〜Dear My Sweet・・・〜
一枚目のホットケーキは実によく焼けた。
フライパンからお皿に移し、油を引きなおす。
そして生地を流し中火にしたところで、
メープルシロップをたっぷりと焼きあがったホットケーキにかけた。
だが、最後にバターもたっぷり乗せて食べようとしたところで
無常にもそれは取られてしまったのである。
「アイン、つまみ食いは禁止だ」
ヒョイッと皿を奪いアインの身長では届かないよう皿を載せた右腕を高く掲げる。
「幸せ」を奪われたアインは、プクッと膨れっ面になりジャンプしてそれを奪おうとする、
が、当然届くはずはない。
だがここで諦めるわけにはいかない。
せっかく上手に焼けた美味しそうなホットケーキ・・。
焼き立てを食べなければ意味がなくなってしまう、とアインは思っているのだ。
「せっかく失敗しなかったんだ!熱いうちに食べないともったいないだろ!返せ!!」
キャリコの腕にしがみつき、うーん・・と腕を伸ばす。
が、届かない。
だがアインは諦めずに腕を伸ばし続け、キャリコを罵倒する。
「鬼!悪魔!!」
ギャー、ギャー喚くので、流石に苛立ってきたのか、
キャリコの声が少しだけ低くなった。
「・・・・アイン、いい加減にしておけよ?」
「いい加減にするのはお前だ!!返せ!!」
「・・・アイン」
「返せってば!!」
怖い顔で睨んでもアインは怯まなかった。
いつもならば睨むだけで竦み上がるというのに、
お菓子が絡むとこうも「度胸」がつくものなのか?
キャリコは心の中でため息をつきながらも、
アインがそのつもりならば、と・・・
「わかった」
「・・・??」
突如、上から「わかった」と言う声が聞こえてくる。
しかし一体何が「わかった」のかわからないアインは、
腕にしがみついたまま首を傾げた。
「お前がどうしてもつまみ食いをしたいのなら、いいだろう、させてやる」
「え?」
本当か?とパァァと明るい顔になるアイン。
おそらくキャリコの腹のうちなど知る由もないのだろう。
「つまみ食いしてもかまわん、・・・ただし」
「・・・ただし?」
「俺もつまみ食いをさせてもらうが、な」
「・・・え?」
そう言うキャリコの顔は黒いものだった。
その顔に嫌な予感を感じ、アインは青くなるが、後悔先に立たず・・・。
既にアインはキャリコの思惑のなかに掴ってしまっていたのだ。
「・・・あっ」
ガチャン・・と、音を立ててお玉が床に落ちる。
家庭科室の調理台の上でアインは大きく足を開いていた。
足の間にはキャリコがむりやり入り込んできて、
上の服のボタンを外され左右に開かれている。
半分脱がされたシャツからアインの白い肌が見え、
所々に赤い鬱血が刻まれており、今は胸の飾りを指で弄られていた。
「フフフ・・、この小さな赤いホットケーキ・・、
焼きすぎなのかコリコリになってしまったようだ」
「・・・ぅ・・・ん・・・っ」
人差し指と親指で胸の飾りを摘まれる。
最初は痛かったのに、今ではジンジンと痺れそこから快楽が生まれ始めている。
アインは、もう弄るのを止めて欲しくて
胸を弄っているキャリコの手の上に自分の手を乗せた。
「・・・やだ・・っ・・あっ・・・」
アインの口の周りはベットリとしていた。
それは喘いでいるせいで飲み込めなかったアイン自身の唾液と・・それから・・
「ああ、すまなかったな、お前に食べさせるのを忘れていた。
ついつい自分のつまみ食いに夢中になってしまってな」
そういうと、テーブルの端においてある皿に手を伸ばした。
片手で器用にナイフを使いホットケーキを一口サイズに切っていく。
切り終えるとそれを摘まんで、皿の端やケーキの上にたっぷりとかかっている
メープルシロップをたっぷりとつけ、アインの口に運んでいった。
「ほら、メープルシロップたっぷりのホットケーキだ」
片方の手でアインの胸の飾りを弄り、片方の手はアインの口にホットケーキを運んだ。
アインは口を開け、ホットケーキを受け取る。
しかし噛もうとするとキャリコに胸の飾りを弄られ、
メープルシロップが口端に零れた。
「んっ・・・ふ・・・ん・・」
「・・・美味いか?」
「・・・ん・・」
「アイン?美味いのか?」
「・・・ん、・・・美味し・・・あぁぁっ」
鼻にホットケーキが焼けるいい匂いが漂ってくる。
感じすぎて涙が溢れている目で、ガスコンロを見ている。
「・・・あっ・・キャリ・・・コ!」
「・・・なんだ?」
「・・そろそ、ろ・・・んぅーー!!」
いつの間に脱がされたというのか?
アインの下半身はすでに一糸も纏っていなく、
足の間にはキャリコの頭があった。
胸への愛撫や、体中に与えられた愛撫でアインの下半身は既に大きく成長していた。
キャリコは今、ソレを口に含んでいた。
下半身からたまらないゾクゾク感が湧き上がってくる。
「あっ・・・あ・・・ん・・ひぅ・・っ」
調理台の上で弱弱しく頭を左右に振る。
そして途切れ途切れでキャリコに訴えた。
「・・・あっ・・・焦げる・・・キャリ・・焦・・・」
その時、アインは背をおもいきり撓らせた。
キャリコがアインの性器を根元から先にかけてジュブッと擦り上げたからだ。
そしてアインの性器から口を離すと、己の唇をグイッと拭いた。
性器への愛撫が終わりアインは無意識に胸をなでおろす。
性器を口に含まれるのは、まだまだ感じすぎて嫌なのだ。
「・・・そうだな、そろそろひっくり返そうか?」
アインの性器は口から開放されてもキャリコの手に握られ、扱かれ続ける。
その為、弱弱しく頭を振ることしか出来ないが、
自分が言いたかったことをキャリコが理解してくれたことに安心した。
「うん・・そろそろ・・返さないと・・焦げ・・ぁっ・・あ・・・あ・・・く・・・」
根元から、先端にかけてネットリと大きな手で握られ扱かれる。
先からはとめどなく愛液が溢れ出てきては、
その時の濡れた音が火の音にくべられていく。
「アインのホットケーキも返さなければいけないが、
俺のホットケーキにもひっくり返ってもらおうかな?」
「・・・う・・?・・あ!」
グイッと体を起こされ、回転させられる。
調理台の上に乗っていたはずの体は引きおろされ、足は床に着いた。
耳にキャリコの唇が寄せられる・・・。
「そろそろ俺もホットケーキをつまみ食いではなく本気で食べるとしよう」
「・・・う?・・・あ?・・・」
アインの体を調理台と自身の体ではさみ、足を強引に左右に割り開いた。
「・・・アイ、ン・・・っ・・!!」
「ん・・・あっーーー!!」
蕾に引きつるような痛みが走る。
まだまだ「受け入れる」ことに不慣れなアインは、
その痛みに悲痛な悲鳴を上げた。
一気に己を埋め込むと、一息つく様にいったん腰の動きを止める。
「・・・アイン・・・もっと力を抜け・・・」
「・・ふ・・・う・・・痛い・・・」
「体に力を入れすぎなんだ・・・もっとリラックスしろ」
「・・・無理・・・あっ・・・焦げる・・」
「力を抜け、アイン」
キャリコの忠告に、首を左右に振る。
どうやって力を抜けばいいのかわからないのもあるが、
このままではホットケーキが焦げてしまう、
という焦りが余計に体に力を入れてしまうようだ。
「焦げる・・・焦げ・・・んぅ・・!」
何時まで経っても力の抜けないアインに痺れを切らしたのか、
体から力を抜くために、アインの性器を再び握りこんだ。
そしてソレをゆっくりと扱き始める。
扱かれることで湧き上がってくる快楽に、自然と抜けていく体の力。
次第にアインは自分の足では自身を支えられなくなってきた。
「ふぅ・・・・うっ・・・」
そして体から完全に力が抜け落ちた数分後、アインは再び背を撓らせた。
中に入っている「キャリコ」がある部分に触れると、
痺れるような快感が生まれ、世界を眩いものに変えるからだ。
「・・っ・・あ、・・あっあっ!」
「・・・そう・・その調子だ・・
俺がホットケーキに満足したらお前のホットケーキをひっくり返してやる」
「・・・そん・・・な・・ぁ・・焦げちゃ・・う・・うっ・・」
「焦げさせたくなかったら、腰でも振って俺を満腹にさせろ、ホットケーキ君?」
「あぁぁぁぁ・・・っ!!」
後から激しく突き、ホットケーキを味わうキャリコ。
アインは激しく突かれれば突かれるたび、
繋がっている場所から快楽が生まれ、ホットケーキのことが頭から消えていく。
「はっ・・・あっ・・・あ・・んっ」
アインの鼻に焦げた匂いが掠めていく。
だがキャリコの激しい犯し方に全てが真っ白になっており、
そんなことは気にしていられなかった。
体を支えられなくなり、調理台に頬を寄せる。
床についていた足は空に浮かんでおり、突かれるたびにビクビク揺れている。
「・・・だ・・め・・だ・・めぇ・・・や・・ぅっ」
アインの足がそれまで以上にビクビク揺れた。
次の瞬間には白濁した液体が数本出来て
太ももからかかとの辺りまでツゥー・・と伝ってきている。
それはアインが達したことを現していた。
まもなくしてアインの背後から低いうめき声が聞こえてきた。
アインは、デカすぎでは?と思われる上着を着ながら
家庭科室の床に座って、美味しそうにホットケーキを頬張っていた。
その横には、上半身裸のキャリコが胸焼けでもしているかのような表情を浮かべている。
それもそのはず、今アインが食べているホットケーキ(2段重ね)は、
メープルシロップが生地に余すところなくかかっており、
バターもベチョベチョにぬったくってあるからだ。
だがアインはそれをフォークだけで器用に平らげていく。
「美味しい!やはり運動の後は甘いものだよな!」
「・・・そうだな・・・(うっ・・見ているだけで吐きそうだ)」
白い生足の上にホットケーキの皿を乗せ、横に座っているキャリコを見る。
なぜか顔色が青いキャリコに、ニコニコ笑いながら、
「キャリコも食べるか?」
と、誘いの言葉を投げかけた。
「・・いや・・、遠慮しておく」
「どうしてだ??あ、甘いのキライなのか??」
「いや・・キライではない・・・、甘すぎるのは好きではないが、な」
「ふーん?でもコレ、そんなに甘くないから食べられるんじゃないか?」
「!?(・・・どうみても甘すぎだろう?アインの味覚は一体??)」
「・・・どうした??」
不思議そうに見つめてくるアインに苦笑を返すしかないキャリコ。
「なんでもない、それはお前が一人で食べろ」
「いいのか?」
「ああ、・・俺はもう食べたからお腹いっぱいなんだ」
「・・・食べた??」
一体いつ食べたんだ?とアインは不思議そうにキャリコを見つめ続ける。
すると不意にキャリコの腕が腰にまわされ引き寄せられていった。
「??キャリコ??」
ヒョイッと片腕で抱き上げられ、足の上に座らされてしまう。
そうかと思ったら首筋に唇を押し当てられた。
「うわっ!?」
「・・・俺のホットケーキ、シロップもたっぷりで本当に美味かった」
「・・・・え?」
抱きしめられているので顔だけキャリコに振り返り首を傾げる。
キャリコの言葉の意味がどうやら理解できないようだ。
そんなアインの耳元に口を寄せると、キャリコはそっと囁いた。
「俺のホットケーキ・・・それはアイン。」
「・・・!」
「そしてお前はホットケーキでもあるが、同時にシロップでもある」
「・・・!!」
「アイン、・・お前は・・・」
そこまで言うと、キャリコは真っ直ぐにアインを見下ろす。
そして微笑を浮かべて、
「アイン、お前は俺の甘い蜂蜜だ、そのことを忘れるなよ?」
「・・・え?」
相変わらずキャリコの言う言葉は難しすぎてキョトン、としてしまう。
一体どういう意味なのだろう?と考えていると、
頭にポンッと手を乗せられグシャグシャされてしまった。
「・・・意味がわからない、という風だな?」
本当にわからないので、アインは小さく頷いく。
「では、この次までの課題だ。意味は自分で調べるように・・・。
そんなに難しくはないだろ?ただ訳せばいいだけだからな」
「・・・訳・・・?」
フフ、と微笑を浮かべると、この話は終わりだとキャリコは再びアインを強く抱きしめた。
「・・・ほら、もう時間がないぞ?早く食べてしまえ」
「あ、・・うん・・・」
その後、アインはまともに歩くことが出来なかったので
キャリコに抱っこされて部屋にたどり着いた。
こうしてアインの訓練の一日は終わったのである。
キャリコの言った『俺の甘い蜂蜜』の意味をアインが理解するのは
それからしばらくしてのこと・・・・。
意味を理解した時、アインは真っ赤になってしばらくキャリコをまともに見れなかったという。
ちなみに意味は「マイ・スウィート・ハニー」である。
再録です。
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