その悲鳴は爽やかな朝には似つかわしくないほど大きな声だった。

「うわぁぁぁぁぁ!!」

同じベッドで眠っていたクォヴレーは、
一体何事かと眠たい眼を擦りつつ、
隣の人物を見てみれば、
そこには信じられない出来事が起こっていたのだった。
そして思わず口に出してしまう。

「・・・・誰だ??」

青く癖のある髪、青い瞳・・・・・、
この二つは普段の彼と全く同じであった。
しかし何度瞬きをしても違うものがあるのだ。

「・・・イングラム・・・だよな?」

にわかには信じられず、その人物の名を呼んでみる。
するとその人物は青い顔のままこくんと頷き、声を発した。

「・・・ああ、そうだ」

彼の声はいつもより少しだけ高いものだったので、
クォヴレーは再び驚いてしまう。
どうやら「声」も「身体」と同じく
デイジェネレーションを起こしているようだ。
着ていたパジャマは大きいのか袖が余っている。
ズボンも腰周りが大きいらしくダボダボだ。
クォヴレーはそんな彼をしばし見つめてしまっていた。
突然の出来事に声も出ない、というのが正しいのかもしれない。
だがいつまでもこのままのわけにもいかないので、
とりあえず思ったことを声に出してみた。

「一体何が起きたんだ??」

すると少しだけ高い声になったイングラムが答える。

「俺にも・・・わからん」
「・・・そうだよな」


こうして前途多難な日が幕を開けたのだった。






〜小さくなっちゃった!?(前編)〜







どうしてイングラムが子供になってしまったのか、
考えていてもしょうがないので、
とりあえず朝食をとることにした二人。
今まで着ていた服は大きいので、
クォヴレーの服を借りたのだが、どうやらそれは少し小さいらしい。
歳の頃、今のクォヴレーと同じくらいの筈であるのに、
自分の服を窮屈そうに着ているイングラムが少しだけ気に食わないクォヴレーであるが、
今はそれどころではないので口には出さなかった。

「とりあえず、昨夜のことから思い返してみよう」

食後のコーヒーを口に運びつつイングラムは提案した。
他にいい案がないのでクォヴレーはそれに頷き返す。

「昨夜は夕食後・・・・一緒に風呂に入ったな?」
「・・・ああ、そうだ。
 オレは嫌だといったのにお前が風呂場で強引に・・・・」

その時のことを思い出したのか、
眉間に皺が出来るクォヴレーだが、
イングラムは心外そうな顔をする。

「お前の『嫌』は『いい』だからな。
 どんなに嫌がっていても最後には自分から・・・」
「イングラム!!」

バン!と机を叩き猛講義をしようとした、が、
今はそれどころではない、と思いなおし、
クォヴレーはコーヒーに何杯目かの砂糖を入れ、
かき混ぜながら気持ちを落ち着ける。

「・・・いつも思うが、
 そんなに砂糖を入れるくらいなら飲まなければいいのでは?」
「何か言ったか?」
「い、いや・・・・」

思いのほかクォヴレーの声が怖かった。
柄にもなくブルリと震えが走ったイングラムはブンブンと頭を横に振る。

「(子供になったからだろうか?いつものような切り替えしが出来ん)」
「・・・で、風呂場で・・・その・・・している時に、
 風呂場においてあった電話が鳴ったんだ」
「・・・そういえばそうだったな・・・相手は・・・」

カチャンと、カップを皿へおき、イングラムは考えた。
イイコトをしている最中は何が何でも無視なのだが、
その時目に付いた『名』に黒い考えが浮かび、
昨夜は珍しくその電話に出たのである。

「相手はキャリコだったな」

と、目線をクォヴレーに送る。
クォヴレーは瞬きをすることでそれを肯定し、
少しだけ頬を赤らめた。
どうやらあの時のことを思い出してしまったようだ。

「あの時は湯船の中で繋がっていたんだ。
 なのにお前電話に出ながら腰を使うから、水音がバシャバシャ・・」
「・・・そうだったかな?」

キャリコに対して意地悪い考えが浮かんだことは覚えているが、
それが風呂場であったか、はたまたベッドの上であったか、
リビングのソファーであったかは定かではないらしい。
まぁ、それほど多く二人は抱き合っているわけだ。
顎に手を置き、イングラムは思い起こす。
そして記憶は昨夜の風呂場の1シーンへと飛ぶのだった。


















リビングで抱き合った後、二人は一緒に風呂に入っていた。
少し疲れた様子のクォヴレーは、
湯船でイングラムに背後から抱きしめられていた。
そして湯船に大きな波が出来る。

「イ、イング・・・・っ・・・」

もう十分やっただろ?という視線を背後のイングラムに送る。
しかしイングラムは悪びれた様子もなく、
クォヴレーの中心をやわやわ触り続けている。

「あ・・・・んんっ・・・・」

悪戯している手を何とかしようと彼の手首を握るが、
リビングでの交わりと風呂場が熱いのも手伝ってか、
思うように抵抗できない。
背後でイングラムが笑うのを感じながら、
クォヴレーはビクビクを身体を震わせていた。
そしてイングラムの手が太腿を抱え上げ、クォヴレーを抱き上げる。

「・・・見てみろ、クォヴレー」
「・・・・?」
「嫌だ嫌だといいつつ、お前の身体は嫌ではないみたいだ」
「・・・・っ・・・なに、を・・・」

イングラムの言葉が理解できずにいたが、
すぐに息を呑む羽目になる。
腿に手をかけられ腰を浮かされた状態になっている。
それでも下半身は湯船の中に浸っているが、
唯一外に出ているものがあったのだ。

「少し弄っただけだというのに、
 お前のソコは天に向かって成長している」
「・・・・うっ・・・」

そう、下半身の中で唯一、クォヴレーの性器だけが
湯船からヒョコっと顔を覗かせていたのだ。
これではとても言い訳など出来たものではない。
唇を噛み締め悔しそうに背後を振り返ると、
今度は目を潤ませて訴えた。

「・・・責任、とってくれるんだろうな?」

少し怒ったような口調。
けれど吐息は苦しげで、
今すぐにでもイングラムを欲しがっているのがわかった。
目を細めて頷くと、イングラムはゆっくりと上体を起こした。

「勿論・・・、そこの湯船の端に手をつけられるか?」
「・・・・・ん」

太腿からイングラムの手が去ると同時に、
クォヴレーも上体を起こし、のろのろと湯船の端に手を置いた。
そして腰をイングラムに突き出すような格好になる。

「・・・これでいいか?」

後を振り返ってイングラムに確認を取る。
笑顔の彼が小さく頷くと同時に、
背後からピッタリ合わさるように覆いかぶさってきて、
その状態のまま唇を重ねてきた。

「・・・・ぁ・・・・ふ・・・ぅ・・」

風呂場に濡れた音と鼻に詰まったような声が大きく響く。
チュッと時折大きく音をたてて舌や唇を吸われ、
次第に体中が震えだしていくクォヴレー。
キスで感じ始めている体は、
次なる刺激を求め無意識に腰を振り出していた。
勃ち上がっていた性器は油槽で擦れ、
キスの合間にクォヴレーは苦しそうな声を漏らしている。
キスと、腰を振るのに夢中なクォヴレーを見ながら、
イングラムはゆっくりと細い身体に手を伸ばす。
首を撫で腰を撫で、
そして小さくもプクンと腫れている胸の飾りを撫で始める。

「んん・・・んぅ・・・」

クォヴレーの眉はもっと切なげに寄せられ、
腰も更に大きくガクガクと震え始めている。
心の中で笑いつつ、イングラムは唇を離した。

「・・・欲しいか?」
「・・、ぁっ・・・しい・・・」

しかしクォヴレーは舌がもつれて上手くいえない。
わかっていつつ、意地悪い気持ちを抑えることの出来ないイングラムは、
聞こえなかった風を装い、聞き返した。

「・・・ん?」

いつもと同じやり取りに唇を噛み締める。

「意地悪い!・・・分かっているだろ??イングラム・・・」

片方の手を回し、イングラムのモノを掴んで意思表示をする。
握ったソレはドクンと脈打ち、大きくなったようだ。

「イングラムだってこんなにヌルヌルだ・・水の中なのに。
 イングラムだってオレを欲しがっている・・・早く!」
「クォヴレー・・・」

涙目で訴えるクォヴレーに頷きを返し、
自分のモノを握っている手をもう一度浴槽に戻させると、
イングラムは更に身体をピッタリとくっつけ、
猛っている欲望をクォヴレーの秘孔に押し当てた。
その場所は先が当たっただけでヒクヒクと蠢き、
イングラムを今か今かと待ちわびているようだった。

「・・・いくぞ」

数回秘孔を擦った後、イングラムは一気に突き上げた。
バシャンッ!と大きく水が飛び跳ねる。
一度リビングで繋がっていたので、
その場所は難なくイングラムを迎え入れ、
中の襞はゾワゾワとイングラムの性器にに纏わりつき、
堪らない痺れを与え始めるのだった。

「・・・ふ・・・クォヴレー・・・」
「・・・あっ・・・は・・・イングラム・・・」

名前を呼び合うのが合図かのように、
片方の腕はクォヴレーの腰を抱え、
もう片方はクォヴレーの片方の手を握り締めて腰を動かした。

「んっ・・・んっ・・・あぁ・・・み、水が・・!」

水が大きく波打つ音と、
クォヴレーの快感混じった声が風呂場に大きく響き渡っている。
小さな口からはしきりに「水が、水が」と訴え、
そのたびに蕾がギュウギュウ絞まりイングラムを愉しませる。

「水が入ってしまうのか・・・?」
「・・・あ、んぅ・・・水が・・・あぁ・・・や、だぁ・・・」
「だがいつもより感じているみたいだ・・・前がヌルヌルだ」
「ひ、いぁぁぁっ」

腰を抱いていた手が不意に前を握ってきた。
先端をしつこく撫でられ、
ソコからはしつこいくらいヌルヌルが溢れてきている。

「あっあっ・・・も・・・出・・・・」


限界も近い、極める・・・と、丁度その時であった。
浴槽に置いてあった電話の子機が鳴り響いたのだ。
イングラムはその仕事上、緊急な呼び出しが多いので
至る所に子機が置いてあるのだ。

「!!?」

クォヴレーは手で口を押さえ、なんとか極めるのを我慢した。
いつもならコトが終わるまで完全無視を決め込むイングラムだが、
その時は偶然目に付いた「名」に、
黒い微笑を浮かべ子機に手を伸ばしたのだった。

「(出るのか!?)」

あまりの驚きに、イングラムを振り返るクォヴレー。
しかし彼は既に電話を手に取り、話し始めるところであった。

「・・・俺だ。何のようだ、キャリコ?」
「(キャリコ??)」

イングラムの口から聞こえた名前にクォヴレーは唇を引き締める。
だがその行動はイングラムを迎え入れている場所も絞めることになってしまい、
イングラムの声は快感混じったモノになっていた。

「・・・なに?資料の・・・場所?・・・ああ、それなら俺の・・・机の・・」

たんたんと質問に答えていくイングラム。
そのうちクォヴレーの締め付けにもなれたのか、
声も平静さを取り戻していた。
だが相手がキャリコであるので
イングラムは黒い考えを電話に答えながら思いついていたのだ。
そしてそれをゆっくりと実行していく。

「・・・!」

その瞬間、クォヴレーは小さな喘ぎ声を出してしまった。
イングラムが湯船の中で腰使いを再開しだしたからだ。
爆ぜる瞬間まで追い込まれていた身体は直ぐに熱くなっていく。
なんとか逃れようとするが、
前を握られ扱かれ始めてしまったので叶わない。
クォヴレーはプチパニックに陥っていく。

「・・・そう、そこだ。・・・あったか・・・?
 それはよかった・・・。ん?なに?声が響いているって?
 それはそうだろう、今風呂場だからな・・・クォヴレーと一緒に」
「あぁぁっ!!」

その瞬間クォヴレーの性器を握っていた手は、
水の中だというのに手のひら全体をヌルヌルになった。
クォヴレーが湯の中で射精したのだ。
『クォヴレーと一緒に』を言い終わった途端、
イングラムは大きく腰を突き上げ、
熱く昂ぶっている性器の先端に爪を立ててきた。
背を撓らせたクォヴレーはガクガクと腰を痙攣させ、
ひっきりなしに叫んでいる。
最早イングラムが電話中などということは頭から吹き飛んでしまっているらしい。
イングラムもまた射精による締め付けで、
全ての欲望を小さな秘孔の中に解き放っていた。
電話の向こうのキャリコが悔しげに歯軋りをするのを
心地よく聞きながらの解放は癖になりそうなくらい良かった。
何度忠告してもクォヴレーにちょっかい出してくるキャリコ。
コレに懲りて二度と手を出してくるな、という忠告でもある。
だがあまりにもクォヴレーが締め付けてくるので、
気持ちよさにイングラムはキャリコの言葉を聞き逃していたらしい。


確かにキャリコは言っていたのだ。


『今に見ていろ』



・・・・と。


















「・・・あのあと、ベッドに戻ってからも明け方までやっていたよな?
 その時まではイングラムは大人だった」
「・・・そうだな・・・ではそのあと、4〜5時間の間に子供になったわけか」
「そういうことになるよな・・・うーん???」


二人は同じように腕を組んでうんうんと考える。
・・・と、その時ダイニングに置いてある電話が鳴ったのだった。


ありがとうございました。 良くありがちな展開ですが、 後編もありがちな展開と思います。 しかし少年イングラム・・・いいですよね☆ 個人的希望で、15歳イングラムはクォヴレーより少したくましくしました。 15歳であっても押し倒せるように(笑)