企画

〜トリック・オア・トリート!@〜


「??ゼオラ、アラド?何をしているんだ??」

自室に戻ってくると、相部屋をしているアラドとそのパートナーゼオラが何かしている。
不思議に思いのぞいて見ると、2人してカボチャをくりぬいていた。

「???夕飯はパンプキンスープか??」

真面目に聞いてくるクォヴレーに2人は顔を見合わせ笑い始める。

「フフフフ、違うわよ!」
「お前、明日は10月31日だぜ?」
「・・・10月・・31・・?」

ゼオラは得意げに指を立てながら説明を始めた。

「クォヴレー、ハロウィンって知ってる?」
「・・・ハロウィン?・・・あぁ・・知識だけなら」
「お!知ってんなら話は早いじゃん!ハロウィンは10月31日にやるんだぜ?」
「・・・そうだったか?」

部屋の中央でカボチャをくりぬいているので、
クォヴレーは自分のベッドに腰を下ろしながら
『ハロウィン』の知識を反芻していた。

「・・・ハロウィン・・・ジャック・オ・ランタン・・・!
 ああ・・二人が作っているのはランタンか?」
「あら?よくわかったわね?そうよ」
「・・・ま、オレが楽しみなのはランタンよりもお菓子だけどさ!」
「そうでしょーね・・・この艦には子供がいっぱい居るんだから
 お菓子は程ほど程度に貰ってきなさいよ?」
「えぇぇ!?」
「当たり前でしょ?その後パンプキンパーティーもしてくれるんだから、
 カボチャ料理で我慢しなさい!」
「・・・へーい」

しょぼくれるアラドを微笑みながら見守り、クォヴレーはまた考える。

「・・・お菓子、か・・・アラドは結構勇気があるな」
「・・・??なんで???」
「お菓子を貰うには・・・確か儀式があるだろ?」
「儀式??あぁ!『トリック・オア・トリート』ね?」
「・・・確かそんな感じだ」
「??でも、いうだけだろ?それがなんで勇気があることになるんだ?」

ゼオラもアラドもサッパリわからない・・という顔をしていると、
クォヴレーもわからない、という顔をしながら言葉を続けた。

「『トリック・オアトリート』・・・
 お菓子をくれたら悪戯されちゃうぞ!
 ・・・という意味だろう??オレは『ハロウィン』についての本を読んだとき、
 恐ろしく勇気のいるハードな儀式だ、と思ったのを思い出した・・・」

ベッドの上で腕を組みながら真剣に話すクォヴレーに、
2人の時間は止まってしまった。
どうしてそんな風に思い違いをしているのだろうか?

「・・・・・・・ぷっ」
「・・・・・・ぶっ」
「・・・・?どうした???」

アラドは腹を抱えながらついには噴出してしまった。
ゼオラも口元を手で押さえ、必死に堪えている。

「ははははははっ!クォヴレー、お前それ違う!」
「・・・違う??」
「うふふふふふ!・・クォヴレー・・『トリック・オア・トリート』は
 そういう意味じゃないわよ!」
「・・・・え?」
「お菓子をくれないと悪戯するぞ!って意味だよ!」
「・・・・なに??」
「あははははっ!た、確かにお菓子を貰うたびに悪戯されなきゃならないなんて、
 ハードな儀式よねぇ?・・?うふふふふふっ!」
「はははっ・・・全くだ!」


自分の間違いを悟ったクォヴレーは、真っ赤になりながらベッドに伏せてしまう。
2人はそんなクォヴレーの横に座ると、

「ま、人間誰しも思い違いはあるよな!オレなんかしょっちゅうだぜ?気にすんな!」
「そうよ!・・・これから正しい知識に塗り替えていけばいいんだから!落ち込まないで?」
「・・・・・恥ずかしい・・・」
「恥ずかしくないって!ほら、起き上がって一緒にランタン作ろーぜ?」
「折角だから、仮装の衣装も用意しましょ?私達はもう用意してあるけど、
 クォヴレーはまだでしょ?あとでシティ7に買いに行きましょーよ!」
「・・・・・いい」
「そんな事いわずに、さ!楽しーぜ?俺らまだ子供なんだしさ!
 こういう時におもいっきり大人に甘えよーぜ!」
「・・・・・・」
「ね?クォヴレー・・・」
「・・・・・・」

間違ったことがよほど恥ずかしかったのか、クォヴレーは顔を上げない。
2人は困ったように顔を見合わせると、

「・・・クォヴレーが参加してくれないと私達つまらないわ」
「・・・・・・」
「そうそう!せっかく楽しいお祭りなんだぜ?
 3人トリオの1人でもかけたらつまんないいだろ?」
「・・・・ト、リオ?」
「そうよ!私達は3人で1つでしょ?・・・違うの?」
「・・・・・・3人で・・・いいのか?オレなんかが入って・・」
「はぁ?お前何言ってンの???お前がいなかったらつまんねーだろ??」

伏せていた顔をあげ、クォヴレーは2人の顔を交互に見る。

「・・・オレ、ずっと弟ほしかったんだよね〜」
「弟・・・?」
「私も!手のかからない弟が欲しかったわ!」
「・・・すみませんね!手がかかって!」
「・・・オレは・・お前達より年下なのか??」
「へ?・・・うーん・・・多分?」
「そうね・・多分・・年下?かしら??
 (ラトとクォヴレーってどっちが上なのかしら??書類上だとクォヴレーよね??)」
「(クォヴレーって・・一応15歳ってことになってるらしーけど
 ・・どうみても13〜14位だよなぁ?・・ほそっこいからかな???)」
「???2人とも???」
「・・・・ま、いいじゃない!弟ってことで!」
「そうそう!そうだぜ!男なら細かいことは気にすんな!」
「・・・・なんだか納得がいかないところもあるが・・わかった、弟でいい。
 ・・・宜しくな?姉さん、兄さん!」

不器用な笑顔で、『姉さん』と『兄さん』と呼ばれ
2人はまたしばらく時が止まってしまった。

「??どうした??」
「え?な、なんでもないわ!」
「???ならいいいが・・・オレもランタン作っていいか?」
「そ、そうだな・・・カボチャはこれ使えよ」
「・・・オレの分も貰ってきてくれていたのか・・」
「当たり前でしょ?さ、くりぬくのは一仕事よ?」
「心得た!・・・アラド、頑張ろうな!」
「おう!」



さてさて、ハロウィンではどんな事件が起こるのか・・・?
それはまた次のお話で・・・・。



有り難うございました。 ハロウィン企画は数回続きますので最後まで宜しくです。