『・・・・ふ・・ぅ・・・んんっ』
『・・・腕が落ちたな・・・アイン?』
『ん・・・ぐぅ・・・うっ』
『・・・記憶がなくなっても身体は色々なことを覚えているというが・・・?』
『う〜・・・んっ』
『・・・お前は違うようだな・・ほら、もっと奥まで銜えろ!
・・・タイムリミットが近づいているぞ?』
『・・・キモチワルイ・・・ノドノ・・・オク・・・ニガイ・・・』
〜True Dream3〜
「・・・・う?」
目を覚ますと見た事がないような部屋だった。
殺風景な部屋で、横たわっているベッドの他には食事用の机と
バスルームの扉にトイレの扉・・・・。
窓はあるにはあるが鉄格子が嵌められていた。
服も代わっていて、入院患者のような服装になっていた。
重たい身体を起こし、部屋の出口と思われる扉まで千鳥足で歩いていく。
ドアノブは鉄製で触ると体の奥まで冷えてしまうような冷たさだった。
ドアをとりあえず押してみる・・・だが開かない。
今度は引いてみた・・・しかしドアは開かなかった。
「・・・・・?」
何故このドアは開かないのだろうか?
まだはっきりとしない頭で考えをまとめてみることにした。
「・・・オレは・・・?1人で街を歩いていて・・?
それで・・・あの男に会って・・・・?」
ズキズキと痛む頭を抱えながら順に思い出していく。
「・・・そうだ・・・船・・に放り込まれ・・・
それから・・・?それから・・・・!」
クォヴレーの体がブルリ震える。
「・・・あの男に・・オレは・・・」
「・・・目が覚めたのね?」
「!!?」
自分の体を抱きしめるように震えていると、扉の向こうから声が聞こえてきた。
だが扉は開いていない。
ジッと扉を見つめた後、自分の身長より高い所に
「覗き部分」があることに気が付き、そこに視線を合わせる。
そこから青い二つの瞳が覗き込んでいた。
クォヴレーが扉の向こうの主の質問に答えないでいると、
しばらくして扉は開かれた。
「・・・・・・っ」
「・・・・・・」
扉を開けたのはクォヴレーより幾分か背の高い女で、
肩まである青い髪・・・・
どことなく「あの男」に似ていて、懐かしい雰囲気を漂わせていた。
「・・・おかえり、でいいのかしら?アイン」
「・・・・・・?」
怪訝そうな顔で目の前の女を見上げる。
「と、いってもお前はここにいたときの記憶がないのだったわね?」
「・・・・・・・ここ?」
「ここはゴラー・ゴレム艦よ」
「!?」
「・・・私はスペクトラ・マクレディ」
「!!?マクレディ!?それに・・・スペクトラ・・・いつもあの男と一緒にいる女?」
「・・・そうよ」
スペクトラは無表情なままクォヴレーの腕を掴み、ゆっくりと言葉を続けていく。
「・・・お前が気絶している間に身体検査はすまさせてもらったわ」
「身体検査!?」
「・・・今は結果待ち・・それからお前が着ていた服は処分させてもらったわよ」
「!!」
キッと睨むと、掴まれた腕をなぎ払いスペクトラのむなぐらを掴んだ。
「勝手なことを・・・!あの服は艦長から貰った大切な・・・」
「だから?」
「え?」
「だからなんだというの?・・・艦長ってお前の仲間もどきの?」
「仲間・・もどき・・だと!?」
「なんにせよ、お前にはもう必要のないものと判断されたわ。
今頃はもう灰になっている頃よ」
「・・・・・っ」
『灰になっている』・・・・
クォヴレーは掴んでいたむなぐらから手を放し、改めて目の前の女を見上げた。
表情がないようであったが、瞳は大きく揺れ動き『悲しみ』を表していた。
『アイン』はいかなる時も、『感情』を表に出すことはあまりなかったというのに、
今は僅かだが感情を見ることが出来る。
『アイン』の意外な変化にスペクトラは多少驚いたが、顔には出さなかった。
「・・・お腹すかない?」
突然不意打ちを打ったような質問にクォヴレーは目を丸くする。
「・・・・え?」
「少しだけど食べ物を用意したわ・・・いらっしゃい」
「・・・・・・」
ついて来い、と立っていた扉の位置から少し身体をずらしクォヴレーを案内しようとしたが、
クォヴレーは1歩も動こうとはしなかった。
「アイン?」
「・・・・・」
スペクトラを睨みながら、部屋の奥へと後退していく。
「フフ・・・警戒しなくても何も入れたりしないわよ?」
「・・・・・・・」
「それに遅かれ早かれ『検査結果』を聞きに行く時は、
無理やりこの部屋から連行されるわよ?
ならその前に腹ごしらえはしておくべきだわ」
「・・・・・・」
「・・・いいから来なさい・・・他のバルシェムにも運がよければ会えるわ」
「・・・ばる・・しぇ・・む?」
「・・・『私達』のことよ」
無言でスペクトラを見つめ続ける。
どうするべきなのか・・・迷った末にスペクトラの後についていくことにした。
艦内はとても複雑に出来ていた。
案内してくれる人間がいなければおそらく出口にはたどり着けないだろう。
キョロキョロしながらスペクトラの背を追う。
見た事がない戦艦・・・・
なのにクォヴレーは何故か『懐かしい』を感じていた・・それに、
「(・・・あの女・・どこかであった気がする・・・)」
つれてこられた場所は食堂のようであった。
だがやはりどこか殺風景である。
「・・・ホットミルクでいい?」
「・・・・・・」
「何も入っていないわ・・・なんなら私が毒味しましょうか?」
「結構だ」
「そ?・・じゃ、はい」
「・・・・・・」
テーブルの上にはホットミルクとバターロールのようなパン、野菜スティックなどが並べられた。
「最近は食事も大分よくなったのよ・・・前は最悪だったけど」
どこか懐かしそうにクォヴレーを見つめながら語るスペクトラに、
警戒心むき出しの視線を向けながらホットミルクを口に運んだ。
「(あの視線・・どこかで・・・それもごく最近だ)」
頬杖をつきながら『アイン』を見守るスペクトラ。
「(・・・どこで・・?・・・・あ!)」
「・・・どうかした?」
「・・・いや・・・(・・・大尉だ・・ヴィレッタ大尉に似ているんだ)」
スペクトラを見つめながらホットミルクだけに手をつける。
そんな様子に苦笑しながら野菜スティックにスペクトラが手をのばした時・・・
「スペクトラ」
その声に恐怖で身がすくんだ。
クォヴレーは椅子から立ち上がると食堂から逃げ出そうと足を一歩踏み出した、が・・
「・・・何処へ行く?アイン」
「・・・・っ」
冷たい声で抑圧されその場に立ち竦む。
「記憶喪失のお前がこの艦をウロウロしたら迷子になるぞ?」
「・・・・・く」
からかうように言われ、声の主であるキャリコ・マクレディに険しい視線を向けた。
「キャリコ、アインの結果はでたの?」
「・・・いや、まだ」
「・・・結構時間がかかるわね・・・?で、アインが部屋にいなかったからお迎え?」
「・・・・あぁ」
「そぉ・・・フフ」
可笑しそうに笑いながら席を立ち、キャリコの肩に手を置くスペクトラ。
そしてキャリコの耳元でなにやらヒソヒソ話し始めた。
その光景を目のあたりにし、クォヴレーは再び「頭痛」と「声」を感じた。
『・・・・アァ・・・ア・・・ッ・・・・』
『・・・ク・・・・ウ・・・ッ』
それは艶めかしい男女の交わりの声だ。
声と一緒に「軋む音」がリアルに聞こえてくる。
ギッ・・・・・ギギッ・・・・ギシ・・・・と。
瞳の奥に絡み合う白い光が見える。
「女」は「男」の背に腕をまわし、しなやかに背を仰け反らせている。
「男」は「女」をしっかりと抱きしめ激しくベッドを軋ませている。
・・・絡み合う・・・青い・・・髪の毛・・・
『・・・・キャリコ・・・ハ、ウソツキ・・・カレラト・・・オナジソンザイ・・・』
「・・・ン?アイン?」
誰かの呼びかけにハッと我に帰った。
『アイン』と自分を呼ぶのスペクトラで、
キャリコはどこか機嫌悪そうにこちらの様子を伺っている。
「アイン、私は用があるから帰りはキャリコに送ってもらいなさい」
「!?(あの男に!?)」
「わかっているとは思うけど、今お前は自由に行動できる立場じゃないわ。
しばらくは誰かが監視につくからそのことを忘れないで?」
「・・・・・・」
「ふん!アインは監視されることには慣れているだろ?なぁ?」
「キャリコ!・・・とにかくゆっくり食べるといいわ・・じゃあ、また後でね」
スペクトラが去った後の食堂は重たい雰囲気が漂っていた。
仮面を外したキャリコは足を組みながらクォヴレーを観察している。
双方何も喋らないので、クォヴレーのホットミルクをすする音だけが響いていた。
そして何分か経った時、
「・・・食わないのか?」
「・・・・・・」
「毒など入っていないぞ?」
「・・・・・・」
「もちろん睡眠薬も、な」
意地の悪い笑みを口元に浮かべながらキャリコは野菜スティックを1本かじる。
ギロッと睨みつけながらクォヴレーはパンを千切り、口の中へ放り込んだ。
「そうだ・・・なるべく食べておくんだな」
「・・・・?」
「SEXは何気に体力を使う」
ガチャンッと持っていたマグカップを机の上に落とした。
ミルクが机の上に広がり、床に垂れていく。
「・・・・・っ」
「この後、俺の部屋に案内しよう」
「・・・何のために?」
「・・・もちろん、あの時の約束を果たしてもらうために」
「約・・束?」
「記憶を失う前、お前は俺に抱かれる、と約束した」
「!?」
信じがたい言葉に椅子から立ち上がり、キャリコを見下ろす。
机の上で肘を立てながらキャリコはクォヴレーを見上げた。
瞳の奥は欲望にギラついており、完全にクォヴレーを「獲物」として捕らえている。
ゴクンと音をたてながらツバを飲み込もうとする。
しかし口の中はカラカラに乾いてしまい飲み込むことが出来なかった。
「いい加減その約束を果たしてもらう」
「・・・・冗談じゃない!」
野菜スティックをつかめるだけ掴み、目の前の男に投げつけた。
「・・・うっ」
「そんな覚えてもいない約束を果たす義務はない!
お前に抱かれるなど・・・・絶対にない!」
「・・・・・・」
投げられた野菜を振り払い、
冷たくクォヴレーを睨むと、席から立ち上がり腕を伸ばした。
危機を感じ、食堂から・・キャリコから逃げるため走り出そうとしたが、
強い力で髪の毛を引っ張られ、キャリコの腕が腰にまわされてしまった。
ズルスルと引き寄せられ、髪の毛を引っ張られながら上を向かせられる。
「痛っ!」
「・・・・生え際も・・銀か」
「・・・・?」
「どうやらあの結果は本当らしいな」
「あの結果?」
「・・・一体どういうからくりなのかわからんが・・・こうも見事に色が変わるとは・・」
「???さっきから何を言って・・・ぐっ」
だが質問を終える前に、溝に1発喰らった。
ズルズルと腕の中に倒れこむように気を失う・・・・。
意識のないクォヴレーを抱き上げるとキャリコは部屋まで連れ帰った。
部屋に着くと、ベッドに寝かせ腕を縛り上げ、ベッドに繋いだ。
上着のボタンを外し、左右に開く。
ピンク色の突起を舌で数回玩ぶと、コリコリに硬くなった。
首筋に吸い付き、赤い鬱血を残す。
反対側にも跡をつけようと首筋に唇を寄せる。
すると小さく体がビクついた。
そして体のある部分にある「ソレ」に指を這わせる。
何度も何度もなぞり、表情は険しいものになっていく。
「・・・オリジネイターの刻印」
そうキャリコがいま撫でているのは「オリジナルの証」だ。
「バルシェム」にとってもっとも忌むべき存在・・オリジネイター。
「ソレ」が「アイン」に取り付き「刻印」を残した・・・。
「アイン」は最もオリジナルに近い「存在」になった。
それが検査の結果であった。
その結果を聞いた時、背筋に冷たいものが走った。
「アイン」は、やはりもう「アイン」ではないのだと思いしらされた。
冷たい視線で、クォヴレーの首に手を伸ばす。
「・・・(力をこめれば・・・死ぬ)」
だが指先は震えるだけでどうしても力をこめられない。
自分に愕然としながらキャリコは笑いが止まらなかった。
「フ・・・クククク・・・ハハハハハッ・・・・
憎い存在なのに何故だ!?何故俺は殺さない!?」
気を失っているクォヴレーを睨みつめる。
脳裏に初めて「アイン」が「男」に奉仕している場面が思い出された。
なんでもないというふうに装いながら、吐き続け震えている小さな体。
お菓子を与えれば頬を赤らめはにかむ・・・アイン。
アインが自分以外の誰かに抱かれたと知ったとき、胸は嫉妬でいっぱいになった。
「・・・お前が小さな身体で必死に1人で耐え、震えている姿・・・いじらしいと思った」
首に回した指を外し、下肢に纏っているものに手を伸ばす。
「・・・愛しい・・・と思った・・・おそらく・・あの時から」
下肢に纏っているものを全て取り払うと、そっと内股に口付ける。
小さな身体はビクンっと揺れ、小さな声が漏れた。
「・・・・守ってやりたかったんだ・・・本当は・・・アイン」
反応を示していない性器を両手で握り、口の中へ導いていく。
「・・・・ん・・・ぅ」
艶めかしい声が頭上から聞こえてきた。
「・・・オリジネイターをお前の中から追い出し、お前を手に入れる」
ゆっくりと口淫を施し、クォヴレーの身体を熱くしていく。
まだ意識は戻っていないが、キャリコの口淫に合わせクォヴレーの体が震え始める。
「・・・ぁ・・・ふ」
「・・・アイン・・・愛している・・・お前は俺のものだ」
「あっ・・・んっ・・・ふ・・」
モジモジと身体を動かし、足をバタつかせる。
意識がないせいか動く力は微微たるもので、
太股を押さえられるとクォヴレーは抗えなくなっていく。
「んー・・・んっ」
「・・・早く目を覚ませ・・・アイン・・・そしたらたっぷりと俺を刻み込んでやる・・。
二度と俺を忘れることのないように・・・・」
薄暗い部屋の中・・・僅かなベッドライトの明かりに白い身体は照らされ妖艶に映っていた。
クォヴレーが身体をしならせるときに軋むベッドの音と、
クォヴレーの性器を愛撫する淫らな愛撫の音だけがその部屋を支配していく・・・・。
有り難うございました。
だんだんエロティック?になれたらいいな!と思ってます。
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