愛妻弁当
 

〜続続・愛妻弁当〜



「イングラム!」
「・・・・・う・・ん」
「イーンーグーラームー!!」
「・・・ん・・・」
「起きろ!!」
「・・・・・」
「(むっ)起きないとキスするぞ!!」
「・・・・・」


揺すっても叩いても起きないイングラムに
腹をたて、クォヴレーは鼻を摘み彼の唇を唇で塞いだ。
しかしすぐに後悔することになる・・・・
なぜなら相手はあのイングラムなのだから・・・・

唇を塞ぎ、鼻をつまんでいるのだからそろそろ息が苦しくなって
起きるはずなのに・・・・起きる気配は感じられない。

「・・・・?(起きないな)」

クォヴレーは気づいていなかった。
魔の手がソロ〜と後頭部に伸びてきていることに・・・・

起きそうもないので一旦唇を離した。
だが、次の瞬間頭を掴まれ、強引に唇が唇へ引き戻される。
そして、あっという間に転地がひっくり返った。

両手を頭の横で押さえつけられ、足は足で押さえつけられる。
オマケに全体重をかけられて上にのしかかってくれてきたものだから
身体は1ミリも動かすことができない状態になってしまった。


「!?!?ん〜〜!!」

容赦なく口の中を蹂躙され、目に涙が溜まり始めた頃、
ようやくキスから開放された。
飲み込みきれなかったどちらのものともいえない唾液が
クォヴレーの口から顎へと垂れていく・・・・
その唾液を指先でグイッと拭い、ペロリと男はそれを舐めた。

「おはよう、クォヴレー」

ニッコリと爽やかに微笑みながら朝の挨拶の言葉を言った。

「騙したな!!イングラムっ!!」

顔を真っ赤にさせて怒る恋人の口にもう一度、
今度は軽くキスをすると、

「ああ・・・すまなかったな・・・あんまり可愛い行動をしてくれたものだから」
「・・・お前は!!」
「・・・フフフ・・ご希望なら最後までお付き合いするが?」
「???最後???」
「キスだけでは不満だから怒っているのだろう?幸い今は朝・・・
 思う存分付き合ってやれるが・・・?」

そう言うと、クォヴレーの顎に手をあて、もう一度キスを仕掛けようとする、が

「付き合ってくれなくていい!!オレが今日付き合って欲しいのは別のことだ!」
「・・・別のこと?」
「ああ!」
「・・・何に付き合って欲しいんだ?」
「ピクニック!!」
「・・・ピク・・・ニック・・・?」
「お前、今日休みだろ?」
「まぁな」
「今日は最高にいい天気だからピクニックに行こう!」
「・・・つまりデートのお誘いか?」
「え!?デート??・・・そうなるのか???」
「(はぁ・・・)まぁ、付き合ってやってもいい」
「やった!」
「弁当は?」
「もう作った!」
「(・・・俺が行かないといったらどうする気だったんだ?その弁当)
 ・・・そうか・・・では直ぐ身支度するから待っていろ」
「わかった」






「どこまで行く気なんだ?クォヴレー」
「裏山」
「(裏山!?学校の裏にあるあの裏山のことか!?あんな近くに??)」
「・・・何だ?そこじゃ嫌なのか??」
「・・・あ・・いや・・随分近場だな、と思っただけだ」
「今は桜が綺麗らしいぞ?」
「(・・・成る程、花見の誘いだったわけか・・・)そうか」



2人は、手を繋ぎニコニコ笑いながら裏山へと到着した。
桜は半ば散り始めていたが、花見をするには十分だった。

「・・・誰もいないな・・・」
「皆、もっと遠くの花見場所へ行くんだろう・・・
 こんなトコで花見をしようなどという輩は我々くらいだ」
「何でだ?」
「このあたりの者は、訓練やなんやらでこの山を毎日見ているからな、
 花見くらい違う場所がいいんだろ・・・」
「そんなこと考えてなかった・・・イングラムもココじゃない場所が良かったか?」


不安げに聞いてくるクォヴレーを微笑しながら、抱き寄せた。

「・・・いや・・・かえって誰もいない場所が俺はいい・・・」
「・・・本当に?」
「ああ・・・(悪戯もできるしな)」
「良かった!じゃあ、早速シートひいてお昼にしよう!もう12時過ぎてる」
「そうだな、お腹ペコペコだ・・・」



2人は、他に誰もいない裏山で、ほのぼのと弁当をつつき始めた。

「フッ」
「?どうしたんだ??」
「いや・・・今日はこの前と違って豪勢だな、と」
「!!!それはもう言うなぁ!!」
「ハハハッ・・・すまない・・・アレはアレでインパクトあって良かったがな。
 桜デンブでハートマーク・・・」
「うるさい!!その後、オレは大変な目にあった!!!」
「ククク・・・俺にとっては最高だったが?」
「(むぅ〜)イングラムッ」
「冗談だ・・・喧嘩などしていたら折角の弁当が不味くなる。
 喧嘩はやめて、食べよう」
「・・・そうだな」 




弁当を食べ終わり、二人は無言で桜を見ている。
クォヴレーは恋人の足を枕にし横になりながら桜を見続ける。
そんな彼の髪の毛を優しくすきながら桜を見続けるイングラム。

「どんなに綺麗に咲いてももう直ぐ散ってしまうんだな・・・」
「そうだな・・・だが来年また綺麗に花が咲く・・・」
「そうだが・・・なんだか哀しい気がする」
「お前は優しいな」
「そんなこと、ない」
「・・・この桜が散っても俺のお前への愛は散らないから心配要らない」
「(/////)いきなり、何恥ずかしいセリフを!!」
「お前が不安げな顔をしていたから・・・」
「え?・・・」
「・・・それで、クォヴレー?」
「ん?何だ??」
「お前はどうなんだ?」
「この桜が散ったら・・・俺への愛は終わるのか?」
「!!そんな筈ないだろ!?」
「嬉しい言葉だ・・・そう、つまりクォヴレー」
「・・・・何だ?」
「桜は散っても、その美しさは人の心に残り永遠に散ることはない。
 そしてまた来年咲き、再び人の心に花を咲かせる」
「!・・・」
「どうした?」
「・・・・・詩人だったんだな・・・お前」
「・・・言うことはそれだけか??」
「ああ、いや・・・そうだな。桜は散っても心の中で咲き続けるから、
 哀しくなんてないんだな!」
「その通りだ・・・」

髪をすいていた手を頬に持っていき、頬を撫でる。
そして額に唇を落とした。
頬にキスをし、瞼にキスをし、最後に口に軽くキス・・・
そのキスを合図に、クォヴレーは身を起こした。

膝立ちになり、イングラムの頭を両手で固定すると、
彼の唇に自らの唇を重ねた。

イングラムはクォヴレーを強く抱きしめ、
何度も何度もキスを交わす。


「・・・唇が腫れそうだ・・」
「フッ・・そうだな・・・やめるか?」
「・・・やめない・・・もっと」
「了解だ・・・」

桜吹雪舞う中、2人は日が暮れるまでキスを交わし続けた・・・・






〜余談〜


次の日、クォヴレーは風邪をひいたそうだ・・・
なんでも山の中で何時間もほとんど裸に近い状態で
何かをしていたらしい・・・

お見舞いにきたヴィレッタはイングラムに一言・・

「バカじゃないの!?少しはあの子の体力と体質というものを考えなさいよ!?
 何時間もそんな格好させたら風邪ひくに決まっているでしょう!?」
「・・・今回ばかりは俺も反省した・・・」




ありがとうございました。 最近暗い話ばかりだったんで明るい甘甘なものがかきたくなって・・・ 今更ながらにインヴレのお花見ネタです・・・ イングが・・・キザ男になってる〜!? ちなみに何故ヴレは風邪ひいたのか!? 原因は俗に言う青○プ○イをしたためですね!?