〜愛情表現!〜
真面目の中でも頂点の位置にいる生真面目、
イングラムは彼に対してそんなイメージを抱いている。
勿論、歳相応に熱血な部分もあるが、彼はうっかりポロリ、
ということもないだろう・・・あのロボット大好き男と違って。
そう自分で自分を納得させ、
何故か皆出払っており二人しかいないこのチャンスを生かすことにした。
こんなことでなければヴィレッタ以外の貴重な意見など聞く機会もないからだ。
「・・・・ライ」
長い机がいくつも連なっているミーティングルーム。
入り口から一番遠いホワイトボードの近くで資料に目を通しているイングラム。
ライは丁度斜めに座っており、名前を呼ばれて目線を合わせることで返事を返した。
一度裏切っているイングラムに対し、内心まだ疑っています、という態度を彼は崩していない。
「(・・いや、正しくは100%は信用していない、という感じだな)
ライ、・・・・お前は・・・・」
「?」
ゴホン、と珍しく口ごもるイングラムにライは眉間に皺を寄せた。
彼の戦術や軍師力を尊敬できても人間としては100%尊敬も信頼も出来ない、
と思っているので口ごもるライは不振な眼差しを益々向けてやるのだった。
けれどイングラムから出てきた思いもよらない言葉に眉間の皺は消え、
目を大きく見開いてしまうのだった。
「・・・お前、恋人はいるのか?」
「・・・・!」
オマエコイビトハイルノカ?
全く予想だにしていなかった言葉だ。
しかも彼は恥ずかしいのか目線を少しだけ逸らし、頬を染めている。
だが威圧的なのはいつも通りなので、そのまま無視することは適わなかった。
「・・・今は・・・特に決まった相手は・・・」
「ほぉ?」
予想外の答えであったのか、イングラムの眉が意外だとばかりに僅かに動く。
だがもともとライに恋人がいようがいまいが関係ないと思っていたのか、
その辺りは特に突っ込むこともなく、自分の話を続けてきたのだった。
「今は、ということは居たことはあるのか・・・?」
「!!!?」
更なる突込みにライは今度は目をパチクリさせながらも
やはりあの独特の威圧感に圧倒され珍しく口ごもりながら小さく頷いた。
「・・まぁ・・・過去には・・・」
「そうか・・・・」
ライの返事に小さく頷き、イングラムは顎に手をあてなにやら考え始めた。
「???(なんなんだ??)」
ライは嫌な汗を背中にかきながらなにやら思案しているイングラムの次の言葉を、
ゴクンと咽を大きく上下させ待った。
普段は部下のプライベートにはまったく興味を示さない彼がこうして聞いてきているのだ。
ひょっとして上層部でなにやら問題が起きて、
それでこうして部下の一人一人に聞いているのかもしれない。
ライがあれこれ考えているうちに、決心がついたのか再びイングラムは口を開いた。
・・・心なしか顔が赤くなっている気がした。
「お前はその時・・・当時の彼女に・・・」
「?」
「・・どういう言葉をかけた?」
「・・・言葉???」
「・・・くどき文句というか・・・相手を褒めるときにかける言葉など・・・、
あと情事の前後にかける言葉とか・・・・」
「・・・・!??は???」
黒い微笑を浮かべ部下を扱いている彼からは想像も出来ないくらい歯切れの悪い言葉。
「・・・俺の恋人が・・・」
「・・・クォヴレーですか?」
「・・あ・・ああ・・クォヴレーが・・・最初は照れているだけだと思っていたんだが・・・」
「・・・・・(これは・・・もしかしなくとも恋愛相談か???この男が俺に??)」
「最近段々気づいたことなんだが・・どうやら照れているのではなく困っているようでな・・。
いつもだったらヴィレッタに聞くところだが、
こういうのはクォヴレーにより近い歳の人間に効いたほうがいいと思ってな」
「(しかもいつもは隊長に相談をしていたとは驚いた・・・、
しかしどうして俺は毎回毎回こうした役回りなんだ???)」
「何と言っったんです?」
しかしいつもは怖い彼が恋愛で困っているのも可愛いかもな、
とつい思ってしまったライはとりあえず話しの先を聞いてみることにする。
何かいいアドバイスが出来て、
明日からの訓練のしごきが少し優しくなればそれもまたいい、という打算もあった。
そしてどうやらライが相談にのってくれそうだと嬉々としたイングラムは、
小さく頷いて大真面目な顔でいつもクォヴレーにいっている台詞を聞かせるのだった。
「『お前の瞳はどんなダイヤよりも俺を魅了する』
「・・・は?」
「『お前の唇はイチゴよりも真っ赤に熟し、俺を虜にする』」
「・・・・!え??」
「『お前の××は●●で俺の△△をねじ込むと・・・」』
「・・・・・っ、し・・少佐!!」
それ以上聞いていられずガタンと席を立ち上がると普段はクールなライが
珍しく全身を真っ赤に染めて口をパクパクさせていた。
「(どこの官能小説の台詞だ!クォヴレーが困るのも当たり前じゃないか!)」
「どうした??急に立ち上がって」
素でそれがいかに恥ずかしく破廉恥な台詞とわかっていないのか、
イングラムは虚を疲れたような顔をしている。
どうやら彼は以外に天然で恋愛ごとには疎いようだ。
「(こういうタイプは面倒だ・・・それがダメと言っても正論を言わない限り引かないだろう。
親密な二人の会話だからああいう台詞でもかまわんだろうが、普通の恋愛には必要ない。
・・・・ここは一つ当たり障りのない台詞を教えておこう・・・)」
「ライ?」
「・・・・現実の恋愛に映画の台詞のような言葉は困る・・のだと・・・」
「・・・映画の台詞のような言葉・・・?お前の瞳はダイヤモンドとかか?」
「・・・っ・・・・」
大真面目にクサイ台詞を言ってのけるイングラムに噴出しそうになったので、
返事は小さく頷くだけに留めた。
二枚目の人間だからくさい台詞が似合うのだが、冷酷な彼を知っているだけにおかしいのだ。
「普通に・・好きだ・・・で相手には十分・・伝わるだろうし・・・」
「・・・・ふむ?だがそれだけだと睦言の時に俺の情熱があまり伝えられないな」
「(情熱!?・・・情熱を伝えるのがあのいやらしい台詞なのか??)
・・・・む・・睦言の時は・・あ、愛してる・・・でいいのでは?」
「!!それだけでいいのか??」
イングラムはビックリしたように思わず立ち上がった。
あまりの勢いにライはビクッとして一歩下がってしまう。
「その台詞はキスだけのときに言っているのだが・・、
そうかベッドの中でもそれだけでいいのか・・」
何か納得したような、そうでないような相槌のままイングラムは押し黙ってしまう。
シーンと静まり返ったミーティングルームに何故か立ち上がっている男二人。
ライは気まずさに、
「(誰でもいい!早く戻ってきてくれ!)」
と心の中でそう叫ばずに入られなかった。
けれど願いも虚しく、『誰か』が戻ってきたのはそれから約1時間後で、
ライはその間延々とイングラムの恋愛相談にのっていたのだった。
「・・・・ぁ・・・ふ・・・」
ヘッドライトを照らしただけの薄暗い寝室。
ダブルベッドの上でイングラムは膝にクォヴレーを乗せ、
情熱的に口付けを交し合っていた。
向き合う出なく、イングラムの胸に背を預けキスをしている為首が疲れたのか、
クォヴレーはイングラムの長い髪を引っ張ることで一時の急速を訴える。
「・・・ふぁ・・・」
クスッと笑いながら一旦唇を離してやるとクォヴレーは、
ほぉー・・キスで頬を火照らせながら安堵の息をつく。
けれどキスの急速を与えても情交の急速をイングラムが与えるはずもない。
顔を前に向けたクォヴレーの耳を甘噛みしながら、
クォヴレーのパジャマのズボンに手をかけひき下ろしていく。
「・・・ぁ・・・・んっ・・・」
下着を下ろし半分反応していたソレに優しく手を添え、
昼間ライに言われたとおり、耳元で言葉を囁いてみる。
「・・・愛してる」
「え?」
普段のイングラムと違いそっけなく短い言葉だった。
けれど掠れて熱のこもったその言葉はこれまで出一番腰に響いてしまった。
「ぁ・・・ダメ・・・だ・・・」
半分しか反応していなかったのに一気に完全に反応を示してしまう。
イングラムはその反応に少し驚きつつも、気分を良くしたのか、
「クォヴレー・・・愛してる・・・」
と、耳元で囁きながら膝の上のクォヴレーの性器を優しく弄び始めた。
ビクビクと魚のように身体を撓らせ、クォヴレーは真っ赤な顔でイングラムを振り返る。
そして愛を囁く悪戯な唇を自ら塞ぎにかかるのだった。
「ん・・・んっ・・ん」
チュ、チュ・・と音を立てて唇を吸ってくる。
ただ唇を吸っているだけのキスなのにイングラムの身体はさらに熱くなっていく。
「・・・クォヴレー・・」
「・・あ・・・イン・・・んむ・・・」
クォヴレーの顎を掴みキスを止めると、自分の指を小さな口に入れた。
目をトロンとさせながら長い指にクォヴレーの舌が絡まり始め、
その心地よさにイングラムは目を細めて、
「上手だな・・・とても気持ちがいい」
褒めらて嬉しくなったのか、
クォヴレーはチュバッと大きな音を立てて大胆に指を愛撫し始めた。
指を舐めつつ身体をゆっくり回転させ向き合う形に座りなおすと、
イングラムのパジャマに手を伸ばし、中から熱いイチモツを取り出す。
後の膨らみを軽く揉み扱き、人差し指と中指で裏筋を軽く撫でた後、
先端の入り口を軽く撫で、先走りの愛液を手の平に馴染ませていく。
そして手が濡れると宝物のように大切に愛しいイングラムの分身を愛撫し始めた。
「・・・クォヴレー・・」
イングラムが目を細めると、クォヴレーも目を細め、
指を丹念に舐めながら愛しい性器を段々力強く愛撫していく。
やがて咥えさせていたを小さな口から抜くと、
口端から唾液を流しているクォヴレーの頬を軽く舐め、
下に息づいている小さな蕾にまず1本埋めていった。
「・・・・っ」
苦しそうに眉を寄せるクォヴレーの頬に唇を寄せ、ゆっくり中を広げていく。
穿った指がクォヴレーの中のある部分を掠めたとき、
クォヴレーは愛撫の手を止めイングラムにしがみついた。
イングラムはニッと意地の悪い笑いをクォヴレーに気づかれないように浮かべながら、
指を一本増やしその部分を執拗に責め出し始めた。
「あっ・・やだぁ!!・・ソコ・・・やっ・・」
イングラムにしがみつきながらブルブル足を震わせている。
「・・・愛してる・・クォヴレー・・?ん?イヤ、じゃないだろう?」
「あっ・・・あっ・・おか・・・おかしい・・・オレ・・・」
「ん?」
「い・・いつもより・・か・・感じて・・しまう・・あっ・・」
「クォヴレー・・・可愛いな・・」
「イングラム・・・オ・・オレ・・・もう・・・」
腰を振りイングラムにしがみつきながら自らキスをした。
今度は舌を絡ませ、彼の唾液すらもすする情熱的なキスだ。
恥ずかしがり屋でセックスには消極的なクォヴレーが挿入前にこんなキスをしてくるのは珍しい。
「(なるほど・・・確かに台詞じみた言葉よりたった一言の方が響くらしい。
おまけに今日は困った顔をしていないしな・・・)」
クォヴレーのキスに応えながらイングラムは後から指を引き抜き、
優しくクォヴレーをベッドに横たえた。
潤んだ目でイングラムを見上げたクォヴレーはこれまた珍しく自ら足を抱え、
その先の行為をねだってきたのだった。
イングラムは優しい微笑を浮かべると額に軽くキスをし、
足を抱えているクォヴレーの腰を引き寄せ足の間に身体を置くと、
そっと身体を沈めていった。
「あーーっあっ・・・」
ダブルベッドが大きく軋んでいる。
クォヴレーが身体の上で踊るたび卑猥な音を立てながら白いものが溢れ出てきている。
艶かしい光景を見ながら、イングラムの突き上げにあわせて動くクォヴレーの表情も視察した。
もう2度もあの小さな孔のなかに欲望を放った。
それでも足りず、今はこうしてクォヴレーをお腹の上に乗せ身体を繋げていた。
逞しい胸板においてある手がそろそろ限界なのか、
ブルブル震えやがてイングラムの上に倒れこんでくる。
「・・・だめ・・・だ・・・め・・も・・むり・・あっあぁっ」
無理、と口走ってもイングラムが突き上げれば嬌声をあげる。
クォヴレーは涙が溜まった目でイングラムを見つめ、そっと唇を寄せてきた。
「・・・好き・・イングラム・・・」
掠れた声で囁きながらイングラムが『俺もだ』といえばクォヴレーは嬉しそうに唇を貪ってみた。
そして彼の中に入れたままの性器がなかの襞に絡まれ更なる快楽を教えてくれた。
どうやらクォヴレーは嬉しい、と感じると孔の中の襞までもが反応するらしい。
キスをしながらギュウギュウ締め付けてくる小悪魔にイングラムも限界が近づいてくる。
キスするクォヴレーの顔を引き剥がし、
欲望の浮かんだ顔で微笑むとそのまま上下を逆転させ、
細い身体を強く抱きしめながら最後の階段を駆け上がっていくのだった・・・・。
その後イングラムは癖になっているのか台詞じみた言葉を何度となく言ったが、
クォヴレーは困った顔をすることなく笑顔で答えてくれるようになったようだ。
台詞じみた台詞のあとの『愛してる』や『好き』という、
たった一言を付け加えてくれるようになったからかもしれない。
ありがとうございました。
思いのほか裏要素が多かった?気がしたので裏にしました。
私の中でイングラムは恋愛ベタで、普通に恋愛参考書みたいな本を熟読し、
それを信じて実行してそうなイメージなんです。
クサイ台詞もハー●クイーンとか見ながら学んでいそう・・・。
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