〜西武と東上〜


「・・・あー・・、ついてねぇなぁ・・・。最近は人身が多くて本当に参るよなぁ・・。
 人身=振り替え依頼・・・。
 メトロの連中はともかく西武のヤツラにまで頭を下げるのはプライドが・・。
 いやそれよりなによりつなぎの代えがなくなるのが・・・・・、げっ!?」
「むっ?『げっ』とは相変らず失礼な男だな、東武東上!
 貴様が事故を起こして運転を見合わせているというからわざわざ尋ねてきてやったというのに」
「・・・・頼んでねーよ」
「・・・・ん?何か言ったか?」
「いや、別に・・・(今はコイツの電波に付き合ってるヒマはねーしな)」
「ふん・・・・。それにしても東武よ」
「あ?」
「貴様もついに心を入れ替える気になったようだな」
「・・・・はぁ?」
「事故を起こしてやっと心を入れ替えるとはいささか頼りないが、
 貴様のその『心変わり』は買ってやらんこともないぞ?」
「・・・・さっきから何ワケのわからねーことを言ってやがんだ?」
「ワケが分からないだと!?・・・フフ、そうか貴様照れているのだな?」
「!!???ぶはぁーーーー!?」
「うわっ!唾を吐くな!!汚いだろうが!!コレだから貧乏路線は品がなくて困る!」
「貧乏は関係ねーだろーが!それに俺が唾を吐いたのはてめぇの電波な言葉に驚いたからだ!」
「私の言葉のどこが電波なのだ!?・・・・ふん、まぁいい」
「(いいのかよ)あのさ」
「なんだ?」
「結局お前は何が言いたいんだよ?」
「何か言いたいのは私ではなく貴様だろう?」
「・・・・はぁ?俺?
 ま、まぁ・・『振り替えお願いします』は言いたいことだけど(本当は嫌だけど)」
「違う!振り替え依頼の話ではないわ!他にあるだろう!?」
「はあ?他???」
「貴様のその心変わりの胸のうちだ!」
「・・・・だから『心変わり』ってなんだよ?」
「貴様!西武に、しいては堤会長についてくる気になったのだろう?」
「!!!??・・・・何の話だ?」
「フフフ、照れなくてもいいぞ?貴様の姿がそれを照明しているのだから」
「・・・俺の・・・姿・・・・(って、ま、さ、か・・・)」
「貴様!普段はオレンジ色のつなぎなのに今日は水色のつなぎ!
 水色!それは即ち青系統!青=西武、だ!」
「(やっぱりかーーーー!?)」
「東武東上・・・・、我々は仲間を助ける為には労力を惜しまない。
 貴様が心を入れ替え西武の一人となるというならば振り替えくらいいくらでもやってやるぞ!」
「・・・いや、これはその・・・」
「さあ、東武!いや、東上!貴様のその決心が鈍らぬうちに声高らかに叫ぶがいい!」
「・・・・・叫ぶ?(いやな予感)」
「西武万歳!」
「(やっぱりかーーー!!?)」
「会長万歳!!さぁ?どうした、東上!貴様もやるがいい!」
「・・・・・・いや、俺は・・・」
「さぁ!さぁ!さぁ!さぁ!さぁ!」
「うげっ!俺の腕を掴むな!」
「腕の上げ方がなってないから手伝ってやろうというのだ!さあ・・・!」
「げげっ!やめろって!俺がオレンジじゃなくて水色のつなぎを着てるのは・・・」
「ふふ、恥ずかしがらずとも良い!直ぐに慣れる・・・。さあ・・・、西武万歳!」
「恥ずかしがってねーよ!いいから人の話を聞け!俺が今日水色のつなぎを着てるのは・・」
「会長万歳!万歳!」
「だから人の話を聞けーー!!
 俺が水色のつなぎを着てるのは最近事故続きでオレンジのつなぎがなくなっちまったからだ!
 本線に頼んでクリーニングから戻ってくるまでの間、水色とか赤とか借りてるだけだーー!!」
「はははははっ!西武万歳!」
「ううっ(屈辱だーーー!)」




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