〜兄貴の悩み〜
リュウセイは身体中に傷を作っていた。
その理由は、数時間前この傷を作った奴の兄にあることを頼まれたからである。
〜数時間前〜
「え?」
「・・・だから君に頼みたいのだ」
「・・・俺?」
「君なら弟と仲がよいだろう?」
「まぁ、同じチームだし・・・」
場所は食堂。
レーツェルはリュウセイになにやらお願いをしていた。
「頼む・・聞いてみてくれないか?」
「・・・俺に話してくれる保障なんてないっすよ?」
「それでも聞いてみて欲しい・・・なぜ私に冷たいのかを!」
ライの部屋の前に着くと、浅くため息をつきながらドアをノックする。
「(はぁ〜・・・なんで俺にたのむかな?あの人も自分で聞きゃいいのに・・)
おーい!ライ?いるか??」
「・・リュウか?開いている、勝手に入って来い」
「・・・へーい」
部屋に入るとライはお茶をたてていたのか、
和菓子の残りと茶道の道具一式が机の上に並んでいた。
「ちょっといいか?」
「?ああ・・」
「あのさ・・」
「ああ・・・」
「だから・・・」
「?」
「そのぉ・・」
「・・・・」
「なんだ・・・」
「・・・リュウセイ」
「・・・へ?」
「俺もそんなに暇じゃない。用があるなら早く言え!」
「・・・・わかった・・・あのさ・・お前さ・・」
「ああ?」
リュウセイは一呼吸おくと覚悟を決めて『聞きたいこと』を質問した。
「何で最近・・自分の兄貴に冷たいんだ?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・は!?」
一体全体こいつは何を言い出すんだ?
という目つきでリュウセイを冷たく見据えながら、
「・・・どういう意味だ?」
「どういうも何も・・・何で冷たくしてんだよ?」
「・・・何故お前がそんな事を聞く?」
「へ?・・・それは・・・えーと・・・」
更に冷たく見据えられてリュウセイは冷や汗が流れた。
内緒にしてくれ!とは言われていないが、
こういう場合言ってはいけないのだろう・・・とリュウセイは思ったからである。
「・・・兄さん・・か?」
「ぎくっ・・!それは・・あはははは・・・はは」
「・・・そうなんだな?」
頬をポリポリしながらリュウセイはため息をつく・・。
「(俺、なんでこんなことしてんだろ?)はい、そうです。」
「(・・・兄さんめ・・!!)・・別に冷たくしているつもりはない」
「・・・ふーん?でも、お前の兄貴落ち込んでたぜ?最近ライがつれないって・・」
「・・・それは元からだ!」
「だーかーらー!それ以上ってことだろ??なぁ?本当のところどうなんだよ?」
リュウセイが余りにも必死に聞いてくるので、はぁ・・とため息をつき
ライはポツリ・・と話し出した。
「・・・確かに無意識に冷たくしているかも・・知れない・・・」
「!!なんで??理由は??」
「・・・・・だ」
「へ?なんだって???」
「兄さん・・クォヴレーに本をプレゼントしたんだ」
「???だから???」
一体ライは何を言っているんだろうか?
リュウセイは頭の上に???をいっぱい浮かべながらその先を即した。
「何の本をプレゼントしたと思う?」
「・・・さぁ?」
「昆虫図鑑だ」
「・・・へぇ」
「昆虫図鑑だぞ!?」
「??だから??」
「俺は一度も貰ったことない!」
「・・・へ?」
「俺にくれる本はいつも小難しい本ばかりだった!」
珍しく感情的になっているライになんだか笑いがこみ上げてきた。
つまり、ライはクォヴレーに・・・・
「お前、焼もちやいてんの?」
「!何故そうなる?」
「だってよ、兄気がクォヴレーに自分にはくれたこともないような本を
プレゼントしたから悔しいんだろ???」
「・・・・・」
「お前も意外と子どもっぽいんだな?てか、 ブラコンか?
あはははははは!!」
ブチッ
「(?何の音だ??)」
「俺は・・・」
「へ?」
「俺はブラコンじゃない!!」
「ぎゃぁぁぁぁ!!」
そして今に至る。
切れたライに殴られたのである・・・しかも左手で・・・
「まったく、酷い目にあいましたよ!」
「・・・すまない・・・で、わかったかね?」
「ああ・・・実は・・・・かくかくしかじか・・・」
「!そんな事だったのか・・・」
「ふぅ・・・俺はもういいっスか?」
「ああ、有り難う。助かったよ!コレはほんのお礼だ」
「お!コレは幻のグレートマジンガープレミアムバージョン!?やりぃ!!」
〜数日後〜
ライの部屋にレーツェルから贈り物が届いた。
「(??兄さんから???なんだ??)」
贈り物の包みをあけて、ライは震えが止まらなかった。
嬉しいからではなく・・怒りで・・・・
レーツェルから贈られたもの・・・ソレは本だった。
『スー○の白い馬』
『緑のマ○バオー』
『馬の大図鑑』
その他色々、馬にまつわる本ばかりだったからである。
「(あんの、バカ兄貴!!)」
その後、レーツェルが前以上にライに冷たくされたのは言うまでもない。
ありがとうございました。
ぼけヴィレずれヴレの後日バージョンです。
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