この話は、続々・愛妻弁当に非常に酷似しております。
〜続続・愛妻弁当2〜
最近はいろいろな所で蜂起などが起きて
そのたびに前線にかり出される日々が続いていた。
少佐という立場上安易に断ることはできない。
臆病者のレッテルを貼られるのは嫌だし、
なによりそんなことプライドが許さないからだ。
そんなわけで昨日も遅く帰ってきた。
やっと蜂起を納めることができ家に帰ってくるのも
実に2週間ぶりなのである。
その間「愛しいあの子」はヴィレッタに預けようとしたが、
生憎ヴィレッタも別の戦地へと派遣されそれができなかった。
・・・あとは「あの子」を溺愛している親戚の変態に預けるというのも考えたが、
「あの子」が泣きながら止めてくれと言ってきたのでそれも断念。
(双子の片割れはまともで好きらしいのだが、いかんせんあの変態と何日も
同じ屋根の下で眠るのは耐えられないらしい)
それにイングラム自身も変態に預けていくのでは、気が気でないというのもある。
それで泣く泣く1人で留守番させることにした。
夜中に帰ってきたということもあって「あの子」はもう夢の中だった。
明日からしばらく休みだし、とりあえず今日は自分ももう休もうと
昨日はそのまま床に就いたのである。
しかし、疲れていたのか、起きたら12時をとうに廻っていて、
リビングに行けばシーンと静まり返っていた。
「(・・・出かけたのか?)」
玄関には靴もあるし、リビングには荷物もある。
帰ってきているのが分っているだろうに・・・出かけるだろうか?
そんな事を思っていたら、庭の辺りからガサッと音がした。
窓を開け、庭の温室を見れば人影が動いている。
「(温室にいたのか・・・今は何を作っているんだったか?)」
温室が折角あるというのに、イングラムはそこに足を踏み入れることが
あまりない。
温室にあるものの全てを「あの子」が1人で育てている。
温室だけではない、庭にある草木、花などはすべて「あの子」が世話をしている。
どうやら自然と触れ合うのが好きらしい。
一刻も早く「あの子」に会いたくて、
イングラムはパジャマのまま温室へと向かった。
温室の扉を開ければ、「あの子」は葉っぱの匂いをかいでいる。
イングラムが入ってきたことに気づく様子もなく
幸せそうに、その葉っぱを摘んでいた。
と、その時どうやらイングラムに気づいたようだ。
「!イングラム!」
嬉しそうに、微笑んで入り口まで「あの子」は走ってきた。
「クォヴレー!」
駆け寄ってくるクォヴレーに両手を広げて受け止める準備をする。
その胸に勢いよく飛び込むクォヴレー。
ギュ〜、と抱きしめた後、顔を上に上げ少し照れたような顔で微笑んだ。
「お帰り、イングラム」
「ただいま、クォヴレー・・・なにも変わりはなかったか?」
「ない。たまにスペクトラが様子見に来てくれていたし・・・」
「・・・そうか、後で礼を言っておかなくてはな」
「そうしてほしい」
そこまで言い終わると、ジッと上目遣いにイングラムを見つめた。
「ん?どうした?」
「・・・キ・・・」
「き?」
「キ・・・ス・・は・・してくれない・・・のか?」
恥ずかしそうに、目線を逸らし少し俯き加減に小さく呟いた・・・
愛しそうにその様子を見つめながら、クォヴレーの顎に手を添える。
目線がかち合い・・・逸らすことができない・・・
何かに酔ったようにウットリとイングラムを見つめ
やがて静かにその瞳を閉じた・・・
イングラムも瞳を閉じ、静かにその唇を塞いだ・・・
キスが終わったあとも、互いに相手の温もりから離れがたく、
その場でしばらく抱き合っていた。
そしてやがて会話を始めた・・・
「・・・何を取っていたんだ・・・?」
「オオバ・・・」
「オオバ?」
「・・・今日、久しぶりに一緒に食事ができるから、少し豪勢にしようと思って・・・」
「何を作るんだ?」
「・・・とりあえず散らし寿司・・・それからハマグリのスープと・・・」
「サラダも食べたいな」
「サラダ?」
「ああ・・・戦地では新鮮な野菜は食べられないのでな・・・」
「・・・そうか・・・わかった・・・」
「・・・ドレッシングの油は少し控えめがいいかな」
「わかった、ゆず味のドレッシングでいいか?」
「お前が作ってくれるものならなんでもいい」
第三者から見ると恥ずかしいくらいに抱き合いながら見詰め合って
新婚さんのような会話をしている2人・・・
そしてクォヴレーの耳に口を寄せながらこう囁いた・・・
「・・・だが・・・その前にお前が食べたい」
「(/////)・・・イングラム」
優しく微笑みながら真っ赤な顔をしているクォヴレーを見下ろす。
シャツのボタンを1つ1つ外していくイングラム・・・
その手の動きを止めるクォヴレー・・・
「イングラム!(/////)」
するともう一度耳元で囁いた・・・
「ここで・・・今すぐに欲しい」
「(/////)・・・ダメだ・・・また風邪引く・・・」
「・・・ここは暖かいから大丈夫だ・・・」
「・・・本当に?」
「ああ・・・」
何処にあったのか・・・ ←何処にあったんでしょうねぇ・・・?(笑)
レジャーシートの上にクォヴレーを寝かせ
2週間ぶりに愛を確かめ合った・・・・
〜余談〜
「もう絶対家の中で以外しないからな!!!」
クォヴレーは部屋に閉じこもり中から鍵をかけている・・・
クォヴレーが部屋から出てこない、
と連絡を受け派遣先から戻ってきたばかりだというのにヴィレッタは駆けつけてきた。
その理由をきいて心底呆れてしまった・・・
「温室で何時間も裸に近い格好でそんな事していたら、
身体中虫に喰われて当たり前じゃない!?バカじゃないの???」
「今回も・・・俺が悪かったと反省している・・・虫刺されには何が効くと思う?」
「知らないわよ!とりあえずムヒでも塗って大人しくさせておくのね!」
「そうだな・・・」
「イングラムのバカ!!!バカ!!バカ!!(う〜!!身体中痒い!!)」
・・・もう愛妻弁当って題関係ないんじゃない???
ヴィレッタも毎回バカップルに付き合わされてかわいそうに・・・・
|