〜揺れる心〜
窓の外を見るとヒマワリとアサガオが咲き乱れていた。
「・・・あのアサガオ・・・移動しないとヒマワリに負けそうだ・・」
今日は珍しく昼頃目が覚めた。
が、自分は何も身につけてはいない。
クォヴレーは重たい身体をベッドから起こした。
「・・・・・」
ここはイングラムの寝室で当然彼の服しかない。
彼が帰ってくるまで裸でいるのは嫌なので、
彼のクローゼットからワイシャツを1枚失敬してそれを着た。
本当は下も履きたかったが、なにぶん体格が違い過ぎるのでウエストが合わない。
彼のズボンを履くとズルズル落ちてきてしまううのである。
「・・・はぁ・・外に出れなくなって・・・9日・・??」
窓にも、入り口にも鍵がかかっているのでこの部屋から出ることも出来ない。
つい最近までイングラムとごく普通に家族のように暮らしていたのに・・・
一体何処で道を間違ってしまったのか・・・
自分の何が彼を怒らせてしまったのか・・・
クォヴレーは考えても考えてもその答えを見つけることは出来なかった。
彼の為を思い、施設に行くことにした。
彼は反対した。
ひどい言葉を彼に吐いた。
次の瞬間怒気を放った彼が自分の目の前にいて・・・
ブルリ・・と体が震える・・・
恐ろしく冷たい目をした彼が自分の上に圧し掛かり・・・そして・・
ブンブンと頭を左右に振る
「(あれは・・イングラムじゃない・・本当のイングラムは・・・本当のイングラム?)」
窓枠に腰掛けながらクォヴレーはまた考える。
「(あれも・・イングラムだ・・・オレは・・イングラムのことを本当は何も知らない・・
オレは自分にとって都合のよいイングラムしか知らなかったのかもしれない・・・いや・・
知ろうとしてなかったのかもしれない・・・何故・・イングラムは怒ったのだろう?)」
どれくらい時間が経ったのだろうか・・・
玄関に物音が聞こえた。
階段を登る音が聞こえ、ドアの鍵を開ける音が聞こえる。
「・・!起きていたのか・・」
「・・・お帰り・・イングラム・・シャツ・・借りた」
「ああ・・構わない」
何ともいえない重たい沈黙が2人の間に流れる。
「・・・咽は?」
「・・・さっき水飲んだ」
「そうか・・・」
「・・・あの・・」
「・・・ん?」
「・・・庭の・・・アサガオ」
「アサガオ?」
「ヒマワリの・・横・・の」
「・・・それがどうかしたか?」
「移動させないと・・・その・・」
「?」
「ヒマワリの影になっているから・・・・・」
「だから?」
「庭・・庭に・・出たい・・」
ドアに身体を預け、イングラムは『庭に出たい』という言葉に険しい視線を向ける。
その視線にビクンッと体が竦んだが、
「あの・・・日が当たる場所に移すだけ・・・だから庭に・・その・・」
イングラムは返事を返すこともなくクローゼットまで移動し
制服を脱ぎラフな普段着に着替えはじめた。
「・・・イングラム」
返事を返してくれない彼に、クォヴレーはだんだん不安でいっぱいになる。
また何か・・・彼の地雷を踏んだのだろうか?と。
着替え終わり、クォヴレーを振り返ると、
「・・・自分の部屋へ行って着替えて来い・・・その格好では出られないだろ?」
「!」
その言葉に嬉しそうに微笑むと、クォヴレーは久しぶりに自分の部屋へ向かった。
「(・・・久しぶりに笑った顔を見た気がするな・・・)」
縁側の淵に座り、イングラムはクォヴレーの行動を見守った。
ミニスコップを片手に、額に少し汗をかきながらチョコマカと移動している。
アサガオを掘り起こし、日の当たる場所へと移動させる。
イングラムは口の端を少し綻ばせながら見守っった。
しかしその穏やかな表情をクォヴレーが見ることはなかった。
夕暮れ時だったが久しぶりの外の空気は気持ちがよく体が適度に疲れた。
クォヴレーはソファーにもたれかかりながら目がだんだん重くなり始める。
そのうち本格的にウトウトしだし横に座っているイングラムの膝の上に倒れこんだ。
「・・・あ・・・ごめんなさい・・」
「・・・いや・・」
微笑みながら倒れこんできたクォヴレーの前髪を掻き分けてやると
不思議そうにイングラムを見つめた。
「・・・・・」
「何だ?」
「・・・久しぶりに見た」
「?」
「イングラムの・・・笑顔」
「!・・・・・」
2人の間に久しぶりに穏やかな空気が流れる。
「(本当に久しぶりに優しいイングラムだ・・・今なら昔のように話せるかもしれない)」
イングラムの瞳を真っ直ぐに見つめた。
彼は昔のように穏やかな表情でクォヴレーを見下ろしている。
クォヴレーは思い切って話しかけてみた。
「イングラム」
「ん?」
「・・・は、結婚しないのか?」
「!!結婚!?」
「イングラムくらいの・・歳になると・・もうそういう話・・・!!」
クォヴレーは次に続ける言葉を飲み込む。
なぜならば、さっきまで優しく微笑んでいたのに
彼の顔は今、無表情に自分を見下ろしているのである。
「(何故・・?どうして??今まで普通に話せていたのに・・・)」
クォヴレーは恐ろしくなり、イングラムから離れた。
ソファーから腰をあげ、リビングの入り口へと後ず去っていく。
一方イングラムもソファーから腰をあげ、ゆっくりとクォヴレーに近づいていく・・
無表情なその顔は何も語らないかわりに彼の怒りをより一層表している。
「(・・・どうして?オレはまた何か変なことを言ったのだろうか・・・?)」
イングラムの手がクォヴレーに伸びる。
「!!やだっ!!!」
扉を乱暴に開け、2階へ逃げようとする。
しかし襟首をつかまれ、身体を壁に押し付けられる。
「ぐっ・・・」
壁に頬を押しあてられ、息が苦しい。
イングラムは自分の体で逃げられないようクォヴレーを固定すると、
下肢に手を伸ばしズボンのジッパーを下ろしていく。
「・・・っぁ」
下着の中に手を忍ばせ性器を弄られると、
その巧みな愛撫に体の自由は奪われていく・・・。
体から力が抜けズルズルと床に崩れおちた。
「・・・っ」
腰と足に力が入らない・・・
が、懸命に彼から逃れようと腕を伸ばす・・・なにか捕まるものを求めて。
そんなクォヴレーの様子にクッと咽で笑いながら
耳元に冷たい声で話しかける。
「クォヴレー・・・大人しくしていれば今日は早めに終わらせてやる」
「・・・・ぅ」
「その方が俺もお前も都合がいいだろう?」
「・・・つ、ごう・・?」
「・・・俺は玄関に鍵をかけていない・・」
「・・・!!」
「・・今日これから部下が尋ねてくる予定だからだ・・」
「!!!!」
「チャイムを鳴らしたら勝手に上がってこいと言ってあるから・・すぐに入ってくるぞ?
・・・お前と俺の恥ずかしい姿が、ドアを開けた瞬間目に飛び込んでくるというわけだ」
「・・・ぁ・・・やぁ・・そんな・・」
「大人しくしていればずぐ終わる・・・」
「・・・ここ・・やっ・・・お願・・・ベッド・・・で・・」
「俺は今すぐ・・この場で犯りたいんだ・・・我慢しろ・・すぐ済む」
「ぅ・・うぅ・・・」
「大人しく、な・・・見られたくないだろう?」
「・・・イングラム・・・!!!」
ズボンをひき下ろされ、熱く猛った雄を後孔に感じる。
「(怒っている・・・怒っているんだ・・いつもなら最初に1回・・イかせてくれるのに・・)」
クォヴレーは必死に暴れる。
しかしイングラムに押さえ込まれ動けない。
「・・ゃ・・い・・やだ・・やだぁぁぁぁ!!ひぃっ・・!!!」
メリメリと進入してくる異物に苦痛の悲鳴を上げた。
「・・・ぁぁ・・・ぁっ・・・くっ・・・ん」
「・・・くっ・・・キツイ・・な・・相変わらず・・・」
「・・・っ・・痛い・・・痛い・・・イン・・うっ・」
猛ったイングラムの凶器は容赦なくクォヴレーの孔の最奥まで侵入し犯していく。
出血はしないものの・・・潤いのないソコは限界まで押し広げられ体が悲鳴をあげる。
クォヴレーは必死に腕を伸ばす・・・
何かに捕まりたい一心で・・・
しかし何も捕まるものなどなく手は空を彷徨うばかり・・・・
「ぁ・・・やっ・・・痛いよ・・イングラム・・う・・くぅ・・」
「・・・・・・」
『痛い』と懸命に訴えても彼は何一つ答えてはくれなかった。
「鍵・・・鍵ぃ・・・かけ・・・お願・・・か・・ぎ・・あぁっ」
ピンポーン
「!!!」
「・・・っ・・・誰か・・来たようだな・・・?」
「・・・い・・や・・だ・・・ぁぁ・・鍵・・閉めて・・やぁ・・!!」
四つん這いの状態で後から獣のように犯されている・・・。
こんな姿誰かに見られたくない!
クォヴレーは必死に暴れた。
腕を振り回し孔からイングラムを外そうとする。
しかし、イングラムはしっかりとクォヴレーを抱きかかえているので
振り払うことが出来ない。
孔の圧迫感と痛み・・・
誰かが入ってきてコレを見られるかも知れない恐怖・・・
「・・・叫ぶと・・・外の奴に聞こえるぞ?・・・いいのか?」
「!!!っ・・・ぅ」
イングラムの脅迫めいた物言いに、クォヴレーは抵抗も喋ることもやめた・・・
「・・・っ」
「いい子だ・・・大人しくしていればすぐに終わる・・・」
ピンポーン
再びチャイムが鳴る。
クォヴレーの体はビクンッと竦む。
「ぁ・・・早・・く・・・終わって・・・見られ・・見・・・ぅ・・・っ」
その時、イングラムは繋がったままの状態でクォヴレーを抱き起こした。
「!!!?」
その状態のまま玄関へ行くと・・・
「どちら様ですか?」
靴箱に背中を預け、クォヴレーを後から突き上げる。
「!!うぅ・・・くっ・・・」
「あ!教官??俺!リュウセイ・ダテ!!」
「・・・リュウセイか・・・早かったな」
「へ?教官が早く忘れ物届けろっていったんだろ??」
「そうだったな・・・」
「なんか、鍵かかってるみたいなんだけど・・・これどうしたらいいんスか??」
「!!!(鍵!!?)」
『鍵がかかっている』・・・確かに扉の向こうの男はそう言った・・・。
クォヴレーは後を振り返り、自分を犯している男を見た。
その視線に気づきイングラムは面白そうに冷たく笑うと、クォヴレーの唇を塞いだ。
「ぁ・・・んんぅ・・・」
「・・・!!つっ」
「???教官〜??どうしたんすか???」
「・・・いや・・なんでもない・・・リュウセイ・・」
「ハイ?」
「俺は今シャワーを浴びていたところでな・・・」
「え?そうなの??それはお邪魔しました???」
「悪いが5分待っていてくれないか?」
「へーい・・・了解!」
イングラムは一度クォヴレーから自身を引き抜いた。
その瞬間を見計らってクォヴレーは暴れだす。
しかし暴れるクォヴレーをものともせずにイングラムはリビングに運んでいく。
その口端からは血が流れていた・・・・。
ソファーの上に乱暴に放り投げると、
小柄な身体は数回跳ねた。
体勢を整え、クォヴレーはイングラムにくってかかる。
「嘘つき!!鍵かかっているんじゃないか!?」
「そうみたいだな・・・習慣とは恐ろしいものだ・・」
「・・・習慣?」
「最近・・・お前を逃げ出せないようにするために鍵をかける習慣が身についてしまったようだ」
「・・・!!」
「・・・大人しくしていろよ?物音をたてるな・・・。
この前『次はない』と言ったはずだからな?
もし・・少しでも物音をたてたら・・・・」
そこまで言うと、クォヴレーの顔に自分の顔を限界まで近づけながら・・・
「・・・もう庭にも出してやらない・・・一生部屋の中の生活だ・・・わかったな?」
表情のない顔に彼の本気を感じ取った。
脂汗をかきながら・・・クォヴレーはゆっくりと頷いた。
「いい子だ・・・いい子はあとで気持ちよくしてやろう・・・」
冷たく微笑みながら、唇に軽くキスをするとイングラムは玄関へ戻っていった。
残されたクォヴレーは膝を抱えながら声を押し殺して泣いた・・・
涙が止まらなかった・・・
「(どうして・・?何故??・・・優しかったと思ったら急に怖くなったり・・・
わからない・・・イングラムがわからない・・・
イングラムの・・・心が・・・わからない・・・・)」
イングラムの部下が帰った後、彼の寝室まで連れて行かれた。
必死に抵抗しても逃げられるわけもなく・・・
クォヴレーには大きすぎるベッド・・・
イングラムサイズのベッド・・・
彼のベッドの彼の枕に顔を埋ませ必死に喘ぎ声を抑える。
「・・・っ・・ふ・・ぅ・・」
今、クォヴレーの性器は彼の熱い口の中でドクドクと脈打っている。
自分の意思とは裏腹に、与えられる快楽に素直に反応してしまう分身・・・。
恨めしく思いながらも少しでも気を抜けば大きく喘いでしまいそうで
必死に枕の布地を噛んで声を封じる。
熱くぬめりざらついた舌で何度も何度もさお部分を舐められる。
亀頭の下を舌で刺激されれば身体は大きくしなりベッドの上で跳ね上がった。
「!!!ぅ・・ひっ・・・」
先端を唇と唇ではさまれれば・・・もう・・・
「やぁぁぁぁ!!!・・あぁ・・!!」
抑えきれなくなった喘ぎ声が静かな部屋に反響する。
「ぁぁ・・・やめて!!・・・やぁ・・だ!!」
ギシギシとベッドの軋む音と、
性器をしゃぶる音だけがクォヴレーの耳に入ってくる。
羞恥心で真っ赤になりながらよすぎる快楽から逃れようと足を閉じようとする。
しかし間に挟まっているイングラムの頭が邪魔でとじれれない。
そして・・・
「!!!・・ぁっ・・・んー・・ふ・・ぅ」
イングラムの口の中に吐精し終えると、
身体中から力が抜け大きなベッドに身を預けた。
足の間から頭を上げると冷たく笑ったイングラムの顔が目に映る。
口の端からは、今自分が放った欲望が流れ下に落ちていく・・・。
「ぁ・・・やだ・・・そんなの・・見せるな・・」
「・・・何故?・・・お前が感じまくった証だろ?」
クォヴレーの顔に自分の顔を近づけると、
「・・・舐めろ」
「・・・・っ」
腕を伸ばし、イングラムの頭を抱えると
小さな赤い舌を出し、彼の口端を舐めた。
イングラムが舌を差し出す。
「・・あ!」
舌には血豆が出来ていた・・・。
さっき自分が噛み付いて作ってしまった血豆だ。
「治療しろ・・」
「・・・うっ・・」
自分の舌で何度も何度も血豆を舐める。
唇で血豆が出来た部分の下を吸い上げる。
彼の許しがでるまで・・・
クォヴレーを自分の体の上に乗せ舌への愛撫を続けさせる。
イングラムは全身をベッドに預け、その行為を続けさせた。
小さな両手を彼の頬に添え賢明に舌を舌で舐め続けた。
「・・んっ・・・んん・・」
唾液がイングラムの頬に落ちる・・・。
「・・・もういい」
「・・・ふぁ・・?」
「・・・そろそろ・・・こっちもやばい状態なんでな・・」
クォヴレーの手を掴み自身の昂ぶりにその手をあてがった。
ズボンの上からもわかる昂ぶりに真っ赤になりながら目は大きく見開かれた。
「さぁ・・?クォヴレー・・・ズボンから『俺』を出してくれ」
「!!」
「・・・早くしろ」
「・・・うぅ」
震える指でジッパーを下ろし、『イングラム』を取り出した。
クォヴレーの手を掴み自身を握らせ、その手を
自分の手で包み込むように握ると自身を上下に扱いた。
「!ひっ・・・」
クォヴレーの手に伝わる『彼』の体温・・
先走ったモノで手は瞬く間に濡れていく・・・。
熱く猛ったソレは更に熱く硬く脈打っていく・・・。
「フフフ・・」
小さな身体を抱き上げ自分の上に座らせると、
先端を小さな入り口にあてがう。
「・・・っ」
ゴクンッ・・・とクォヴレーの咽がなった。
「・・・さっき一度挿れたからな・・・そんなには痛まないだろう・・多分な」
イングラムは相変わらず孔への愛撫を一切行わなかった・・・。
痛みで恐怖を刻み込み・・・自分を忘れさせないためだ・・・。
「・・・あ・・・あぁ・・・やっ・・」
腰に手を添え、恐怖に引きつるクォヴレーを冷たく笑いながら目線を向ける・・・
次の瞬間・・・『イングラム』は熱く締まるモノに挟み込まれ、
快楽に目を細めた・・・
ひどくせめられ・・・意識を失いかけるクォヴレー・・・
イングラムは耳元で冷たく言い放った・・・
「もう二度と・・・結婚しないのか?などと言うなよ・・・?」
目を閉じていくクォヴレー・・・
「俺を結婚させて・・・俺から逃げられるなどという甘い考えは捨てることだ・・」
意識を失う直前にクォヴレーは小さく呟く・・・
「もぉ・・・言わ・・・ない・・・」
その言葉を聞くと優しく微笑みかけ頬にキスをした。
そして強く抱きしめる。
クォヴレーはやっと開放された安堵感から意識を完全に手放した。
ありがとう御座いました。
次から話が動き始めます。
・・・いや・・いつも一応進行形なんですがね・・・
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