企画

〜トリック・オア・トリート!A〜


「よし!ランタンはこんなもんだろ?」
「そうね・・・次はクォヴレーの衣装を買いに行かなくちゃね」
「・・・・別にシーツをかぶってユーレイでもいいが・・・?」

出来上がったカボチャのランタンを机の上に置きに行きながら、
呟くと、物凄い勢いで2人は反論してきた。


「ダメよ!!ダメよダメダメ!!!」
「そうだ!ダメだ!!もっと気合入れて仮装するべきだ!!」
「・・・だが・・服がない」
「服??」
「・・・買出しに着ていく・・服」
「・・・そうなの??」
「オレの服貸してやるよ」
「・・・でかいんじゃない?アラドの服は」
「へ?あ、・・・クォヴレー細いもんなー・・・」
「かといって私の服も・・・・あ!そうだわ」


何を思いついたのかゼオラは春風のように部屋から出て行ってしまった。







・・・・10分後。


「お待たせ!」


ゼオラはある人物をつれて戻ってきた。

「あれ?マイ??」
「・・・・・・」
「・・・本当に私の服でいいのか?」
「ええ!マイの服なら丁度いいんじゃないかしら?」
「そうかな・・?」

マイは首をかしげながらも、持ってきた服をクォヴレーに渡した。

女物の服なんて・・・と、少し不機嫌そうな顔で服を受け取るクォヴレー。

「・・・中性的な服でよかったな、クォヴレー!着てみろよ」
「着て・・・いいのか?」
「私はかまわない・・・」
「そうか」


流石に女の子の前で裸になるのは嫌なので、
バスルームで着替えることにしたようだ。
マイから渡された服は、Tシャツにチョッキ、ハーフパンツであった。




・・・数分後。




「・・・これでいいのか?」
「お!似合うじゃん!(・・女の子に見えるけど)」
「本当!よく似合うわ、クォヴレー!(女の子みたいだけど)」
「(女の子みたいだが・・)でも、やっぱり肩幅はきつそうだな・・・」
「・・・この程度なら問題ない・・・マイ、有り難う」

優しく微笑まれ、マイは恥ずかしそうに下を向く。
そして最後に、

「これ、帽子・・・」
「有り難う・・・」


帽子を受け取り、外にでる準備が万端になった。

「よし!準備完了!ってことで買出しに行こうぜ」
「そうね!私も直ぐ着替えてくるから待ってて!」
「おう!早くな!・・・そういえばマイは明日どうするんだ?」
「・・・私はアヤが用意してくれるって」
「へぇ?・・・いいなぁ・・」
「うん・・アヤ、なんだか楽しそうだし・・アヤが楽しそうだと私も楽しい」








そして・・・










「これなんかどうかしら?」
「・・・・・」
「こっちがいいんじゃね?」
「・・・・・」


場所はシティ7の・・・そう、『ドン・○ホーテ』のような店の一角。
ゼオラ・アラドは楽しそうに何かを吟味している。
だがその2人の間に挟まれた銀の髪の少年の顔色は何故か冴えない。

「やっぱりハロウィンといえば、獣の仮装よ!クォヴレーは猫!」
「いいや!ハロウィンといえば空想の生き物のの仮装だ!クォヴレーは魔女!」

当の本人を無視して、クォヴレーに何を着せるかでいがみ合う2人・・・。
引きつった笑顔でそんなやり取りを見守っていた。

「よぉし!ここは本人の意見を聞こうぜ!」
「・・・そうね。それがいいわ!・・・クォヴレー!!」
「あ、・・?なんだ??」
「お前、魔女の格好がしたいよな?」
「・・・いや・・それは・・」
「いいえ!猫よ!猫のかぶりもの!!そうよね!!」
「・・・それは・・えっと・・・」
「なんだよ?・・・あ!それとも他に希望があるとか??」
「え?そうなの??・・だったらそれがいいわよね・・」
「・・・(正直なんでもいいんだが・・そんな事をいったらどやされそうだな・・)」


恐ろしいほどの気迫の二人に追い詰められ、
クォヴレーは冷や汗をかきながら必死に考えボソッ・・と呟いた。


「・・・フランケン・シュタインの・・・」
「・・・フランケン・・」
「シュタインの・・・?」

ゴクン・・と2人が息をのみその続きを即す。

「・・・フランケン・シュタインの・・・あの怪物の格好が・・いい・・」
「「却下!!」」

『ダメ』と即答され、柄にもなくクォヴレーは唇を尖らせた。

「・・・むっ・・何故だ!?」
「・・・お前、鏡と相談してからものを言えよな〜」
「・・・鏡?」
「そうよ!怪物の格好なんかしたら折角の顔がわからなくなるじゃない!」
「(折角の顔??)??だが本来顔はわからなくてもいいものなのだろう??何の問題がある??」
「確かに顔はわからなくてもいいんだけどさ!お前はダメ!」
「・・・何故だ??」
「クォヴレーの場合、顔がわかったほうがお菓子をいっぱいもらえるからよ!」

意味不明な2人の説得に首を振りながら抵抗する。

「オレは怪物の格好がしたい・・・よってこの・・・」

ゴソゴソ・・と、棚の上の方にあるあるモノを背伸びしながらとるクォヴレー。

「・・・この怪物のかぶりものと、マントを着て『ハロウィン』を堪能する!」
「「却下!!」」

またもやすばやく否定され、更に唇を尖らせた。

「むっ!オレは自分のやりたい格好をする!
 顔で判別して菓子の量を少なくするやつは無視する!
 よってオレはこの怪物の・・・あ!」

その時、クォヴレーが抱えていた衣装を、誰かが横から奪ってしまった。



「・・・コレ、誰が着るのかしら?」
「「「大尉!?」」」


緑色のショートヘアーと、短いスカートが印象的なアヤ・コバヤシ・・・。
彼女は怪訝な顔をしながらクォヴレーの衣装を奪ったのである。

「・・・もしかして・・」

ジッ・・とクォヴレーを見つめるアヤ。

「もしかしなくともクォヴレーッスよ!アヤさん!」
「・・・やっぱり・・ダメよ!私はこんな衣装着るのは認めないわ」
「そうですよね!クォヴレーには似合いませんよね!?大尉」
「そうねぇ・・・クォヴレーにはもっと・・こぉ・・・」

その時、なにかひらめいたのか・・・
アヤはクォヴレーの顔をマジマジと見ながら、ニヤリと笑った。
その笑顔はあまりにも恐ろしく感じられた・・そう・・腰が引けてしまうほどに・・・。

「クォヴレーの衣装は私が用意するわ!」
「「「え??!」」」
「私が用意するわ・・いいでしょ?」
「・・・・」
「・・・お返事は?クォヴレー・・・?」


クォヴレーはアヤが苦手であった・・。
なぜなら何かにつけてクォヴレーに抱きついてくるからだ。
抱きしめられるたび、胸に顔を埋めさせられ窒息しそうになる。


『きゃー!!ミニグラム!!かわいいー!!』・・・という感じで。


『オレはイングラムじゃない!』と反抗するクォヴレーも、
アヤにはそう言えなかった・・・。


「クォ・ヴ・レー?・・・お返事は?」
「・・・・・はい」

黒く微笑まれ、思わず頷いてしまうクォヴレー・・。
満足そうに微笑を向けると、

「じゃ、明日9時に私の部屋へ着て頂戴?」
「・・りょ、了解です」
「いい子ね!・・・いい子だからマイの服が丁度よかったっていう事実は
 ヴィレッタ大尉には黙っていてあげる」
「!!?」



・・・なぜわかったのだろうか・・・?



ともかくも彼女には逆らわないほうがいい・・と学んだ3人であった。


「・・・お前、大人しく猫か魔女にしとくべきだったんじゃね?」
「・・・・オレもそう思う」
「後悔後の祭り・・ね。頑張ってね?」
「・・・そうだな・・・はぁ・・・」
「・・・どんな格好させられんだろーな?」
「検討もつかないわ」
「・・・なんだか明日が憂鬱だ・・・」

落ち込むクォヴレーの肩に手を置き慰める2人・・・。


はてさて・・・クォヴレーは一体どんな格好でハロウィンを迎えるのか??
それはまた次のお話で・・・・。




有り難うございました。 次回はハロウィン当日の話になります。