お試しSSの続き
夢を見る・・・。
腕に収まる存在を力強く抱きしめ思う様犯す夢。
腕の中の存在は俺から逃げようと必死にもがくが、
最後には俺の愛撫に酔い、腰を振り首に腕を回してくる。
俺は最近おかしい・・・
こんな夢を見るだなどと・・・
それというのも、全てこの前のアレのせいだ。
〜NIGHTMARE2〜
「心ここにあらず、という感じね?キャリコ」
その女は、多少乱れた衣服を何事もなかったかのようにピシッと治すと寝台から降りた。
「何を考えていたの?」
同じバルシェムという存在だからか、
女は少しだけ乱していた息づかいをもう元に戻していた。
「・・・別に・・・アインのことなど考えていない」
「へぇ・・?アインのことを考えていたの?」
しまった、という風にバツの悪そうな顔をしながら自らの口を手で覆う。
スペクトラは、目を開きキャリコの言った名前に驚いた。
「アイン、ね・・・キャリコ、貴方・・」
「誤解するなよ?俺は・・・」
「・・・私に遠慮なんていらないわ。
もともとあてがわれたから相手をしているだけなのだし・・。
男性体はそう考えると不便よね?・・・でも・・・」
寝台に腰を下ろしスペクトラは思案している。
一体何を考えているのだろうか?
キャリコは衣服を整えながらスペクトラの言葉を待った。
「アインは一体どうしているのかしらね?」
「どう、とは?」
「アインも幼いとはいえ一応男性体でしょ?」
「そうだな」
「幼いからそういう欲望がわかないのかしら?」
「・・・何が言いたいんだ?」
「・・・バルシェム15番体はいないわ」
「!!?」
スペクトラの言うとおり、バルシェム15番体は創られて3ヶ月ほどで処分された。
処分された理由はキャリコたちに知らされていないが・・・
そんなわけで、アインには相棒がいない。
「1番と2番の関係はわからないけど・・」
「・・イングラムと、ヴェートか・・そうだな」
『イングラム』の話題だったので厳しい視線を向けたが、
スペクトラが何を言おうとしているのかつかめないのでその先を待つことにした。
「5番には6番、7番には8番・・皆男女のペアでそれぞれ事情を処理しているでしょ?」
「あぁ・・だから?」
「でも、アインには相棒がいないわ・・どうしているのかしらね?」
「!!?」
その時フッとこの前の出来事を思い出す。
アインは『経験がない』と言っていた。
「(あれはひょっとして、男だけではなく女ともないということだったのか?)」
眉間にシワをよせキャリコは考えた。
「・・・アインが好きなの?」
「!!何を言っている!?・・俺は・・俺には少年趣味はない!!」
「ふーん・・・」
「この前アレに口でイかされたのは生理現象の一貫に過ぎない!!・・筈だ!!(しまった!)」
自らの失態を嘆きつつ、驚いた視線を向けてくるスペクトラから顔をそらす。
「・・口で?・・そんなことが出来るだなんて、
アインにはやっぱり相手がいるのかしら??でも誰??」
「(開発チームのバカ共にむりやり教え込まされていた、
とは口が裂けてもいえないな・・・ん?そういえば・・)」
あることに思い当たり、その時のことを思い出してみた。
だが思い出だしても、思い出してもアインは・・・
「(あの時、何の反応もしていなかったよな?
下を無理やり這いで押し込もうとしたときに・・見たが・・無反応だった)」
「不感症・・いえ、去勢でもされているのかしら・・?」
「・・・いや、ちゃんとついていた・・」
「・・・ふーん・・そんなところまで見る関係にまでは進んでいるのね?」
「・・・・・」
「ってことは私もそろそろお役ゴメンかしらね?」
「・・・・・」
「???キャリコ??聞いてる??」
「・・・あぁ・・・ん?いや・・すまん・・聞いてなかった」
「あ、そう・・まぁいいわ。じゃ、私は部屋に戻るわよ?」
「あぁ・・いつもすまない」
「!(一体どうしたのかしら??)・・いいえ」
アイン・バルシェムが通路を歩いていると、開発チームのDグループの連中と鉢合わせた。
彼らを確認すると、廊下の端により一礼する。
しかしアインをその目に捉えると、
彼らの目は肉食獣の目に変化し、
アインを取り囲み通路の壁際にたつその姿を上から下まで見下ろし始めた。
・・・何故早く通り過ぎてくれないのだろうか?
心のなかでため息を吐き、アインはその視線にひたすら耐えた。
「15番は失敗したが、こいつは成功っぽいよな?」
「はははっ・・そうだな、アイツはいじくり過ぎて精神が壊れたからなぁ・・」
「だが、その前に皆で姦(まわ)していい思いをしたし、
いいんじゃないか?・・たかが人形の1体だ」
「違いない!代わりは掃いて捨てるほど創れるしな!」
「だが、お遊び人形がいなくなるのは勘弁だな!こいつは丁寧に遊ばないと
・・15番と同じ結果になるぞ?
また半年も待つのは下半身が辛いからなぁ・・」
彼らは何を言っているのか?
アインは首をかしげながら彼らを一通り見回した。
その姿にゴクンッと彼らは生唾を飲む。
「本当に成功だよな・・人形にしておくにはもったいない顔立ちだ」
「遺伝子をチョコットと弄るだけでこうも変わるとはな・・」
「おまけに相棒がいないから体は穢れていないし」
「・・・誰が奪うと思う?」
「『処女』の話か?さぁなぁ・・・今度の研究で『シヴァー様』に認められた者が
一番をとっていい、と決めたからな・・・」
「だが、『処女』を奪わなければ遊んでいいんだろ?折角だ、遊んでくか?」
「いいアイディアだ・・・アイン!」
急に大声で名前を呼ばれ、アインは竦みあがった。
・・・嫌な目をしている・・。
「なんでしょう?」
「ここであったのも何かの縁だ・・・いつもの倉庫に行くぞ」
「・・・・・・」
倉庫と言う言葉に、一瞬だがアインは無表情を崩す。
「へぇ・・?今、怯えた表情をしたな?面白い!・・・アイン」
男は猫なで声を出すと、アインの咽を猫をあやすように撫でた。
「怯えることはない・・いつものように、銜えれば良いだけだ」
アインは弱弱しく首を左右に振る。
「(・・イヤだ・・約束したんだ・・もう、二度とあんなことはしない、と)」
『拒絶』に腹を立てたのか、男はアインの頬をおもいきりひっぱたいた。
「・・・ぐぅ!!」
「・・驚いたな・・人形が俺達に反抗したぜ?」
「本当だな・・・『処分』するか?」
殴られた頬を押さえながら更に体を竦みあがらせた。
「(・・壊される・・のか?)」
「クク・・お前のことじゃないアイン・・・折角ここまで創り上げたんだ、もったいないだろ?
お前ではなく・・そう、例えば・・・ギメル、とかな」
「!!キャリコ!?」
「アイツは隊長だから処分されないとでも思っているのか?アイン」
「残念だが、俺達が『不要』の烙印を押せば隊長だろうが、隊員だろうが処分される。」
「言っておくが、銃殺とかそういう生易しいものではないぞ・・・?」
「生きたまま、内臓を切り刻み・・そして・・・」
両耳を塞ぎ頭を左右に振る。
わざわざ教えられなくともアインは知っていた。
調整層から出てきて間もない頃、
暗い部屋に数名の研究員に連れ込まれ銜えることを強要された。
アインが拒否すると、彼らは『壊れている』バルシェムを1体つれてきて目玉をくりぬき始めた。
バルシェムは声にならない悲鳴をあげる。
次に大きなハンマーを持ち出してきて、バルシェムの足の骨を砕き始めた。
バルシェムは声にならない悲鳴をあげる。
惨い摂関は続けられ、完全に動かなくなるともう1体つれてこられた。
同じような摂関が繰り返される・・・。
やがてそのバルシェムは動かなくなった。
アインはもうその光景を見ていられなくなり、目を伏せる。
『バルシェムの強度を測る実験だ』
研究員の1人がそういっていたのをかすかに聞いた気がした。
製造されても、規格外の烙印を押されたバルシェムは番号を付けられることもなく
次への飛躍のために『実験』される。
無事番号が付けられても、彼らが『不要』の烙印を押せば同じように処分されていく・・。
声にならない叫びをあげ、壊されていく・・・。
アインは調整層にいる頃いつも15番の悲鳴を聞いていた・・・。
やがて15番の悲鳴が聞こえなくなると、自分は調整層から出されたのである。
調整層から出た後、15番を探したが何処にもいなかった。
アインは思い切って彼らに聞いてみた。
・・・15番・・サメフは?
・・・あいつは処分された・・今のように、な
・・・何故?
・・・さぁ?今のお前のように拒んだからかもなぁ・・?
「お前達人形は何故か『仲間意識』が強いからな・・
『隊長』を処分されれば他の奴等はどう思うだろうな?」
「アインは頭のいい人形だからわからないはずはないだろう?
アインが俺達を怒らせた責任で隊長が処分されただなんて・・イヤだろう?」
「・・・いや・・だ」
小さな声で答える。
すると通路に彼らの卑下た笑い声が響き渡った。
「じゃあ、どうすればいいかわかったな・・?」
卑下た声が脳に響いてくる。
アインはただ唇を噛み締めるしかなかった。
「この時間、他のチームは何をやってたっけ?」
「だいたい研究室にこもっているんじゃないか?」
「ふーん・・じゃ、ここでやっても問題ないか?」
「ないだろ?・・・俺ももう我慢できないしここでやらせよう」
ニヤニヤ笑いながら4人は一斉にジッパーを下ろしていく。
2本を口の中で銜え、もう2本は左右の手で扱いていった。
「・・っ・・・ぅ」
「・・ぁ・・ぁぁ」
「・・・ふっ」
「・・・・・っ!」
アインの冷めた心とは裏腹に彼らの欲望は脈打っていく。
小さく歓喜の喘ぎをあげる彼ら・・・。
2本の欲望は各々に口の中へ打ちつけ何度も欲望を開放していく。
満足すると今度は手で扱いていた2人が口の中へ欲望を打ちつけてきた。
1時間くらい経っただろうか・・・
最後に十分に育った欲望をアインの顔に順番に射精していくと、
ようやくそれぞれのズボンの中に己の欲望をしまいこんでいった。
壁に寄りかかるように崩れるアインを笑いながら彼らはその場を後にしていった。
「(・・・顎、痛い)・・・ぐっ・・うぇっ!!」
ヨロヨロの体で何とか立ち上がり、窓をあけ嘔吐する。
「げほっ・・・(・・・気持ち悪い)」
あらかた吐き終わり、ズルズル床に座り込むと冷たい飲み物を手渡された。
「・・・?(誰、だ?)・・すまない」
吐いて乾いた咽をそれで潤すと、改めてその人物を確認した。
「!!スペクトラ!?」
「アイン・・・」
アインは青ざめた。
彼女はキャリコのパートナーだ、今のことが知られてしまうかもしれない。
「(イヤだ!!それだけは・・キャリコに知られるわけにはいかない・・!!
・・・・ん?・・・・なんだ???)」
無表情に青ざめるアインを見下ろすスペクトラ。
「(なぜ、キャリコに知られたく・・ないんだ??)」
「アイン」
「!!あ、・・なん、だ?」
「一部始終、見ていたわ」
「え?」
「キャリコには決して言わないわ・・安心しなさい」
「・・・?」
「誰かを盾に・・・強要されるのは辛いわね・・・
それがキャリコだなんて・・・あの人には絶対に知られてはいけない」
「・・・プライドが高いからか?」
「・・・それもあるけど」
「けど・・なんだ?」
「(好きな人に体をはって守ってもらっているだなんて・・知りたくないはずだわ)」
「・・スペクトラ?」
スペクトラは微笑を向けると、その答えは言わなかった。
アインにはまだ早いと思ったからだ。
「フフフ・・何処もかしこも残滓まみれ・・
さぁ、キャリコに見つからないうちにシャワーを浴びてきなさい」
「!!そう、・・・だな。」
ヨロヨロと立ち上がり、自室の方向へ足を進め始めるアイン。
「スペクトラ・・飲み物有り難う」
「いいえ・・・私こそ・・その・・ごめんなさい」
「・・・何がだ?」
「・・・何もしてあげられなくて」
意外な言葉に、アインは寂しげな笑顔を向ける。
「気にするな・・『人間』ならば怖いのは当然だ」
「・・・アイン?」
「オレをへたにかばうとスペクトラが『殺される』。
だから気にする必要なない」
ヨロヨロと自室へ向っていくアイン。
スペクトラはアインの言葉にしばらくその場を動けなかった。
スペクトラが部屋を出て行った後、シャワーを浴び始めた。
熱いシャワーをあびて、体をスッキリさせている時も思い出すのはアインのことだった。
あの時のことを思い出すだけで下肢は疼き痺れていく。
「(一体なんだというんだ・・?くそっ)」
蛇口を勢いよくひねり、冷水に代え熱を冷ましていく。
冷たい冷水を浴びても、熱が冷めることはなかった・・・。
だんだん題の如く『悪夢』になっていっております。
アダルト?なキャリアイ第2話目。
なんだか悲惨な話ですが・・・。
肉体関係がまだないキャリアイもたまには良いのではないでしょうか?
で、予告をするとアイン君には更に悲惨な目にあってもらいまする。
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