シリアスBL10
 


*途中よりキャリヴレとなっております*








ギシッ・・とベッドが揺れると、細い肢体はビクッと大きく竦んだ。
いたたまれない気持ちでそんなクォヴレーを見ると、
床に落ちているズボンを拾って身に着け、洗面所へ向かった。



清潔なタオルを棚から取り出し、熱いお湯でぬらす。
フと目の前の鏡の中の自分を見れば妙に青ざめているようにも感じられた。
何も纏っていない上半身の肩口や背中には所々に引っかき傷がある。
それはクォヴレーが沢山抵抗した証拠に他ならない。
腕を縛めておけばひっかかれることなどなかったのだろうが、
イングラムはあえて拘束はしなかったのだ。
そんなことしなくてもイングラムのウエイトと力ならば、
クォヴレーを押さえつけることなど簡単であったからだ。





熱いタオルを手に持ち洗面所を後にする。
ベッドの上を見ればその上で膝を抱え丸くなっていくクォヴレー。
シーツを手繰り寄せ自分の身体に巻きつけ小刻みに震えているようだ。
そしてイングラムはそんなクォヴレーにそっと近づいていく。

「・・・泣いているのか?」
「・・・・・!」

身体を大きく震わせたクォヴレーがベッドから顔を上げ
青い顔でイングラムを見上げた。
クシュクシュになっているシーツを更に身体に巻きつけ
ベッドの上を逃げ回ろうとしたが、イングラムに肩を抑えられ出来なかった。

「は、放せ!!」
「逃げるな、抵抗はよせ」
「いや、だ!!」
「ふぅ・・・(・・・仕方ない)」

小さなため息と共に、クォヴレーの顎を掴んで唇を塞いだ。
薄く開いている唇の間に強引に舌を侵入させ逃げ惑う舌を追い絡めていく。

「・・・ぁ、・・んぅ・・・ふ・・・」
「・・・っ」

頭を振り乱し、イングラムの肩を何度も叩いたり引掻いたりする。
けれどイングラムは微動だにせず、
抵抗すればするほどいやらしく舌を絡めてくるのだった。
次第に抵抗は弱まり手が細かく震えだす。
恐怖や嫌気ではなく・・・快楽で。

「んぅ・・・んっ・・・」

肩を引掻いていた指がイングラムの首をなぞり頭を抱え込むようにして抱きしめ始めた。
するとイングラムもクォヴレーの後頭部に手を添え
強く抱きしめながら蕩けるようなキスを与えていく・・・。
そして時折唇を離して、

「・・・もっと積極的に舌を使ってみろ・・・」

と、語りかける。
言われたとおり、イングラムの舌の動きにあわせ擦り合わせてみる。
合わさった舌から脳が蕩けるような気持ちよさに襲われ、
クォヴレーはトロンと目を閉じた。

「っ・・・ふ・・・う・・・・」
「そう・・・上手だ・・・気持いいいのか・・?」
「ぁ・・・はぅ・・・ん・・・・」
「気持ちいいんだな・・・?、そのまま大人しくしていろよ?」

イングラムは上体を少しだけあげると、
用意してきた熱いタオルを手に取り、クォヴレーが纏っていたシーツをゆっくりはがしていく。
キスに夢中になっているクォヴレーはまったく気にならないようで、特に苦労はしなかった。
タオルを内腿と内腿の間に忍ばせ、白濁したもので汚れている足をふきあげていく。
敏感になっている身体は些細な刺激にも反応してしまうのか、
ビクビク震えるクォヴレーの身体をしっかりと押さえながらゆっくり拭いていく。
丹念に舌を動かし、小さな舌を絡ませて快感を与えながら汚れた身体を拭っていった。














〜泡沫〜







背後から聞こえる吐息は昼間に聞いた息使いとはまるで違っていた。
昼間、イングラムはクォヴレーの背後から圧し掛かると、
その足の間に熱く猛った欲望を滑らせてきたのだ。
最初クォヴレーはそれがなんなのか分からなかった。
しかしセックスの知識は持ち合わせているので、直ぐにその意図を察することは出来た。
そう、イングラムは自分の足を「穴」の変わりに使用していたのだ。
後耳越しに聞こえてくる荒い息と忙しない息使い。
足に挟まった性器は時折ドクンと脈付き、足を滑らせていく。
低いうめきが聞こえた瞬間、足の間の欲望は弾け、クォヴレーの足をべたべたに汚した。
おぞましさに逃げようとすると腰を抱えられ再び仰向けに押し倒され、
今度は内腿を執拗に舐められる。
そしてぱっくりと性器をくわえ込まれ、淫らな快楽を与えられ吐精する。
しまいには後の窄まりに指を入れられてさんざん嬲られたのだ。


『ココが前立腺だ』
『・・・ぁ、?・・・ひぃぅっ』
『セックスになれた男でもココを弄られるとたまらないらしい』
『も、いや、だぁっ・・・!!』
『良過ぎて嫌なのだろう?良過ぎる快楽は時に苦痛でしかない。
 だが・・・・快楽も苦痛も人形では決して感じ得ない『感情』だ』

イングラムの指はクォヴレーがもっとも敏感に反応を示した場所を中心にいたぶり続けた。
たまらず、後だけでクォヴレーは2度3度欲望を吐き出してしまうのだった。

『お前は人間だ、感情をもった人間』

何度も、欲望を吐き出すたび虚ろになっていく目の上で
切なげにそうつぶやいていたイングラム。
そのたびにクォヴレーの眦から涙が溢れ、頬を伝っていた。
その涙をイングラムは唇で優しく受け止め、
唇に口付ける、と何度も繰り返し続けていたのだった・・・・・・。




腰に感じる人の温もり。
少し重く感じるがクォヴレーはその暖かさが心地よかった。
もちろん、最後まではしなかったというものの、
レイプのような行動をされたので怯えていないわけではない。
だが時間がたつにつれその感情は消えつつあった。

キスを終えた頃にはいつのまにか身体から不快な感じは消えていた。
唇だけに熱い熱を残し、やがてその熱も去ろうとしたその時、
イングラムはまっすぐにみつめながら、口を開いたのだった。

『お前に、言わなければならないことがある』
『・・・・・』
『お前と俺の関係と・・・それからも一つ』
『・・・もう、ひとつ?』
『・・・それが一番大切なことだ・・・聞いてくれるか?』
『・・・・・・・・』
『お前にとっては迷惑なことかもしれない、だが言わせて欲しい』
『迷惑・・・?』
『人によっては迷惑でしかない・・・明日、全て明日話す』
『あ、す・・・・あ!』
『今夜はもう何もしない・・・疲れただろう?もう寝よう・・・。
 ・・・・・クォヴレー』
『・・・・・?』
『乱暴をして・・・すまなかった』
『・・・・・っ』






クォヴレーはギュと目を閉じ、腰にある腕を外してベッドから抜け出した。

「・・・・ん」

一瞬起こしてしまったか?とギクリとなるが、
イングラムは眠りについたままのようで、胸をなでおろす。
さんざん腰を振ったせいかなんとなくギコチナイ動きですばやく着替えを済ませ、
クォヴレーは部屋を抜け出した。









真夜中の戦艦は電気がおちており、物音一つしない。

「(・・・寂しい空間だ。まるでポッカリ空いた心のように寂しい空間)」

クォヴレーはゆっくり暗い通路を歩き出す。

「(少佐の話とは何だろう?あの男のことだろうか?)」

クォヴレーの足は知らず、格納庫へと向かっていた。
誰もいない場所でゆっくり考えたかった。
なぜ、自分はクローンで・・・しかもそれを知ってたイングラムは何故・・・、

「(少佐は何故、オレを生かしておいたのだろう?
 ・・・・・あの男のいっていることが本当なら、
 オレは少佐を殺しにきた刺客に違いない筈だ・・・・なのに何故?)」

考えても考えても分からない。
話があると言っていたイングラム。
だが、はたしてその話を聞いて自分は正気でいられるのだろうか?

「(抱きしめられて暖かいと思ったあの時間は・・・偽りだったのだろうか?)」








あれこれ考えているうちに格納庫にたどり着く。
瞬間、ギクッとするクォヴレー。
視線の先にはあの男が立っていたのだ。
なぜかベルグバウを見上げ、険しい顔をしている。

「(・・・あの男)」

クォヴレーに気付いていないのか、男の目つきはドンドン険しくなっていく。
そして・・・・、

「!?」


険しい表情のままクォヴレーへと振り返ったのだった。

「!」

来た道を引き返そうと振り返るが、思いとどまった。

「(足音を立てて逃げれば皆を起こしてしまう!
 すると部屋を抜け出したことがばれて少佐がお目玉・・・くっ)」

唇を噛み締め、とりあえず入り口の近くにあるトイレに逃げ込むことにする。
トイレなら個室もあるし、逃げられると思ったからだ。
だが、男はそんなに甘い相手ではない。
どんな足の速さなのか、クォヴレーが個室のドアを開けたときには既に背後に迫っており、
大きな手で口を塞いだかと思えば、一緒に個室へ身体を滑り込ませたのだった。

「結果はどうだった・・・?」
「んぐっ・・・」

男は便座の上に座り、自分の足の上にクォヴレーを座らせた。

「ピッタリ、一致しただろ?」
「ふぐっ」
「ああ、すまない。これでは話したくとも出来なかったな」
「ぷはぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・」
「それでアイン?どうだった??」

クォヴレーは怒りに満ちた瞳で男を睨んだ。

「聞くまでもないようだ・・・一致してショックだったか?」
「・・・あたり、前だ!!」

唇がブルブル震えていた。
クローンであった事実が恐ろしかったのではない、
男の放つ雰囲気そのものが恐ろしかったのだ。

「・・・ほぉ?感情のない人形にも『ショックを受ける』、
 などということがあるのか・・・・衝撃だな」

なにが可笑しいのか、クックッと咽で笑う男。
全身に鳥肌が立つ。
やはりこの男は雰囲気そのものが怖かったのだ。
けれど『人形』にカチンときたクォヴレーはそれでも懸命に言い返した。

「オレは・・・オレは、人形では・・・・ない」
「・・・フン」

だが、クォヴレーの語尾は弱いもので、
男はそれを鼻であざ笑い、クォヴレーの顎を掴んで自分と視線を合わせるようにすると
怒気を含んだ口調で言うのだった。

「お前は人形だ、俺だけの・・俺だけの人形、だった。」
「・・・・・?」

男の言葉はまるで意味がわからない。
ポカン、と男と視線を合わせていると、
一瞬、本当に一瞬だが男は苦しげに眉を寄せ強く抱きしめてきた。

「くぅ・・・!!」
「アイン、俺の人形・・・抱けば、白い身体を熱く火照らせ夢中で俺を求めてきた」
「!!」

背後から抱きすくめられ息が苦しくなっていく。
背中越しに感じる体温はどこか懐かしいのだが、
いかんせんクォヴレーは思い出せない。
思い出せない上にイングラムの体温に慣れてしまっている今では、
男の体温はただおぞましいものでしかなかった。
そんなクォヴレーの心中を悟ったのか、背後の男の声は低くなっていく一方である。

「・・・それが・・・あんな・・・ヤツ、に・・・!」
「く・・・ぅ・・・お、前・・・何を・・・いって・・いる??」
「・・・お前ではない!」
「ぐっ」

大きな手が首に回り、頚動脈を圧迫する。
クォヴレーはパクパク口を開き、空気を求める。

「俺は・・ギメ・・・、キャリコだ、今度こそ忘れるな!」
「・・・ぁ・・・ぁ・・・」
「わかったな・・・・?」

低い声とともに首から圧迫感が消えていく。
急に空気が入ってきてクォヴレーは苦しさに咳き込むが、
更に『苦しいこと』が襲い掛かってきたのだった。

「んむっ・・・・ふっ」

男に、キャリコに横抱きにされたかと思うと、
洋服のボタンを開かれながら唇を貪り続けられる。

「・・・アイン」

無理矢理絡まってくるキャリコの舌は気持ちが悪い、としかいいようもない。

「ふ・・・ん・・・いや、・・・だ・・・んぅ」

唇が離れる時に拒絶の言葉を言うが、
それすら封じ込めるように再びふさがれる。
抵抗しようにも、何故か身体はキャリコを押しのけようとすらしないのだ。

「(・・・体が・・・動かない・・まただ・・なぜ??気持ちわるいというのに)」

キャリコの唇が首筋に移動した。

「アイン・・・イヤらしい痕を・・浮気の痕をこんなに残して・・・!」
「あぁぁぁぁっ!!」

首筋と胸と乳首に激痛が走った。
イングラムが残した痕の上をキャリコがたどり、容赦なく噛み付き傷つけている。
噛み付いた場所からは血が流れ、クォヴレーは首を左右に振った。

「・・・痛いか?」
「・・・・く・・・痛・・・い・・・・」
「そうか・・・痛いのか、だが、俺の・・・・」

キャリコの言葉か途中で途切れる。
不振に顔を上げれば無表情なまま自分を見下ろしていた。
だがクォウレーの視線に気が付くと冷笑を浮かべ、自分の足からクォヴレーを下ろした。

「この想い、償ってもらうぞ・・・?」

キャリコは苦しげに自分の胸を押さえたかと思うと、
直ぐにクォヴレーの身体をを個室のドアに押し付ける、が、
鍵を掛けているのでドアが開くことはなかった。

「そのまま手を壁について自分を支えていろ」
「・・・・・っ、何を・・する・・気・・だ?」
「何を、だと??この状態でヤルことは一つだろう?」
「・・・・・っ」

息を呑んで背後のキャリコを見上げる。
嫌な笑みを浮かべながら、キャリコは自身の前を寛げ扱き始める。

「・・・ぁ・・・?」

そしてクォヴレーの前を寛げストンとズボンをトイレの床に落としてしまう。
あらわになった下半身に冷たい空気は寒いだろうが、
クォヴレーは寒さではなくこれから起こるであろうコトにガタガタ震えだす。

「さぁ、以前のようにその身体で俺を悦ばせろ・・・・」
「・・・・・っ」
「ヤツと随分ヤッているようだし・・・前準備は必要ないだろ?」

そういうや否や、尻を鷲づかみし、その狭間の孔を空気に触れさせた。

「何回、許した・・・?」
「・・・・・っ」
「アイン、正直に言えば酷くはしない・・・
 一時の気の迷い、と少々の仕置きで許してやろう。」
「・・・・・」
「さぁ、アイン?どうなんだ??」
「・・・・っ」

クォヴレーは首を振るしかなかった。
確かにイングラムとは何回かいやらしいことをしているが、
まだ一度として交わってはいないのだ。
だがその態度が気に食わなかったらしく怒号される。

「俺も任務中だ、わかるだろ?つまり気が立っているということだ!
 これ以上、怒らせるなよ・・・・・アイン?」
「うっ!」

熱い高ぶりが孔を何度も撫でる。
クォヴレーの顔が恐怖で歪む。

「・・・ども・・」
「・・・ん?」
「一度も・・・抱かれて・・・ない・・・」
「ほぉ?キスマークがこんなにあるというのにか?」
「・・・ほんとう、だ・・・」


クォヴレーの言い分を信じたか信じていないのか、冷笑が背後から聞こえる。
そして何かを考えているのか、少しの沈黙の後、孔にピリッと痛みが走った。

「・・・本当かどうかは、この一刺しで・・わかる」
「!!!・・うっ・・・あぁぁぁぁぁ!!」

合図もなく一気に孔に灼熱が潜りこんできた。
あまりの激痛と圧迫感に呼吸がうまく出来ない。
そんな様子にキャリコは満足そうに息をつくと、
一度奥まで入れた自身をゆっくりと引き抜いていく。

「あ・・・あぁ・・・」

抜いてくれる、と安堵し力を抜いた瞬間、再び勢いよく一気に貫かれる。

「あぁぁっ」
「・・・フフ・・・」
「・・やめっ・・・痛・・・・い!!」
「直ぐによくなる・・・いや、よくしてやろう・・可哀相なお前のために」
「あ・・・く・・・か、可哀相・・・?」
「所詮我々はあの男に見下されているということだ。
 たとえどんな言葉を並べようとも、抱いてもらえなかったのが何よりの証拠だろ」
「・・・・!!」
「可哀相なアイン・・・、あの男は人の心を利用するのが大好きだ」
「・・・・・っ」

クォヴレーはぎゅっと目を閉じ、キャリコの言葉を遠くで聞いていた。
だがキャリコの言葉は巧みで一刺し一刺しが確実に突き刺さってくる。

「中途半端にお前に手を出していたのも、きっと利用価値があったからだ」
「・・・利用・・?」
「例えば・・・二重スパイ、とか・・・な・・・!」

二重スパイ、にクォヴレーは言葉をなくすが、
すぐにそれどころではなくなってしまった。

「ひっ・・・」
「・・・そういえば、ココだったな」

ソコはイングラムの指で擦られ散々乱れたポイントだった。
今は指よりも熱く硬いもので抉られ、無意識に腰が揺れ動いていく。

「ふぅ・・・・う、んっ!!」

クォヴレーの目には再び涙が溢れ出していた。
どんなに感じたくないと願っても、その場所を擦られてしまえば
どうしても腰がゆれ全身にすさまじい快感が生まれてきてしまうのだ。

「かわいそうなアイン・・胸が、心臓が苦しいだろう?」
「ふぅ・・・ううう、んっ」

クォヴレーの中心を掴み徐々に扱いていく。
そして殊更優しく語り掛けてきた。

「一刺しだ、アイン・・一刺しでそれから解放される」
「・・・・あぁ、・・・あぁっ!」

なにが、一刺しなのか・・・、分からない。
だがキャリコの腰の動きが激しくなり、
クォヴレーはもう犯してくる相手がキャリコという認識すらもできなかった。





だが中心に集まっていた熱を解放し、
身体の奥に熱い飛沫を感じた瞬間に聞こえてきた言葉ははっきりと聞こえた。







・・・・『誰か』は確かにそういった。










『イングラムを殺せば全て終わる』





・・・・・と。


ありがとうございました。 イングラムがヘタレになっている気がしなくもないような?