だんだん壊れていったんです
 

〜アインとの出会い〜



○月△日

今日はバルシェム16号・・・アインとの対面の日だった。
その為今日の俺は1日中ラボの中に缶詰だった(溜息)
バルシェムを製造しているラボは、暗くて消毒液臭くて俺はあまり好きではない。

俺はラボにあるバルシェムたちの休憩室(要するに検査を受けるための待機室だな
・・・検査で少しでも不適合な部分が判明すれば俺達は処分される)
でアインを待つように言われた。

10分くらい待っただろうか?
アインは研究員のチーフに連れられて来た。
俺は・・・思わずギョッとしてしまった・・・。

・・・確かにアインの姿は12〜13歳位の子供の姿だった。
だからといって・・・研究員と手を繋ぎながら・・・来るか?普通。

「・・・ギメル、この子がバルシェムの16号体『アイン』だ・・・
 アイン、このバルシェムがお前の所属するゴラー・ゴレム隊の隊長
 『ギメル』だ・・挨拶しなさい」

研究員にそう言われ、アインは真っ直ぐに俺を見た。
・・・なかなか綺麗な顔立ちだ・・・同じオリジナルを基に
造られているはずなのにアインの容姿は少し他のバルシェムとは
違って見えた・・・少年の姿だからだろか?

「・・・ア、イン・・・だ・・よろ、し・・く・・・ギ、メル?」
「?」

アインはたどたどしく喋った。
俺は・・・驚いた・・・驚いて研究員に視線を送った。

「・・・アインはまだまともに喋れないのですか?」
「ああ・・・本来成人体しか造らないバルシェムをさらに遺伝子操作して
 幼年体にした上、髪や目の色も変えたからな・・・これ以上調整をして
 しまうと廃人になって使い物にならなくなりそうだったので、
 調整層からその状態のまま出したんだ・・・」
「・・・平気なのですか・・・そのスパイとして使えるのですか?アインは・・」
「その辺の心配はない。頭脳は大人並みにあるし・・運動能力もある。
 ただ、今は言葉が不自由だがな・・・それも訓練で普通に話せるようになるので
 問題はないよ・・・」

・・・問題、ないのだろうか?本当に?
ん?・・・ちょっと待て!では、アインの言葉の特訓をするのは
ひょっとしなくても・・・俺、か?

「ではギメル、確かにアインは引き渡したぞ。ちゃんとスパイとして使い物になるように
 育ててくれよ・・・。
 アインには金が掛かっているんだ。もし失敗したら、お前も処分されるからな。」
「・・御意」



・・・失敗は・・・処分、か。
いつものことだが・・・今回の任務(というのかコレは?)は・・・・
なんというかこんな保育士のような任務を失敗して・・死にたくはないな・・・。

「・・・ギメ、ル」
「ああ・・・悪かったな・・ほったらかして。
 とりあえず・・俺達の部屋に行くか・・アイン?」
「・・・オ、レ・・たち?」
「まだお前の部屋はないから当分は俺と一緒の部屋だ。
 お前の教育には一緒の部屋を使うのが都合もいいしな・・・」
「わか・・・った・・」
「では・・・行くとするか」

俺は部屋に戻るべく休憩室のドアを開けた・・・
すると手に何か暖かいものが触れた。

「て、・・つな・・いで」
「は!?」

何を言ってるんだ?こいつは!?ガキか!?
・・・いや実際にガキなんだが・・

「何故そんな必要がある?」

俺はわざとそっけなく答えて見せた。
するとアインは思いもよらないことを言った。

「ス、パ、イと・・して・・あいてを・・ゆ、だんさせる・・・には
 こど、もらしくせっしなさいと・・・いわれた。
 こ、どもは・・おとなと、てを・・・つなぐのが・・ふつう・・らしい。
 だから、ここ・・まで、も、てを・・つないで、きた」


成る程・・・アインのスパイ教育はもう始まっていたということか・・・。
ならば仕方ないか・・・。俺はアインと手を繋ぎ部屋に戻ることにした。

手を繋いだ瞬間、アインはフワッと・・笑った。
・・・笑う?バルシェムが・・・?

俺はその笑顔を見たとき・・・鼓動が早まった・・・(何故だ?)

アインはそんな俺を不思議そうに見つめてきた。
身長差があるせいか、自然と上目遣いになってしまうようで・・・
その愛らしい姿に眩暈がした・・・
(んん!?待て!愛らしいって何だ??・・・眩暈って・・・なんだぁ〜!!)



・・・俺は、一体これからどうなってしまうのだろうか?




すみません・・・次はギャグチックでキャリコ壊れます・・・とか言っていたくせに まだギャグになってないし・・・キャリコも普通だ・・・ なんていうかキャリコの子育て紛争記っぽくなってませんか? 大丈夫です!!心配無用(←何が?) この話はあくまでまともなキャリコがいかにしてストーカーになっていったのかを 書いていく予定なので(笑) 次こそ、キャリコを壊すぞ〜!!!