出会い
 

メルフォのお礼画面として使っていたものです。
現在はお礼画面用意してありませんm(_ _)m


インヴレ出会い編です。
ゲームの内容は無視して読むことをお勧めいたします。







〜出会い〜


クォヴレーは夢を見ていた・・・
悲しいこと、辛いことがあるとよく夢を見る。
するといつも、必ずあの男が話しかけてくるからだ。
姿も見えない声だけの彼・・・
しかしひどく安心することが出来る・・・


『クォヴレー・ゴードン』

「・・・・うるさい・・・・」

『ナニヲオチコンデイル?』

「・・・落ち込んでなど・・・いない」

『デハ、ナンダトイウノダ?』

「ただ・・・自分が怖いだけだ・・・記憶もない・・・オマケにオレはスパイ容疑もかかってる・・
 分っている・・・アラドとゼオラ、艦長たちも、かまわないと言っているが・・・
 心のそこではオレを疑っている・・・信用していない・・オレは・・・自分が怖い・・・
 いつか・・・皆が疑っているようになってしまうのではないかと・・・怖くてたまらない・・・」

『・・・フアンナノダナ?フアンダカラコソ・・・コワイ・・・』

「・・・・・お前に何が分る?」

『コドクガコワイ・・・トイウキモチハワカル・・・オレモ・・・ソウダッタ』

「・・・お前は・・・一体誰なんだ?何故いつもオレを助ける??」

『オレハ・・・』

「・・・オリジネイター・・・という奴か?」

『ソウデアリチガクモアル』

「???どういう意味だ?」

『オレノニクタイハ・・・モウホロンデイル・・・オレハオリジネイターノタマシイノイチブ・・・』

「・・・オリジネイターという奴に変わりはないということだろう?」

『・・・オレハ・・・オリジネイターデハナイ・・・オマエガ、アインデナイヨウニ』

「では、なんと呼べばいい?姿も見えないお前を」

『イングラム・プリスケン』

「!!!!」


クォヴレーの前に突然長身の男が姿を現した。

「・・・俺はイングラムだ・・・クォヴレー」
「・・・イングラム!?・・・オリジネイター??・・・キャリコと・・似ている・・」
「・・・どこが・・・似ているというのだ??」
「・・顔立ち・・・オレとも似ているが・・青髪で長髪だから・・
 どちらかといえばキャリコに似ている・・・気がする」
「・・・そうか・・・俺と・・似ているのは・・嫌か?クォヴレー」
「・・・・・そんな事は、ない・・・お前の声は・・・安心する、から」
「・・・泣きたくなる位に、か?」


クォヴレーは驚きを隠せなかった。
自分が泣きたいと思っていても・・・今まで誰も気づいてはくれなかった。
それが当たり前なのだろうが・・・だからいつも泣けない・・・
泣いてはいけない・・・皆を心配させてしまうから・・・
そしてまた無表情になっていく・・・自分。
でもこの男は何故いつも自分の気持ちが分るのだろう?

「なぜ・・・わかるのか、という顔をしているな?俺は・・お前のことなら何でも分る」
「・・・どうして・・・」
「・・・・ずっと見てきたからな・・・俺が取り付いてから・・・お前はいつも泣いていた」
「オレは・・・泣いてなどいない・・・」
「・・・心が・・・泣いていた」
「!?」
「記憶がなく、スパイと疑われ・・・自分が誰か分らないから自分を信じることが出来ず
 他人を心から信じることが出来ない・・・孤独・・・お前はいつも心が悲鳴をあげていた」
「・・・・・ここ・・・ろ」
「・・・俺はそんなお前を、孤独という闇から・・・救ってやりたいと思った。
 孤独は・・・1人は・・辛いからな・・・」
「お前は生前・・・孤独だったのか?」
「・・・・さぁ・・・・どうだったかな・・・」


黙ってしまったクォヴレーにイングラムは話しかける。



「・・・余計なお世話かと思ったが、お前の意思に関係なくお前に話しかけたり、
 体を使ったりした・・・何故だと思う?」
「何故だ?」
「お前には・・・生き抜いてもらいたいからだ・・・」
「どうして?」
「それはまたおいおい・・・話そう(使命を・・・受け継いでもらう為にに生き抜いてもらわねばならん)」
「・・・・・・・」
「クォヴレー・・・我慢することはない」
「我慢?」
「ここは・・俺とお前だけの世界・・・泣いても誰も何にも言わない」
「!!」
「・・・必要なら・・胸を貸してやる。ここは精神世界・・・この場所の俺には
 お前を抱きしめる体がある・・!泣きたい時は・・泣かなければ・・壊れてしまうぞ?」
「オレは・・・泣かない・・・男は・・・泣かないものだ・・・!」
「大人になってまで泣く男は恥ずかしいが・・・お前はまだ子ども・・・泣いていいのだ」
「・・・・っ・・レ・・・は」
「泣け・・・クォヴレー・・・」
「・・・オレ・・・は・・・オレは・・・うっ・・・ううっ・・ああああ!!」

その時クォヴレーの中にあった・・・何かが弾けた。
本当は泣きたかった・・・孤独が怖かった・・・・自分が怖かった・・
誰かに分って欲しくて・・・でもダメで・・・
クォヴレーはおもいっきりイングラムの胸に飛び込み・・・泣いた。
記憶を失ってから初めて・・・泣いた。
イングラムは泣き終わるまで・・・優しく・・・抱きしめて、いてくれた。






「・・・・すまない・・・もう大丈夫だ・・・」
「・・・そうか」
「・・・イングラム?」
「ん?」
「その・・・有り難う・・・泣いたらスッキリした・・・」
「そうか」
「・・・お前・・・オレに生き抜いてもらいたいからいつも助けてくれた、と言っていたな?」
「・・・ああ・・・もちろんそれだけではないがな・・・」
「???ではどうして・・・」
「(取り付いたお前が思いもよらず可愛くて惚れてしまった・・・とは言えんな)」
「・・・イングラム?」
「・・・・か?」
「え?」
「・・・俺の・・・恋人にならないか?」
「コイビト?」
「そうだ」
「コイビト・・・ってなんだ?」
「!?・・・・(知らないのか??無理もないか)これから徐々に教えてやる・・・
 これからはここ・・精神世界で毎日会おう・・・お前が苦しい時悲しい時辛い時、
 いつでも胸を貸せるように・・・」
「・・・・・毎日・・・」
「嫌か?」
「そんなことは!!・・・ない。・・・むしろ嬉しいくらいだ・・・」
「・・・そうか」
「・・・お願いがあるんだが・・・」
「お願い?」
「・・・これから毎日抱きしめてくれないか?」
「・・・何故抱きしめて欲しいんだ?」
「落ち着くから・・・さっき抱きしめてくれた時・・・安心したから・・・抱きしめて欲しい。
 ダメか?嫌か?・・・イングラム・・・」
「ダメでも、嫌でもない・・・恋人になれば自然な行為だ」
「・・・そうなのか!?ではオレをお前のコイビトにしてくれ!!いっぱい抱きしめて!」
「(聞き様によっては・・・すごい殺し文句だな・・・無知とは恐ろしいものだ)
 いいとも。俺とお前はもう恋人だ・・・毎日好きなだけ抱きしめてやる」
「・・・有り難う・・・」
「・・・だが残念なことに今日はもう時間だな」
「ああ・・もう起きなくては・・・イングラム」
「ん?」
「今晩・・・また会いに来る・・・その時はお前のこと・・・もっと聞かせて欲しい」
「フッ・・了解だ!それといっぱい抱きしめてもやるぞ・・・行って来い、クォヴレー!!」
「ああ!行ってくる・・・!また・・・今夜・・・」




クォヴレーの体は・・・スゥーと消え、現実世界に戻っていく。
どこか物悲しげな表情で、見送るイングラム。
彼もまた精神世界という孤独に耐えているのだ・・・。


「(・・・この孤独感を・・・クォヴレーとなら埋められるかもしれない・・・)」




現実世界に戻ったクォヴレーの顔は少しだけ・・・微笑んでいた。


「(彼に会えるから・・・もう夜は孤独じゃない)」


クォヴレーの心は満たされ熱くなっていく・・・。
しかしクォヴレーがこの思いの名前『恋』を知るのはもう少し先のこと・・・
先というか・・・無理やりイングラムによって・・・眠りからおこされる・・・思い。
その名は『恋』・・・やがて『愛』となるもの・・・。





有り難うございました。 インヴレ出会い編です。 ちょこっと?修正してあります。 まだこの時点では、プラトニック・ラブです(笑)