オレオレ詐欺?
 





2 オレオレ詐欺?


ピーピーピーピーピー
ピーピーピーピー

読書をしていたらけたたましく部屋の通信機が鳴った。
せっかく本の世界に入り始めたばかりだというのに現実に
引き戻され、クォヴレーは不機嫌な顔をした。
そしてそのうち止むだろうと無視を決め込んだ、が。

ピーピーピーピーピー
ピーピーピーピー

(・・・誰だ?アラドか?)

一向に止む気配がないのでクォヴレーは重い腰をあげ入り口の近くにある通信機に向かった。

「・・・はい」
「おお!!やっと出たか!俺だよ!俺!俺!」

(俺?俺でわかるわけないだろう・・・バカか、こいつは・・・)

明らかに声でアラドやゼオラ、ヴィレッタでないことはわかったが、
声の主が一体誰なのかわからない。

「生憎、オレには【俺さま】という知り合いはいないのだが・・・」
「はっはー、珍しいな、お前がそういう冗談言うの!本当はわかってんだろ?」

(わかるわけないだろう!世の中に【俺】という奴が何人いると思っているんだ!本物のバカか!?)

相手の馬鹿さ加減にフゥーと電話の相手をするのがめんどくさくなり、
クォヴレーは大げさにため息をついた。自分は早く読書の続きがしたいのだ。

「何だよ!?そのあからさまな態度は!傷つくな〜」
「・・・それで?お前は一体何のようだ?」

バカの相手はしていられないとクォヴレーは早々に相手の用を聞き通信を切ろうとした。

「おう!忘れるところだった!実は今トイレの個室にいるんだけど・・・」
「・・・だから?」
「いやさ〜、用が終わって見てみたら紙がないわけよ・・・」
「・・・で?」
「悪いんだけど、紙持ってきてくれない?」
「・・・・は!?」

一体こいつは何を言っているんだとばりにクォヴレーは思わずは!?としかいえなかった。
相手は聞き返したのだと思ったらしく

「だーかーらー、トイレットペーパーを持ってきて欲しいんだよ!このとーり!お願いします!!」





「あら、クォヴレー何処に行くの?手にトイレットペーパーなんか持って(笑)」

用具室からトイレットペーパーを失敬し、問題の男のいるトイレに向かう途中、
廊下で話し込んでいた、ゼオラとヴィレッタ、マイに会った。
ゼオラはクォヴレーがトイレットペーパーをもっている姿が可笑しくて、笑いながら聞いてきた。

「実は・・・」




クォヴレーがついさっきあったことを話し、これからその困っているらしい男にトイレットペーパー
を持っていく途中だと話したら、ゼオラとヴィレッタの顔色が変わった。
ゼオラとヴィレッタの顔には心なしか青筋が見える。

(こ、怖い・・・やはり話さない方が良かったか・・・?)

「ク、クォヴレー!!やめなさい!!あぶないわ!!」

ゼオラが開口一番に言った。

「新手のオレオレ詐欺か・・・?」

マイが呟いた。するとヴィレッタが、

「オレオレ詐欺を真似した、変体野郎ね!!最低だわ!」
「オレオレ詐欺・・・?」
(なんだ?それは???オレオレ詐欺??どんな犯罪行為だ?わからん世の中だ・・・)

黙っているクォヴレーにヴィレッタは凄まじい勢いで、

「とにかく行く必要はないわ!!個室に連れ込まれて何かあったらどうするの?
 いくらバルシェムが他の人より強くても絶対ではないのだから!!」

「「何かって、何だ・・・?」」

クォヴレーとマイは同時に言った。
なかばあきれた表情で、ゼオラとヴィレッタはクォヴレーを見つめた。
マイもクォヴレーも2人の言っていることが理解できないようだ。


「とにかく・・・・わかったわね?・・・返事は?」

すぅ、と目を細め、反論は許さないとばかりに言われてしまったので、迫力に負け
クォヴレーは思わずうなずいてしまった。

(ヴィレッタが怖いと思ったのは初めてだ・・・。しかし何かとはなんだ?)

ヴィレッタはクォヴレーがうなずくと優しく微笑した。手からトイレットペーパーを奪うと、
ゼオラに耳打ちした。

「まったく、危ないわね、あの子は。全然自覚がないのだから・・・しかし通信機を使うとは
 今度からは、通信関係も目を光らせなければ、ね。」
「そうですね・・・。あとで早速取り掛かりましょう」

2人がなにやらぼそぼそ話している姿を、クォヴレーとマイは頭に?を浮かべて見ていた。

「・・・マイ、何かとは何だ?」
「・・・さぁ、なんだろう・・・」

マイとクォヴレーは何かが理解できなかったので、眉間にしわを寄せながら、
ゼオラとヴィレッタがコソコソと何を話しているのか大いに疑問だった。










おまけ?

その日の夕方。

「おい!××!お前何でトイレットペーパー持ってきてくれなかったんだよ?」
「何を言っている?△△!そんな物を頼まれた覚えはないぞ!」
「はぁ!?だってお前通信に出たじゃん?2時ごろ」
「その時間なら○○たちと図書館にいた!」
「××が言っていることは本当だぞ。△△」

クォヴレーが食堂に行くとそんな会話が聞こえてきた。

(まさか・・・)

クォヴレーは彼らに近づき、××に聞いた。

「ひょっとして最初にお前は俺!俺!・・・とかいったか?」
「ああ!言ったけど?」
「その後、お前がそんな冗談言うのは珍しいとかいったか?」
「おう!言った言った!・・・なんでクォヴレーが知ってるわけ?ま、まさか!?」
「・・・どうやらそのようだな。お前は番号を間違えたようだ。」
「ははは・・・そりゃ失礼したな。しかしクォヴレー、何で持ってきてくれなかったんだよ?
 おかげで俺、靴下で対応したんだぜ?」
「行こうとしたんだが、途中でゼオラと、ヴィレッタに止められた。俺!としか言わない奴は
怪しいからと・・・。個室で何かあったらどうするんだとも言っていたな」
「・・・・なるほどね。そりゃそうだよな、お前相手だとそういう相手に取られたのも無理ねぇか・・・。
いやぁ・・・××わるかったな!」
「フン!わかればいい」

話が落着したところで、クォヴレーはあの時の疑問をぶつけてみた。

「・・・なぁ、△△。」
「あ?」
「オレ相手だとそういう相手に見られても仕方がないというのはどういう意味だ???
 何かされたらの何とは一体なんだ???」
「「「「・・・・・・・・・」」」」

その場にいた全員が無言になってしまった。容姿に自覚のない奴ほど手におえないものはない。
全員はあきらかに駄目だこりゃ・・・と盛大にため息をついた。

「????????????」

誰も答えてくれない疑問にクォヴレーは何故みんな答えてくれない?と憮然とした顔で食事を始めた。





××とかはご自由にご想像ください。いや、私にはモデルいますよ。本当はもう1人出てきて
1チームだけど,しゃべり方でバレバレなので出してません。全国のファンに殺されそう(笑)
落ちもへったくれもない文章で御免なさい。でもクォヴレーは素直なのでオレオレ詐欺とか
引っかかっちゃいそうですよね?