手がかかり上を向くように即される。
アインはゆっくり上をむくと、幸せそうに微笑を浮かべた。
「零さないで全部受け止めたようだな・・・?」
キャリコの問いにこくんと頷く。
「・・・いい子だ。受け止めたものを見せてみろ」
続いた言葉にも小さく頷くと、アインは口を開けて受け止めたものを見せた。
「小さな口にいっぱいいっぱいだな・・・」
ニッと笑うキャリコがベッドの横にあるティッシュBOXを掴むと
それをアインに差し出した。
けれどアインは頭を左右に振って何かを抗議し始めるのだった。
「どうした?」
もちろんキャリコにはアインの行動の意味は分かっている。
だがあえて聞いているのだ。
「・・・アイン?」
アインは目に涙を浮かべながら『飲ませて』と訴えた。
「飲・・み・・たい・・・キャリコ・・・」
「飲みたいのか・・・?」
キャリコの言葉にアインは何度も縦に頷いた。
目を細めながらその様子を少し堪能したのち、
キャリコはそっとアインの咽に手を添える。
「・・・いいぞ・・・飲むといい」
そうして許可を出すとアインは嬉しそうに微笑み、
ゆっくりゆっくり受け止めたものを嚥下していく。
咽に触れたキャリコの手の温もりが心地よく、
飲み終えた後もアインはうっとりとキャリコを見つめ続けていた。
そんなアインの濡れた唇に再び唇を押し付け、
ベッドの上に押し倒す。
「・・・ん・・・キャリ・・コ・・・んぅ・・・」
「・・・アイン・・・」
キスを交わしながら細い身体を強く抱きしめる。
そして身体を弄りながら、熱く硬いもので突き上げ何度もアインに語りかけ続けた。
「アイン・・・俺のアイン・・・どこにも行かせたくない・・・」
けれど激しい動きにいっぱいいっぱいのアインにはその言葉は聞こえていなかった。
殴られすぎたのか細い身体からはから少し血が流れ、
それが小さな雫となって冷たいコンクリートにポタリと落ちた。
鎖に繋がれた気を失っている少年の顎を取り、
冷たい唇にそっと唇を押し付けた・・・・。
口移しで気付薬を与え瞼が震えたのを確認すると、
さらに深い口付けを仕掛けた。
「ふぅ・・・んー・・・んーーー!」
つながれた鎖がジャラジャラ音を立てて抵抗を教えてくれる。
けれど繋がれた状態ではたいした抵抗も出来ず、
キャリコは思う様唇を味わい続けた。
が、その時・・・。
「・・・・うっ」
なかなか離れない唇に業を煮やし、
捕虜である少年はキャリコの舌に歯を立てたのだ。
唇が離れると銀の髪を振り乱しながら懸命に鎖をジャラジャラ動かしている。
どうやらどうにかして外そうとしているらしい。
キャリコはそんな『アイン』の様子を前に薄く冷たい笑みを浮かべた。
「・・・っ!」
そのあまりの冷たい微笑みに、
『アイン』、クォヴレーは思わず息を呑んで動きを止めてしまう。
そして恐ろしく冷たい指が先ほどのキスで濡れた唇をたどったかと思えば、
フイに右頬に痛みが走った。
続いて左頬にも痛みが走り、乾いた音が冷たい牢屋に数回響くのだった。
「生意気な猫が・・・」
「うぅ・・・」
最後に一発、クォヴレーの頬を張るとキャリコはおもむろに下半身に手を伸ばした。
「・・・う・・・?な、なにを・・・」
「己の立場をわきまえていないようだからな。少し懲らしめてやろう」
「止めろ!!・・・う・・あ・・・あぁぁぁぁ!!」
下肢に纏っていたものを全て取り払われたと同時に、
足を抱えあげられ熱い何かが後を突き上げてきた。
「ひっ・・・あっ・・・あぁぁぁっ」
何の準備も施されていないその場所は内臓が引き裂かれているような痛みをもたらす。
流したくないと思っていても目からは涙が溢れ、
口からは悲鳴がひっきりなしに上がっている。
激しく腰を使われるたびに、
拘束している鎖がジャラジャラ音を立てていく。
クォヴレーは唇を噛み切り叫ぶことしか出来なかった。
「あぁぁっ・・・こ、こんな・・こと・・・」
「・・・ん?」
相当痛いだろうにそれでも口を開くクォヴレーに、
キャリコは耳たぶを舐めながら返事をした。
クォヴレーは耳を舐められるという行為にゾクッと身体を撓らせる。
「なぜ・・・殺さない?こんなこと・・して・・・っ」
「殺す・・・?」
腰を抱えなおし、可笑しなことを言う『アイン』に不適な笑みを浮かべる。
『アイン』は怯えた表情でキャリコの瞳を見つめていた。
何がおかしいのかキャリコはクォヴレーの耳元でクスクスと笑っている。
そして相変らず耳を舐めながら言葉をゆっくりと紡ぐのだった。
「俺のものだ、といっただろう?
それなのになぜ殺す必要がある?
それにお前も俺に死ぬなとあんなに言っていたではないか・・?」
「・・・・・」
一体何の話なのだろうか?
分からず動きを止めたキャリコを真っ直ぐに見つめる。
キャリコは何も言わないクォヴレーに舌打ちをし、
繋がったまま身体を反転させ後からクォヴレーを犯し始めた。
「!!!あぁぁぁーーー!」
暗い牢屋に濡れた音と鎖の音が大きく響いている。
「全て忘れてしまったというわけか。
まぁ、いい。これから時間はたっぷりとある。
少しずつ思い出させてやろう・・・お前は俺のものだ」
「ひっ・・・く・・・ぅ・・・ああっ」
「そして・・・俺もまたお前のモノだ・・・アイン」
首筋に唇を寄せて薄い皮を吸い上げる。
ビクビクと身体を震わせ、
キャリコから逃れようと懸命に身を捩るクォヴレー。
無駄な足掻きをするクォヴレーを再び繋がったまま反転させると、
頬を容赦なく2発3発殴った。
殴られた衝撃で脳震盪を起こしたのか、
ぐったりと動かなくなったクォヴレーの腰を抱えなおし、
腰の動きを速めていく。
そして最奥に自分の胤を撒き散らすとゆっくりと自身をクォヴレーから引き抜いた。
荒い息のまま弛緩した身体を抱きしめ、
意識のないクォヴレーに向っていたたまれない表情をしながらボソッと話しかける。
「だから行かせたくなかった。
お前が消えそうで・・・俺はあの時、熱を出すくらい悩んだのだ」
暗い牢屋に低く後悔の滲んだ独り言が静かに響いた。
キャリコの愛執はまだ始まったばかりである。
ありがとうございました。
書いてててなんだか自分でも分からなくなってきましたが、
まぁ、キャリアイ、キャリヴレの
エロロンが書きたかったからという事で(笑)
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