〜True Dream9〜






キャリコと面立ちが良く似たその男は、
ニコニコと笑ってクォヴレーを見ていた。
一体どういうつもりなのだろうか?、と
不機嫌な顔でミルクの入ったカップを啜りながら
その男に険しい視線を送り続ける。

野良猫のように警戒心むき出しのクォヴレーに、
「プッ」と笑いながらメムは話しかけた。

「・・・アイン」

「前の名前」で呼ばれると、更に警戒心むき出しを露にする。
メムはやれやれ・・・と肩をすくめ、
クォヴレーに向かい長い腕を伸ばす。

「(殴られる!?)」

と、そう思ったが、目の前の男はクォヴレーの頭を優しく撫でただけだった。

「??????」

息を呑み、メムを見る。
メムの意図がまったくといってよいほど読めないクォヴレーは
困惑して険しい表情から、豆鉄砲を食らったような顔になってしまった。

「・・・そんなに警戒するなよ、アイン。
 もうとって喰ったりはしないからさ・・・・」
「・・・・(もう??)」

『もう』とはどういう意味なのだろうか?
ますますクォヴレーは目の前の男がわからなくなっていく。
そんな様子に、どこか寂しげな表情を浮かべたメムは、
クォヴレーの頭から手をどけて、小さくため息をついた。

「・・・本当に何もかも忘れてしまったんだな」
「・・・・・・・」

天井を仰ぎ、メムはゆっくりと、目を閉じてみる。
最初に『アイン』に手を出したのはいつだっただろうか?

「(そう・・確か通路で研究員たちとすれ違って・・・)」

メムは改めて目の前の少年、『クォヴレー』を見た。
見た目は確かに『バルシェム』だ。
自分と顔立ちが似ている。
違うところといえば「髪の色」だろうか・・・。
『アイン』はもう『アイン』ではない。
『アイン』が『アイン』でなくなってしまった理由の一つは・・・

「(俺のせいなんだよな・・・、『アイン』がすべてを忘れてしまったのは)」

再び天井に視線を移し、目を閉じた。
あの時、『アイン』が『ギメル』の部屋に行くのを少しだけ遅らせていたら、
任務を譲るのを止めていたら・・・、
『アイン』はどうなったのだろうか?
と、メムは考えずに入られなかった。

「(結局、俺もギメルも・・・自分のことしか考えてなかったんだよな。
 アインの気持ちなんて二の次だったんだ・・・だから、アインは・・・)」

一言もしゃべらなくなったメムに益々不信感を抱いたクォヴレーは、
ジー・・・と彼を睨み続けていた。
その視線に気がついたメムは、「にこっ」と笑うと、
おもむろにポケットから『チョコバー』を取り出して
クォヴレーの目の前に置いた。

「・・・・?これ」
「・・・最近、『地球』へ行く機会があったんだ。
 そこで買ってみた・・・。俺は『甘い』が好きなんだ。
 お前も好きだっただろう?」
「・・・・オレ、が?」
「・・・よくギメル・・
 キャリコから『甘い』をもらって頬を染めていたから」
「・・キャリコ、から・・・??」

視線を泳がせながら、目の前に置かれた『甘い』に手を伸ばす。

「(オレは『甘い』が好き???
 確かに『和菓子』と『プリン』にはいい思い出がある気がするから、
 好んでおやつの時間に食べていたが・・・、
 まさかキャリコがオレにくれていたのがその二つ・・・??)」

クォヴレーは頭を小さく左右に振る。

「わからない・・・」

チョコバーを握り締め、小さく呟くのがやっとであった。
『甘い』が好き・・・・?
『和菓子』と『プリン』は好きだが・・・、
同時に胸がひどく締め付けられるのも事実であった。

「(過去のオレと、キャリコの間に・・・何かあったのだろうか??)」

困惑の目で目の前に座るメムを見た。
メムは何故か寂しそうな笑顔で、

「・・・ギメルが嫌いか?」
「何故・・・?」
「ただなんとなく聞きたいだけ・・・答えたくない?」
「・・・・・・」

クォヴレーは何も答えなかった。
この男も「敵」なのだから、
何もかもさらけ出して答えるなど馬鹿の所業だ、と思ったのだ。
だがクォヴレーが答えないことは百も承知だったのか、
メムは勝手に話を続けていく。

「・・・あいつに抱かれて・・・嫌だった?」
「!!?」
「少しも感じなかった?・・・俺の時みたいに、さ」

目の前の男の言葉に、クォヴレーの目は最大限に見開かれた。
今のは一体どういう意味なのだろうか?
・・・・考えたくはなかった。
だがそんなわけにはいかない・・・・、
それに考えずとも答えは一つしかない・・・。
『キャリコに抱かれた事実』を知っていて、
尚且つ『俺のときみたいに』と言われれば・・・

「オレは・・・お前と・・・?」

視線をそらし、恐る恐るという感じで聞いてみる。
恐ろしい真実はなるたけ知りたくはないが、
自分を取り戻すためには知りたくないことも知らなくてはならないのだから。

「・・・・安心しな、一度だけだ」
「一度・・・・?」
「ちなみにその時のお前、ぜんぜん感じていなかった・・・。
 俺がどんなに銜えたり、扱いたりしても、ね」
「・・・・・・・・」
「なんでそういうコトになったのかは、お前が自分で思い出すんだよ。
 そうじゃないとまた同じコトを繰り返すだろうし・・・。
 アインも自分の気持ちに素直になれない」
「素直・・・?」
「・・・俺はキューピッドじゃないから、そこから先は自分で考えな。
 でさ、話は少し・・いやだいぶ変わるんだけどさ」
「・・・・・・・」
「・・・アインは、ココから逃げたいのか?」
「・・・・・!」












『調整槽』で『お仕置き』され、『メム』に会ってから1週間が過ぎた。
それからというもの、クォヴレーは夜になると鉄格子の嵌った部屋に戻され、
日中はキャリコの雑用をこなしていた。

一応「裏切り者」に当たる自分が、こんなことをして良いのだろうか?
と疑問に思うところだが、
書類整理やお茶だしなどの雑用なのでさして問題はないのだろう、と
思うようにした。
それにどうやら『バルシェム』は人員不足のように感じられたから
裏切り者でも役に立つ、ということなのだろう。

「(そうでなければ、仮にも『隊長』であるキャリコが、
 一般兵に混じって雑用に近い仕事までこなすはずがない)」

質素な執務机で書類を整理しているキャリコの横に立ちながら、
クォヴレーはそんなことを考えていた。
『バルシェム』は日中ほとんど仮面を被っている。
キャリコも、スペクトラも例外ではなかった。
戦闘服はそれなりにいいもの(頑丈なもの)を着ているようだが、
普段着は実に質素である。
男女の区別なく、前ボタンの質素なシャツと質素なズボン・・・。
今、自分が着ているのもそうであった。


だが、『誰』も文句を言わない。



1週間前のメムの言葉を思い出した。







『ここから逃げたい?アイン』
『・・・っ』
『ははっ!アインは正直だな・・・
 でも、さ、一つだけ忠告!ギメルの前ではなるべく大人しくしてな』
『・・・・・・』
『そうすれば抱かれる時も、アイツは痛いことはしない。
 むしろ感じさせてくれるはずだ』
『・・・・・っ』
『・・・遺伝子にそうインプットされているからな。
 ベッドの中では激しく優しく、ってな。何故だかわかるか?』
『そんなもの!わかりたくもない!!』
『まぁ、聞きなよ。・・・・任務で使うからだ、アイン。
 ・・それ以上でも以下でもない。
 だから大人しくしていれば少なくとも身体は傷つけられない』
『!!任務????遺伝子????』
『我々の子宮は『調整槽』、
 そして我々の遺伝子は『親』には決して逆らわないよう、
 組み込まれている・・・・』
『親・・・?』
『シヴァーさま、研究員・・・が、親かな?』
『シ・・ヴァ・・・?』
『そ!・・・で、インプットされているから
 まずい食事でも誰も何もいえないわけ・・・・
 『親』には逆らえないからな・・・・』
『・・・・・・・お前』
『お前、じゃなくてメムね』
『・・・メム?』
『ん?』
『結局何が言いたいんだ??』
『そうだな・・・逃げたいなら体力温存のために大人しくしてな、ってことかな?
 下手に抵抗して無駄な体力は使うもんじゃない。
 どうせヤられんだし、痛い思いや無駄な体力は消費しないのが賢明だろ?』
『!!』
『はははっ!睨むなよ?本当のことだろ?
 アインの力じゃ俺もあいつも撥ね退けられないよ』
『・・・・・っ』
『・・・まぁ、落ち込むなよ。大人と子供の差だ。』
『(大人と子供・・そういえば他に子供のバルシェムはいないな?何故??)』
『ギメルはああ見えて良いヤツだしな。
 それに大人しくしてたほうが逃げ出しやすくなる。・・・敵も油断するしな』
『・・・・・え?』
『吉報は寝て待て、ってところかな?
 大丈夫・・・そのうち『仲間』の元へ帰れる』
『・・・・お前・・メム?・・・何を言っている??』
『・・・アインは、柵(しがらみ)から脱出した気がするんだ』
『柵(しがらみ)??』
『・・・なんでもない。とにかくギメルには逆らうなよ?』
『!!大人しく抱かれていろと!?』
『・・・・まぁ、俺の意見に従う従わない、はアインの自由だけど・・。
 俺の言っていることは結構懸ベストな策だと思うけど?』
『・・・・一つ聞きたい』
『なに?』
『どうして・・・オレにアドバイスをする??』
『・・・・罪滅ぼしと期待、かな?』
『・・・罪??期待????』
『・・・アインなら出来そうな気がしたから・・・』










「(期待?・・何を、とは聞けなかった・・・。メム・・・・)」
「・・・・アイン?」
「・・・・・・」
「アイン?」
「!!」

その時、自分の名前を呼ばれているのだと気づき、
慌ててキャリコに視線をやった。
怪訝そうな目つきで見られ、ドギマギしてしまう。


・・・・1週間の間、キャリコは自分を求めてはこなかった。
その為、前のアレは自分を傅かせるための『手段』だったのだ、
と思うようになっていた。

「・・・何を考えていた?」
「・・・何も・・ただ・・ボーとしていただけだ」
「・・・・ぼー・・、とな。
 まぁいい・・・もう直ぐスペクトラが来るからお茶の用意を」
「・・・・わかった」

小さく頷き、お茶の用意をするため簡易キッチンへと向かいだした時、
おもむろに声をかけられた。

「3つな」

と。

「・・・・3つ???」
「お前の分だ、喉がかわいただろう?ずっと立ちっぱなしだたからな」
「!!(オレの??)・・・わかった」


クォヴレーは時々困惑してしまう。
なぜなら、今のように時折「優しさ」を向けられるからだ。
・・・・キャリコがわからなくなっていく。


恐ろしいキャリコと、不器用な優しさを見せるキャリコ・・・・。


どれが『本物』なのだろう?・・・・と。

















簡易キッチンの前に立った時、思わず眉をしかめてしまう。
クォヴレーがここ1週間で思ったこと・・・それは・・・


「(だからなんで自分の背の高さにあわせて何でもかんでも収納するんだ?
 おまけに踏み台がないから届かない・・・お茶葉がとれん・・・)」

と、心の中で悪態をつき、
背伸びをしながら何とかお茶の葉をとろうとがんばっていた。
そしてその時不意に『アラド』を思い出してしまう。

「(そういえば・・・アイツも『自分の胃袋の量』で食事を持ってきてくれたな。
 フフフ・・・人間とは皆そうなのだろうか???)」

そんなことを考えていた時、背後で「くす」と笑う声が聞こえ、
誰かの腕が自分の頭の横を通り過ぎていった。
収納棚にしまってあるお茶の葉がその手にとらわれる。

「・・・すまない。お前の身長を考えていなかった」
「・・・・・!」

耳に熱い息がかかる。
その「息」になぜか体が痺れて今にも床にへばってしまいそうになってしまう。
ギュッと足腰に力を入れ、崩れそうなのを耐えると、後を振り向く。

立っていたのは当然『キャリコ』であった。


「ほら、お茶葉だ」
「・・・・・・あぁ」

ポンッと、お茶袋を頭の上に乗せられる。


その時、『何か』をクォヴレーは思い出しかけた。

「(・・・なんだ??以前にもこんなことがあったか???
 そう・・・頭に・・何かを乗せられた記憶が・・・?)」

頭上のお茶袋を両手に持ちかえる。
そして背後にいる男を上目使いで見上げた。
見上げた瞳はどこか不安げに揺らいでいて・・・・
儚げで・・・消えてしまいそうで・・・・、
キャリコは思わず息を呑んでしまう。

「(・・・その目は・・・反則だぞ??アイン!
 ・・・もうしばらく『もつ』と思っていたが・・限界のようだな)」

キャリコは無表情に自分を見下ろしている。
クォヴレーにはそれが怖かった。
その表情に耐えられず、視線を反らそうとしたその時、

「・・・スペクトラとの話が終わったら俺の今日の大まかな仕事は終わりだ」
「そうか・・・(ということはオレも『部屋』に帰れるな)」
「そのあと、少しだけ書類を整理するからお前はシャワーでも浴びていろ」

言っている言葉を理解できず、「え?」とキャリコを見る。
だがキャリコは無表情のまま淡々と喋っていく・・・・。

「・・・お前の今夜のベッドは俺の腕の中だ、アイン」


















ギシ・・・と、自分の体重ともう一人分の体重でベッドが沈んだ。

「・・・・ぁ」

目には布、腕は後手に拘束され、
尻を相手に突き出している・・・そう『獣』と同じ格好だ。

「ぁう・・・!」

ベッドが再び深く沈んだ。
『入り口』に生暖かい舌が差し込まれ、
舌で指で嬲られ続けたその場所はもうジュクジュクになっていた。


メムの警告を無視し、スペクトラが帰ろうとドアを開けたとき
クォヴレーはそれを機に逃げ出そうと試みた。
だが、結果は当然失敗。
キャリコとスペクトラに捕まりこうして制裁を受ける羽目になってしまったのである。

指が体内で蠢き、もっとも敏感な場所を探った。
とたんに体内の指はギュウ・・と締め付けられ
『擦って』と訴えかけられる。
指に力を入れず、擽るようにその場所を刺激する。

「・・・ん、・・・んぅ・・・」

クォヴレーが欲しいのはもっと強い刺激だ。
そんな擦っているのかいないかわからない、中途半端なものではない。
シーツに顔を擦りつけ、布に噛み付き必死に言葉を押し込める。
そうでもしないと言ってしまいそうだった・・・。
クォヴレーは懇願してしまいたくなっていたのだから・・・・。




『挿れて』・・・・と。




明らかに自分が『弱い』ものになってしまっているのに気がついていた。
調整槽に入れられたからか?
それとも『バルシェム』に会い、実態を知ったからだろうか?
どちらにせよ、自分の『キャリコ』に対する気持ちが変化してきているのは確かだ。



「(違う・・・!そんなはずは・・・だが・・・)んぅ!!」
「こんなに口をパクパクさせて・・・本当に体は素直だな」

冷ややかにからかいの声で話しかけられる。

「心は天邪鬼のようだがな・・・、そろそろ辛いんだろう?」

指の腹に少し力を入れて、敏感な場所を数回擽った。
シーツに預けていた顔をあげ、背を撓らせるクォヴレー。
腰を振り甘い吐息を漏らした・・・。






『抵抗しなければ感じさせてくれる』







甘い声が漏れてしまう唇を噛みしめながら、メムは嘘つきだと罵声したかった。
クォヴレーは散々抵抗したというのに、
逃げ出そうとしたというのに・・・・・、
目隠しと両手の拘束をされてはいるものの、キャリコの手の動きは優しかった。
焦らしに焦らし、屈服させようとしている。

人が弱いのは・・・『焦らし』かもしれない。
『恐怖』も嫌だが、『焦らし』も耐えられない。
体の奥底から『欲望』が目覚めていくのが嫌でもわかってしまうからだ。


「(・・・身体が・・・変だ。・・・言うことを利かない。)」
「フフ・・・今日の俺は機嫌がいいからな・・・
 お前が『いい子』にもどれば、
 逃げ出そうとしたことはなかったことにしてやる・・・。
 だが気は長いほうではない・・・・わかるな?アイン」

それはキャリコの最後の忠告であるに違いない。
痛い思いをしたくなくば、調整槽で眠りたくなくば、
『哀願』しろ、と言っているのだろう。

指が体内の敏感な部分を強く擦った。

「・・・あぅ!!・・ん、ん・・・」
「セックスは誰だって気持ちいいのが好きなはず・・。
 お前もそうだろう?・・・さぁ?アイン?」
「・・・ふ・・・く・・・・」

全身が悔しさと気持ちよさでブルブル震える。

「・・・ほったらかしにされているペニス・・銜えて欲しくないのか?」

背後から忍び込んできた指の先がチョンと先端を突いた。
とたんにピュッと音を出して『欲望』が溢れ出してしまう素直なソレ。

「たくさん舌と唇で嬲ってやる・・・嬲って欲しいだろう?」
「・・・・くぅ・・、っ」
「人間素直が一番だ・・・、挿入かフェラか・・・、調整槽か、
 好きなものを選んで叫ぶといい・・・・。」
「・・・・・っ」

縛られた手を握り締め身体を大きく震わせるクォヴレーを
満足そうな笑みで見下ろして答えを急かした。


震える背中をざらついた舌先でちろちろ舐め、答えを急かす。




「(こんなのは嫌だ・・嫌なの・・に)・・・・て」
「ん?」
「挿・・・れて・・・」




『恐怖』はもたらされる『快楽』に敗れた。
だが悔し涙を流す暇は与えられなかった。
『哀願』を言い終えると同時に、ジュクジュクの蕾に熱いモノがあてがわれ、
面白いくらいにヒクヒクしていく。
キャリコの雄が、入れる前だというのにブルブル震え、質量が増した。


・・・・もう一度言わせたい・・・「欲しい」、と。


キャリコの中の雄はそう告げた。


・・・もう一度、言わせてやる。




「・・・もう一度言え」
「・・・・んあ?」
「俺にどうして欲しいんだ?」
「!!??・・・くぅっ」

約束が違う!と叫びたかった。
唯でさえ屈辱的な言葉を言ったのに、もう一度言わせるというのだろうか?
だが身体は訪れる絶対の快楽を目前にいうことを利かなくなっている。
濡れた先端が、入り口を突くたびに身体から力は抜け落ちていくのだから・・。
クォヴレーは仕方がなく、唇を噛みしめ、悔しげにもう一度哀願した。


「・・・挿・・れ・・て」

キャリコの顔が強大な雄に変化していく。
先端で蕾を刺激しながら、

「了解だ・・・」

と、返事をし、一気に欲望を押し込めた。

「・・・っ、あ  あ・・・  あっ」

散々嬲られていた内壁は、待ち焦がれていたようにキャリコを飲み込んでく。
引きつるような痛みは時折走るものの、
太いペニスが敏感な部分を擦るたび嬌声を上げずにはいられない。

「アイ、ン・・・っ・・、ギュウギュウ締め付けて・・・。
 そんなに待ち焦がれていたのか・・・?俺のコレ」
「・・・・っ(そんなはず・・ない!ないのに・・!)あぁぁぁっ」

ズンッと最奥まで突かれ、そのまま腰を回転させられた。
細かく律動され、クォヴレーはもう大きく喘がずにはいられなかった。

「あーーっ・・やっ・・も・・と・・う、動い、て・・・くれ(!?)」
「・・・ほぉ?」

面白そうに笑うキャリコの声が背後から聞こえてくる。
自分の言葉に一瞬我にかえるが、直ぐに吹き飛ばされてしまった。

「動いて・・・?こう、か?」

キャリコが激しく腰を揺さぶる。
抽挿を数回繰り返されたかと思うと、
最奥で腰を回転させ内壁の感触を楽しまれた。
そしてまた激しく突き始め、抽挿時の襞の感触を楽しみだすのだ。

「・・・んっ・・・んぅ・・!!」

腰を振り、イイ場所に当たるようクォヴレーは動く。
だがキャリコはイイ場所に当たらないようにペニスを動かし、
クォヴレーの中を愉しんでいる。

「やだっ・・・!!ソコじゃない・・!!」

無我夢中で叫ぶ。
既にプライドは脱ぎ捨てていた。
もっと感じる場所を嬲って欲しい、と願い腰を振っていた。
素直になった『アイン』をこれ以上焦らすほど、キャリコは意地悪くはない。
内壁の感触を十分に愉しんだあと、
クォヴレーには見えていないが優しい笑顔を浮かべて、


「(そろそろイイ場所を責めてやるか)・・・・っ・・アイ、ン、
 ・・こうしたら・・どう、乱れるん・・だ?」

と、入り口までペニスを引き抜き、
内壁の浅い部分に存在する敏感な部分を擦り当てていく。

「・・・!!ひぅ!!!」
「・・・ここだったかな・・?・・・こっち?」
「ん、・・・ん・・・」
「・・・それとも・・・ココ・・・うっ」

1点を擦ったと同時に、
キャリコのペニスは喰いちぎられる勢いで締め付けられた。

「・・・フ・・ココ・・だな・・・了解だ」

背後から薄笑いを浮かべた声が聞こえてきた。
クォヴレーの顔は恐怖で引きつる。
今、キャリコの先端が当たっている場所、
ソコはクォヴレーが最も乱れてしまう場所だ。
そしてこれからキャリコは性器の先で徹底的にソコを嬲り始めるのだろう。


クォヴレーは、これ以上乱れて自分が自分でなくなる恐怖に震えた。
だが手を拘束され、目隠しされていては逃げられない。
・・・いや、そんなことされていなくともこの男からは逃げられない。


・・・身体は何故か・・・この男を必要以上に求めるのだから。

「う、う・・・んぅ・・んーー、やぁっ・・!!」

熱く、太く、硬く、・・ソレでいて滑ついたもので
何度も敏感な部分をいたぶられ始めた。
後の刺激だけで、何度も射精を促される。
最奥に何度も熱い飛沫を叩きつけられる。



身体はクタクタになろうとも、それでもこの男を求め続けた。



・・・それがどうしてなのか・・・、クォヴレーにはわからない。




快楽という名の拷問・・・。
快楽というものを前に屈服する自分・・・。

・・・キャリコになびき始めていく・・恐怖。


これらすべてと葛藤しながらも、クォヴレーはひたすら甘く叫び続けた。


ありがとうございました。 そろそろ終盤ですね(?) だってなびいてきてますから・・・。 落ち始めているのです・・・キャリコに。 途中、『キャリコは意地悪くない』という部分がありますが、 私はマクレディ共は、性格は悪くも(育った環境のせいで) 基本的にイイヤツと思っているのです。 ・・・援護防御してくれるしね・・・。