*ただヤッてるだけです*










「(退屈だ)」

深いため息と共にキャリコは部屋を見渡す。
医療室から出られたとはいえ、今だ監視の目が厳しいのは確かだ。
日中ですら殆ど部屋で過ごしているキャリコは、体力を持て余していた。
部屋には何もないことを確認すると、
ベッドでゴロリと寝返りを打ち、何度目かの大きなため息。
そして人間、退屈な時ほど寝入ってしまうもので・・・・。








いつの間に眠ってしまっていたのか、
分からないがキャリコは妙な違和感に目を覚ます。
何かが布団のなかでゴソゴソ動き回っている。
キャリコの背に妙な緊張感が走った。

「(まさか・・・刺客か?)」

最早ここの連中と敵対する心はないが、
自分を快く思っていない人間も多いことだろう。
バルマーに恨みを持つ人間が殺しにきても可笑しくはない、と、
思ったがキャリコは直ぐにそれが刺客でないと気がつく。
なぜなら布団の中でゴソゴソとそれが動くたびに、
久しぶりの疼きを感じているからだ。

「・・・・・っ」

感嘆の吐息がキャリコの口から漏れる。
次第にソレの動きは大胆になり、キャリコはもう抗いようがなくなっていた。
布団を振り払い、股間で蠢いている髪の毛を掴み本能のまま腰を上下に動かす。

「・・・・っ」
「んっ・・・んっ・・・」
「くっ・・・・」
「!!んーーー」








久しぶりの開放で柄にもなくキャリコは一回目の吐精で息を大きく乱している。
だが股間で蠢いていた人物の髪の毛を優しく撫でてやると
その人物は股間から胸へと這い上がってきた。

「アイン・・・叱られるぞ?」
「・・・・許可は取った・・・一晩泊ると・・ヴィレッタに」
「・・・・なるほど・・・ヴィレッタにな」

それにしても大胆だ、
とキャリコはマジマジと馬乗りになっているクォヴレーを見上げる。
クォヴレーはモジモジと身体を揺らし、キャリコの唇にそっと触れた。

「・・・・ん」

下唇に噛み付いて、直ぐに薄く開いていた隙間に舌を差し込んだ。
チュッと音が静かな部屋に何度も響く。
キャリコは最初クォヴレーの立場を考え応えないでいたが、
一度欲望を開放し敏感になっている性器を膝で何でも刺激されては
感じないわけにはいかなかった。
おまけに愛しいものに口付けされていれば尚更だ。
ベッドに投げ出されていた手が次第にクォヴレーの身体に巻きつき、
やがて力いっぱい抱きしめると、ベッドでの身体の上下を反転させた。








「あっ・・・・あっ」

クォヴレーは切なげに眉を寄ていた。
下半身は無意識に震え、手は青い髪をむしり掴んでいる。
ネットリ舌が這う性器からはとめどなく欲望の証が滲み出ていた。
先端の小さな孔から流れ出るたび、熱い舌に拭われ小さな悲鳴をあげている。
クォヴレーの背がしなり咽が仰け反った。
性器を咥えて舐められる、まではなんとか耐えられたが、
後にある秘孔に指を入れられてしまえばもう耐え切れなかった。

「ひぅ・・・うっ・・・あぁぁぁ!!」

クォヴレーの身体がガクガク揺れる。
孔の奥に隠れている一点を何度も擦られ、
性器の先端からは涙のように透明な液体が流れ落ちていく。
その度にきつく吸われ、痺れる快感にクォヴレーは身体を大きく震えさす。

「ああっ!やめっ・・・!!!」

熱い口にクォヴレーは何度も腰を打ちつけながら射精する。
最後の一滴まで搾り取られると、ガックリ身体から力は抜けおちていく。
股間にあったキャリコが力の抜けたクォヴレーの脚を抱え上げながら
徐々に覆いかぶさってきた。
そしてボーとしているクォヴレーに舌の上にある精液を見せ付けると、
わざと咽を鳴らして精液を飲み込んだ。

「!!ばっ・・・・か・・・」

クォヴレーは頭を左右に振り、羞恥に耐えた。
だが熱い肉棒が徐々に体内を犯していくうちに
そんな羞恥心は消えていくのだった。










「あぁ・・・あっ・・・」

キャリコの背に一本の傷が出来た。
お返しのようにクォヴレーの耳たぶを甘噛みし、
獣の如く組み敷く愛しいものを追い詰めていく。

「もっと・・・もっと・・奥・・・!」
「っ・・・・」
「もっと・・・強く・・・抱きしめ・・・・くっぅ」

もっと奥がいいならば、とキャリコは何度も体位を変えようとするが、
クォヴレーはそれを頑なに拒んだ。
どうやら今晩は正常位で抱き合うことを望んでいるようだ。

「アイン・・・・んっ」

喘ぐ唇を深く塞ぐ。
身体にまわしていた腕を頭にまわしキスを貪る。
唇が離れると、クォヴレー真っ直ぐに見つめながら懇願した。

「もぉ・・・離さないで・・・くれ・・・二度と・・・」
「アイン・・・離さない・・離さない・・・約束だ」
「キャリコ・・・キャリ・・・・・・く・・・あぁぁ!」
「・・・うっ」














精を解き放ちそのままクォヴレーに倒れこむ。
重たいのかクォヴレーは身体をモゾモゾ動かし、
スッポリと腕の中に納まることに成功する。

「・・・・久しぶりに運動した気がする」

荒い息のまま満足げな笑みを浮かべるキャリコに、
ムッとクォヴレーは唇を尖らせた。

「・・・運動ではない!愛の営みだ」
「!!」
「違うのか?」

息を乱しながら睨んでくるクォヴレーに
キャリコは微笑を向けた。

「違わない・・・愛の営みだ・・・すまなかった」

ギュゥと抱きしめ謝罪する。
コクンと小さき頷くとクォヴレーも抱きしめ返す。

「ずっと気になっていたんだが・・・」
「・・・・・?」
「あの時の・・・『寒かったのはお前と同じ気持だったからだ』という言葉」
「・・・・あぁ」
「あの時お前・・・俺はお前を・・・・のあと何を言おうとしていたんだ」
「・・・・・・・(それを今聞くのか?)」

クォヴレーは顔をあげ、ニィと笑った。
おそらくそのあとに続く言葉を別ってはいるが直接聞きたいのだろう。

「・・・・言ってくれないのか?」
「・・・・・言って欲しいのか?」
「・・・・欲しいに決まっている」
「別にかまわんがその場合お前にも言ってもらうぞ?」
「え?」

悪戯っ子の顔をしていたクォヴレーだが、
今度は引つった笑顔になってしまう。

「ちょっと待・・・・!!」
「待った、はナシだ・・・アイン」
「わっ!!わわわわ!!」

細い身体を抱きしめ、耳元で熱く囁く。
その後唇はクォヴレーの唇へ移動しキスを施す。

「んぅ・・・キャリコ・・・オレ・・・も・・・」
「ん?」
「オレも・・・あ・・・んっ・・愛・・・」


口付けを交わしながら互いに何度もその言葉を言い合う。


結局その夜はいつまでも愛の営みが終わることはなかったという。















おまけのおまけ?





狭いベッドの脇でその二人はなにやら言い争っていた。

「仲がいいのは結構だけどうちのエースを抱き潰さないでくれる?」
「・・・・・・・」
「腰が痛いから動けないなんて・・・はぁ・・・・」
「今後は考慮しよう・・・・俺もここの連中にこれ以上睨まれたくはない」
「・・・ヴィレッタ・・・すまない」

クォヴレーは呆れているヴィレッタに顔向けできないのか
布団から目だけを出した状態で謝った。
ふぅ・・・とため息をつきベッドに腰掛けるクォヴレー。
そしてクォヴレーの頭を撫でると、おもむろに小さな袋を取り出し、
そこから小さな塊を取り出した。

「貴方を責めているんじゃないのよ?
 どうせこの種馬が鼻息を荒くして離してくれなかったんでしょ?」
「(・・・鼻息?)いや・・・オレも同意というか・・・その・・・」
「あとで私がきつく言っておくから・・・
 それよりほら・・・氷砂糖よ、好きでしょ?」
「・・・あ、・・・ありがとう・・・」
「(受け取るのか?アイン!?)」

ヴィレッタはクォヴレーの口に氷砂糖を放りこむと、
額に口付け眠るように促した。
そしてゆっくりキャリコにふり返ると
彼女は悪魔の如く微笑を浮かべているではないか。

「貴方が生きていてくれて良かったわ・・・・・。
 イングラムに出来なかった分貴方に仕返しできるものね」
「・・・仕返し??」
「・・・あの人はいつも勝手だったわ。勝手に死んでいった・・・。
 言いたいことが山ほどあるのよ」
「お、俺には関係ないと思うが・・・?」
「ええ、そうね・・・でも姿形が似ているからいいのよ」
「(そういう問題か??俺は迷惑この上ない)」
「と、いうわけで覚悟して頂戴ね?クォヴレーは私にも懐いているから」
「!邪魔する気か??」
「安心しなさい、仲を壊したりはしないから」

ニッコリ微笑むヴィレッタにキャリコは背中に嫌な汗をかいていた。
そして思うのだった・・・・・。
『アイン』を手に入れるのはやはり並々ならぬ苦労をするのだ、と。



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