泣いたことある?
 


〜泣いたこと、ある?〜





オレは・・・フッと思った。



オレは今、イングラムの膝の上に座っている。
自分としてはこの状態はあまり好きではないのだが、
アイツは絶対にこの状態を譲らない。
オレを膝の上に座らせて抱きしめると落ち着くのだそうだ・・・
よくわからん奴だ、とたまに思うことがある。

何度膝から降りようとしても、腕に力をこめられそこから抜け出せない。
・・・わかっている。どんなに頑張っても所詮アイツには敵わないんだ。
力でも・・頭脳でも・・・(////)あーゆーことでもアイツはいつも余裕でオレに勝つ。




そんな大人なアイツは・・・・泣くことなんてあるのだろうか??
・・・オレは毎回別の意味で散々・・・イヤと言うくらい泣かせられるが・・・(///)
あるのか??泣いたこと・・・



オレの好奇心がウズウズした。
聞いてみたい!!


膝の上に乗せられているので顔だけクルリとアイツに向けた。
すると優しく微笑んできた・・・・
この顔にオレは堪らなく・・・弱い・・・



「どうした?」
「イングラム・・・お前に聞きたいことが」
「聞きたいこと?」
「お前、泣いたことってあるのか?」
「泣いたこと?・・・あるぞ?」
「え!?」



あるのか!?
い、以外だ・・・・



「何をそんなに驚いている?」
「・・・お前にもやはり血が通っていたのだな・・・」
「・・・どういう意味だ?まるで俺が血の通わない冷徹人間みたいな言い方だな?」



その通りだろうが・・・・
オレは毎回毎回そう思わされてるぞ?
アレ時のお前は冷徹な人間以外の何者でもない!!
・・・口が裂けてもいえないが・・・後が怖い・・・
でも、それ以外の時は・・・優しいか。
今だって、優しいし。
今の『・・・お前にもやはり血が通っていたのだな・・・』
をアレの時言っていたら・・・・(ゾゾ〜)か、考えたくない・・・



「お前は大人だから泣くことなんてないと思った・・・」
「そうだな、あまり泣いたりはしないが・・・俺も人間だ。泣く時もある」
「どんな時泣いたんだ??」


オレは興味津々という感じでクルリと向き合うように座り直し問いかける。



「?嬉しそうだな??そんなに知りたいのか?」
「ああ!お前の意外な一面だ!知りたい!一体いつ泣いたんだ?」




「・・・欠伸をした時・・・」
「・・・は!?」
「それから・・・寒い時、風が強いと涙が出るな・・・どちらも生理現象だ。
 抑えることは難しい・・・」
「・・・・・」
「わさびがききすぎている寿司を食べた時も涙が・・・クォヴレー??
 何震えている??寒いのか???」




ダ、ダメだ!!
笑いを堪えられない!!!
恐るべし!イングラム・プリスケン!!
普段は冷静で冷徹、アレの時は鬼畜な奴なのに・・・
ナチュラルにボケをかましてくれている・・・・!!!




「クォヴレー??」




笑いを堪えているため・・・身体が震えてしまっているオレ・・・
イングラムは心配そうにオレを覗き込んでくる。
ダメだ!!耐えられそうにない!!



「クォヴレー?」




「クッ・・・・クク・・!!」
「・・・お前笑っているのか??」


「ア・・アハハハハハハハ!!」



ついに耐えられず噴出してしまった・・・
ああ・・・後が怖い・・怖いが・・・
でも一度笑い始めると止められない・・・!!




「・・・何がそんなに可笑しい?だいたいお前が質問してきたから
 俺はそれに答えただけだろう?笑える要素などどこにもなかったはずだ」
「くくく・・・イ、イングラムはやはり泣いたことがないんじゃないのか?」
「??何??」
「わさびや欠伸で涙が出たからって・・・泣いたとは言わない・・・
 オレが聞いたのは悲しくて、とか嬉しくて泣いたことあるのか?という意味だ」




オレの言葉を聞き、イングラムは自分の犯した失態に気づき真っ赤になった。
初めて見たかもしれない・・・。



「お前・・・意外と天然だったんだな・・・普段は冷徹なのに・・・」
「・・・今日は・・・手加減いらないらしいな?」
「!!え!?」


オレは自分の余計な一言に後悔した。
後悔しても遅いというのに・・・・。


イングラムは膝に乗せているオレの両脇をつかみ、押し倒し組み敷く。
そして顔を近づけてきた・・・
キスされる?!


「イングラム!!待って!!」
「・・・待たない・・・」


イングラムはフゥーとオレの耳に息を吹きかけてきた。
オレの身体はビクンとする。
・・・このままアレに突入なのか?そう思った瞬間・・・





「ア・・アハハハハハハ!!やめ・・やめろ!イング・・アハハ!!」
「手加減はしないといっただろう??」



イングラムはオレのわきや腹をくすぐってきた。
組み敷かれているので身動きが取れないものだから、されるがまま・・・
しかも彼はオレが弱い部分を熟知しているのでそこを徹底的にくすぐってくる。


「ハハハハ!!く、くすぐった・・・い!!もうやめ・・・!!」
「まだまだ・・・俺をからかった分は苦しんでもらわないと」




その日はさんざんくすぐられ、散々笑わされた・・・
おかげで腹が痛い・・・笑いすぎで・・・


笑いつかれてグッタリしているオレにイングラムはついばむ様なキスをくれ
抱きしめてくれた・・・。


「たまにはこういう逢瀬もいいものだな・・・クォヴレー」
「そうだな・・・」




イングラムの意外な一面(実はボケキャラ)をみられオレは幸せな気分になった。
きっとまだまだオレの知らない部分がたくさんあるのだろうな・・・
これから、徐々に知っていきたい・・・



普段は冷徹だが(アレの時)やはりイングラムは根は優しいんだ。
オレは彼を力の限り抱きしめた。
それに答えるようにイングラムも力強く抱きしめ返してくれる・・・
たまにはこういうのも・・・良いかもしれない、な。





イングはいつも鬼畜なので今回は鬼畜でないバージョン(笑) たまにはこんな甘々バカップルぶりもいいんじゃないかな、と。 私の中のイングは鬼畜ですがそれはアレの時だけ・・・ きっと普段はヴレにメチャクチャ甘いんですよ!!彼は。 根は優しいボケキャラだと思っております。